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大正冒険奇譚 臨時避難所
169
:
鳥居 呪音
◆h3gKOJ1Y72
:2014/03/24(月) 19:49:58
だが、胸に刺さりくる倉橋冬宇子の言葉がチクチクと痛んで、
それが安らぎへの抵抗を始める。
>(「『切れない繋がりが、絆だ』なんて、宣った男が壁の外にいるがね……中々穿ったことを言うよ。
多分……、本物の絆は、見返りの愛情なんか無くても成立するものなのさ……!」)
(……ほんもののきずな?)
涌き出してきた鳥居の小さな疑問。幽かな心の声。
閉じかけた瞼がゆっくりと開く。
その睫毛の先には氷の粒が美しく煌めいている。
> 「違うよ。誰かがそう思うから、本物は本物になるんだ。
君にとっての本物は、君の中にしかないんだよ。
僕だけが、それを形に出来る」
(そうだよ。見返りは必要さ。
だって太鼓を叩きたいから叩く人なんていないよ。
みんな音が聞きたいから太鼓を叩くんだよ。
みんな音が出て、はじめて太鼓を太鼓って思うんだ)
>(「絆を作れないのは、お前自身の方さ……でも、 だからって、それが何なのさ?
他人との絆なんか無くとも、自分で自分を愛してやることは出来る。
誰かの愛情が無ければ、自分の存在すら認められない……そんな安っぽい塵みたいな存在なら、 望みどおり、このまま消えちまうがいいさ!!
(……自分で自分を愛する?
じゃあ、とうこはそうやって生きてきたっていうの?
愛すべき自分が誰からも愛されないことに虚しさを感じないの?)
小さな小さな心の声。
いつも何か目的を果たすためにだけ一緒にいただけだから
倉橋に何かを問うてみる時間もなかった。
まして「目的と関係もないし愚問」そう思われるのも怖かった。
鳥居から見れば倉橋冬宇子は自己完結している人なのだ。
わかりすぎているから諦めてしまっているような…そんな気がする。
>「消えなくたっていい。君が弱い存在なら、僕が守るよ。 氷の中で、決して傷つかなくてもいいように。絶対に、君を幸せにして……」
(うん。消えないよ……)
強く抱かれたまま、鳥居は呟く。
その悲しい顔からは不器用な笑みがこぼれている。
嬉しいけど悲しい。そんな気持ちで溢れていた。
そう、鳥居は気づき、とあることを思い出してしまったのだった。
>それが嫌なら、しっかりおし!!気をしっかり持って己を保つんだ!
自分の目であの子の心を見据えて、あの子を凍らせた不死の正体を照らすんだよ!!」)
倉橋冬宇子の叱咤。死王の甘い言葉。
その二つに母のぬくもりを思い出していた鳥居。
失ってしまったものを悲しいと苦しむのもまた、絆、と言えるのだろうか。
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