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大正冒険奇譚 臨時避難所

366鳥居呪音 ◆h3gKOJ1Y72:2014/12/10(水) 21:46:30
死者もでてしまって張りつめた空気のなか、鳥居たちは無数の扉のある所にいた。
冒険者の話では扉は百枚ないのだという。

「あ〜、わからないっ」
潜っていた思考の海から息継ぎをするかのように顔をあげ、あほみたいな顔を全開にする鳥居。
先程倉橋は、青冊子の女から「あつめろ」と白紙を渡されたと言う。
それはいったいどういうことなのだろう。

「とうこさん、その白紙って解決の糸口になりそうですね」
と何にも考えていない朗らかな顔で、鳥居は倉橋に言葉を投げた。
それはある意味で逃避という丸投げ。次に鳥居は京花に視線を移し…

「京花さんも、すごい勇気でした〜。ブラボ〜」
と、驚いた顔をつくってみせたあと、ゆっくりと横をむいて扉を見つめる。
京花にたいしては新人ながら心配をする必要もなさそうで、
それならば少しでも彼女の気持ちがそのままでいられるように、応援してゆこうと鳥居は思っていた。

そして、鳥居は振り子時計を象徴している扉の前。
楽しそうに話している自分たちの声に興味をそそられる。

「……あっちは楽しそうで羨ましいです。
こっちの僕は無駄口叩いて呆れられるだけみたいなものなのですけど
扉のむこうの僕たちは気心も知れてわかりあえてるようですねぇ」
倉橋を振り返り、へへっとほの暗い笑みを浮かべる鳥居。
この扉なら生還屋に危険の有無を問わなくても大丈夫なようだが、話しかけるきっかけとして鳥居は生還屋に問うてみる。

「この扉のむこうがわって危険ですか?」
ぎゅっと手を引いて扉のすぐ近くに誘導する。
生還屋が他の冒険者たちと馴れ馴れしくしていた様子に、よもや清国での冒険を忘れたわけではありますまいなと嫉妬にも似た感情。

「どっちかっていったら本物のこっちのほうが危険な香りがしますよねぇ……」と、倉橋を横目にぽつり。

「しませんか?」と、京花にも問う。話は脱線するが……

「倉橋さんと初めて会った印象はどうでした?初見の印象って九割がた合っているそうです。
僕はお母さんみたいって思っていたのですが違ってました。
今では部屋の何処に置いたら良いのかわからないお人形さんみたいな人って思っています」

「あ、この質問って前々から生還屋さんにも聞きたいって思っていました」
扉の前でごちゃごちゃと言ったあと、鳥居はそっと扉を開けようとする。
それは分かったと思えばまたわからなくなるような倉橋の心、奥に進めば進むほど奥深さだけが残るような感じの正体を見つけ出すための好奇心。
倉橋の心のなかの鬼ごっこの、鬼の正体とはなんだろう。
それはさておき……

「あのぅ、何がそんなに楽しいのでしょうか?」
扉のむこうの自分たちにも質問を投げ掛ける鳥居だった。


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