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代理投稿だッ!

1名無しさん:2010/08/25(水) 00:39:47
代理投稿とはッ!やけっぱちの投下のことじゃあないッ!

            . . . . . . .. .. ... .
代理投稿とはッ!暗闇のスレに道を切り開くことだッ!

44名無しさん:2010/12/12(日) 23:49:26
完了

45スレ立てテンプレ:2010/12/13(月) 21:23:12
なな板TRP『異能者達の奇妙な冒険』とは……荒木飛呂彦先生の『ジョジョの奇妙な冒険』を元ネタにしたTRPスレです。
と言っても【登場人物であるプレイヤーキャラクターが『スタンド使い』である】ということ以外原作とストーリー的な繋がりはありません。
要するにスタンド使いのオリキャラを作ってキャラクター同士絡みながらストーリーを進行させていこう…という趣旨のスレであります。


前スレ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1288537445/

荒らし対策レス保管庫(読み直し用)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/9925/1282660345/

避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/20066/1281558067/

まとめwiki
http://www44.atwiki.jp/jojo2nd/

新規さん歓迎!避難所にもお気軽にお立ち寄りください

46スレ立てテンプレ:2010/12/13(月) 21:27:06
本スレは原作「ジョジョの奇妙な冒険」とストーリー的な繋がりを持ちません。
スレッドタイトルにある【ジョジョ】という要素は異能者が『スタンド使い』であるという一点にかかっています。
ジョジョのコアなファンも原作を知らない人も共に楽しめるように、
原作に表記のあるスタンドルールを、本スレのスタンド能力運用ルールとして掲げさせてもらっています。


スタンド概略
・スタンドは『超能力をヴィジュアル化したもの』
・スタンドには通常ヴィジョンがあり、人型、動物型、機械型と、その姿は様々です。
・能力を発動する際にヴィジョンが現れます。能力の発動以外に体当たりや殴打などの物理攻撃や本体の防御もこなします。

スタンドのルール
①スタンドは一人につき一能力
スタンドを進化させて能力を発展させることはできますが、一人が2体以上のスタンドを持つことはできません。

②スタンドを見ることが出来るのはスタンド使いだけ。
例外は物質に同化するタイプのスタンドやレクイエム化したスタンド。

③スタンドに触れるのはスタンドだけ

④スタンドは本体の意思によって動く
自我を持つスタンドは本体の意向を無視する場合もある。

⑤スタンドが傷付けば本体も傷付く
例外は本体と意思を切り離された自動操縦型や物質に同化するタイプのスタンドである。
また、群集体型のスタンドは数体倒してもダメージのフィードバックはほとんどない。

⑥スタンドが行動できる距離には限界がある
これを射程距離という。本来、破壊力と射程距離は反比例の関係にあるが例外は自動操縦型のスタンドである。
-破壊力がAならば、射程距離はE(よくてD)
-射程距離がAならば、破壊力はC以下が一般的です

⑦スタンドは成長する
精神的成長や外的要因によってスタンド形状の変化や新能力が発現する場合がある。
(と言ってもポンポン安っぽく進化しては興ざめしてしまうもの。進化や成長はここぞ!という場面で。希少価値を持たせましょう)



★とりあえず①『一人につき一能力』と⑥『破壊力と射程距離は反比例する』
これさえ押さえておけば概ね大丈夫!
人型などのヴィジョンを持つ特殊能力を作れば、あら不思議スタンドの出来上がりですw

47スレ立てテンプレ:2010/12/13(月) 21:28:54
【あらすじ】
N県北条町。
特に目立った産業もなく、海に面した物静かな中都市だが一般には余り知られていない特徴がある。
一つはスタンド使い…と呼ばれる異能力者の出現率が異様に高い事。
もう一つは十年周期で未解決の失踪、行方不明事件が多発することであった。
――この失踪事件を起こしていた者こそ、九頭龍一。
九頭は古来より封じられてきた邪悪なスタンド使いの集合体…『魔』なるものを封じるエネルギー確保のために
十年ごとにスタンド使いを狩り集めていたのだった。

――九頭の死から数ヵ月後…
辛くも九頭に勝利した北条市の面々は謎のスタンド使いから攻撃を受ける。
捕らえた敵スタンド使いへの尋問により以下の情報を得た佐藤たち。

・北条市には【悪魔の手のひら】なる異能の源が発現する条件が整っており
 その完成を目論む謎の集団が【悪魔の手のひら】完成の為の生贄としてスタンド使いを襲っている。
・首謀者はNEWDIVIDEと名乗る謎の骨男。
 スタンドなのか生物なのかすら分からないこの男は、前回の『ゲーム』で九頭と共に暗躍していた
 ボブ・バンソンの成れの果て。ゲームで命を落としたボブの肋骨から生まれた新生物らしい。
・ボブ…もといNEWDIVIDEはスタンドと記憶をディスク化する能力を持っており
 以前ディスク化したシンシン刑務所の超長期服役囚…通称『ワースト』と呼ばれる22人のスタンド使いに
 肉体を与え、生贄収集要員として街に放った。


守りたいものやら好奇心やら克己心やら…それぞれの思いに縛られた北条市のスタンド使い一同は
否応無く【悪魔の手のひら】争奪戦に巻き込まれていくのだった。


※【悪魔の手のひら】の正体はまだ確定していません。言ったもん勝ち、伏線を重ねた者勝ちになるかと…
まあそんなもんの正体より気軽にスタンドバトルの楽しめるスレでありたいッ!

48スレ立てテンプレ:2010/12/13(月) 21:30:00
【参加希望者の方へ】
★一般スタンド使い希望の方


新手のスタンド使い用テンプレ

【本体】
名前:
性別:
年齢:
身長/体重:
容姿の特徴:
人物概要:


【スタンド】
名前:
タイプ/特徴:
能力詳細:


破壊力- スピード-   射程距離-
持続力- 精密動作性- 成長性-


A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ
射程距離の目安
A:100m以上 B:数10m(50m) C:10数m(20m) D:数m(5m) E:2m以下


ワーストは北条市のスタンド使いを無作為に狙っています。
元々殺人狂の多いワースト達、欲望のままに殺人を犯すこともあるでしょう。
街をぶらつくだけで殺人事件に遭遇したりワーストに狙われたり、巻き込まれる理由には事欠きません。
取り合えず導入だけ書いていただければ誰かが敵をけし掛けてくれるでしょう。
自分で敵NPCを用意して戦う導入もOK!

49スレ立てテンプレ:2010/12/13(月) 21:33:06
★敵スタンド使い(ワースト)希望の方

囚人用テンプレ

【本体】
名前:
性別:
年齢:
身長/体重:
容姿の特徴:
人物概要:
懲役年数:
被害者推定:

―逮捕後の供述―


【スタンド】
名前:
タイプ/特徴:
能力詳細:
アルカナ/

破壊力- スピード-   射程距離-
持続力- 精密動作性- 成長性-

A-超スゴイ B-スゴイ C-人間と同じ D-ニガテ E-超ニガテ
射程距離の目安
A:100m以上 B:数10m(50m) C:10数m(20m) D:数m(5m) E:2m以下

50スレ立てテンプレ:2010/12/13(月) 21:34:27
★ワースト希望の方

◎未使用アルカナは↓参照
http://www44.atwiki.jp/jojo2nd/pages/36.html

ワースト達は肉体の提供にあたりNEWDIVIDEと契約を結んでいます。
・ワーストはタロットの大アルカナ(0愚者〜22世界)を象徴したスタンド使いである。
・【悪魔の手のひら】完成の暁にはその恩恵を共に受けられる(口約束程度?)
・ワースト達はNEWDIVIDEから再起不能にしたスタンド使いをディスク化する能力を貸与されている。
 (ワーストに倒されたスタンド使いが自動的にディスク化されるだけ。意図的に相手をディスク化をすることは無理)
・肉体の使用は期限付き。
 一定期間経過までに22枚のイケニエディスクを集められなければ肉体を奪われディスクに戻る。
(期間は今のところ作中で明言していませんが1〜2ヶ月にするかと)

契約とは別にワーストはNDに一部記憶を操作されています。
と言っても『北条市が大好きで何となく街の外に出る気にならない』程度の軽い縛りです。
(北条市に舞台を限定する為の苦肉の策、中の人事情です…)

・現在、首謀者のニューディバイド、協力者の影貫行方の入手したスタンドディスクは11枚
必要なディスクの半分を入手したことで不完全な『悪魔の手のひら』を呼び出せるようになっています。
そこらへんの経緯はこのレスで↓
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/9925/1282660345/162-163



★ワースト以外の敵役…黒幕、無所属スタンド使いなども大歓迎!



質問・相談等がありましたらお気軽に避難所までどうぞ。
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/20066/1281558067/

51吉野 ◆H7TeP6yEkU:2010/12/14(火) 17:06:41
佐藤の皮肉に、吉野は何一つ反駁しなかった。
彼女にとって幸せになる事は、人生を貫く命題だった。
だと言うのに自分は、それとは真逆の方向に突き進んでいたのだ。
彼女の精神力は荒廃し、衰退しきっている。
今の彼女を動かしているのは、後戻り出来ない程に誤ってしまったのなら、いっそ最後貫いてしまおうと。
要するに捨て鉢な感情だけだった。

>「…天野君、あの馬鹿から逃げ切れるかしら。これ以上鬼が増えたらたまったもんじゃないわ。
 ホールに行きましょう。遠回りになるけど、ホールなら1Fからでも入れる。
 あの馬鹿に悟られずに近づくチャンスよ。」

佐藤の提案に異論はない。
吉野は無言のままに頷いて、移動を開始する。

>「わかったわ。じゃあヒトエモン。透明シート出して。あと鬼に3メートルまで近づくと音楽がなるんだよね?
 それはステポニがノイズキャンセラでどうにかする。それといい作戦とかあったら教えて」

「……透明シート、あるんですか?あの子行っちゃいましたけど」

言葉を交わす暇もなく、生天目はホールに飛び込んだ。
彼女の背中を細めた双眸で見送りながら、吉野は呟く。

「まあ、無かったら無かったで悪くないと思いますけどね。三人纏まって動く必要はありませんから。
 誰か一人があの男の背後を取れば良い訳で。貴女の触手なら姿を晒さずに捕縛が出来るでしょう」

一旦言葉を切り、吉野は開かれた扉の奥に広がるホールを一望した。
規則正しく並んだ椅子がずらりと広がっている。

「あの椅子の下、触手を通せばあの男にはさっぱり見えないんじゃないですか?
 万が一ネズミが出ても、ここなら逃げ道を塞がれる事は無いでしょう。
 散り散りになった時の集合場所は、決めておいても損はないと思いますけどね」

ともあれ、彼女は「と言う訳で」と言葉を繋いだ。
ポケットからナイフを取り出し、右腕をだらりと下ろして、彼女は言う。

「行ってきますわ。出来れば私やあの子がやられる前に、事を済ませて下さいな」

錆びたような笑みを零して、吉野はホールへと向かう。
自分と生天目が注意を引き、その隙に隠密行動が可能な佐藤が御前等の尻尾を切る。
作戦としては筋が通っている。
だがその裏には、いっそここで死んでしまえれば、
自分の体に満ちて精神を蝕む失意から逃れられる。
楽になれると言う、無自覚の願望が潜んでいた。

そして吉野はホール一階の中心に姿を晒した。
ナイフを微かに揺らして、その存在を強調する。
スタンドの拳に殴られるよりも確実な死をもたらすそれを見せる事で、警戒心を煽るのだ。
無論、今の吉野に二階にいる御前等にナイフを届かせる術はない。
それでもブラフ程度にはなるだろう。
それにもしも一方的な攻撃に撃ち抜かれたのなら、それはそれで吉野にとっては救済だ。

【吉野は佐藤さんの透明化能力を知りません。
 姿を晒して囮モード】

52佐藤ひとみ ◆tGLUbl280s:2010/12/18(土) 12:59:29
【1Fホワイエ、ホール入口】

>「行ってきますわ。出来れば私やあの子がやられる前に、事を済ませて下さいな」

鉄砲玉の有葵に続いて、花使いの少女もホールの扉をくぐった。
二人の背中を見送り、ひとみも僅かに開いた扉の隙間からホールの中に身体を滑り込ませる。
舞台だけがスポットライトに照らされている。客席は薄暗い。
ホールの中は不自然に蒸し暑かった。
にわか雨が降った直後の真夏の路上のような不快な湿気が肌に纏わりつく。

差し当たっての仕事は、ホールに飛び込んでいった有葵に事情を伝えて誤解を解くことだ。
インビジブルはスタンドと共に本体を透明化する能力。
ひとみ以外の人間に光学迷彩を施すには、フルムーンの作る触手製皮膜の内側に居なければならない。
皮膜をフルムーンから切り離してしまうと透明化の機能は失われる。
フルムーンと行動を共にしなければ透明化の恩恵は受けられないのだ。


薄闇に満たされた客席、壁際は一層暗く、そこに誰かが居ても目を凝らさねば視認できないほどだ。
壁際の闇に潜み、ひとみはスタンドシートを出し、有葵の位置を捕捉する。
有葵は舞台に近い座席の影に隠れていた。人並みに警戒心はあるらしい。
ひとみは触手を床に這わせ、有葵の足首に巻きつけた。
ディープダイブ(精神干渉)を開始し、有葵の精神に呼びかける。

『言っておくけど"透明シート"なんて都合のいいもの無いわよ!
 透明化するにはフルムーンと繋がってなきゃならないの!
 ステレオポニーを透明化してあの馬鹿を奇襲する気かもしれないけど、
 私のフルムーンでは、ステポニのスピードについていけないわ。その作戦は却下!
 あんたのスタンドなら透明にならなくてもスピードで翻弄できるでしょ?!
 私がアイツの体を拘束する!それまであの女と一緒に時間を稼いで!』


精神干渉の続く10秒を限界まで使い、早口で用件だけを捲くし立て、有葵の足首に巻いた触手を解く。
その後、二階席の手摺に巻き付けていた触手に掴まり、ワイヤーを巻き取る要領で触手を縮め二階席の通路に上がった。
ひとみの位置から離れてはいるが、通路には先客がいる。
人を襲う鬼と化した御前等だ。

幸い御前等は、一階座席中央に現れた少女―――吉野きららに気を取られている。
二階席の手摺に立ち一階を見下ろす御前等。見上げる少女。視線を交わす両者。

ひとみは姿勢を低くし闇に紛れて通路を移動する。
二階に上がるに当たり選んだのは、御前等の後ろを通らずとも目的の場所に至れる位置。
このまま少女と有葵が陽動を続けていてくれれば、御前等に気づかれることは無いだろう。


向かう先は通路の奥に位置する楽屋……そこに天野が身を隠している。

53佐藤ひとみ ◆tGLUbl280s:2010/12/18(土) 13:06:35
【現在地:楽屋3】

二階席を抜け楽屋廊下に至ると、ひとみは再びスタンドシートを出して目標物の位置を捕捉した。
廊下の突き当たり、一番奥の部屋に天野がいる。
フルムーンの触手で鍵をこじ開け、ドアを開く。ひとみは一見誰もいない楽屋に向かって語りかけた。

「天野君…いるんでしょ?さっさと出て来なさいよ。言っておくけど私は鬼じゃないわよ。」

隠れ場所からおずおずと顔を出す天野。ひとみは両の掌を広げ天野に向けた。
肌色のままの掌は『鬼』でないことの証明。

「この蒸し暑さ……あんたの能力ね?」

能力を推理して天野に問う。

スタンドシートはホール全体のサーモグラフィーに切り替えている。
ホールの空調が故障しているわけではない。エアコンの吹き出し口からは冷気が出ている。
しかし、その効果も及ばぬ速度で上昇する気温と湿度。何らかの"能力"を使ったと考える方が自然だ。

「鬼になったあの馬鹿はまだホールにいるわ。さっさとアイツの処理をしてゲームを進めましょう。
 …その雲みたいなスタンド…それで気温や湿度を操れるのね?
 君にも力を貸してもらうわよ。」

天野の後ろに現れた白い雲のようなスタンドを指差し、協力を迫る。

「ところで、天野君。その雲のスタンドでミニチュアの積乱雲を作れる?」
ひとみは尋ねる。

天野の能力が気温と湿度の操作と仮定して……
気温を局地的に変化させられるならば、空気の温度差による対流で気流を起こすことも可能な筈だ。
雲は上昇気流に乗った湿度の高い空気が、上空の冷たい空気に触れて、水蒸気が凝結または固化することで形成される。
蒸し暑いホールの天井付近だけを冷気で満たしておけば、
気流と湿度の操作で小型の雲を作ることが出来るのでは…と踏んでの問いかけだ。


「これから、ホールの座席下にスタンドの触手を張り巡らせて罠を張るわ。
 この罠はあの男が、ホール1階の床に足を付けなれば発動できない。
 あの馬鹿…人間離れした動きでホール中を飛び回って、ウザったいったら!

