したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

ラジオスレ 23

635 ◆OSaKadAteQ:2019/05/02(木) 02:00:48 ID:1dvkc6CU0

「ああ、そうだ、それなら良い所があるんだ」
「なんだよ、良い所って」
「ついてこれば分かるよ」

そう言って、二人(正確には、一人と一匹だが)を連れて、例の場所に行く。
土から掘り起こした貴重な喋るウンコの一部を転がしながら、だ。
例の場所についた時、喋るウンコはまあまあのサイズとなっていた。

「おおっ、なんだこれ」
「ブモォォォォォォォォォ」

二人(正確には、アホが一人と牛が一匹だが)が、感嘆の声を上げる。
例の場所――大樹の根本に、集めた喋るウンコを置く。

まだ父が望むほど大量の喋るウンコは集まっていない。
だが、一箇所に固めていたからだろうか。
その土の下で何かが急速的に育ち、今ではこうして立派な大樹になったのだ。

「神を自称する糞から生まれた生命の大樹。これをアダムと名付け、卒論テーマにでもしてみようかと思う」
「よりにもよって林檎が成ってるってのは、なんだか運命的なものを感じるな」

ケラケラと彼が笑う。
確かにな、なんて言いながら、林檎を一つもぎとった。

「……食うかい?」
「おいおい、大丈夫なのかよ、これ」
「さあね。知恵の実って言うくらいだし、色々賢くはなると思うよ。それが幸せかどうか分からないけどね」

父から聞かされた、医者の持説。
その意味は、正直あんまり分かっていない。
ただ、きっとこの林檎は、彼の病気を治してくれるのだろうと何故か直感できた。

まあ、自分が人間であり牛ではないと理解できるのは、頭が良くなったといえるだろう。
さすが知恵の実といったところか。

「なんだよー、こえーなー」

そう言いながらも、彼は林檎を受け取った。
彼の性格を考えると、遠からず林檎を口にしてしまう気がする。
食べたあとも正気を保ち、そして花子とも円満に別れてくれることを願う。

「つーかさ、お前は食わねえの?」

彼の疑問ももっともだ。
この大樹・アダムは、私がせっせと喋るウンコを運搬して作ったもの。
その果実を食べる権利は、私にこそあるだろう。
土地とか持ってる大学の権利? 知らん。

「……私は、いいかな」

きっと父は、私にあの知恵の実を食べさせたかったのだろう。
それは、分かる。
そしてきっと、その結果、何か私の世界が変わるであろうことも。

「いいのかよ、お前、俺と同じで馬鹿じゃん。頭よくした方がいいんじゃねーの?」

おそらく、この判断は、誰が見ても愚かなのだろう。
このままだと、不幸になる恐れすらある。だとしても。

「いいんだよ」

世間の皆は、今の私を馬鹿にして、仲間はずれにしてくる。
だけど、私は、それを受け入れるつもりなど更々なかった。
時折後ろ足でウンコを運搬する自分を、悪いと思ったことなどない。
それを馬鹿だと思ったことも、一度もない。だから。

「病気とか、バカなのかとか、私はどうだっていいんだよ。賢くなりたいとも思ってない」

それは、本心だ。
例え神であろうとも、その考えは覆せまい。
私の人生が馬鹿なものだとしても、それでいいじゃあないか。

「馬鹿な話とは馬鹿な話をしていると気づかないから面白いのだから」

636 ◆OSaKadAteQ:2019/05/02(木) 02:03:47 ID:1dvkc6CU0
  _
  \)
   Y)
  _ Y
  \ヽ|
    ̄ム
   人)
   /    ()フ
  /   (\/
  |     ̄Zフ
  |    |
  \_/(__ノ
  /⌒ ⌒\\
__/ /⌒⌒\ \゙z_
\/ /ィハレVレハヾ Y_ノ
 レ K●  ●>|从|
 |人 ヽニフ ノイノノ
    ̄ ̄ ̄
    十ヽ -|-、レ |
    d⌒) /| ノ ノ


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板