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大正冒険奇譚 臨時避難所

259 ◆u0B9N1GAnE:2014/08/15(金) 03:39:52
 
 

それから暫しの時間が流れ、

「おい、そろそろ馬車が来るぜ。これでやっと、この忌々しい荒野からおさらば出来るぜ」

不意に、だらしなく寝転がっていた生還屋が体を起こした。

「けどその前に、一つハッキリさせとかなきゃならねえ事があるよな」

鋭い視線――矛先は、フーに向けられている。

「お前らよぉ、その女ぁどうするつもりなんだよ」

リウは、不死の法そのものだ。
清王の眼に隠し事は出来ない。
このまま北京へ帰れば彼女がまともな扱いを受けられるのか、保証がなかった。

「……このままじゃ清には帰れないとは、思っていたよ。
 王を裏切る訳じゃない……けど、不死の法をちゃんと解読して、リウを元に戻すまでは」

「だよなぁ。けど俺としちゃ、あの胡散臭え王様の機嫌を損ねていいこたぁねえからよ。
 お前をさっとふん縛って、有無を言わさず北京まで連行してやりたい所なんだが……」

生還屋が周りの同業者達を見回した。

「そうは思わねえ奴らもいるだろ?なぁ?短い付き合いだがよ、そんくらいは分かるぜ」

視線が双篠マリーへと向けられて、止まる。

「……私は反対だ。お前が今言った行為は、私の中では悪だ。
 それにあの王が不老不死と言うのも……なんだか座りが悪い」

「だろ?こういうお固え奴もいる訳だ。当然、コイツら当人も反対に決まってら。
 けどよ、ここまで生き延びてきて、最後の最後に仲間割れの同士討ちってのもアホ臭えじゃねえか。
 その女は死なねえが、腐れ道士はそうじゃねえしな」

この状況下で、生還屋の勘は絶対的な強みと言えた。
他の誰かがもしも事を起こそうとしても、彼の勘はそれを事前に察知出来る。
つまり確実に先手が取れる――不死の法確保の障害となるフー・リュウをいつでも殺せる状態にあるという事だ。
無論、その直後に別の誰か――マリーかリウに殺される事も間違いないだろうが。

「つー訳でよ、ここは平和的にどうするか決めようぜ。文句言いっこなしの多数決って奴よ。
 今んとこ、連れて帰るが一人。逃してやるが一人だ。
 あぁ、オメーら当事者にゃ投票権はねえからな。これは俺達がどうするかって話だ」


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