 それに、私のスタンドのパワーはあの男よりずっと下。
 例え上手く捕えたとしても、普通の状態では直ぐに触手を引き千切られてしまう。
 相応のダメージを与えなければ確実に捕獲出来ない。

 そこで…君の力を借りたいのよ。
 積乱雲は成長を終えると、強烈な下降気流を発生させる。
 いわゆる『ダウンバースト(下降噴流)』…!上から下に叩きつける突風よ。
 アイツが飛び上がった拍子にダウンバーストを起こして床に叩きつけて欲しいのよ。
 その機を狙って、私が罠を作動させてアイツを捕獲するわ。
 雲の成長に多少時間が必要なら、時間稼ぎ要員(吉野&有葵)に頑張ってもらうわ。
 どうこの作戦…?君のスタンドで雲が作れなければ別の方法を考えるしかないわね。」


【吉野さん、有葵ちゃんに御前等陽動作戦を丸投げ】
【天野さん結構限定的に動かしちゃってごめんなさい。
 位置は、一番奥の楽屋(楽屋3)としてしまいましたがいいでしょうか?】
【楽屋3で天野っちと合流。ダウンバースト作戦を話す(作戦の意味が分かりづらかったら避難所で質問ください)】

54生天目:2010/12/18(土) 17:03:19
>『言っておくけど"透明シート"なんて都合のいいもの無いわよ!
 透明化するにはフルムーンと繋がってなきゃならないの!
 ステレオポニーを透明化してあの馬鹿を奇襲する気かもしれないけど、
 私のフルムーンでは、ステポニのスピードについていけないわ。その作戦は却下!
 あんたのスタンドなら透明にならなくてもスピードで翻弄できるでしょ?!
 私がアイツの体を拘束する!それまであの女と一緒に時間を稼いで!』

「……」足首から伝わってくる情報に、生天目の顔は薄闇の中で真っ赤になっていた。
無知である自分への恥かしさとホール内の蒸し暑さが頭のなかでバタフライをしていた。
だが今は、兎にも角にも陽動作戦を成功させなくてはならない。
唾を一つ飲み込んだあと意を決して、座席の影から頭を出してみるとホール中央には吉野きらら。

一見無謀にも見える吉野の行動だったが理にかなっている。少女の存在は御前等に何かしらの疑問を与え、
作戦上、最悪の展開とも言えるが吉野を鬼に変えるための3秒は御前等の隙を生む。

「でも…感情を殺さなくっちゃあんなことできない…すごい女…」
少し生天目の体は震えた。すでに吉野の視線の先には御前等。

「私って今まで自分のことしか考えていなかったけどがんばろ…」
ステレオポニーはスポットライトまで飛んで行くと御前等の顔面を照らす。
「まぶしいでしょ?」
生天目は知っている。御前等のスタンド能力の片鱗を。廃校でみたジャングルジムを。

(今つっこむのって危ないわよね。ひとみんもまだ動いてないみたいだし…。
陽動っていうか時間稼ぎって言うか、ホールの女がぐっちゃりやられそうになったら…
そのときはいかせてもらうけど…)

【御前等さんの顔にスポットライトを浴びせました】

55吉野 ◆H7TeP6yEkU:2010/12/21(火) 05:30:39
何故だか、ホールは蒸し暑かった。
熱気と多湿が肌にじんわりと汗を滲ませる。
上昇し続ける室温はやがて、五感や思考にさえも靄を掛けるだろう。
そうなれば不利になるのは吉野の方だ。思考がなくても力は振るえる。
だが彼女には振るうべき力が無いのだから。
しかしながら一方で、吉野の目的は時間を稼ぐ事でもある。
矛盾だ。だがこの矛盾は容易に解消出来る。
吉野がどちらか一方を諦めてしまえば、それでいいのだ。
そして彼女は既に、諦めている。
無意識の内にではあるが、彼女は自ら進んで死に歩み寄っているのだ。
幸せになれない、やり直しのきかない、失意に苛まされるばかりの生など終わってしまえばいいのにと。

>「久し振りだな吉野さん。何故君がここに"居る"かは興味ないが――何故ここに"来た"かは目下知りたいところだ。答えてもらおう」

見下し、スタンドの両腕を突き付けて、高圧的に御前等が問うた。
対して吉野は、嘲りの笑みを浮かべる。矛先の定まらない、自嘲にも見える笑みを。

「……さあ、何故でしょうね。ほんの少し前なら、幸せになる為と答えていたのですけれど」

要領を得ない答えだ。時間稼ぎの目的に適った回答。
けれども吉野は本当に、自分が何故ここにいるのか明確な答えを出せないでいた。
ここにいる限り、スタンド使いである限り、生きている限り、幸せにはなれないと言うのに。

彼女は今、目先の目的と上辺だけの意識で動いている。
極論、この市民会館から生きて出られたとしても、彼女は幸せになれはしない。
それでも心の表層でなんとなく、死ぬのは不幸な事だと思っているから、
彼女は薄弱な意志で御前等と対峙しているのだ。

>「まぶしいでしょ?」

不意に、御前等の顔に眩い光が浴びせられた。
生天目が操作したスポットライトだ。
直後、吉野はナイフにスタンドの蕾を付加する。
そして振り被り、御前等目掛け投擲した。
蕾自体には何の効果もないが、それでもスタンドに対する影響力は与えられる。
これは牽制であり、攻撃だ。
御前等が油断し生半可な防御をすれば、ナイフは彼のスタンドを傷付けるだろう。
そうでなくとも、吉野に彼を殺傷する術があると知らしめる事が出来る。

【スポットライトに合わせてナイフを一本投擲。
 蕾付きナイフは、ピストルズの乗った弾丸がスタンドに効くってのと同じ感じで】

56佐藤ひとみ ◆tGLUbl280s:2010/12/25(土) 18:45:07
【現在地 楽屋3 佐藤・天野】
>「なるほど。ダウンバーストですね。了解しました。
>…ところで佐藤さん。この暑さで貴方の集中力が切れて反応が遅れたら元も子もありませんから…」

周囲の空気から熱気が引いていくのを感じる。
スタンドシートのサーモグラフィーを見ると、ひとみの周囲は摂氏30度以下を示す緑色に変化していた。
ホール全体は未だ50度以上の高温域を示す明るい黄色が覆っているというのに……
天野の周りも、ひとみ同様の色を示している。

「なるほど…冷気のスーツってわけね。あと二人、これやってもらわなきゃならない人間がいるわ。
 天野君、ホールに行きましょう。」

天野を促しホールへ向かう。楽屋廊下とホール二階を繋ぐ出入り口の前で、ひとみは足を止めた。
多少死角はあるが、出入り口の開口部から一階座席が俯瞰できる。
ホール内では以前、御前等と吉野きららが交戦中。
スタンドシートに吉野と有葵の現在地を表示し、天野に向かって語りかける。

「冷気で覆って欲しいのはこの二人。
 それと…天野君、携帯出して。私の番号送るからずっと通話中にしておくのよ。
 私はこれから一階に降りて罠を張る。君はここで雲を成長させていて。
 ここならアイツ(御前等)の動きが見えるでしょう?
 タイミングが合えばダウンバーストを起こしてアイツを床に叩きつけて!場合によっては私が合図を送るわ。」

天野への指示を残し、透明化した状態で浮遊するフルムーンの触手に掴まり、一階に身体を降ろした。
透明化したまま触手を急速に成長させることはできない。座席の影に身を隠すと、ひとみは迷彩を解き、
フルムーンから伸びる無数の触手を床に這わせ、ズラリと並ぶ座席下を通していく。
やがてホール全体の座席下に網の目のように張り巡らされた触手。
御前等を捕獲するための"罠"は完成した。あとは機を図るだけだ。


分離させたシートに浮かび上がるのは、ホールの縦断面の温度分布図。
4階まで吹き抜けになっているホールの天井は高い。
1、2階にいる者には体感できないが、天井付近の温度が急速に低下していく。温度は上空数十キロ圏内と同じ氷点下20度。
上下の気温差と天野の操作する気流に乗って湿度の高い空気が天井に向けて立ち昇る。

シートを室内の水分分布図に切り替える。
立ち昇った空気は天井付近の冷気に冷やされ、水蒸気が結露または直接氷に固化し雲が生まれる。
薄暗いホールの天井付近に生まれた雲。
視認は困難だが、スタンドシートには直径3mほどの積乱雲が水分子の塊として映し出されている。

積乱雲は上昇気流によって形成される。が、成長中、雲によって蓋をされた上昇気流は行き場を失い、
積乱雲の下は一時的に気圧が高くなり『メソ・ハイ』という局地的な高気圧が生まれる。
自然界では、雲の中で成長した雨や雹が落ちることで上昇気流が解消される。
ここでは天野が能力を以って上昇気流を停止させれば良い。
上昇気流の下支えを失ったメソハイが一気に崩れ突風(ダウンバースト)が発生するはず…!


「天野君、雲の成長は充分よ…!アイツの動向に注意して!」

携帯を片手に小声で天野に訴え、ひとみはただ、罠発動の機を待つ。

【ダウンバースト作戦準備完了】
【現在地 天野2F通路入口、佐藤1Fどっかの座席の影】

57ザ・ファンタジア ◆tGLUbl280s:2010/12/26(日) 02:37:19
【よね、ザ・ファンタジア 現在地:3Fスポーツジム ロッカー】

御前等との戦闘後、3階に逃れたよねを襲う白い霧のネズミ―――ザ・ファンタジア
出入り口の扉は、全て霧の鍵で塞いでいる。
余裕綽々のネズミは白い顔に邪な笑みを浮かべ、真っ黒な掌を突き出してよねに迫る。

>「待てよ、待て。私と交渉しないか、聞こえてるでしょう。そのスタンドの本体。…エイドリアン、だったかな?
>今、私は私がここに入ってきたときの米コウタではない。
>私は米コウタの深層心理の顕在。二重人格、とでも捉えてくれれば分かり良いでしょう。

突然の告白。ネズミは眼を丸くして立ち止まった。
ネズミはフンフン頷きながら、よねの話を大人しく聞いている――――が、表情に出さぬも内心はかなり呆れていた。

『私は以前の私とは別人格ですから、あなたの敵ではありません。協力しましょう』
こんな説得を受け入れて、攻撃を思い留まる御目出度い敵がどこの世界にいるだろうか?
このインテリ風メガネの青年が、その愚かさを認識していないはずはあるまいに…。
苦し紛れの命乞いとしか思えないタワゴトを口走るほど、精神的に追い詰められているのか?


