したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

書き込みテスト

2582尋常な名無しさん@┗( ^o^)┛( ・m・)【 令 和 】J('ー`)し('∀`):2019/11/26(火) 23:35:39 ID:ywWeG7qo0
 テスト


「あんたって子はほんとに不器用で頑固よね」
 姉ちゃんにはいつもそう言われていた。
「言ったでしょう?
 できる問題からやりなさいって。
 わからない問題は後回しにしなさいって。
 最初から何もかも完璧にしなくていいんだって。
 なんでかたくなにやり方を改めないのよ」
 ため息を挟み、男子生徒や男性同僚の注目を毎日集めているすらりとした足を組み替え、俺を見下ろして姉ちゃんはよく言ったものだった。
「――ええい、ならばこの言い方ならどうよ。
 テストっていうのは、あんたがどれだけ授業の内容を理解しているのかを知りたいからやるものなの。
 あんたが三問め
 ――なになに、『傍線が引かれた"この"が何を指しているか答えなさい』?――
 でやたら深遠なテツガクの迷宮に迷い込んじゃって残りを白紙回答したから、こうして物理教師のあたしが採点の真っ最中に呼ばれたわけだけど。
 国語の山中センセは、それ以降の試験問題で、あんたがどのくらい自分の授業を理解してくれているかを測れると楽しみにしてたのよ。
 あんたはそれを裏切ったの。
 その不義理についてあんたはなにか思うところはないの?」
 見下ろされる俺は当然正座だ。視点は姉ちゃんのくるぶしに固定されている。この角度から姉ちゃんの顔を見上げるのは、大変気まずい。
 姉ちゃんは頻繁に足を組み替えるため、実弟の俺を呼びつけて説教する際に、「うらやまし、いっそ俺が代わりたい」などと言われることもしょっちゅうだ。
 冗談ではない。
 そのためにこうして現代文の成績を生贄に捧げ、放課後の職員室へ召喚されているのだ。
 我ながらダメな人間だと思う。
 姉ちゃんの善意につけこんで、姉ちゃんのくるぶしの造形美を思う存分堪能している自分は相当な変態に違いない。
 こんなダメ人間を姉ちゃんはよくもまあ見捨てないものだと自分でも不思議に思うくらいだ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板