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ロボット物SS総合スレin避難所30号機
230
:
CR4 ―アークの覚醒― スタッフロール
:2015/05/23(土) 00:57:20 ID:BQ4VvnvY0
CR4 『アークの覚醒』
STAFF ROLL
キャスト
黒峰潤也
琴峰藍
時峰九条
黒峰咲
現実主義者/木崎剣之助
道化師/アテルラナ
鉄の処女/セレーネ・リア・ファルシル
皮肉屋/クリフ・ブラウン
貴婦人/ナガル・クルガ・ラッハ
企画・脚本・演出・全裸
古時計屋
キャラクターデザイン
遅筆
DaZの人
メカニックデザイン
遅筆
>>226
動画制作
TロG
https://www.youtube.com/watch?v=quh6SxGLkgc
https://www.youtube.com/watch?v=7XHmJIk0TnA
DaZの人
https://www.youtube.com/watch?v=wpESpi4ttBs
http://www.youtube.com/watch?v=6yaXyId8LlU
スペシャルサンクス(絵を書いてもらったり、応援してもらったり)
PBMの人
青森さん
描いちゃったりする人
その他創発で絡んでいる皆さん
感想くれる皆さん
そして、この物語を読んでくれたあなた
231
:
CR4 ―アークの覚醒― エピローグ
:2015/05/23(土) 01:00:24 ID:BQ4VvnvY0
エピローグ 喪失
ゆるやかな微睡みは痛みによって覚まされた。
体は重く、目蓋を開く力すらわかない。鼻につく消毒薬の匂い。
電子音がメトロノームのように一定のリズムで鳴っている。
(俺は――――)
まだはっきりとしない思考の中で黒峰潤也は…自分が何故このような状況になっているのかを思い出そうとする。
頭に激痛が走った。
脳が割れそうなるように響く音、鼓膜が破れそうになるまで聞こえる悲鳴、少し肌に残る人肌の暖かさ。
「っ――。」
その痛みに声にならない声をあげて黒峰潤也は思い出す。
黒峰咲との決戦に望んだ事、DSGCシステムを暴走させてまで勝ちにいった事…。
しかし、今ここにこうやって自分がいるという事はどういう事なのだろうか?
メタトロニウスに勝った―――いや、そんな実感はない。
あるのは途方も無い敗北感と絶望感。そして喪失感。
それが意味するものはただ1つ。
(―――俺は負けたのか…。)
その事実を理解する。
敗北し、そして生きながらえた。
ただ、それだけの事実。
思い出すのはメタトロニウスの圧倒的な力。
その脅威の前に為す術もなく敗れた。
リベジオンは破壊され、至宝『ブリューナク』は奪われ、自分を慕ったあの哀れな少女もいなくなった。
悔しさに手を握りしめる。
右手の感覚はなく、左手だけに爪が食い込む感触があった。
―立ち上がらなければ
生きているのならば立ち上がらなければならない。
義務に近い意識が潤也を奮い起こそうとする。
体をたてようと上半身をあげようとするが、それと共に起こった激痛に潤也の顔が歪む。
せめて、どこになにがあるか自分の体がどうなっているかを確認できれば多少ましになるのだが…。
そう思って潤也は目を開く。
開いた瞳が写したのは暗闇だった。
先ほどとは何も変わらない暗闇。
それは暗闇をみているというより、何も見えて―――――
「あ、あぁぁ…。」
その事実の意味を実感し潤也は泣き叫ぶ。
もはや黒峰潤也に残されたものは何もなかった。
5章『その日は雨が降っていた』に続く。
232
:
名無しさん@避難中
:2015/05/23(土) 23:22:01 ID:BQ4VvnvY0
【機体設定】※ネタバレ注意
CRー01 メタトロニウス
史竹幸三郎が設計した怨念機1号機。
リベジオンとは対照的な白色なカラーリングとモノアイが特徴。
スペック的にはリベジオンとほぼ同じだが、操縦者である黒峰咲の脅威の精神力によってDSGCシステムを常時フル稼働させる事によってそのスペックを限界まで高めている。
メタトロニウスの機体を覆う呪怨結界はリベジオンのおおよそ5倍、外装を破棄した場合、覆う面積が小さくなるため7倍程度になる。
『御神外装』
黒峰咲が作り上げたメタトロニウスの外装。