(メガネ君にはガッカリだな〜♪もうちょっと気の利いた抵抗をして楽しませてくれると思ったんだがなあ〜♪)

そもそもザ・ファンタジアは、ゲームの参加者を"捕えて鬼化する"ことにそれ程執着してはいなかった。
霧のスタンドは『場』において無敵。さらに2時間経てば『場』は消失する。
タイムアップを待てば、何もしなくとも、自動的に参加者全員の命とディスクを奪うことが出来るのだ。
開放条件である『本体の発見』とて、現在のゲーム参加者に叶えられる筈がない…と絶対の自信を持っていた。
『場』に取り込んだ時点で、命はこちらが握っているようなものだ。
変則鬼ごっこは時間つぶしの為の慰み……
自らの手に命運を握られた囚われ人が、逃げ惑い恐怖に怯える様を楽しみたいが為、ゲームを持ちかけたに過ぎない。
そう……抵抗など不可能な、力の劣る小児を捕えて嬲り殺しにしていた時のように……。


(アレに感づかれたかと焦ったけど、ビビッて損したなー♪メガネ君のおつむも所詮この程度だったってコトか♪
 なら折角だから利用させてもらおうっカナー♪)


ネズミは目を細め最上級の笑みを零してよねに語りかけた。ご丁寧に揉み手までしながら。

『わかったよ!メガネ君♪。君の中にいた、もう一人の君が目覚めたってことなんだね!裏人格♪!!
 そういうことって往々にして在り得るよねぇ♪まったく在り得る話だよ!
 君が味方の振りをして奴らをおびき寄せる作戦も、超グッドだよ♪グー♪
 まさか中身が『裏人格』に入れ替わっていようとは奴らも予想しやしないだろうからね♪
 君が『鬼でない証拠』を見せて近寄れば一網打尽だネ♪ヒーホ〜〜♪やろうやろう♪その作戦!』


ザ・ファンタジアはハナから『よねが別人格と入れ替わった』という話を信じていない。
ただ助かりたい一心でヨタ話を捻り出したのだ…と思っている。
だがこの青年が、そんなヨタ話を持ち出すほどに自らの安全に執着しているのなら……
他人を犠牲にしても自分だけは助かりたい…という下衆な精神の持ち主なら……それはそれで利用価値がある。

『僕の性質柄、握手はできないけどヨロシクね♪メガネ君♪』

白いネズミは胸の前に構えていた手を引っ込めて、にっこり微笑んだ。


【よね君の提案(共同戦線の申し入れ)を一応受け入れる】
【ザ・ファンタジアはよね君を利用しようとしているだけで、身の安全を確保するつもりはさらさら無いようです】

58吉野きらら◇HQs.P3ZAvn.F:2010/12/27(月) 22:30:43
>「……下らん。実に反吐の出る話だ。かくも人とはこの短期間でこうも劣化できるものなのか?
 短期間でこうも、己の進むべき道を――誤るのではなく、違えるのでもなく。見失うものなのか。その覇気のない顔をやめろ」

ナイフを投げ終えた後で、吉野きららは小さく独りごちる。

「……見失っただけなら、どれだけ良い事でしょうね。私にはまだ、しっかりと見えていますわ。
 幸せになる為の道が。だけどもう、その道に戻る事は出来ません。見えているのに、戻れないのです
 それはただ見失うよりもずっと……ずっと辛い事だと思いませんか?」

九頭龍一のゲームに巻き込まれなければ、北条市に来なければ、幸福になる為だと人殺しをしなければ、
スタンド能力に目覚めなければ、日常に転がっている些細な分岐路を誤らなければ、吉野きららは幸せになれた筈だった。
だが過去に積み重ねられた間違った選択を、運命がどう転んだのかを正す事など出来る訳がない。
彼女はもう幸せになる事は出来ない。
スタンド使いは惹かれ合う。例えこの場を凌いだとしても、新たなスタンド使いがやってくるのだ。
切り刻まれ、殴られて、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされるような不幸が必ずやってくる。
絶対に不幸が訪れると分かり切った未来に歩んでいく事は、それさえもが既に不幸な事だ。

>「思い出をくれてやろう――冥土の土産というやつだ!」

それでも、降り注ぐ鈍色の死を慈雨と受け入れられる程、吉野は達観していない。
痛みも死も、嫌に決まっている。故に彼女は身を投げるように横に跳んだ。
だが避け切れない。雨霰と発射された歯車の一つが彼女の顔面へ迫る。
スタンドを使えない彼女に、それを防ぐ手立てはない。

「ぐっ……!」

歯車は吉野に直撃した。くぐもった鈍い音が皮膚の内側から響く。
アンバーワールドの歯車は、彼女の骨を容易く砕いた。彼女の、腕の骨を。
彼女には歯車を防ぐ手立てはなかったが、それでも最悪を回避する事は出来た。
頭部への直撃の代わりに、左腕を犠牲にする事で。

「そしてこのまま倒れ込めば……ひとまずは一段落ってところでしょうか」

腕の真芯で疼く熱を帯びた痛みに顔を顰めながらも、吉野は呟く。
ホールの一階には座席がずらりと並んでいる。
倒れ込んでしまえば、それこそ真上から覗き込まない限り御前等は吉野を視認出来ない。
或いは階下を塗り潰すように歯車を撃ち込まれれば、
最早吉野には虫ケラのように這いずり回るしかなくなってしまうが。

「何だか涼しくはなってきましたが……まさかこれだけさせておいて、それだけって事はないでしょう?」

ともあれこれで御前等は何らかの動きを見せる事だろう。

【頭部コースの歯車を左腕で防御。並んでいる座席の下に倒れ込んで身を隠す】

59佐藤ひとみ ◆tGLUbl280s:2011/01/01(土) 18:57:47
2階から降りた佐藤ひとみは、壁際に近い座席の影に身を潜めていた。
しゃがんだ体勢のひとみの側には、浮遊するフルムーンが床上10cmほどの低い位置に控えている。
眼球を内包するケースから伸びる触手は床を這い伝い、植物の根のように枝分かれしながら伸びていく。
1分かからぬ内に、床全面に網の目状に成長した触手が張り巡らされた。
薄暗い座席、視力の良い者であっても、よくよく眼を凝らさねば触手の成長を捉えられぬはずだ。
再びスタンドと本体の体表を迷彩で覆い、罠発動の機を窺う。

>「思い出をくれてやろう――冥土の土産というやつだ!」

御前等の一声と共に回転する歯車の乱舞―――吉野きららに降り注ぐ歯車の雨!
金属質の落下音がホール中に響き渡る。あの数の歯車に身体を撃ち抜かれたら、無事で済むはずがない。
ひとみは少女の絶命を覚悟したが―――否、歯車は目的を達していない。
シートには少女の生命反応がある。
いくつもの座席を透視し、視界に捉えた少女は出血する腕を庇い座席の下に身を伏せていた。

>「たった一度、進まんとしていた道を違えた程度で下を向くなよ求道者。人生にやり直しが効かないなどと勘違いしてるんじゃあないだろうな。
>どこにも道がないのなら、そこに道を拓けば良い。届かない道ならば、"その道へ至る道"を拓け。可能なはずだ、俺達には!
>悟りきったような顔して、悟りきったようなことをほざく君に、俺から一つだけ常識を贈ろう」
>「――諦めたらそこで試合終了だ!」

少女に止めの一撃を見舞わんとするか、
二階席から飛び降りる御前等。自らのスタンドの背に足をつき、その背筋をバネに虚空に跳ねる―――!

通話中の携帯電話から天野の声が漏れる。
>「作戦実行します。フリーシーズン!」


―――御前等に向けて、吹きつける突風!
上空から下方に吹き降ろす強烈な下降気流―――ダウンバーストだ。
天野の気流操作によって正確無比なコントロールを得た噴流は、ピンポイントで目標を撃ち落とす。
ゆっくりと弧を描き宙を舞っていた御前等の身体は、慣性を失い座席を繋ぐ通路の床に叩きつけられた。

吹き降ろした風が床にぶつかり余波が四方に広がる。立ち上がったひとみは風に大きく髪を煽られた。

クモが巣にかかった獲物の場所を知るように、触手の網は御前等の落下点を感知していた。
触手は御前等を中心に急速に収束し、その手足に絡み付く。
一瞬の後には、両手両足と胴体を固定された簀巻き状態の男が床に転がされていた。
最後の仕上げとばかりに、口元まで触手で覆い発声の自由さえ奪う。

風に煽られ顕になった右目を掌で庇い、乱れた髪を直しながら、ひとみは男に歩み寄る。

「ああ!せいせいしたわ!コイツには二度と喋らせたくないッ!
 酒飲みながら絡んでくる酔っ払いの説教も最悪だけど、攻撃しながら説教ってどういう了見なのッ?!
 な〜にが『"その道へ至る道"を拓け』よ?!
 どうせ近所のコンビニに行く程度の安っすい道しか持ってないくせに!
 もう、ウザすぎて吐きそうだわ!
 誰の為にこんな手間負ってると思ってんのよ!このクズ男ッ!
 
 このまま転がしておきたいけど、そうも行かないのがツライところね。
 有葵!動けるんでしょ?あんたのスタンドで、この男の尻尾をスッパリ切り落として!」


物陰から姿を現した有葵は左手から血を流していた。よく見ると簀巻き男も掌を傷つけている。
歯車を被弾した少女の左腕の負傷も決して軽くは無いだろう。
これから施す治療の手間を考えて、ひとみは大きな溜め息を漏らした。

【御前等さん決定ロール的に動かしちゃってすいません】
【御前等さん捕獲成功。有葵ちゃんに尻尾切り落としを依頼】

60吉野 ◆H7TeP6yEkU:2011/02/16(水) 03:54:07
>「ムカデや南京虫もイチコロな強力バ○サンよ。さっさと出てこないと窒息しちゃうわよ〜!」

(こちらには気付いていない……。この分なら問題なく尻尾は切れそうですね……)

二階に上がり、果物ナイフを片手に、吉野は座席の谷間を進んでいた。
佐藤は相変わらず半狂乱の状態で、吉野の接近には全く気付いていない。

>「わかったか、このドアホッ!?よくも私の身体に傷を付けてくれたなァァッ!許さん!
  Sum41、Re・Birthッ!このメガネは強い磁力を帯びるッ!」

が、不意に吉野が握るナイフが、彼女の意図に反して揺れた。
よねの作り出した、超磁力を帯びたメガネに引き寄せられているのだ。
吉野は強く握り締めてナイフを保持し続けようとするが、叶わない。磁力が強すぎる。

(自信家で激情家……最も厄介な人種ですわね。それが自分を優秀だと思い込んでいるのなら、尚更に)

同時に、かつて自分もそうであったと思い出して、吉野は状況にそぐわない自嘲の笑みを零す。
だが、その表情は長く続かない。磁力に負けて、彼女の手からナイフが滑り抜けた。
横合いからのナイフが佐藤に刺さる事は無いが、間違いなく接近を悟られる。
故に――吉野は即座に立ち上がり、駆け出した。
予備のナイフはもう無い。無手のまま、それを隠さず、さらけ出して床を蹴る。

「貴女は、私を嘲笑うでしょうね。武器もスタンドも持たず何をするつもりだと。ですが……」

言葉と同時に彼女は身を屈めた。
疾駆の勢いは殺さぬまま、床を滑り、佐藤の背後に回る。
両手を伸ばした。左手は佐藤に生えた尻尾へ。
そして右手は――もう一本、メガネに引き寄せられたナイフへ。
先ほど御前等へと投擲した、ナイフへと。

「ナイフは二本あった。平時の貴女なら、気付いたでしょうに」

小さな蕾の兆したナイフが、白線となって一閃する。
しかし佐藤の尻尾は、完全には切断出来なかった。
磁力に引き寄せられたナイフを、吉野が御しきれなかったのだ。

「……失敗、ですか。これでもう、打つ手なしですわ」

苦々しく吐き捨てた吉野が、ナイフを手放した。
磁力に誘われたナイフは床へと直下せず、メガネに吸い寄せられる。

「ところで、最後の一つ教えてもらえませんか?今のその状態、頭の中はどうなってますの?
 自分の現状はサッパリ忘れている?その方が、これからなる身としては幸せですけど」

吉野が尋ねた。
最後のと銘打った問いは、けれども自暴自棄から来る物では、ない。
佐藤の尻尾を掴んだ時、吉野は手の平に異様な冷たさを覚えた。
間違いなく、スタンド能力によるものだ。
誰かが何かをしようとしていると理解して、故に吉野は時間稼ぎを図った。

61吉野 ◆H7TeP6yEkU:2011/02/28(月) 02:42:26
>「忘れた方が幸せなこともある…ってこと?残念ながら、そう都合よく何でも忘れられる訳じゃないわ…
  いけ好かない泥棒猫の顔なんかは、特に……!」
>「あんたは鬼になんかしない……!あんただけは、生かしておけない……!」

フルムーンの触手が吉野の首を締める。
スタンドを持たない吉野に抵抗の術はない。
冷気のスタンド使いの一手は、未だに訪れない。
このままでは死ぬ。目的を見失った生だが、弄ばれるように死ぬのは御免だった。
ならば佐藤になら、どうだろうか。佐藤には吉野を殺すに足るだけの熱量がある。
理由はどうあれ、彼女は本気で自分を憎んでいると、吉野は佐藤の眼光から悟った。

「けれど……今の貴女に殺されるのは癪……ですわ」

吉野が詰まる息を振り絞る。
頭上から降り注ぐ超音波に揺れる脳裏で、『ザ・ファンタジア』の笑い声が反響した。
ここで死んでしまったら、『ザ・ファンタジア』はそれを大いに嘲笑うだろう。
顔も知らぬ相手に、死んだ後で一方的に侮辱される。それは耐え難い恥辱だった。

ふと、超音波が途絶えた。頭上を仰ぎ見る。
蚊の群体となっていた『ザ・ファンタジア』は、一匹残らず消え失せていた。

>「ライブラリに着きました。どぉ〜?ねずみは消えた?
 なぁんて聞くまでもない?だって誰かがいるみたいなんだもん」

磁力のせいか酷く雑音の混じった声が携帯から聞こえた。
もしかしたら、脱出まではあと一歩なのかもしれない。

「……やっぱり、まだ死ねませんわね」

呟いて、吉野が佐藤の足を――釘によって負った傷を蹴り抜いた。
頭上を見上げた時、吉野は『ザ・ファンタジア』の代わりに、氷の刃を見ていた。
気を逸らして、隙を作る事が出来れば、氷の刃が今度こそ佐藤の尻尾を切り落とすと踏んだのだ。

62吉野 ◆H7TeP6yEkU:2011/03/04(金) 11:17:43
佐藤ひとみの尻尾は切れた。
吉野の首を絞めていた触手が緩んで、吉野は床に打ち捨てられる。
何度も咳き込み、体を大きく上下させて、吉野が息を整えた。
触手の痕が残る首を、一度撫でる。

>「何故あんたなの……?何故あんたが選ばれて……私が…私は……一体何だったの…?
 力を得たからってそれが何なのよ?結局その力さえ失って!あんたみたいな女……死ねばいいのよ…!!」

佐藤の言葉を思い出して、吉野は彼女を一瞥した。

「……殺したければ、どうぞ殺してみて下さいな。どうせもう、私の人生に、幸せに至る為の道は残っていないのですから。
 ただし……この下らないゲームを仕組んだ者の手のひらから、降りた後で。死んで尚、嘲笑されるなんて、御免ですから」

そう告げて、今度は床に落とした携帯を拾い上げた。

>「……ぇ。…そんな、誰もいないなんて。そんなバカなことって…」

「……落ち着いて下さい。いいですか、貴女がライブラリに着いた時、確かにこちらのネズミは消えました。
 そこには間違いなく何かがある。……相手がミスリードを狙っているのでなければ、ですが」

もしもそうであった場合、つまりライブラリとネズミの消失が本来無関係で、
あたかも関連性があると思わせ、時間を浪費させる為に事が仕組まれていたのなら、
今度こそ手がかりはなくなってしまう。
だが確実に仕留められる状況でわざわざそうする必要があったとは思えない。
まず大丈夫だろうと、吉野は踏んでいた。

「何かと言うのは、つまり目的と必要性です。参加者を鬼にして、
 または殺害すると言う目的よりも優先して、スタンドを消失させなくてはならない理由がある筈です。
 例えば……ルールに嘘がないのなら動く事の出来ない本体を隠す為、とか」

そうでなくても、ルールに『特定の行動によるネズミの消失』が記されていない以上、
そこには何らかの意図がある筈だ。

「ライブラリを隈なく探しましょう。それ以外に当てがあるのなら、別ですが」

63吉野:2011/03/24(木) 06:11:57
生天目の携帯からザ・ファンタジアの声が届いた。
続けざまに、生天目のけたたましい笑い声が響く。
それは彼女の鬼化をこれ以上なく明確に示唆していた。

