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【R-18】なろンズの地下物語【雑談・投下】

3570なろンズ ◆S4aNEeMpos:2020/12/30(水) 22:12:35 ID:Y2mFXSC6

ついに始まる岬の洞窟への突入。そこに待ち受けているものは深い闇。内部にはには狂暴極まる無数のモンスター達が腹を空かせて待ち構えている。そ
いかに冒険者といえども所詮、一介の遊び人に過ぎない私がこのような危険な場所に赴くなど本来はあり得ないことなのだ。自分でもわかっている。だから
しかし、世界を救うために立ち上がった勇者殿がそれをせよと私に命じられたのならば、私はそれをしなければならない。例え本心はどうあろうと。そしてな
何故なら、勇者殿に逆らうことは社会に、ひいては世界に逆らうに等し __ からだ。もし逆らえばどうなるのか、この私をして想像に難くない。何ということ
そう、きっと昨日までは友人だったあの人が、家族同然だったあの / / ̄⌒\.ながみんな、私に向かって後ろ指をさして笑うようになるだろう。だからこそ
勇者殿はいわば魔王の脅威に対抗するため社会は選出した最. /⌒⌒\_ _ 、の代表者なのだ。そんな方に逆らった私は、社会不適合者の烙印を、
押されて弁明の機会を与えられることもなく全ての人権をは. 、丶`⌒ ̄⌒`丶、L  ⌒\.して扱われることになるのだ。考えるだに恐ろしい。だから私はこうし
私は何を思っていようともそれを表に出すことなく、一切を./          \}    ,.出て進まなければならない。痛みも、苦しみも、外に出すワケには
ことなく、勇者殿の命じるままに、肉壁として、いや、肉 /    /           ',   |.ばならない。そうすることでようやく、私は一人の人間でしかないのだ
として最低限の生きる権利を得ることができるのだ。し.' /  /          ヽ  ハ   | き残るという結果に繋がるワケではない。何故ならこのままではな
岬の洞窟には外とは比べ物にならないほどの凶悪な/ '    {      /  ,  ∨ j{  |..。きっと彼らにしてみれば私は極上の餌。いや、贄である。ならばそ
ああ、想像するだに恐ろしい。暗闇の中、本能的な |ノ|    ノ /   ∧   ',  i/j{  |.足を何とか動かして前に進めようとする私の肢体を狙っているに違
今まさに飢えたけだものが闇の奥から.\、人/..っ.__ lヽ|/|/ l∧   / l∧  lヽノ|/ !   l...るが、背後には悠々と腕を組んでいる勇者殿の気配が! 私はも
そして私は思い出す。自分が何者で、 `):ビクンて.⌒`| 小 ⌒^ ', l、   \lノヽ|  ノ.となど許されない。それは私の社会的な死に直結する愚行だ。そしてま
退こうとする身を力を入れて強張らせ. //Y^\  ....| |ぃー=-   V `丶  l  l//∨当然、すでに全身は汗にまみれている。その匂いが、闇の中にる魔
向こう側から迫りつつあるけだも 、丶`         | |叭/:/:/   ー=‐  /  ,/ /',と、けだも.f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ.息を荒げながら迫ってい
させながら、ついに私へと肉.、丶`     /       八 V 、  '  /:/:/ /  / /   ',び人。戦..|  んッ、ま、任せてくれ……... 野生のけだもの共が私を
の先手を取ることなど 、丶`       ___/     /    、 \\` ‐一  ィ′ //      ',  が私 ヽ___________ノ..い牙が衣服に食いこんで
食い込み、穴を開ける..⌒ ̄ ̄ ̄ ̄/       /    /^}ハ} }≧=≦==/   / {ー―――‐j...て私に悪寒と吐き気を催させる。迸る恐怖が私の頭の中を真っ白
真っ白に塗り潰し、身動きが取 /     ___/    /{/_に二「」⌒ヽ,'  /{ }      /. が黒く汚れたけだものに切り裂かれ、線のような傷からは真っ赤な
ぷつぷつと血の球が膨らんで./    /⌒ ア   /i:i{ <//⌒\_j__/}ノ jー――/.痛い痛いと私は嘆こうとするが、勇者殿の視線が私にそれを決して許
許してくれない。私は贄。哀/ _ /   /    /i:i:i:i:{⌒</、 〈〉\__>>V  /  /i)_ だもの共に引き裂かれ、苦痛の中に助けも呼べず防具は破壊されて
壊され、着ている衣服もす..⌒ ̄/   /    /i:i:i:i:i:i:i:{   \ \// ̄7  {  ,:i:i:i/i:i:}  された肌に触れて結露し、滴となって伝っていく。その冷たさはまるで
冷たさこそはまさに今の私の置.ー /   / ∨:i:i:i:i:i:∧     lハ/     \__ v/i:i:i:i:i:i/ 、私の命は肌を伝う滴のように、刻一刻と零れていくのだ。それは何と
そこで勇者殿が言う。戦ってい. /   /   l∨i:i:i:i:i:i∧__厶 ̄⌒ ー ⌒ ̄ \、人/ 、言うべき  勇 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽゆえに
ここまで来てなお、勇者殿は私.  ̄ ̄ ̄    ((_∨i:i:i:i:i:iノ⌒i:} }    | |     }.`):ビクンて.って私の命..|  アクセルベタ踏みすぎで怖ェよ、おまえ   勇者殿
いや、或いはけだもの共にいいようにされて /⌒∨i:i:i:i:i:i:i:i:i:} }    |_|     ノ//Y^\...>いうことで ヽ__________________ノんなこと
勇者殿の言葉も納得できる。彼は最初から../   Vi:i:i:i:i:i:i:i/__ノ _ ノ\ ̄ ̄/  ノ.たのだ。何ということだ。これが世界を救う英雄の本性か。私は騙されてい
これが、人間社会が選出した最上位の上 /      ̄ ̄}\_ ア⌒\/ _/ / / 。この世界は歪んでいる。しかし私はそれを知りながら何もできずにいるの
できない。ああ、何という無力。私は世界../{          }  |      )⌒) ̄ /.だけの哀れな奴隷人形。こうしてけだもの共に食われる末路がお似合い――


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