元々はUHに象徴としてのメタトロニウスを意識付ける為に作られた外装であり、その為、装飾が多くどちらかというと芸術作品のような意匠が見られる。
基本的にはこの外装を付けた状態で行動するため、メタトロニウスの本来の姿はこちらだと思われていた。
『ダグザの大釜』
『無から有は生み出せない』という絶対を覆す至宝。
使用者の思ったとおりの物を作り出す事が可能である。
その為、本来至宝に必要な膨大なエネルギーすらダグザの大釜の力で作り出す自給自足が可能という他の至宝を超克する性質を持つ。
その分、使用者の想像力が試される至宝でもあり、扱いも最も至宝で難しい。
『万物創造(マテリアル・クリエイト)』
咲が思い描いた物質をダグザの大釜で作り出す技。
その物質の性質、重さ、大きさ、形を全てが使用者が決められる。
咲はこれで巨大な柱を複数作り出した。
『万物新生(マテリアル・リバース)』
滅んだ己を新たに作り直す技。
これにより滅ぼされた因果とは別の因果を持つ機体で再誕する事が出来る。
『万物終焉(マテリアル・エンド)』
ダグザの大釜の秘奥(本編未登場)。誕生させる物質に質量を加え続ける。
OCR メタトロニウス・アーク
Over CR。
ブリューナクを取り込んだメタトロニウス。
外見上は羽が8枚に増え、指先が槍のように細くなっている。
ダグザの大釜の能力に加えてブリューナクの能力も使用可能である。
本来怨念機が2つの至宝を持つ事は想定されていなかったが、ダグザの大釜を用いて黒峰咲がそれが出来るように自機を作りなおしている。
233
:
名無しさん@避難中
:2015/05/25(月) 01:51:59 ID:FCkxLZtg0
うわああああ藍ちゃんがああああああああ
234
:
名無しさん@避難中
:2015/05/26(火) 02:58:15 ID:qFUqjCTM0
妹さんは狂っているようでいて、存外人間的な感情と矛盾性を孕んでるな
あんまりおおっぴらに考察すると宜しくないが、そこらへんに攻略の鍵というか、物語のとっかかりがありそう
235
:
古時計屋
◆klsLRI0upQ
:2015/05/26(火) 05:28:36 ID:0j.gOZkQ0
あ、万物新生のルビが設定の方がマテリアルリバースと本分の方がサイクルリリバースの2つ違う感じになっていますが
マテリアルの方が正しいです、初期案そのまま書いちゃいました…
>>233
藍ちゃんがあああああああああ、くそそおおおお、作者ぶっ殺し…自分だった…orz
あの子いなくなると萌えキャラが九条しかいなくなるじゃねーかぁあああ(おい
>>234
ありりです!咲の行動はお話の中心の1つでもあるので楽しんで頂ければ幸いですです
結構書いてて、大変なキャラです…咲…
236
:
CR断章 1
:2015/06/09(火) 18:38:06 ID:KPG9Gpow0
【断章】
リベジオンがメタトロニウスに敗北を喫したその頃、世界における黒幕である5人の異端者が集まる『裏』では会議が行われていた。
これは実質彼らにとって最後の会議であり、余興でもある。
「あちゃーやっぱりボロ負けかー。」
「当然、あそこまでボロボロにやられてしまうと少し哀れみも覚えますけども…。」
「あまりに予定通りすぎて面白くないねぇ。」
「ねぇ、ねぇ、それよりも聞いてよ、秋常譲二の話だけどさ!」
「あー五月蝿いな、オマエはそれ以外の事に興味はないのか…。」
5人が好き勝手に言葉を交わす。彼らの視線の先には大きなモニターがあり、そこには見るも無残に破壊されたリベジオンが映されていた。
それはある意味では予定通りの結末だった。
メタトロニウスと黒峰咲にリベジオンと黒峰潤也は勝てない。
機体スペックを引き出すための能力、至宝の相性、洞察力とそれを元にした戦術の組み立て。
その全てが黒峰潤也の敗北を指し示していたからだ。
だからある意味、この予定調和の結末は彼らにとって見れば刺激が足りないものであったとも言える。
「それで、メタトロニウスが計画通りアークとなった訳だけども…さて、困ったね。このままでは地上の人間が全員殺されてしまうよ。」
そういって苦笑したのは『現実主義者』だった。
「あら、素晴らしいじゃありませんの…結果人類の新生が始まる。ありとあらゆる人間が死という神に与えられた呪いを克服し、あらたな支配者としてこの世界を跋扈する。この結果に喜びを得なくて何とします?」
その結末を祝福のように『貴婦人』は言うのに対して『現実主義者』は頭を振る。