「……往生際の悪いネズミですね。これで、奴は自らライブラリに何かがあると
明かしたようなものです。
 あの子も、鬼になる直前、何か手応えを感じていたようですし」

高笑いを最後に一切音を届ける機能を放棄した携帯を睨んだまま、吉野が言う。

「本体がライブラリにいて、何らかの方法で姿を隠しているのだとしたら……佐
藤ひとみ。
 貴女のスタンドならば、それを探り出せる筈です」

もちろん、『フルムーン』のスタンド探知能力は使えない。
そんな事は吉野も分かっている。

「貴女のスタンドの触手、結構な射程を持っていますよね。
 それで文字通り、手探りでライブラリを探索すればいい。
 どんな手段で身を隠してるにせよ、スタンドなら通常の物体は透過出来る。
 にも関わらずその触手に触れる物があったのなら……それは奴の終わりを掴ん
だと言って間違いない」

立て板に水を流すように澱みなく、吉野は説明する。

「今更、鬼が一人増えた所で焼け石に水、貴女がライブラリに着けば決着です。
 今、一番厄介なのは……あのネズミがそれを見越して、
 ライブラリ到着前にもう一度仕掛けてくる事ですね」

破壊も捕縛も出来ない相手が本気で妨害を仕掛けてきたとしたら。
対処は困難を窮めるに違いないのだ。

「……急ぎましょう。もうあまり、時間はありません」

携帯の画面に表示された時間を見て、吉野が歩き出した。

「あと、そこの三人。いざと言う時はもう一度、あのネズミと戦ってもらいます
から。
 佐藤ひとみがライブラリに辿り着けるようにね」

と、吉野は足を止めないまま振り返って、延々と漫談を繰り広げている三馬鹿を
薮睨みにした。

【ライブラリに向かいました。現状がどんなもんか、一応くっちゃべらせてもら
いました。
 間違ってたら佐藤さんの方でこっそり訂正しちゃってください】

64倉橋 ◆FGI50rQnho:2013/08/24(土) 21:55:50
代理投稿スレ
一応上げておきます。

65スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/02(月) 20:45:19
避難所で代理頼もうとしたらwwwww避難所すら途中から閲覧不可能wwwwwwwなにこのいじめ仕様wwwwwww代理お願いします

スレURL:tp://kohada.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1376928290

>「まず最初に……この犯行声明文を出したのはお前ではないな?」

帰ってきて早々、トラブルがまいこんできた。
ギルド幹部の一人が、ご丁寧に帰宅直後を狙って突撃訪問をかますなり、これである。

「『黄金のハクトウワシは戴きに参る。怪盗ファントム』……ねえ」

文章が安直である。二重三重の意味でだ。変に小洒落た言い回しより好感は持てる。

>「そりゃ確かにファントムだけどさあ!」
>「うむ、確認までに聞いてみただけだ。確認ついでに依頼を受けて欲しいのだが……」
>「ついでかよ!」

グランがちょっとした漫才を繰り広げている横で、スタンプは予告状を眺め回した。
長い歴史の中で、鮮やかな盗みで名をあげた怪盗は多い。
だが怪盗ファントムという名など聞いたことがない。おそらく無名の泥棒だろう。

「しかし、黄金のハクトウワシ像がこれ一体って訳じゃあないんだろう?」
「ああ。毎年、市が予算を出して手製の像を作らせてるのさ。因みに予算の7割くらいが像の製造に費やされてる」

実に阿呆臭い。
ということは、ほかにも所有者が存在しているということだ。
わざわざ大運動会で贈呈される一個体を狙うというのは、些か理解しがたい。

「どうも引っかかるな……パフォーマンス的にもネームバリュー的にも、あまりにお粗末じゃないか?」
「さあてな。だがこうして犯罪予告を送りつけてきた以上、こちらも警戒せざるを得ないのでね」

頼んだよ、と押し付け、断る隙も与えずさっさと幹部は帰っていった。

>「どうする? この際ウルズの泉チームに入れてもらおっか」
「……まあ、それが一番だろうがな……あー面倒くせー、面倒くせー!」

わああっとスタンプは頭を抱えた。
どうやらトラブルの神様は、まだまだ自分を見逃してくれるつもりはないらしい。

「……あー、いろいろあって俺たちも参加することになった。よろしくな」

参加するにあたって、バルムンテへの挨拶は必須である。
朝から渋い表情を顔いっぱいに広げ、スタンプはジムに赴いていた。
流石に「像泥棒をとっ捕まえるから潜入捜査で参加します」などといえず、
「医者に運動不足を解消するよういわれて」との言い訳で通すことにした。

「いいかグラン、うっかりでも依頼のことは喋るんじゃないぞ。わかったか」

相方への注意も忘れない。
だがここで、スタンプははたと思い至り、普通の人ならば耳を疑うようなことを口にした。

「……運動会って、具体的に何するんだ?かけっこか?」

まず彼に運動会が何たるかを教える必要がありそうである。

【依頼を受諾、チームに入ろうか】

66名無しさん:2013/09/02(月) 21:09:19
>65完了

67グラン ◆lgEa064j4g:2013/09/02(月) 22:10:11
>65
66さん代行ありがとうございます
つまり…避難所の板でも規制に巻き込まれたっていうことかな?
避難所引っ越ししないとな
ここに1スレお借りしてもスタンプが専用掲示板を借りてもらってもオレが専用掲示板を借りてもいいぜ

68スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/03(火) 06:44:03
>>65さん代理感謝!

>>グランさん
うんにゃ、どうにもサーバーの方に問題があったみたいです。今はちゃんと書き込めるので問題ないですよ!お騒がせして申し訳ない!

69スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/07(土) 15:54:49
何故かまたも避難所に入れなくなる事案が発生。代理途中だったのに!畜生!
ttp://774san.sakura.ne.jp/test/read.cgi/hinanjo/1376928417/ の最新レスとあわせて代理お願いします!


「こりゃ堪らん、バルムンテさん呼んで来い!」「きゃああ、お尻に火が!」

戦闘に巻き込まれてはかなわないと、みな一目散に奥へと隠れる。その中にはスタンプもいた。
今現在、スタンプ達は一個人であり、公務を宣言しない限り一般人との戦闘は許されていない。
ギルドバッヂを回収してグランに手渡さなければ、罰せられるのは自分たちだ。
バッヂはロッカールームの中だ。それに見取り図によれば、ロッカールームに非常時魔力制御装置が設置されている。
そろりそろりと人ごみを抜け、ロッカールームへ向かうが……。

「あ、こいつ!一人だけ逃げようってハラか!?」

目ざといバンプスの一人に見つかってしまった。
ロッカールームはジムの出入り口側にある。バンプス団員と真正面から対峙する形となった。
咄嗟に、スタンプは団員に向かって駆け出した。相手が構える間もなく、体当たりを決める。

「こりゃ、ルームランナー走ってた成果が出たか?」

完全にただの不意打ちでしかないのだが、かまわずロッカールームへ。

「どこだ、怪盗ファントム!男なら潔く出て来い、俺様が成敗してやる!」

ゲオルグは完全に憤っている。しかし、彼らの十八番である爆発呪文を使っている気配はない。
室内であの呪文を使うのは気が引けてるのか。だとしたらまだ行動しやすいほうだ。
問題は、バルムンテに怪盗ファントムのことが知れる可能性だ。
参加の時も若干、不審がるそぶりを見せていた。そんなタイミングで彼に知られたら……。

(畜生、何で俺ばっかりこんな目に〜……!)

物陰から様子を伺うと、どうやらグランは団員たちを相手に素手で戦っている。
バンプスの舎弟たちもまた、素手でグランと応戦しているようだ。
ゲオルグはバルムンテを見つけるや、ずんずんとそちらに向かって近寄る。

「おいお前、ここの経営者か?スタンプっつーオッサンを出せ。そうすりゃ何もせずすぐに引きあげてやる」

まずい、と直感した。ゲオルグの目的はスタンプだ。
スタンプが騒動の原因だと知られたら、バルムンテのことだ、すぐさまつまみ出すやもしれない。
そうなればせっかくの潜入も水の泡とかす。それだけは避けなければならない!

「アイツは怪盗ファントムだ!黄金ハクトウワシ像を盗むって、堂々と俺様に宣戦布告しやがったんだ。出しやがれ、あの腐れ親父をよォ!」
「リーダーやばいよ、相変わらずグランの奴つよ、ぐえっ」
「自分らでどうにかしろ!いいか、あの黄金ハクトウワシは俺のジジイの遺作なんだ。俺様が貰うってのが道理ってもんだ。
 それを横から掻っ攫うなんざ俺がゆるさねえ!アイツを庇うってならデカブツの兄ちゃん、お前もかまわず潰してやる!」

舎弟たちはグランを相手に身体強化の術でやり過ごすのが関の山らしい。
ゲオルグはこちらに背を向けた状態で、バルムンテを相手に喚いている。
ロッカールームに進入するためには、どうしたってバルムンテの視界の中を動かざるをえない。

(頼むから気づかないフリしてくれ……!)

【ロッカールームにバッヂを取りにいく、ついでに非常時魔力制御装置を起動しにいく腹づもり】
【ゲオルグはスタンプの身柄を要求、これを拒否すると戦闘態勢に入るっぽいよ】

70倉橋 ◆FGI50rQnho:2013/09/07(土) 20:05:24
代行しようとしたけどなぜか忍法帳レベルが下がっていて
レスが超細切れになってしまいそうで断念。すいません

どなたか代行可能な方お願いします。


それと代行依頼はageでお願いします〜

71倉橋 ◆FGI50rQnho:2013/09/07(土) 21:20:22
しばらく時間おいたらなぜか普通に代行できました。

72スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/07(土) 22:29:55
>>70-71倉橋さん
代理ありがとうございます!

73スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/15(日) 15:52:14
毎回、代理頼もうとすると閲覧できなくなるのは何の呪いなんだ!!やっぱり避難所を別に建ててもらうべきか。
代理お願いします

>「はあ?スタンプが怪盗ファントム?」

バルムンテが素っ頓狂な声をあげた。
その際ばっちり彼の視界に入っている上に目線まで合っちゃった訳だが、騒ぎ立てようともしない。

(よしっ、恩にきるぜバルムンテ!)

下手をすれば騒ぎの原因として突き出される可能性もあっただけに、安堵も大きい。
急いでロッカールームに駆け込み、自分のロッカーを探す。

(あった!)

乱暴にロッカーを開け、トレンチコートを引っ張り出す。
ポケットにはちゃんと、スタンプとグランのバッジが収まっていた。
グランの身分は学生であるため、保護者であるスタンプが二人分のバッジを保管しているのだ。

(魔力制御装置は……だめだ、壊れてやがる)

しぶしぶ引き返し、グランたちの元へ駆けつける。
丁度、ゲオルグが写真と思しき紙を突きつけていた。

>「別人じゃねえかああああああああああああああ!!
>スタンプが帰って来たらよく見ろ、生活習慣病一歩手前だから運動しろと言われてここに入ったんだぞ!
>こんないい感じに引き締まった体のわけがない!」

「ぎゃああーーーーーー!それを言うな馬鹿野郎ォーーーーーー!!」

身内以外の第三者に生活習慣病と知られ、怒りと羞恥のあまり叫ぶ。
叫ぶついでにグランに向け、剛速球でバッジを投げる。
ゲオルグ達が一斉に振り向く瞬間、バッジが輝く。

「『正義の名の下、公務を宣言する』!バルムンテ、危ないから下がってろ!」
「ついに出たな、この泥棒野郎!」

ゲオルグが吠え、右手をゴキリと鳴らす。
室内とはいえ、前回と違い障害物の多いジム内で爆炎魔法を使う可能性は低い。
じりじりと間合いをはかる。

「なあゲオルグ、俺が言うのも何だが、落ち着け。俺が泥棒なんぞして何のメリットがある?」
「俺の知ったことかよ!一度ならず二度までも喧嘩売りやがって、舐めてんのか!?」

今度はスタンプが素っ頓狂な声をあげた。
一瞬できた隙を突き、ゲオルグは右手から火花を散らす。
瞬く間に、火花の群れは蛇のように空中をうねり、陣を描く。
するとグラン、バルムンテ、スタンプ、三者の足元に全く同じ模様が浮かび上がった。
反射的に、スタンプは懐に手を入れていた。

「何の真似だ!」
「動くなよ、怪盗ファントム。一歩でも出たら火達磨だぜ」

おそらくは拘束のための魔法だろう。
ゲオルグの言葉から推察するに、出たら即魔法の炎が襲い掛かるに違いない。

「これから、俺様が華麗なる推理を披露してやる。心して聞きやがれ」
「(大人しくしていたほうが良いぜ)」
「(そうそう、こういう時のリーダーって話の腰を折られると癇癪起こすからな)」

グランとバルムンテの背後で、舎弟たちがそう忠告する。

74スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/15(日) 15:54:42
「まず、俺の実家はヴァルカン・カンパニーっつーでっけー金属興業会社なんだけどよ。
 その当主が毎回、会社の宣伝も兼ねて黄金のハクトウワシ像をこさえてたんだ」

ヴァルカン・カンパニーの名はアメリカで知らない者はそういない。
元はイタリアで企業した会社であったが、イマイチ名が売れず新天地アメリカに移転。
アメリカ内で戦争が勃発した際、魔導兵器を幾つも生産したことで成功した、かなりブラックじみた一面を持つ。
余談であるが、ゲオルグの本名はジョージ・ヴィオレッタ・ヴァルカンである。至極どうでもいい。

「この手紙が届いたのは、うちのジジイが死ぬ一週間くらい前のことだ」

取り出したるは一枚の紙。怪盗ファントムの予告状だ。
達筆で『黄金のハクトウワシは戴きに参る。怪盗ファントム』と記されている。

「怪盗(Pphantom thief)ファントム(Phantom)とか、お前ネーミングセンス壊滅的なんてレベルじゃねーぞ。ナメてんのか」
「だから俺じゃねーって。何度言ったら分かるんだ、このゴリラ、ケツ毛毟るぞ」

メンチを切りあう二人。
「リーダー、推理!推理!」と舎弟たちに諭され、咳払いひとつし話を続ける。

「そんでここに!俺の舎弟が撮影した決定的瞬間がバッチシ写ってる!」

次に見せるは、ある男の後ろ姿である。
撮影した時は夜だったらしい。ライトに照らされ、トレンチコートを翻した男が、巨大な門の前を駆けていく。
魔術をかけたカメラで撮影したのか、男が何か紙を郵便受けに押し込み、逃げていく姿がループしている。
髪型と服装だけ見れば、スタンプに見えないこともない。

