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大正冒険奇譚 臨時避難所

359 ◆u0B9N1GAnE:2014/12/07(日) 10:11:50
美食家と呼ばれた男はまるで麩菓子を食すかのように子豚の丸焼きを平らげていく。
終いにはそれを刺していたナイフの先端まで、難なく齧り、噛み砕き、飲み込んでしまった。

「ふう……よし。じゃ、行くかな。美味しそうな匂いは……どこにもしないなぁ。
 ま、そもそも異界の食べ物なんて口にするもんじゃないか。あ、僕ここにしたから。誰か一緒に行こうよ」

美食家の選択を皮切りに、他の冒険者達もちらほらと動き出した。
となれば、君達だけがじっとしている訳にもいかない。
君達は早速どこかの扉を選んでみてもいいが、まずは準備や聞き込み、同行者の勧誘などを行ってもいいだろう。





また美食家が嗅覚をもってそうしたように、扉の中の様子は外からでもある程度察しがつくようだ。
君達の傍には四つの扉がある。

一つはモダン風な装飾が施された扉。中から滝のような、延々と水の流れる音が聞こえてくる。
一つは何の変哲もない木の扉。しかし近づくとその瞬間に刀が突き出てくるだろう。
一つは何か宗教めいた模様の刻まれた石の扉。金属の擦れるような音が絶え間なく響いている。
一つは振り子時計を象ったような扉。その奥からは――楽しげな声が聞こえてくる。君達の声が。



「……変だな。この扉、全部で百はないとおかしいんじゃないのか?」

不意に、冒険者の一人が呟いた。
周りの人間がどうしたのかと尋ねる。

「いや、ざっと数えてみたんだけどさ。どうもこの扉、百枚も無さそうなんだ」

「はぁ?んな訳あるか。百物語だろ?」

「でも無いんだよ。疑うなら、お前も数えてみればいい」

その情報に果たしてどんな意味があるのかは、まだ明らかにはならないだろう。
だが推測する事は出来る。


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