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大正冒険奇譚 臨時避難所

388鳥居呪音 ◆h3gKOJ1Y72:2015/01/06(火) 22:51:33
それは一瞬の出来事だった。己の足から流れ出る血飛沫を見ながら鳥居は呆然としていた。

>「……オメェがただの人間だったら、その足とは永遠におさらばだったぜ。
 迂闊な真似したらどうなっか、さっき見たばかりだろうが」

生還屋の言葉が降ってくるのも上の空。鳥居は一礼して去ってゆく赤帽を見送るとやっと我に帰り……

「ああ、みなさん。ありがとうございます」
気の抜けたようなゆるゆるの声を発した。
たぶん鳥居は、京香がいなければこらえきれず、赤帽の助太刀も間に合わずあっちの世界にもっていかれたことだろう。

(……あう〜。我ながら情けない)
とどのつまり、鳥居は何の役にも立たなかった。しかし助けてくれた人達に対して……

「これこそ仲間ですっ」と、奮い立つのだ。

そして……

>「生成り小僧とお嬢ちゃん、あんたらはどうするんだい?
  どの扉を選ぶにしろ、一人で行こうなんてえ無茶はするんじゃないよ。
  行くなら二、三人で固まってからにした方がいい。」

>「お二人も一緒でいいじゃないですか。戦力は出来る限り分散しない方がいい……兵法の基本です。
 ただここには、それを分かった上で是としない困った人達がいるというだけで。
 ……ところで、扉は私が決めて構いませんか?」

と、皆で一緒に行くことになる。

>「やれやれ、扉の数は八十余……全員で探索に当っても、まだあと半分は手付かずかねえ?
 金魚のフンみたいに、こうゾロゾロ連なって歩いてちゃ、いつ終わるやら……
 そういや生成り小僧……もう足首はくっついたかい?
 引き込まれたのがお前でよかったよ。引っ張ってくれたその娘(こ)にもよく礼を言っとくんだよ。」

こくこくと頷く鳥居。

木の扉に入って行けばそこは荒野だった。
話を聞いているとここは久礼の物語を富道が書き記した空間らしい。
何はともあれ富道の内面だだ漏れの世界であった。

(……そっか。彼の視点からすれば冒険者の死なんて溢れていることであって、せっかく書き記した興味深いお話も、
お眼鏡にかなう終わりかたをすることなんてそうそうなかったのかもです)

>「………ひょっとすると、扉の中は繋がっているのかもしれないねぇ………」

倉橋の独り言に鳥居は目を開き納得。
鳥居のまとまらない考えの中には何故扉が、物語が消えたのかという疑問があった。
そもそも物語が終わるというか消えるということとは何か?
例えば物語の主人公が死ぬ。しかし肉塊になった男が一人で二十ほどのお話を持っていて死んだとは考えにくい。
鳥居なりにも何気に色々と考えてはいたのだが、やはり倉橋の一言は確実な糸口にも思えた。
その糸口には手繰り寄せる価値もある。

「そっか。だから減ったのかも」
(一枚の木葉のお話しみたく、木が枯れて葉っぱが落ちちゃうのと、少女の命が尽きちゃうことには何の関係もないのに
年老いた画家が葉っぱの絵を描くことで一つのお話しにまとまっちゃうみたいなことかもです)*

「うーん…でもまだわかりませんね」

ふと見ると、侍が四人。立っている。

>「助言を得て敵を倒すなど……それは私の『強さ』ではありません」

>「……だ、そうだから。その……みんなも頑張って、ね?」


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