「体型が違うのは、あれだよ。写真届けた日からバカ食いし続けたから体型変えたんだろ。馬鹿だな」

なんと適当な推理か。これにはスタンプも呆れてものも言えない。
馬鹿はお前だ、とよっぽど言ってやりたいが、怒らせた所でロクな未来が見えない。
「それにな!」とゲオルグは指を突きつけた。

「ショーコはもう一つ、じゃなかった、あと二つ残ってんだぜ!見ろ、これを!」

全員に見せるように、ゲオルグはそれを掲げた。
古く黄ばんだ紙に、「黄金のハクトウワシは戴きに参る」と記されている。
しかし肝心の差出人の名前は滲んでいる。かろうじて「Ph nt m」と読める。
筆跡は、最初に見せられた予告状と酷似している。

「これは5年前に、俺の家に送られてきた予告状だ!つまり怪盗ファントム、テメーは一度ウチに侵入した!
 が、この時は黄金のハクトウワシ像は盗まれなかった。何せこの俺が!像を守ったんだからな!
 俺という堅固な番人のおかげで像を盗みそこねたお前は、雪辱のため再び俺に手紙を送りつけた!」

そして!と、もう一枚写真を取り出す。

「俺の舎弟が、一枚目を撮ったあと、後を尾けて撮ったんだ!」

その写真には、一枚目の写真の物と同一人物らしき男が映っている。
白熱灯の黄色い光に照らされ、グリーンに輝く髪の男、金髪でツインテールの少女、2m以上もありそうな巨大な男が立っている。
三人とも一様に怪しげなマスクをつけ、なにやら頭を寄せ合い企んでいるかのようにも見える。

「どうだ!お前と、そこのチビ(グラン)じゃねえのか!
それにそこのデカブツ!これ、よく見たらお前じゃねえのか?こんなにデケー奴はそうそういねーからな」

ジロジロとバルムンテを見上げ、写真の巨大な男と同一人物かどうか見極めようとしている。
このままでは、「三人揃って怪盗ファントム一味」などと言いがかりをつけ始めるのも時間の問題である。

【炎の檻発動。魔法陣から外に出ると炎が襲い掛かってきます】

75スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/15(日) 15:56:11
ここまで。どなたかお願いしまーす

76倉橋 ◆FGI50rQnho:2013/09/15(日) 22:38:57
代行完了

77スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/16(月) 08:26:36
代行感謝です!

78スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/21(土) 15:45:56
代理お願いします。


>「なんじゃこりゃ!ふざけんなよテメーら。
  真面目に聞いてた俺がバカだったわ」

ゲオルグの推理をすっかり聞いた、バルムンテの第一声がそれだった。
全くもって同意する、とスタンプも渋い顔を浮かべる。
納得がいかないのか、迫力たっぷりに迫るバルムンテに、バンプスの舎弟もたじたじのようだ。
素直に白状する舎弟も、兄貴分のゲオルグに睨まれ鉄拳制裁を食らっている。
板ばさみ状態とはこのことだろう。

(ま、俺とて釈然としない部分もあるんだがな)

「理由」だ。
仮に写真の男たちが、怪盗ファントム一味だとする。
怪盗ファントムが同じような服装・背格好でスタンプ・ファントムに扮したとする。

「その理由は何だ」?

スタンプは、怪盗ファントムとの面識はない。正体に心当たりもない。
だとすると、向こうが一方的にこちらを知っているということになる。
確かに同じ「ファントム」ではあるが、名前の一致だけで罪を被せるものだろうか。

写真も怪しさ満載だ。
スタンプだけでなく、特定の人物を陥れるような構図。
タイミングよく現れ、「いかにも」な手法で去っていったという三人組。
考えれば、初めから分からないことだらけなのだ。

「どういうことか、教えてほしいもんだ…」

>「仕方ねー教えてやる!
オレ達は怪盗ファントムからハクトウワシを守るようにギルド上層部から直々に依頼を受けてんだよ!(中略)」
「おーーーーーーーーいッ!?何しれっとバラしてんだお前ェーーーー!!」

ギョッとした表情を浮かべるバンプス一同。
それはゲオルグも同じことだが、一番驚いているのはスタンプのほうだった。無論、別の意味で。
バッジを付けている間、公務の内容を一般人に公開することは通常、禁じられている。
緊急を要する場合は後日、会議で評議されるのだが、その間、ギルド組合員としての行動は一切禁止される。

(それ、分かってて言ってんのかよ、グラン――!!)

>「そ、そうっすよ! 参加者として参加しながら泥棒も出来る程こいつら器用じゃないっすよ」
>「ほ、ほら! もしもハクトウワシが無くなったら「お前らのせいだーっ」てぶっとばしに行く大義名分が出来やしたし今日の所は……」

グランの暴露を耳にし、舎弟たちは一斉にゲオルグに詰め寄る。
当のゲオルグは、沈黙し何かを考えあぐねている。というより、半ば困惑の表情も混じっている。
刹那、ゲオルグはピンッと人差し指を突きたてた。
室内の温度が急上昇する気配を感じ、スタンプの背筋は逆に冷えていく。

「腑に落ちねえことが幾つかある」

ゲオルグの人差し指が、三人をそれぞれ指す。
まるで、銃口を突きつけられた気分に陥らせる動きだ。

「さっき見せた写真、あれは8日前の『夜9時半』くらいのだ。まずはお前らの『8日前の夜9時半』のアリバイを聞こうか」

79スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/21(土) 15:46:26
間違えてsageちゃった


要は「手紙を出してきた時間帯に3人がいなかった証拠」を求めているらしい。
ゲオルグは手始めに、容疑の薄そうな二人の説明を聞くことにしたらしい。
スタンプは記憶を思い出しつつ、自分の順番が回ってくると、話し始めた。

「その日なら俺は無罪だな。ちょうど、ある依頼が入ってて、一日中仕事してたんだ」
「ほー。アリバイってのは証人が必要なんだぜ。当然、いるんだろうな?」
「いるとも。だけど、その、相手がな」

急に口をもごもごとさせ始める。
なんだよ、とゲオルグは視線で促す。

「もう終わった依頼だから話しても問題ないだろうが、プライバシーってもんがあるし」
「言えって。でないとお前が怪盗ってことになるぞ」

はあ、とため息をつく。観念した様子で、打ち明ける。

「浮気調査だったんだよ。その数日前に男がきてな、妻の動きが怪しいから浮気してないか調べてくれって」
「ほお、それで?」
「それで調べてたんだ。そしたら、色々トラブルがあって、そのー」
「はっきりしねえな。何だよ、そのトラブルって」

「その妻は男の睨みどおり、浮気してたんだ。
けれどその浮気ってのがまた特殊で、何でも匿名のメンバーが集まってコスプレして何やかんやする出会い系みたいなものでよ。
俺はそれを事前に知ってたから、俺もその出会い系に潜り込んで、ターゲットに近づいて徹底的に証拠をつかもうと思ったんだ。
そしたら向こうから声をかけてきてな……オフで会わないかって」
「それで?」

おもむろに、スタンプは黙り込む。
そして左手で輪を作り、右手で輪に指をつっこむしぐさをしてみせ、開き直ったかのように舌を出した。
はじめ、ゲオルグは訝るように眉をひそめるが、その真意を汲み取った瞬間、みるみる表情が変わる。

「うわ、お前…サイッテーだろ!?サイテーだ、腐ってるにも程があるぞ!?」
「か、確実な証拠は掴んだからオッケーかなーって。双方納得してたし」
「ミイラ取りがミイラじゃねーかァアア!ただれてやがる!おいグラン、こいつ怪盗以前に別の罪で裁かれるべきじゃねーの!?」
「怪盗じゃねーけど、『戴きました』、なんつって」

省略。
その時間帯、スタンプには(少々恥ずかしすぎる)完璧なアリバイがあったということになる。
つまり、写真の男がスタンプであるはずがないのだ。

「ま、まあ、そのアリバイは認めてやるとして……だったら、こいつ等はなんなんだよ!?」

こいつ等とはつまり、写真の男たちだ。
予告状を送りつけてきたのがスタンプらに扮しているなら、別の疑惑が持ち上がる。
「なぜ、スタンプらに扮装する必要があるのか」?

「こう言っちゃなんだが……この写真、俺とグラン、バルムンテをピンポイントではめようとしているかのように見えるんだよな」

スタンプは率直にそう意見をのべる。

「共通点でいえば、ジムのメンバーでしかない俺たち3人を、しょぼい怪盗なんぞに仕立て上げようとする理由……か」

舎弟たちは、「さあこれでもまだ犯人を捜そうなんて言うんじゃないでしょうね」という視線を兄貴分に向ける。
ゲオルグもようやく興奮の熱が下がってきたようで、無言で灼熱の檻を解除した。
だが、まだ不満があるのか、帰る気配を見せない。
何かしら「怪盗ファントムの正体を知る何か」あるいは「彼を納得させる案」を提案しない限り、てこでも動かないだろう。

【アリバイに欠点がなければゲオルグの灼熱の檻解除、しかしまだ納得がいっていない様子】

80スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/21(土) 15:46:47
ここまで。お願いしマース

81名無しさん:2013/09/21(土) 20:25:36
完了

82スタンプ:2013/09/21(土) 21:23:42
代行感謝!

83スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/27(金) 18:30:09
代理オネシャス

>「まあ、ギルドの二人は誰かに恨まれる心当たりはあるかも知れねーが
俺までセットでいる理由は不思議だな。
もしかして、ライバルチームの罠か?
それかグランが言った通りの作戦を事前に潰すための作戦か?」

そう発言したのはバルムンテだ。
成程、この秋の大運動会で優勝を狙う者は多い。それこそ個人から大学の運動チームまで、その参加者数を数えればきりがない。
元々スタンプやグランをよく思わない輩たちが、これ幸いと蹴落としにかかることもあるのかもしれない。

「しかし、それならわざわざ怪盗なんて古臭い、面倒な手を使うか?
 もし俺だったら、そんな意味のないことせずに、選手に下剤をしこむとか、一人きりの夜道を襲う方を選ぶがな」

そこまで意見し、「あ、もしもの話なだけであって、本当にやったことは無いぜ」と言い訳する。
よしんばライバル達がその手を使ったとして、バルムンテには両方とも効果がないような気もするが。
しかし、スタンプたちの正体や任務内容が漏れていたとなると話は別だ。
今回の任務内容こそしょうもないものだが、それでもギルド組合が扱う情報なのだから外部に漏れるわけがない。
もし怪盗ファントムが事前にスタンプ等の潜入を知っていたとすると、とんでもない結論に至る。
つまり、情報を流した者が存在するということになるのだ。それも、ギルドの内部に。
でなければ、最悪の場合、ギルド組合の中に怪盗ファントムが潜んでいる可能性が浮上する。

「こりゃ、思った以上に深刻な問題だぞ……ウォーリーを探すより難しいんじゃないか」

うむむ、と不精髭の散った顎を撫でると、ぱたん、と何か開く音がする。
それはスタンプの脳内の記憶の扉が開く音で、「ウォーリー」の単語に自ら反応したからに他ならない。




記憶の中の自分は今より10歳ほど若く、TVのそばで本を開いていた。
向かい合うように、「彼女」がいる。

『相変わらず読んでるのね。……あら、絵本だなんて珍しいじゃない。ウォーリーを探せ、でしょ。それ』
『視覚探索力を鍛えてるんだよ。たまには文章を読むだけじゃなくて、脳自体を鍛えないと』
『ああ、もう!私の前でむずかしい言葉を使わないで!』

彼女は喚いて、本を取り上げる。返せ、と眉尻をさげると、いやよ、と笑われる。
買ったばかりのTVでは、近頃話題のドラマが流されている。
熱血敏腕弁護士が、『怪盗』の濡れ衣を着せられた青年の無実を晴らすという内容だ。

『怪盗かあ、本当にいるのかなあ。アルセーヌ・ルパンだって、結局はフィクションでしょ』
『空想に憧れて真似るような阿呆なら、いるんじゃないのか。ほら、最近英国で騒がれてるこそ泥とか』
『ファン何とか、だっけ。大胆不敵に予告して、狙った獲物は必ず奪う!有限実行なところは、かっこいいね』
『毎回、ぎりぎりの所で失敗しているらしいけどな』

「彼女」はタオルケットを体に巻いて、「ふはーはは!」と高らかに笑う。怪盗の真似のつもりらしい。

『誰も姿を見たことがないんでしょう?なんだか幽霊みたいよね、彼』
『彼女、かも。怪盗らしく変装でもしてるんじゃないか?』
『どうかしら、そうなのかしら。私が怪盗になったら、誰に変装しようかしら』
『へえ。君が怪盗になったら、何を盗むんだい』
『何を言ってるのよ、私は物を盗んだりなんかしないわ。盗むフリだけよ、ちゃんと返すわ』
『……じゃあ、怪盗になる意味がないじゃないか』
『意味はあるわよ。魔法を使わずに、幾多の罠を潜り抜けて、皆の前で颯爽とお宝を手にするのよ?
 絶対、びっくりするわよ。それで、そんな凄い奴が盗もうとしたお宝ってどんなだろうって、見にくるでしょう。
 ……あっ!怪盗の目的って、もしかして案外それだったりして。結局は、皆に見てもらいたいだけなのかもね』

なんだか、サーカスのピエロみたいね。彼女は一人合点すると、にっこりと笑っていた。



84スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/27(金) 18:30:55
>「今、おめーんちってガラガラじゃねぇの?
こんだけ手下引き連れて、黄金の像は誰が守ってんだよ!?」

バルムンテの一言で、スタンプははっと我に返る。
流石にそりゃないだろう、とグランは意見する。話題は黄金像のセキュリティについて移っていた。
まったくの同意見……と言いたいところだが、この不良は毎回必ず何か「トラブル」を引き起こす。
それこそ、地面に埋め込んだ地雷のように。つまりは、油断ならないのである。
現に、ゲオルグの表情はみるみると青ざめていく。

>「え、まさか……まだ引き渡してないのか!? もしかして心配すぎて自分のアジトに置いちゃったとか!?」

ことごとく当たっていたようである。
最初は笑っていた舎弟たちも、兄貴分の表情を察して同時に顔色を変える。

>「しまったぁああああああああああああああ!! 野郎ども、撤収だ!」

わっと表に飛び出すバンプスのメンバー。
スタンプはそれを目で追いながら頭をかき、グランに振り返る。

「グラン、俺はあいつ等を追う。黄金像に何かあっちゃ大変だからな。それと……」

決まり悪そうにバルムンテのほうへ振り向いた。
先日の嘘と潜入捜査のことがばれた今、ジムのメンバーとして参加する意味もないだろう。

「悪かったな、また変な騒ぎに巻き込んで。今日のことは悪い夢だと思って、忘れちまいな。
 って、無理があるか……大運動会、俺の参加は取り消しておいてくれ。もう要らないからな」

バンプスが消えた方へ目をやり、追いかけ始める。
ゲオルグたちのアジトはヴァルカン社の付近にあると見ていいだろう。
ストリートを走り、箒に乗ったゲオルグたちの姿を探す。

「(お、あんな所にいた。案外、箒ってトロイのな)」

姿を見つけるや、走るスピードを上げる。そういえば、あまり息切れしないな、と感じた。
大運動会に向けて、ずっとトレーニングしていた成果かもしれない。

「(参加できないのはちょっと、勿体無かったかもな)」

【ゲオルグのアジト】

バンプスのアジトは、ヴァルカン社のすぐ近くにある倉庫を改良したものだ。
外見は普通の小屋だが、中は広々とし、様々なトラップがかけられている。
ゲオルグ自身がかけた罠も幾つか存在し、最奥部に黄金像が保管されている。

「早くトラップを解除しろ!」
「そ、それが、……知らない複合魔法が掛けられてて!」
「はあ?どういうことだ!おいどけ、俺が解除する!」

スタンプがたどり着くと、バンプスのメンバー全員が入り口の前で立ち往生している。

「……なんだこれ!『堅牢の呪護』じゃねえか!誰がこんなトラップを!」
「こ、これ、大爆発魔法か、でなきゃ同じくらいの力でぶち抜かない限り無理ですよ!どうするんです!?」

ゲオルグは悩んでいる。アジトに向けて大爆発魔法なんて使ったら、黄金像に傷がつきかねない。
さりとて、この魔法を物理的な力で抜く道もなさそうである。今のところは。

【ゲオルグのアジトにて謎のトラップが出現。特大のパワーでしかぶち抜けないっぽい】

85スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/27(金) 18:31:10
ここまで。

86名無しさん:2013/09/28(土) 09:41:45
完了

87スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/09/28(土) 15:52:46
>>86
代行感謝!

88スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/10/05(土) 14:24:28
代理オナシャス

スレ:ttp://kohada.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1376928290/

>「怪盗ファントムの行動を何故って理由付けしてたら、
>腑に落ちねぇことだらけだが
>ただ優勝トロフィーを盗まれちまったら俺等が困るんだよな。

「……おいおい、何でお前まで来てるんだよ」

バンプスが奮闘している最中、背後から声が。
振り返ると、グランはまだいいとして、てっきり店にいるとばかり思っていたバルムンテまでもが仁王立ちしている。
正直な所、これ以上一般人(?)が介入することは喜ばしくない。

>つーことで……」
「お、おい、何するか知らねえけど……」

呼び止めるも耳を貸すつもりはないらしい。
上着を脱ぎ捨て、『堅牢の呪護』がかけられた扉に手をかけた。
しかし如何に彼が怪力とて、一人で開けるには無理があるのではないか。
その場にいた全員がそう思い、またグランも同じことを考えたらしく、声をかける。

>「バルムンテ、同時にパンチを叩き込めば壊せるかも……ほげぇええええええ!?」
「う、うええええええええええっ!?」

青白い光が、バルムンテの怪力に反抗するように、バチバチと鳴る。
巨人の腕に負けてなるものかと、呪いが咆哮するかのようだ。
だがお構いなしに、バルムンテはその扉を、容赦なくこじ開けた。
力に押し負けた呪いの印が、断末魔をあげるような音を立て、光とともに霧散する。

>「おら、とっとと怪盗ファントムを見つけて取っ捕まえっぞ」
「お……おお!俺が先頭をいく、お前らも続け!」

一瞬は呆然としたバルムンテだが、威勢よく中へと入っていく。
室内は外観より広く、玄関から廊下へと一直線に進む。

「黄金像はどこに?」
「最奥の金庫の中だ!俺たちがかけた術もあるから、迂闊に手を出せねえとは思うが…」
>「堅牢の呪護をかけたのが怪盗ファントム一味だとすれば魔術師か……。
 よく分からないけど中に立てこもっている可能性が高い!」

屋敷に入るなり、その場にいた殆どの人間が絶句した。
壁一面に大きく、「怪盗ファントム参上」とペンキで汚く落書きされている。
更に、唯一の進行方向である廊下を、巨大な刃物が行ったり来たりしている。

>「ベタすぎるだろ!」
「インディ・ジョーンズかよ……ここはアマゾンの遺跡か何かか?」

呆れて物も言えない、とはこのことだ。
しかし、何となくではあるが、怪盗ファントム達の目的が見えた気がした。

「だがよ、これで分かった。アイツ等はまだ、黄金像を盗めてないだろうな」
「ああ?何で分かるんだよ、んなこと」

ゲオルグが食って掛かる。
暑苦しい、とゲオルグを押しのけ、スタンプは罠が張られた廊下を見据える。

「簡単だよ、メリットがねえ。盗んだ後ならば、とっくにオサラバしても良いはずだ。
 わざわざ呪護やトラップなんて手の込んだもの仕込んで嫌がらせするほど、あいつ等も暇じゃねえはず」

89スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/10/05(土) 14:28:24
ならば、何のために呪いや罠を仕掛けたりするのか。

「発想の逆転だ。『わざわざトラップや妨害を作る理由』が、怪盗たちにはある」
「じゃあ、その理由は何なんだよ」
「考えてもみろ、『黄金像を手に入れてない』前提で、トラップを仕掛けるとすれば、どういう理由だと思う」

はあ?とゲオルグが素っ頓狂な声をあげる。その時、部下の一人がおずおずと手をあげた。

「そ、そういえば……この辺り、俺が侵入者用にトラップを仕掛けたはずなんだけど…
 こんなトラップしかけた覚えがないんスよ。多分、解除された上で、このトラップ魔法が仕掛けられてるんじゃ…」

スタンプは頷いて、言葉を続ける。

「ゲオルグだって底抜けの馬鹿じゃねえ。怪盗用の対策魔法くらい掛けている。とすれば、それを解除するにも時間がかかる」
「あ!じゃあこの魔法、俺たちが駆けつけてきた時のための足止めってことか!?」

注釈しておくと、トラップ魔法にもいくつかの法則が存在する。
トラップを発動している間、術者にも負担がかかるし、トラップを破れば術者もそれを感知する。
つまり、トラップが解除されれば、怪盗は自身に敵が近づいていることを知ることができるのだ。

「堅牢の呪護が解けた時点で、相手も俺たちに気づいてるだろうな。こっからはスピード勝負だ」
「け、けど、このトラップはどうすんだ!俺たち総出で解除するにも、5分はかかるぞ!」
「じゃ、お前たちはそうしてろ。
 バルムンテ、お前もこの先はくるな。グラン、バルムンテを見張ってろ。ここで怪我でもされたら適わん」

まるで邪魔なハエでも追い払うかのような、厳しい言葉を放った。
縦横無尽に動き回る刃物のトラップは、何物も、近づこうものなら引き裂いてやる、という気概を感じる。

「俺は、『ここを切り抜ける』」
刃物よりも、スパッと切れのある答えを出し、クラウチングスタートのポーズをとった。
移動式トラップは、スピードこそ早いが、規則正しく動いている。
タイミングさえ見計らい、その間を潜っていけば、抜けることはできる。

「(1、2、3……刃の数は4つか。ギリギリだな)」
おいおいまさか、と周囲が眉を顰めるが、気にしない。
誰かがおい、止めろよ、と言う暇も与えず――地面を蹴る!

待ってましたとばかりに、刃物が迫る。
八つ裂きにしてやる、という意思を持つがごとくだ。一つ目の刃が、空を裂く音を呻らせる。

避けた。勢いあまって、刃は壁に突き刺さった。本物の刃を使っているらしい。
すかさず、二本目の刃に意識を向ける。
鎖の先端にぶら下がる鎌の刃が、スタンプを真っ二つにせんとする。
これも辛うじて避け、刃先が壁にめり込んだ。冷や冷やしつつ、先に進む。

「おい、後ろ!」
3本目を見据えたその時、誰かが大声をあげた。
その大声でとっさに、スタンプは後ろを見る。しかし全員、誰かが声をあげた様子はない。
罠だ、と気づいた瞬間、胴体に。切り裂くような激痛が走る。

「あああああーーーーッ!!!」

実際に胴体が切れたわけではない。
刃はスタンプの体をすり抜けて、悠々とぶら下がっている。3本目は幻覚の刃だったようだ。
しかし幻覚魔法は、精神に直接痛覚を与えてくる魔法だ。実際に切り裂かれたかのような痛みも襲ってくる。
激痛に耐えかね、スタンプは動けなくなってしまった。
まもなく、4本目が、倒れて身悶えする不運な男にむけ、慈悲なき刃を振るう!

90スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/10/05(土) 14:28:55
ここまで。現代幻影避難所の、グランさんのレスも、どなたか代行してくださるとうれしいです。

91名無しさん:2013/10/05(土) 21:09:55
完了

92スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/10/05(土) 21:25:17
代行感謝!

93スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/10/14(月) 14:31:10
代理お願いしまーす
スレ:ttp://kohada.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1376928290/


神経をズタズタに引き裂かれたような痛みが、全身にまわる。
幻影魔法の特徴は、視覚的な幻を脳に刷り込み、あたかも本物に触れたかのような錯覚を与えることだ。
トラップも例に漏れず、真っ二つに切断されたかのような感覚を与えた。
おかげで、指一本動かすこともままならない。

「(あ、これ、死んだかな)」

呑気にも、激痛でイカれてしまいそうな脳味噌で、スタンプはそう考えた。
以前も何度か死にかけた経験はあったが、こんな間抜けな死に際もなかろう。
なんとか痛みに抗って、這って逃げ出すこの瞬間も、空を切り裂き、真っ直ぐ刃が落ちてくる気配を感じる。
いよいよおしまいか、と思われた、その時。

視界が、吹っ飛んだ。
何かに抱きかかえられるまま、ハリケーンの風に煽られたように、吹き飛んだ。
そしてそのまま、廊下の先にある階段へと落下した。

>「おおおおおおおおおおおお!?」
「あっだっ、いでっ!?」

階段を転げ落ち、スタンプは背中から全身を強かに打ちつけた。
まやかしの痛みは抜け落ちたものの、今度は現実で食らった鈍痛がうったえてくる。

>「だ、大丈夫かーっ?」
>「うん、なんとか……」
「……俺は、大丈夫じゃねえよ……降りろ、グラン……ってえ!」

虫の息とはこのことか。スタンプが下敷きとなったため、グランは事なきを得た。
意識がはっきりしてくると、スタンプはがばりと起き上がる。

「お前、何してんだ!バルムンテを見てろって言ったろ!」

そう、本来ならばトラップの向こう側にいるはずのグランがここにいる。
しかも、危険を冒して、自分を助けたのだ。
状況を理解したスタンプは、腹の奥底から怒りが沸き上がるのを感じた。

「この、バカ!考えなしのアホンダラ!お前ごと真っ二つになってたらどうする気だ!」

先ほど、自分こそ無理強いしてトラップを切り抜けようとしたことは棚に上げ、ぎゃんぎゃんと喚き散らす。
一方で、トラップよりあちら側では、解除に成功したゲオルグ達とバルムンテがこちらに向かってくる。

「グラン、俺は言ったはずだ。バルムンテを止めろって。何故そうしない?
 お前なら重力を扱うなりで、あいつを抑え付けるくらい簡単だったはずだ」

合流したゲオルグ達が、何事かと様子を見ている。勿論、傍にはバルムンテもいる。

「お前、『もう殆ど当事者だし、事件に関わっちゃったから〜』とか、フ抜けた考えしてたんじゃないだろうな」

スタンプの三白眼が釣り上がる。

「この際だから言っておく。『邪魔』だ。御用じゃないんだよ。忘れるな、これはギルドの仕事だ。
 どれだけ当事者ヅラしてたって、一般人(バルムンテ)にゃ関係のない話なんだよ。
 いくら駄々こねられたって、ギルドの人間としちゃ、巻き込むわけにはいかねえな。分かったら帰れ、帰れ!」

しっしっと蝿を追い払うが如し。にべもない言葉で、バルムンテを帰らせようとする。
例え反論されようと、意地でもこれ以上介入させるつもりはなかった。
が、意外にも、異議を唱える男がいた。ゲオルグだ。

94スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/10/14(月) 14:31:59

「でもよお、アンタを助けようとしたのはバルムンテも一緒だぜ」
「だから何だ。感謝すべきだろうがな、それとこれとは話が……」
「それに、呪護のかけられた扉を開けたのも、バルムンテだよな。お前は?何も出来なかったじゃん」

この反論には、うぐ、と言葉に詰まる。
確かに、スタンプ自身は何もしていない。
扉のトラップを開けたのも、スタンプの救助に一役買ったのも、バルムンテだ。

「お前よりよっぽど、バルムンテの方が頼りになるぜ?俺は気に入ったよ、こいつのこと」
「」

最早、ぐうの音もでない。
アジトの家主すら、彼の肩を持つ以上、こちらが何か言ったところでつまみ出されるのだろう。
何だか仕事を横から掠め取られたようで、別の怒りと悔しさがこみあげてきた。

「……じゃあもう、好きにしろ!何かあったって俺は知るもんか!」
「役立たずだからってヒネてんなよ、オッサン」

暗闇の中、ゲオルグが作り出した小さな火の玉の明かりだけを頼りに、先に進む。
部下達は万が一のために、各所に散らばって見張りをしている。
奥に進むは、グラン、バルムンテ、ゲオルグ、そしてスタンプの4人。

「良いか、こっから先は自己責任だからな。俺は手を貸さねえし、貸されるのもごめんだぞ!」
「あのさあー、そう捻くれねえで素直に協力してくれって言えばいいじゃねーか。つーか煩い」
「い・や・だ・ね!俺にもメンツってもんがあるんだよ!」
「(俺も大概だけど、ガキかよ、このオッサン……)」

小姑のように喚くスタンプに、さしものゲオルグもゲンナリせざるをえない。
スタンプからしてみれば、怪盗だと疑われたり、一般人を巻き込んだり、あまつさえ助けられたりと、気に食わないことだらけなのだ。
酒や煙草を我慢していることも相まって、ストレスが溜まっているのである。

>「う、うおお!?」

その時、突如、バルムンテが悲鳴を上げる。
何事かと驚いて足を止めると、今度はグランが姿を消した。

「お、おい!?大丈夫か!」

急いで駆け寄ると、床がない。ぽっかりと穴が開いて、暗闇が見える。
否、よく見ると、暗闇の中心に、開け放たれた金庫がある。

「まさか、もう怪盗が……?」
>「スタンプ気を付けろ! 奴が近くにいる!」
「(奴?何のことだ?)分かったから落ち着け、今引き上げてやる……」

床のへりに四つん這いになり、まずはバルムンテに手を差し出そうとする。
さっきは自己責任だと騒いでおきながら、いざハプニングが起きると民間人を優先する。
最早、癖のようなものだ。だが、それより早く、別の誰かの悲鳴があがった。

