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大正冒険奇譚 臨時避難所

168鳥居 呪音 ◆h3gKOJ1Y72:2014/03/24(月) 19:47:41
鳥居は、寂しい気持ちをどうしたら無くせるのかと、死王なら教えてくれると思って 遺跡にきた。
でもその答えは合理的ではあるけれど極論てきなものだった。
彼の思念を跳ね返すのは容易なことでもなさそうで、自我を強く持たなければ…、
それが無理なら言ってることがわからない阿呆みたいなものでもなければ
すぐに丸め込まれてしまうことだろう。

実際、今、鳥居は絶望の中におっこちている。
少し前に、鳥居が少年を否定するようなことを言えば
倉橋にそんな偉そうな立場でものをいうなみたいなことを言われた。
それもそうで誰かが誰かを頭ごなしに
あなたは間違っているからこの世界から消えなさいなんて言えない。
世界の果てに殺人鬼がいるから、どうか神様、そいつに天罰をお与えください
と願っても、それでも世界は回り続けるだけなのだ。
定義したり比べたり大きさを決めたりしてるのは人の心だけ。
好きなもの嫌いなもの。美しいもの醜いもの。
必要なもの不必要なもの。
自分の思考の及ぶ範囲で仕分けしようとする。
それらには主観を除けば正しいも誤りもない。
だから鳥居は、少年も自分の存在も肯定できた。
それは死王と倉橋冬宇子、二人の者に目の鱗を剥がされたような衝撃でもあった。

しかしだ。肯定できたまではよかった。肯定できれば自己を愛しく思う。
そして鳥居はこんなに愛しい自分が誰にも愛されないなんてと悲しく思い始めた。
それはまさに愛の光と影。
わけもわからず泣きわめく子どものもやもやの感情が、理の光によって絶望の影を深くしてゆく。

――その絶望のなかに聞こえるのは再び二人の声だった。

>(「"好きになる気持ちなんかいらない"……確かにそうだろうさ……!
お前は、誰かを好きになりたいんじゃない……本当は誰かに、好いて欲しい……愛されたいんだろ?
与えられることばかり期待して、欲しい欲しいと 嘆いてばかり。
繋がりが欲しい……?だったら、お前の一番大事な、サーカスで働いてる芸人達…
ありゃお前にとって何なのさ?只の使用人 かい?」)

(……あ、そうかぁ。好いても好きって言えないし結局好いてもらえないから、
こんな胸を焦がすような気持ちなんていらないって思ったんだ。
お母さんとかはもういないし、好きになってもみんな死んで別れてしまうのなら
絆なんて心の傷にしかならないもん。
もういない人のことを懐かしく思って絆に泣かされてばかりいるなんて苦しいだけだし…)

>「……それは何も、悪い事じゃないよ。誰だって、誰かに愛されたいに決まってる。認められて、必要とされたいよね。
僕が、君にとっての誰かになってあげるよ。だからもう、凍ってしまおう?
君が今まで取り零してきた、もう君の心の中にしかない幸せを、僕が本物にしてあげるから」

抱き寄せる死王の腕の力が強くなる。
そこで鳥居は身を任せ、安らぎを得ようとしていた。


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