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大正冒険奇譚 臨時避難所

270鳥居 呪音 ◆h3gKOJ1Y72:2014/08/23(土) 22:27:43
>「ごめんな、こんな事して……でも、嫌なんや。ウチは、鳥居はんに、生きてて欲しい」

あかねの生き血が鳥居の口に流れ込み、白い喉がひくりとなる。
生きてて欲しいと鳥居が思われたのは、母親の他に二人目だった。
だから鳥居はあかねに抱き締められながら安らぎを感じていた。
死から逃れるのもこれで二度目だった。

鳥居は薄く目を開き、掠れた声であかねに囁く。

「……ありがとう」
そんな言葉が口から出たのも
鳥居が救われた気持ちがしたから…。
生きていて欲しいと思ってくれる人とまた出会えた。
生きてゆくことを許してくれる人に。
それはサーカスの拍手喝采とも違う特別な気持ち。
歌って踊る自分ではなく、そのままの自分を認められた。
戦う自分でもなく、鳥居の命そのものを…。

――そして物語は最後の選択をもって、終わりへと近づいてゆく。

>「……そういうのが一番困るんだが、まぁしかたねえ。これで一対二か。
となると……後はオメーら次第だな。どうすんだ、え?」

生還屋に、フーとリウを連れ帰るか見逃すか、という選択を迫られる二人。
思わず鳥居は倉橋の顔を見たが、見逃すに一票を入れるためすぐさま口を開く。

「ぼくは、フーさんとリウさんに幸せになってもらいたいから、見逃すに一票です。
そりゃああとから清王との問題が色々と起こるかも知れませんが、
そこは自己責任でなんとかしますので…」

今、鳥居の頭に浮かんでいたのは武者小路頼光のこと。
もしかしたら怒った清王に殺されるかも。
いや、それほどの価値もない?
頼光のことを思えば心配がつきない鳥居だった。
だがその瞳に陰りはなく、寧ろなんとかしてみせるという自信に満ちていた。
それも今までの冒険が…、人との出会いや別れが、
彼を成長させてくれたからかもしれない。


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