「うわああっ!!」
「ゲオルグ!?」

まるで突き飛ばされたかのように、ゲオルグが真っ逆さまに落ちていく。
そちらに手を伸ばそうとするが、圧倒的に足りない。
だがゲオルグとて、ただ落ちるだけの馬鹿ではない。咄嗟に掌を下方に向け、小規模な爆発を起こす。
その爆風で体を浮かし、激突だけは免れた。

95スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/10/14(月) 14:33:52

「大丈夫かー!?」
「こんくらいの落下、どうってことねえよ。それより黄金像が!」

ゲオルグは血相を変えて、金庫に駆け寄る。
存外元気そうなので、スタンプは安心して二人を引き上げようとする。

「あった!像はまだ盗られてねえみたいだ!」

ハクトウワシ像は、金庫の中で鈍く輝いている。
その事に安心したゲオルグは、胸を撫で下ろしている。だがスタンプは、何か引っかかるものを感じていた。
今までのトラップが、怪盗ファントムが仕掛けたものだと仮定する。
ならば何故、黄金像は目の前にあるのか。こんなに無防備に、鍵まで開いているのに。
金庫が開いたまま、放置されている。ならば……それ自体が罠なのではないか。

「ゲオルグ!そいつに触るな!」
「へ?」

その時、予期していた不安が現実となった。
金庫の形が、ぐにゃりと歪み、突如として肥大し始める。
硬質な外見は、分厚く毒々しい色合いの皮膚となり、その形は不定形に変わる。
金庫の扉は、歯のない巨大な口となって、黄金像をばっくり飲み込んだ。

「『ミミック』だ!ゲオルグ、逃げろ!」

ありったけの声で叫ぶが、ゲオルグは目の前のミミックにすっかり腰を抜かしている。

「だ、駄目だ……逃げらんねえよ……俺、ブヨブヨとか無理ぃいーーーーーーー!」
「女子か、テメーはァアア!」

どうやら、ゲオルグは恐ろしさのあまり動けないらしい。
言うが早いが、スタンプは飛び降りた。着地地点は、ミミックの頭部。
まさか戦闘になるとは思わなかったが、コートを着たまま正解だったようだ。
コートからデザートイーグルを引っ張り出し、銃口をミミックの皮膚に突きつける。

「これでも……食らえ!」

ゼロ距離射撃。容赦なく、ミミックを撃ちぬく。
しかしミミックは堪えた様子がない。急所を外したようだ。

「クソッ……グラン!重力でゲオルグ達を逃がせ、お前なら出来るだろ!?」

ミミックの体から、ニュルリと触手が生え、ゲオルグに狙いを定める。
スタンプはすかさず、触手を撃ちぬいた。

「早くしろ!コイツは相当腹ペコと見た。このままじゃ、全員食われるぞ!」

問題は、それだけではない。
おそらく像か、その周辺にも、ゲオルグが仕掛けたトラップがあるのだろう。
それを解くことが出来なかった怪盗は、ミミックに像を食わせることで、ゲオルグに何かアクションをさせようとしている。
ならば、近くに怪盗もいるはずだ。

▼MONSTER DATA▼
ミミック/擬態生物/危険度・中
洞窟やダンジョンに生息する、不定形生物。
宝箱や宝石、美しいものなどに化け、近寄ってきた獲物に襲い掛かる。
スライム系とは違い脳や心臓を持つが、その位置は個体によってさまざま。

【トラップ・ミミック発動】

96スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/10/14(月) 14:34:04
ここまで。お願いします

97名無しさん:2013/10/15(火) 21:27:07
完了

98スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/10/16(水) 22:08:19
代行感謝!

99スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/10/22(火) 19:02:37
代理お願いします!
スレ:ttp://kohada.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1376928290/

>「よしきた、そーおれ!」
グランは軽快な調子で、ゲオルグを重力で上方へ弾き飛ばす。
あの巨体がゴムボールのように弾んでしまうのだから、魔法ってものは恐ろしいものだ。
たまに彼女の魔法を見ていると、いずれ自分がバレーボールの玉代わりにされる日も近いのでは、と戦々恐々する。
仕事は評価できるのだが、同居人としては複雑な心境である。

>「さっき見ていた様子だと、ミミックは黄金の像を飲み込んだように見えたけどよぉ。
 いったいファントムの狙いはなんなんだよ〜っ?」
>「黄金像自体に何か魔法的な仕掛けがしてあってそのままでは触れなかったとしたら……
>それをミミックもろとも爆発魔法で吹っ飛ばさせるのが狙いかもしれない!
「ハッ、だとすりゃ嬉しい誤算だな!」

グランの言う通りならば、怪盗ファントムはゲオルグの好戦的な性格を見越していたことになる。
しかし、彼の弱点までは把握しきれていなかったようだ。
だが、それだけだろうか?ただ吹き飛ばすだけで解除されるような魔法なら、こんな乱暴な手を使ったりはしないだろう。
ミミックは、バルムンテから強烈な蹴りを食らったダメージからか、ぶよぶよと震え、触手を一斉に差し向ける。
すかさず発砲し、触手を弾き飛ばすが、捌ききれない。幾つかはバルムンテを締め上げようと迫る。
蹴りを浴びた部分は、泥のような体色から、よりどす黒く変色し、膨らんでいく。損傷すると、変色して膨張するらしい。

>スタンプ、銃で気を引いておいてくれ!」

「オーライ、マシな作戦なんだろうな!?こうなりゃバルムンテ、お前も手伝え!」

ミミックから飛び降り、ぎょろつく目玉と目が合う。
胴体部分から伸びる触手に向け、発砲すると、触手の幾つかが一斉にスタンプへ向かう。

>「――ボクシングダンス! あだだだだだだだっ!」

妨害がいくらか減ったところで、グランがミミックへ肉迫し、先ほどバルムンテが蹴りをいれた場所に高速で拳を叩き込む。
拳が接触した部分が、紙にインクが染み込んでいくように、みるみるどす黒くなっていく。
そして、パンパンにヘリウムを注入したかのように、膨らんでいく。

>「どうだ……!?」
「! 下がれ、グラン!」

スタンプは咄嗟に、コートを放った。ほぼ同時に、勢いよく、膨張していたミミックの胴体が弾け、液体を放出する。
液体をモロに被ったコートは、硫黄のような臭いを発しつつ溶けた。
ミミックの弾けた部分は、粘土をこね合わせたかのように元に戻っていく。

「消化液だな……ああやってダメージを食らうと、消化液をばら撒くんだろうよ」

体液を放出したからか、ミミックのサイズが幾らか小さくなっている。
皮膚も薄くなり、血管や消化器官、そして、鈍く輝く黄金像が、うっすらと見えてくる。

「こりゃ、やりやすくなったな。このまま奴こさんに液を吐かせ続けりゃ、急所が見えてくるかもしんねえ。
バルムンテ、ミミックの背中側に回って特大のキツイのを叩き込んでやれ!
グランはサポートだ、バルムンテに消化液が被らねえよう上手く弾け!
例によって俺が疑似餌だ、奴をひきつける!」

【作戦開始!】

100スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/10/22(火) 19:02:51
ここまで!

101グラン ◆lgEa064j4g:2013/10/27(日) 22:56:03
代行済み

102スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/11/02(土) 15:51:59
代理をお願いしたい!
スレ:ttp://kohada.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1376928290/

>「けっ、またかよおっさん。
>どうにもこうにも人間ってヤツは自己犠牲心が強ぇ生き物だぜ。
>俺ら巨人族からしたら考えられねぇ思考だわ。
>そもそも物事ってものはよ。自分の利益ために成功させるもんじゃねぇのかよ?」

スタンプはバルムンテへと振り返り、眉を吊り上げる。
いつかどこかで、似たような言葉を聞いたように思えた。
中々思い出せず頬を掻く。

>「安心しろよ、スタンプは悲劇の自己犠牲ヒーローになんてなったりしない。
  だって似合わないだろ!?」
「悪かったな、似合わなくて」

弾はポケットに入れていた予備を含め、残り9発。
ここからは慎重にいかなくてはならない。
ミミックが鞭のように触手をしならせる。反射的にそれを撃ち、後ずさる。

「ま、自己犠牲と俺が縁遠いのは確かだ。損得勘定抜きにして、誰かを助けたいと思ったことなんざ、一度も無いからな」

何の気なしに、グランの方を一瞥した。
はたと、自分は何を暢気に語っているのだと我に返り、小さく舌を鳴らす。

「……年をとるとどうもお喋りになっていけねえな。続きは後だ!」
>「まあいいわおっさん。今回も遠慮なく利用させてもらうぜ。
……いくぜグラン!」
>「応ッ!」

その言葉と同時に、ミミックの露出した目玉に向け、一撃を放つ。
合図のように、バルムンテとグランが飛び出す。
ギョロリと残った一つの目が、どちらを追うべきか算段している。

「こっちだ、デブ!」

敢えて目玉のスレスレを狙い、こちらに集中させる。
ミミックに深く思考する能力はないのか、すぐさまスタンプに意識を向けてきた。
相当怒りに駆られているらしく、他の二人の存在を忘れ、肥えた触手が迫る。
擬態能力の影響か、触手は蛸だったり烏賊だったり名伏しがたい何かだったり、もう無茶苦茶だ。

>「てめーこらっファントム!黄金の像はなぁ、
運動会の大切な商品なんだよぉ!おめーだってよぉ、
まともに盗む気があんなら、もっと丁重に扱いやがれぇ!」

どこぞで隠れているかもしれない怪盗に向かって、バルムンテが吠える。
そして丸太の如く太い足で、ミミックの軟らかい背中を容赦なく蹴り上げた。
蹴られた箇所はみるみる、黒くぶっくりと膨れていく。
その時、ミミックが突如、天井へ大口を開けた。
何事か察する間もなく、消化液が噴水のように噴射され、バルムンテへと降りかかる。

「逃げ――!」
>「――重力操作!」

グランが動いた。
限定範囲で消化液のみを無重力化させ、跳躍し、球体となった消化液を蹴りの風圧で消滅させていく。
それを安堵の溜息をつき、見届け、バルムンテへと駆け寄る。

103スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/11/02(土) 15:53:07
「おい、背中見せてみろ!」

幸いなことに、消化液は服に穴を開けただけのようだ。
心配はなさそうだと判断すると、バルムンテから離れ、消化液の処理に追われるグランを見やった。
グランがもう一度、今度は黄金像に重力をかける。

>「今だスタンプ、撃て!」

大量の体液を消費したおかげか、急所が丸見えだ。
最後の抵抗なのか、ミミックの触手が鋭い槍に変化し、まっすぐバルムンテの喉を狙う。
同時に、銃声。あと数ミリで巨人の喉を捉える直前、弾丸がミミックの皮膚を突き破り、脳へとめり込んでいた。

「まったく、今回ばかりは素直に感謝しないとな」
フン、と鼻を鳴らす。その横顔は、どこか嬉しそうだ。
脳が機能しなくなったミミックの体は、グズグズと沸騰するように溶けていく。

「今さっきのな、損得勘定の云々。あれは嘘だ」

ぽつりとスタンプは、そう漏らした。

「人間ってのは弱いからかな、自分より弱いもんを見ると、つい助けたくなる性分らしい。
 俺も大昔、一度だけ、損得だとか利益だとか、そんなもん一切抜きにして、助けたい奴がいた」

目を細める。

「呆れるほど真っ直ぐで、単純で、お人良しで、困った奴を放っておけないバカでさ。
 その癖、自分のことなんざ全く省みない。弱いし、後先考えないし、すぐ騙される。
 けどな、そいつの周りには何時も、人がいた。そいつの周りは誰もが、幸せそうだった」

ミミックの体が蒸発していく。カラン、と乾いた音を立て、黄金のハクトウワシ像が転がる。
巨大な怪物がいた場所には、像と黒い染み以外、何も残っていなかった。

「昔の俺は、そいつみたいになりたかった。ただ誰かを助けられる人になりたかった。
 もしかしたら、目指していたものはもっと違うものだったかもしれない。
 ……どちらにしろ、所詮は叶わぬ夢だったがな」

拾い上げようとしてみると、ヂリッと火花が散り、触れるものを焦がそうとする。
どうやら、ゲオルグの拘束呪文の発展版らしい。腐っても魔術師、上級レベルの魔法だ。

「理解できないか?ま、ギルドのルールを守り通すのは、あくまでも只の『こだわり』さ。
 弱い奴は弱いなりに、譲れないもんがあるんだよ。どんなに馬鹿げていてもな。
 物事を利益だとか損得だけで考えていたら、社会ってのは機能できないもんなのさ。案外」

おーい!と頭上から声がかかる。
どうやらゲオルグはようやく動けるようになったらしく、舎弟たちと共に降りてくる。
真っ先に降りてきたゲオルグは、気まずそうに顔を真っ赤にしている。

「……恥ずかしいぜ、俺ァよ。大事な像が奪われそうだってのに、半ベソで何も出来ねえなんて。
 盗まれるかもしれねえってのに、他の奴らに任せっきりにしてよお……俺ァ……馬鹿野郎だ……」

すっかり先刻の醜態を思い出して、凹んでいるらしい。
スタンプは少しだけ眉を顰め、ケッとぼやいた。

「ガタガタ弱音吐いてねえで、さっさとコレが本物か確かめろ。熱すぎて触れやしねえ。
 ミミックの胃液ですら溶けねえ呪文って、タチ悪すぎだろ。全く、メチャクチャな魔法だな」
「う、うるせえな!像は素手で触ったら最後、ソイツを所有者と認めるっつー魔法が掛けてあるんだ。
 関係ない奴が触ったら、もう渡せなくなっちまうんだよ。こんくらい警戒するのが普通だっつーの!」

ぎゃんぎゃん喚きつつも、ゲオルグは指をクイッと曲げる。
黄金像が宙に浮かぶと、ゲオルグはゴーグルを掛け、地球儀のようにクルクル回して点検している。

104スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/11/02(土) 15:54:57

「あちゃぱー、ミミックまでヤっちゃったかー。それにしたって、坊ちゃんがヌルヌル嫌いとは……チョイスを誤ったな」
「予想外の倒し方だね。どうする?」

屋根の上に、三人の男女がいる。
水晶に映る巨人や少女を眺めながら、青年と少女が額をつけあって会話する。
夜風が吹きすさび、少女の金髪が弄ばれる。

「……プランを変えるか?」
「ノン!ナンセンスだ。せっかく彼らを巻き込んだ意味がなくなる」

巨体の男が口を挟むが、青年は指をチッチッと横に振る。
青年は緑色の髪を撫で付ける。掌の下から、髪に沈殿していた緑色が青に変化し、煙となって霧散する。
少女はクスクス笑い、水晶を覗き込んで、人間たちの行動を監視している。

