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大正冒険奇譚 臨時避難所

251鳥居 呪音 ◆h3gKOJ1Y72:2014/08/03(日) 13:19:39
――地上は動死体で溢れかえっている。
だから皆、必死になって生き延びるための策を模索する。
そんななか、鳥居は体が動かなくなるまで戦おうと思っていた。
それは無策にして只の悪足掻き。
精一杯やって後悔しないようにして、
できたら死ぬのは一番はじめと決めた。
もう、誰かの死ぬところは見たくはなかった。
特に倉橋冬宇子の死は…。
なぜなら倉橋は、死王のことを忘れない特別な存在で
鳥居の心の一部とも言えるからだ。
言い方を変えれば今の鳥居の心は死王と倉橋に変化させてもらった。
それはどちらかと言ったら良かったこと…、と鳥居は思う。
その理由はこのうつろいゆく瞬間、
刹那をなんて尊い時間なのだろうと思えるようになったということ。
そしてマリーと同じように、戦う理由が鳥居にも芽生えたということだ。

だから鳥居は、彼らへの恩返しと贖罪を同時に行う。
迫り来る動死体の群れと戦い続ける。
たぶんそれは、仲間が助かるための時間稼ぎになるだろう。

――ドスン。
鳥居の腹部からぬらぬらと飛び出してくる鉄塊。
なんと動死体の一体が背後から大槍で鳥居を串刺しにしたのだ。
そのまま鳥居は持ち上げられ岩に叩きつけられと、
再生するまも与えられず次々に動死体に襲われ始める。
ゆえに鳥居は血の海で自身の終わりを覚悟した。

(……なんの因果か、冒険者になって皆と嘆願を解決してきたこの数ヵ月間は、本当に楽しかったです。
でもできたら……、紡ぎあげてきたこの思い出もずっと記憶のなかに閉じ込めておきたかった…)
それは祈り。現実になった瞬間に泡のように消えてしまう祈り。
それならいっそ叶わないまま、永遠にあり続けられたらよいと鳥居は思っていた。

(倉橋さんたち、うまく逃げられたかな…。
今回はべつに恩着せがましいことも言ってないし、
実際には言えなかっただけだったのですが……。
無事に助かっていてくれたら何よりです)


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