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ラジオスレ 23
634
:
◆OSaKadAteQ
:2019/05/02(木) 02:00:17 ID:1dvkc6CU0
全知全能の糞は、大学の畑に肥料としてばらまかれていた。
その話を聞いて母は真っ青になって倒れ、医者は私の顔面に唾を吐きかけた。
ムカついたのでグーで殴ったらすごい勢いで殴り返されて泣いた。
どうやら喋るウンコは凄い存在だったらしく、倒れ伏す私を怒りに任せて医者は蹴りつけてきた。
いや、お前、喋るつったってウンコだぞウンコ、お前はウンコを崇めるんか。
そう思うと何だかムカついてきて、思いっきり蹴り返した。
その蹴りは、一撃で医者を昏倒させる。
ろくに喧嘩なんてしたことないのに、何故かその動きは、体に染み付いているようだった。
痙攣し、口から泡を吹き、医者が糞尿を漏らす。
無意識の内にその糞尿を足で弄んでいたら、目を覚ました母が更に真っ青になって奇声を発しながら倒れた。
「……なんとか……神の糞を見つけられないものか……」
父に連れられ、大学の敷地にやってきたのは、その翌日のことだった。
母は真っ青になったうえに泣きすぎて声が枯れ大山のぶ代みたいな声になったので入院している。
私はというと、まるで事態を理解できなかったが、しかし父の言うことに従うつもりでここにいる。
何故だかあまり世間に受け入れられない私なんかを、大学にまで通わせてくれた。
そんな父を尊敬しているし、父が望んでいるなら、理解できずとも力になってやりたかった。
「よお、何やってんだよ」
何日も何日も、土をほじくり返した。
その土に混ざった喋るウンコを、後ろ足で分別し転がしていく。
そんなことを繰り返していたある日、不意に声をかけられた。
「なんだ、お前か」
花子の件でブチギレていた、あの農業学科の生徒だ。
他の大多数の者同様、彼も私を理解してはくれなかった。
しかし、他の大多数の者とは異なり、彼は理解できないなりに、私を受け入れてくれた。
今ではすっかり、唯一無二の親友である。
「見てわからないのか。集めているんだ、喋る糞を」
「ふぅん。自分で捨てたくせに、変なヤツだな」
ヤツの言うことは一理どころでなくある。
ビニール袋にぶち込んだのは私だし、折角だから肥料にでもしてやるかと言ったのも私だ。
父が喋る糞を求めていなければ、こんなことしていないだろう。
「そういうお前は、何をしているんだ」
「おいおい、見てわからないのか、変なヤツだな。デートだデート」
変なヤツはお前だろう。
そうは思っても言わなかった。
彼は病気なのだと聞く。
時折自分を牛だと思い込み、牛の花子と付き合っていると思いこんでいるそうだ。
そして牛の花子の方も、自分は人間であり彼の恋人だと思いこんでいるという。
可哀想なヤツだとは思うが、まあ、病気なのだ、あまりイジってやるものではない。
それに両想いなのは事実だ。そっとしておいてやろう。
まあ、学校で飼ってる牛と頻繁にヤッてるのはどうかと思うけど。
635
:
◆OSaKadAteQ
:2019/05/02(木) 02:00:48 ID:1dvkc6CU0
「ああ、そうだ、それなら良い所があるんだ」
「なんだよ、良い所って」
「ついてこれば分かるよ」
そう言って、二人(正確には、一人と一匹だが)を連れて、例の場所に行く。
土から掘り起こした貴重な喋るウンコの一部を転がしながら、だ。
例の場所についた時、喋るウンコはまあまあのサイズとなっていた。
「おおっ、なんだこれ」
「ブモォォォォォォォォォ」
二人(正確には、アホが一人と牛が一匹だが)が、感嘆の声を上げる。
例の場所――大樹の根本に、集めた喋るウンコを置く。
まだ父が望むほど大量の喋るウンコは集まっていない。
だが、一箇所に固めていたからだろうか。
その土の下で何かが急速的に育ち、今ではこうして立派な大樹になったのだ。
「神を自称する糞から生まれた生命の大樹。これをアダムと名付け、卒論テーマにでもしてみようかと思う」
「よりにもよって林檎が成ってるってのは、なんだか運命的なものを感じるな」
ケラケラと彼が笑う。
確かにな、なんて言いながら、林檎を一つもぎとった。
「……食うかい?」
「おいおい、大丈夫なのかよ、これ」
「さあね。知恵の実って言うくらいだし、色々賢くはなると思うよ。それが幸せかどうか分からないけどね」
父から聞かされた、医者の持説。
その意味は、正直あんまり分かっていない。
ただ、きっとこの林檎は、彼の病気を治してくれるのだろうと何故か直感できた。
まあ、自分が人間であり牛ではないと理解できるのは、頭が良くなったといえるだろう。
さすが知恵の実といったところか。
「なんだよー、こえーなー」
そう言いながらも、彼は林檎を受け取った。
彼の性格を考えると、遠からず林檎を口にしてしまう気がする。
食べたあとも正気を保ち、そして花子とも円満に別れてくれることを願う。
「つーかさ、お前は食わねえの?」
彼の疑問ももっともだ。
この大樹・アダムは、私がせっせと喋るウンコを運搬して作ったもの。
その果実を食べる権利は、私にこそあるだろう。
土地とか持ってる大学の権利? 知らん。
「……私は、いいかな」
きっと父は、私にあの知恵の実を食べさせたかったのだろう。
それは、分かる。
そしてきっと、その結果、何か私の世界が変わるであろうことも。
「いいのかよ、お前、俺と同じで馬鹿じゃん。頭よくした方がいいんじゃねーの?」
おそらく、この判断は、誰が見ても愚かなのだろう。
このままだと、不幸になる恐れすらある。だとしても。
「いいんだよ」
世間の皆は、今の私を馬鹿にして、仲間はずれにしてくる。
だけど、私は、それを受け入れるつもりなど更々なかった。
時折後ろ足でウンコを運搬する自分を、悪いと思ったことなどない。
それを馬鹿だと思ったことも、一度もない。だから。
「病気とか、バカなのかとか、私はどうだっていいんだよ。賢くなりたいとも思ってない」
それは、本心だ。
例え神であろうとも、その考えは覆せまい。
私の人生が馬鹿なものだとしても、それでいいじゃあないか。
「馬鹿な話とは馬鹿な話をしていると気づかないから面白いのだから」
636
:
◆OSaKadAteQ
:2019/05/02(木) 02:03:47 ID:1dvkc6CU0
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