「そもそもさー、怪盗ファントムなんてふざけずに、別の方法で回収したほうがよくなーい?」
「否。こんなふざけた方法だからこそ、良い。誰も本当の目的に気づかず、只のイカレポンチの乱痴気騒ぎで終わる。ハッピーエンドだ」

青年は唇の端を歪める。巨体の男は馬鹿馬鹿しい、とばかりに鼻を鳴らした。
ツインテールを指でいじりながら、少女も理解しがたいと言いたげな表情だ。

「だからって過去の自分をネタにしなくてもいいだろうに。Phantom/thief/Phantomって……ネーミングセンス最悪」
「う、ううう煩いな!若気の至りだよ、昔の僕は英語分かんなかったの、ノリでつけたの!仕方ないじゃん!」
「いい年したオッサンが「の!」とかキンモー」

その後の会話については省略する。
ああでもないこうでもないと言い合う二人を、大男が諌める。

「で、次はどうする、怪盗さんよ。このまま何もせずに、当日を待つか?」
「ンン……それは彼ら、ギルド側の動き次第だ。僕らがやれる事は一つ、『あの像に疑念を抱かせる』ことだ」
「『ギネン』ねー。このアホ面共に何が出来るっての?」

少女は水晶を指差す。そこにはスタンプ、バルムンテ、グランらが映っている。

「彼らには是が非でも、踊ってもらわねば。僕らはその為の舞台を整え、客人たちをもてなすだけだ」
「楽しい舞踏会になればいいけどね。で、指揮棒はいつ振るの?私たちはいつでも準備できてるよ?」
「まだだ。彼らはようやくディナージャケットに袖を通しただけにすぎない。ダンスの相手を見定めてもらわねば」

青年はずれた仮面を直し、意気揚々にメロディを口ずさむ。

「あの像の秘密を、栄誉の棚に収めて終わりにはさせない。暴かせなければ。表の人間たちに」

顎を引くと、少女と大男は青年の後に続く。

「忙しくなるぞ。『オリンピア』、『ウールヴヘジン』。幕によっては君らにも踊ってもらわねばなるまい」

【ミミック撃破。怪盗ファントムサイド、ミミックの退治を確認】

105スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/11/02(土) 15:55:11
ここまで!

106グラン ◆lgEa064j4g:2013/11/02(土) 23:50:46
代行完了!

107スタンプ ◆4z2BSlJwrs:2013/11/04(月) 20:50:14
代理ありがとうございました!

108流川市 ◆njA.FTCFcw:2014/12/01(月) 02:09:12
【サーバーエラーのため一時保管 規制ではないので自分で投稿致します】

ぶん投げられた腸は市香の足元すぐ近くにべちゃっと着陸。
そのまま屋上の手摺に引っかかった。なんと、伏見はそれを伝って登ってきたではないか!
数いる怪人の中でもトップクラスにエキセントリックな行動である。

「い、いたくないんですか……?」

市香は隣に降り立った伏見に思わずそう問いかけた。
使った腸を腹に戻しながら彼女が言うには、どうやら慣れればそうでもないらしい。
普通の人は慣れるほど割腹したら死んじゃうのだけど……。
脳味噌を隔離できる怪人もいれば、自分のはらわたを出し入れ自由な怪人もいるんだろう。
世の中って本当に広い。

>「敵はその羽の下にいる。その指向性爆薬を使えば屋根板と天井をぶち抜いて奇襲が出来るだろう。
 それにこちらの側面は一面ガラス張りだ。そっちを使ってもいい。まぁ、要するに……全員始末しろ、やり方はどうでもいい」

(わお、ざっくばらん!)

鳴上から放られた爆薬に、市香は手早く信管をセットして起爆スイッチのコードを引いた。
この手の工作は中学ぐらいの頃に所属していた女子グループで散々教わったものだ。
女子たるもの、アジとC4の三枚おろしは必須科目である。

>「あっはぁ、よろしくねぇん」

爆薬を弄くる市香に、先ほどの腸投げ女こと伏見が声をかけてきた。
腹の傷はとっくにふさがっているが、さっきからもぐもぐやってる唐揚げみたいなのから赤いものが滴っている。
ろくに血抜きもせずに調理したらしく、全然噛みきれていない。

「あ、新人の流川です。ヨロシクオネガイシマス……」

市香は先刻の伏見の凶状に、かなりショックを受けていた。
端的に言うと、ドン引きしていた。
そのせいでまともに顔も見れていなかったのだが、挨拶されたからには目を合わせなければなるまい。

(あれ?この人、どこかで見たような……)

会ったことはない。だが、その顔には見覚えがある。
脳裏に鳴上色の電流が走り、市香の海馬はわりと早くその情報を引き出しからもってきた。

(思い出した!伏見狂華、シリアルキラーの!!)

少し前までワイドショーが連日大賑わいだったのを覚えている。
伏見狂華。年号が変わってからの犯罪史において、おそらく最も多くの人間を、惨殺してきた殺人鬼だ。
その殺戮に因果はなく、思想もなく、ただ享楽的に、悦楽的に、人を殺し、殺し続けた最悪の連続殺人犯。
異例の即刻死刑判決でお茶の間で目にすることはなくなったが……。

(なんでそんな大犯罪者が支援局に!?)

>「そんなに怖がらなくてもいいんだよ〜今は殺すのは仕事のときだけって決めてあるからさぁ
 あと、私が先にしかけるからさぁ、流川ちゃんはケースバイケースで動いちゃってよ」

市香が身構えた気配を察したのか、伏見は目を細めて微笑んだ。
笑うという行為は本来攻撃的なものである的な解説が脳裏を過った。

「わ、わかりました……お任せします、伏見さん」

市香はその提案に従うほかなかった。
異存などないし、現役の殺人鬼に逆らう度胸などもっとあるはずもない。
予定通り、屋根に突き刺さった羽根の傍で、号令あるまで待機。

109名無しさん:2014/12/01(月) 02:09:29
>「今だ、突入しろ」

イヤホンから上官の指示が飛び込むと同時、市香は爆薬の信管を起動した。
ズン!とくぐもった音がして屋上の床が抜け、開いた穴へ伏見が飛び込むのに続く。
下階へ着地すると、瞬間的に周囲の位置を把握。

雨場の扮する三人の男が敵怪人一人を殺害。
先行した伏見が窓際の取引相手に飛びかかっている。
突然の強襲に対応できていない男が二人、固まって唖然としていた。

(大物は伏見さんに任せて――まずは周りの連中を片付ける!)

伏見は口ぶりからするに戦闘員としても経験の深い支援局のベテランだ。
その彼女が先に仕掛けると言うのだから、連携の甘い市香が下手に加勢して足手まといになる法もない。
市香は二人組のもとへと疾駆、鉄パイプを抜く。

「野郎!」

二人組の片割れが硬直から立ち直った。
懐から車のボンネットも貫けそうな、ゴツくて分厚いナイフを抜き放つ。
次の瞬間、市香は既に鉄パイプをフルスイングする体勢に入っていた。
敵が受け止めんとナイフをパイプにかち当ててくる。それは失敗だった。
全力でバックステップするなどして、市香の鉄パイプを"回避"することに意識を注ぐべきだった。

「ブルームスター!」

呼び声に応えるように、鉄パイプが蒸気加速。
ぶち当たったナイフを粉砕し、敵怪人のあばらにパイプがめり込む。まだ加速する。
そのまま、すぐ傍でようやく硬直を解いたもう一人の敵ごと、まとめて二人をフルスイングでふっ飛ばした。
二人組は手近な壁に人型の跡をつけて叩きつけられ、そのまま崩れ落ちた。

「あと2人!」

うち一人は雨場に距離が近い。彼に任せておけば大丈夫だろう。
もうひとりは仲間を見捨ててレストランの出入口から退散しようとしていた。
距離が離れている――だが、敵は背中を向けている!

市香は実働服のポケットから数個の金属球を取り出した。
パチンコ球ほどの大きさのそれは、転がり軸受に使われるボールベアリングだ。
ホームセンターでも購入できる鉄の塊を鉄パイプの中に装填。

「そ――れっ!!」

蒸気加速によって撃ちだされたベアリングは、まさに巨大な散弾である。
逃げる背中へ向けて殺到した金属球のうち、二発ほどが肺のあたりにヒットして、逃走怪人は転倒した。
鉄の固まりであるベアリング球が高速で衝突した衝撃は凄まじく、骨に当たれば骨折、肺に当たれば絶息は必至。
特に逃走によって酸素を多く必要としていた肉体に、急激に呼気が供給されなくなって、敵は酸欠を起こし、卒中した。

「これであとは――伏見さんっ!!」

巨漢と対峙する伏見の集中力を削がぬよう、最低限の言葉で、『露払い完了』を伝えた。


【露払い。一部撃破未確認】

110伏見狂華 ◆ei6R4.AG.s:2014/12/08(月) 22:47:14
代理お願いしまーす orz
【代行先スレタイ】【特務機関:怪人運用支援局TRPG】
【代行先URL】ttp://kanae.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1412424617/l50
【名前欄】伏見狂華 ◆ei6R4.AG.s
【本文】
「マジぃ!あっぶなぁ〜ー、あと少しで産地偽造だったじゃぁ〜ん!」
まさか自分から国籍言っちゃうとかね、儲け儲け・・・って訳じゃないか
そこまで言っちゃうってことはつまりアレだ…完全にナメられてるってことか
まぁ初撃ミスってんならそうなるか
包丁を構えつつ、私は口を開く
「ねぇねぇ、ロシア人って家庭じゃボルシチにマヨネーズぶち込んで食うぐらいマヨラーってマジなの?」
そんじゃあ、もうちょいナメられてよう。そんだけ油断させられる訳だし
何より・・・相手が肉体変化寄りって時点で分が悪いしね
「てことはさぁ、かえってそっちのほうがよかったりするんじゃね?」
おそらく強化2の変化と変質が4:4っぽくはないかな、まだ人の形をしてる訳だし
今のところ3:5ぐらいで見積もっておくかな
>「これであとは――伏見さんっ!!」
そんなやり取りしている間に、流川ちゃんはザコ掃除を終えたようだ
よしよし、流川ちゃんの手が空いたってことは、当然先に仕掛けてた雨場sも
>「おや、いいのかね。君のお友達が一人、滅多刺しにされている最中だが……」
絶賛フルボッコな訳ですよ。
ちょっと勘弁してよ、その戦術私にも有効だからね!不死身って言っても達磨にされ続けてたら文字通り手も足もでないからね
>「ルゥカ、ソイツはもういい。上にまだ何匹か残っているようだ。そちらをやれ。生かしておくのは一匹でいいぞ」
と内心、頭を抱えもんどりうってる私を尻目にオッサンは『ルゥカ』という名前の刃物野郎を屋上に行かせた
その光景を目の当たりにした私は思わず笑みが出る。
そりゃそうだ、思惑通りに事が進めば、誰だってそうなる。
>『……雨場、階段から落ちた一匹はまだ息がある。一応確保しておけ』
上には当局自慢の「雷神」雷花ちゃんがいる、あとついでに目がすごくいい十崎ってのも・・・
「アッハッ・・・ハァッ゛!?」
さっきと言ってることが違うんじゃね?コイツから情報を得るとか言ってなかった
アララララ…もしかして、雷花ちゃんもこの状況を不利と判断しちゃってたりするわけぇ?
「るぅかわちゃ〜ん、私たちどうやら期待されてないっぽいよぉ」
とそんな愚痴をこぼしている場合ではない、奴さんハリセンボンのように膨らみ始めちゃってる。
まさか、その状態で突っ込んでくる気ぃ?それはそれで芸がなさす・・・
「カヒュッ」
気がついたときには体中に穴が開き、そのまま勢いで後ろへ倒れていた
まいったね・・・まさか全方向へ撃ちだすとは考えてもいなかった。
おかげでこのざまだわ・・・でも、これでいい
大なり小なり、相手は「一人仕留めた」と錯覚している訳だ。
まぁ錯覚していようがいまいが関係なかったりするんだよね。
何故なら今そこにアンタの攻撃を凌いだ奴がいるんだからさぁ〜、口だけのザコAに気をつかってる場合じゃないっしょ?
「でもざぁんねぇん、ザコAはホラー映画の怪物でした!」
相手の意識が完全に外れた瞬間、私は即座に起き上がり肉薄し、洋出刃を振るう!
んなもんきかねぇよアホが、とか思った?思うよね?私もそう思う。
だから、今度は刃先(斬る)じゃなく刃元(カチ割る)でやる。
加えて、狙いは間接以上にガードも強化もしにくい『目』、たとえ斬れなくても一時的に視力は奪える・・・かもな訳よ!
【死んだ振りからの目潰し
 なんか規制食らっちゃったみたいなんで、避難所的な何かが欲しいです。】

111名無しさん:2014/12/09(火) 00:05:52
>>110
何やらシステムエラーと出て投下できず。
また明日試してみます。

112名無しさん:2014/12/10(水) 19:48:35
>>110
代理投稿しようと何度か書き込んだら【さくらが咲いてますよ】と表示され規制されました
よく分かりませんが伏見さんのレス内にNGワードがあるのが原因っぽいです

↓のスレでNGワードが含まれてるかどうか確認できるそうです
http://maguro.2ch.net/test/read.cgi/mango/1415286924/

私も一応試してみましたが規制後なので他の方が試した方が確実かも?

113伏見狂華 ◆ei6R4.AG.s:2014/12/10(水) 21:23:43
もしかして、分割して投下すれば何がNGかわかるかも・・・と分割して投下したら書き込めました。
まさか、改行の多さがさくらの原因だったかな?
とにかく、皆様お手数をおかけしました。おかげさまで無事投下できました。
ありがとうございます。そして、無駄に世話を焼かせてしまって申し訳ありませんでした。

114名無しさん:2015/11/23(月) 23:42:06
全国の皆さん、オワコン社長をよろしくお願いします。気に入ったらチャンネル登録!!
http://www.youtube.com/watch?v=aSMLi2uOkvk
http://www.youtube.com/watch?v=cbwrnLKERpA
http://www.youtube.com/watch?v=gPevsHpSj-Y
http://www.youtube.com/watch?v=9ekKaVB5uHg
http://www.youtube.com/watch?v=cP0NAOzKQAE
http://www.youtube.com/watch?v=hekgfuTcX6o
http://www.youtube.com/watch?v=1uzYFjN7z5E


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