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書き込みテスト

2589尋常な名無しさん@┗( ^o^)┛( ・m・)【 令 和 】J('ー`)し('∀`):2019/11/27(水) 00:09:51 ID:QdD9x4t.0
場面転換


シワだらけになった手で花の冠を被せたトウトの干し首を撫でる。

「トウト・・・」

呼び掛ける。

トウトは生涯エルフの文化を受け入れる事はなかったが、死後干し首として残るのは受け入れてくれた。

どうせすぐ、魂は彼岸に行くだろうが、フェエリアの慰めになるのなら自分の頭で干し首を作ってもいいと言っていたが、
死の間際、できるだけ首に魂として残ろうとしてみると言っていた。

この歳になってみれば、死後、肉体に囚われず、彼岸に行くと言う彼ら人間の信仰も理解できるが、
彼らより長く生きて、愛するものと死別してからの時間も彼らより遥かに長いエルフとしては、やはり、魂が肉に残ることなく、すぐに彼岸に行ってしまうのは寂しく思える。

この違いのせいで70年前、死者を冒涜するな、悪趣味な文化を無くせと、人間側で運動が起こって、トウトの首を埋葬されかけたこともあった。

当時は本当に本当に怒り狂ったが、今になってみると、愛に狂った狂人が死体を玩具にしているようにしか見えなかったのだろう。

今ではエルフ文化として受け入れられたが、寿命が短い人間と混じったエルフが増え、人間の洗練された文化に触れてくるにつれ、死んだパートナーの干し首を作るエルフは減ってきている。

敵を干し首にすることは、部族固有の軍制が廃止され帝国軍として統合された110年程前に、軍法として正式に禁止されて、急速に廃れた。

禁止された時は残念に思ったが、トウトが喜んでいたのと、その頃には森は完全に帝国の支配下に置かれ、部族の敵がいなくなっていたので、敵の干し首を作る事も少なくなっており、まあいいかすんなりと受け入れられた。

だが敵の首を吊るしていた家の前の柱だけは、装飾が施されてエルフ文化として残っている。
変わっていく、何もかも、

だけど、この思いは最後まで変わらなかったな。

と、フェエリアは少し恥ずかしくも誇らしく思った。


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