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大正冒険奇譚 臨時避難所
138
:
鳥居 呪音
◆h3gKOJ1Y72
:2014/01/21(火) 19:09:21
>「肝心の、お前の気持ちを、まだ聞いちゃいなかったね……。
聞いただろ?『触媒』ってなァ危険な役目だ。
自我をしっかり持っていなけりゃ、あの小僧と精神を共鳴させた弾みに、
お前の精神を取り込まれちまうかもしれない。
そうなりゃ万事休すだ――私らは氷漬け、
お前という存在は肉体の殻だけを遺して消滅する。
どうだい?やれると思うかい?
決めるのはお前だ。
どのみち無理強いしたところ で、上手くいくたァ思えないからね。」
鳥居の顔を覗きこむ倉橋の額からは血が流れていた。
その傷に鳥居は怖くなる。
艶やかなその血の色が死の接近を想起させたからだ。
鳥居はぎゅっと手を握ると…
「……ぼく、やってみます」
そう短く言って倉橋の瞳を見つめる。……ほんの一瞬か数秒か。
美しい睫毛に縁取られた女の瞳には
どこか迷いのようなものがあった。
その正体は鳥居にはわからなかったが、
きっと倉橋は何かを憂いているのだろう。
そんな倉橋の仕草に鳥居はふと思う。
彼女は何をみて笑うのだろうかと。
そしてこれから、あの少年の笑顔を永遠に奪ってしまうことになるのではなかろうか。
倉橋とフーの話を聞いていた鳥居は
自分の身にも少年の身にも
何が起きるかわからないと理解していた。
でも、たとえ何が起きようと生き残るためにはやらなければならない。
それが危険で自我を失うかもしれないということを、鳥居は免罪符とする。
(立場は同じ。恨みっこなし)
力めば緊張でがちがちになる体。
皆で生き残るという重圧が呼吸まで震わせる。
だが鳥居はこの氷の迷宮で死王を捕らえなくてはならないのだ。
生きていれば、あかねも自身の運命を受け入れることができるかもしれない。
それは先程の倉橋とのやりとりを見ていたら
そう困難な話でもないように思えた。
燐狐の仄かな明かりで照らされた氷の迷宮は静かな光をはなっている。
言ってみればこの迷宮は少年への拒絶の証。
次に彼と出会った時、彼は冒険者を容赦しないかもしれない。
今さら大人しく、少年が鳥居の鞭を受ける理由もない。
曲がり角で鳥居は小さな顔をひょっこりと覗かせ闇の奥を見た。
でも少年の気配は感じられなかった。
彼はこの迷宮の何処かでいくらでも待ち続けることができる。
【とりあえずは返答だけしてみましたー】
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