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【TRPG】下天の勇者達【クロスオーバー】避難所

159ウェイター ◆myryGPbgIc:2019/10/31(木) 20:55:16 ID:ME5BxzTo0
【アフター・ブレグジット(Ⅰ)】


『ブレイヴ!』

爺さんが叫んだ。俺は即座に8番の空き椅子を一つ蹴り倒した。店内の視線が集まる。

『何をしておるんじゃ!?こんなところで!?』

「―――ああ、済まなかったな。注意不足だった。以後は気を付けよう」

二つのジョッキを卓上に置いて、ゆっくりと椅子を立て直す動作をして見せる。
それで周囲の耳目と興味は発散した。この程度の騒ぎならば常況の範疇だ。

「見ての通りの不慣れな給仕だ。湯冷めで風邪を引いたアンジェラの代打をしている」

『いや、それよりナナシが……!』

キッチンに視線を送った爺さんの靴元を盗み見る。少なくとも、一般の旅客では無い。
道中、ナナシの絡んだトラブルに遭遇したとすれば、その上で生還している事になる。

『ナナシだって……!?』

『……気のせいか』

あるいは、彼等の旅程自体がナナシの調査ないし討伐であるかだ。
何れにせよ、其処に俺が同行していた可能性は高い。情報が要る。

『ここはお主の店なのか?まぁ、よい。話すことがいろいろある』

「肩身の狭い居候だ。儲け話ならば、聞かせてもらいたい所だが」

『座るが良い。さもなければ……ビールをもう一杯頼む』

「今は、出来ない。交代要員の出勤は夕暮れ時だ。追加のビールは承った。
 旅人と見受けたが、宿を探しているならば当店での宿泊を勧めよう。
 社会情勢不安の煽りで、一泊より完全先払い制となっている」

『ブレイヴ殿……そなた、やはり真顔で冗談を言うタイプか。
ドッキリは大成功だからそろそろ素に戻ってくれないか?
そなたは元々ここの従業員だったのか? それともまさか店主……?
まあいい、王城お呼ばれイベントが発生している』

「少し落ち着いたらどうだ……急ぎでは無い筈だ。
 登城の直前にアルコールを入れるとも思えない」

現時点の情報は断片的だが、幾つかの推測が可能だ。
一つ、彼等は王国軍と連携した任務を帯びる実働部隊の末端だ。
一つ、彼等に任務の守秘義務は無い。有るとすれば遵守意識が著しく希薄だ。

『もしや……私達のことを覚えてないのか!?』

―――"ブレイヴ"。それが俺の呼び名だったらしい。
老人の方は、状況に対する一定程度の判断と妥当な対応が見込めそうだ。
問題は、動揺と焦燥に駆られて思考が混乱している中年の方だった。俺は覚悟を完了した。


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