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書き込みテスト
2583
:
尋常な名無しさん@┗( ^o^)┛( ・m・)【 令 和 】J('ー`)し('∀`)
:2019/11/26(火) 23:43:06 ID:eQSsVEa20
言い出しっぺの責任を取らねばならぬ
冬を前に葉を落とした木々が、冷えた空気と共に後ろへと流れていく。
市営の運動公園にあるランニングコース。傾き始めた日が照らすそこを、私は幼馴染と肩を並べて走っていた。
そっと隣を盗み見る。私と同じ学校指定の赤ジャージ姿の、私と拳一つしか変わらない背丈の幼馴染。
女子のような童顔には赤みが差し始め、呼吸も乱れ始めているけれど、あと一周程度なら、今のペースで走り抜けることもできるだろう。
気づかれる前に視線を戻す。生まれてこの方、習性のように走り続ける私。そんな私に、用事がなければ必ず同行するコイツは本当に付き合いがいいと思う。
……私が知らないだけで実は走るのが好きなんだろうか? いや、それなら陸上部からの勧誘を断らないか。
そんなことを考えていると、視界の隅でコースに落ちていた枯葉が舞うのが見えた。遅れて吹き抜けた強い向かい風に、後ろ髪を引かれて首を持って行かれそうになる。
腰まである暗い栗色の髪を高い位置で纏めているから、走ってる時に向かい風を受けると諸に影響を受けるのだ。船の帆じゃないってのに。油断すると首の筋を違えるから怖い。
短くしないの、と。同級生に問われた事もある。汗で張り付く、洗えば乾かすのに時間を取られ、手入れも面倒、走れば風に引き摺られ。うん、邪魔だ。とても邪魔だ。でも、自分から切ろうと思ったことはない。そもそも指摘されるまで、その考えすらなかった。
なぜだろう? 理由があった気もするけれど思い出せない。ここは私よりも私に詳しいことの多い幼馴染に訊いてしまおう。
「なあ、私が――って?」
あれ、いない。隣を走っていたはずの幼馴染の姿はどこに? 足を止めずに振り返ってみれば、緩やかな曲がり道の向こう側、木々の隙間に姿が目に付いた。
無意識のうちに速度を上げて置き去りにしたらしい。まあいいか。どうせすぐに追いつくと前に向き直す。
しかし理由があるのに内容を思い出せないというのは座りが悪い。落ち着かない。けっこう大切な理由な気がするから尚更だ。
気分を紛らわそうと速度を上げていく。呼吸は乱れず、脈拍は平常のまま。風に巻き込まれた髪が重い。
少しして幼馴染の後ろ姿が見えた。見慣れた彼の背を目指して距離を詰めていく。追い越して、速度を落として肩を並べる。私が髪を切らない理由を知ってるか、と口にしようとして、なぜか言葉に詰まった。
「やっぱり僕は、君が髪を靡かせて走る姿を見るのが好きだな」
独り言のような幼馴染の言葉に、理由を思い出して心臓が跳ねた。頬が熱い。地を蹴る足に、自然と力が籠った。背後からの驚いたような呼び声が遠ざかる。靡く髪は重く、けれど、今は不思議とそれが心地よい。
それは幼き日のこと、髪を靡かせて走る姿が綺麗だと、君は私に告げたのだ。
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