「それは君だけの望みだろう…確かに黒峰咲は適応値Sクラスの少女であるが、私はやはりたった一人の人間がその全ての思念を抱えて正気を保てるとはとても信じられないのだよ。」
「それはあなたのものさしが小さいだけでは?『ダグザの大釜』は文字通り最強の至宝ではありますが、あれを起動させる為には他の至宝の3倍のエネルギーを要します。それを可能としてる彼女の精神力のどこに疑いがあるんですの?」
「所詮、人間だしねぇ…同じことを続けてもその内ガタが来るんだ…わたしはその点に関しては信じられないな。」
『貴婦人』の問いかけに割りこむようにして『鉄の処女』が話に入った。
それに『貴婦人』はむっとした表情になった後、少しため息を吐いて
「『道化師』あなたの目から見て黒峰咲はどうですの?」
と尋ねた。
237
:
CR断章 2
:2015/06/09(火) 18:38:30 ID:KPG9Gpow0
『道化師』は両手をあげて、頭を振るジェスチャーを取る。
「わからないさ、黒峰咲の精神力は確かに異常だ。僕らの最初の計画では彼女はダグザの大釜を起動した時点で廃人と化してしまう予定だった。だが、彼女は自意識を保ち、今もなお自身の望みを遂行しようとしている。これは驚愕の結果という他ない。さすがは兄弟の妹さんって所だね。ま、おかげでCR計画は当初のプランを二段階程前倒しにする必要が出てしまったわけだけど…。」
「当初のプラン?そもそもお前のプランに何か予定でも書いてあるというのか?気分屋の貴様に?」
毒づくのは『皮肉屋』だった。彼の言葉には『道化師』に対する怒りを憎しみといった負の感情が隠さずに込められている。
「そうはいうなよ、クリフ・ブラウン。これでも僕は計画というのものは結構綿密にたてるんだぜ?遠足の前準備みたいにさ、でも途中でもっと面白い事があるんじゃないかってすぐ計画を変更してしまうから、それが意味をなくしてしまうだけなんだよ。例えば、あーえーと、ごめん例に出そうとしたんだけど殺しちゃった君の奥さんの名前忘れちゃった。」
「―――貴様っ。」
歯ぎしりをしながら『道化師』を睨みつける『皮肉屋』。
それを見て『道化師』は腹を抱えて笑う。
「いやー殺せたらよかったのにね、僕を殺せたらよかったのにねぇ…そうすれば君はここでこんな所でいかにも黒幕ですみたいな痛い奴らに混ざって会議に参加しなくてもよかったんじゃないか、あはははは。」
「そう煽ってやるな『道化師』、彼の望みを知っていてその仕打ちは見るに堪えんよ。」
そう諌めるようにして『現実主義者』は言う。
「そうかい?『現実主義者』。君の望みはこの喜劇をずっと眺めている事だろう?君からしたって、僕がこうやって事態をかき回すのは歓迎の筈なんじゃないかい?」
「それはな…だが私は出来る限り長くこの楽しみが続くことを望んでいる。わかるかね?『皮肉屋』くんにこの時点で脱落してもらっては困るのだよ。」
そういって笑い合う2人。
「ゲス共が…。」
「そうはいうなよ、『皮肉屋』、君の望みは僕と一番近い所にある。僕の計画通りに事が進むのは君にとっても都合がいい筈だ。」
「叶いませんわよ、あなた達の願いなんて、我が主がその全てを無に帰しますわ。」
「あーあー、みんな本性だしちゃって…まったく…ま、私としては譲二くんの活躍さえ見れれば満足なんだけどね。」
そういう『鉄の処女』に『皮肉屋』以外の一同が笑う。
「まあ、ここまで我々が結束していたのも奇跡だという事だな。」
「僕らは所詮違う目的を持つ輩が、偶然途中まで通る道が一緒だからって相乗りしただけの関係だしね。」
「そ、それも黒峰咲がアークを手に入れた時点で終わり、わたしはもう自分のやりたいようにやるわ。」
アークが覚醒した時点で協定は終了。それがCR計画における彼らの協定だった。
CR計画というのは1つの目的に向かって行われる計画ではなく『裏』の5名がそれぞれの目的を持っている。
そして、その全てが相容れない。
つまり、ここからは彼らは協力ではなく競争を行う。誰が自分の目的にたどり着けるのか?
それがCR計画最終段階だった。
「とはいえ、最後の議題がある。これだけは決めて置かなければならないからな。」
と語るは現実主義者。まったく困ったことかのように頭に手をあてていう。
「まったく今まで放置してるから手が付けられない事になるんですよ。」
皮肉まじりにいうのは『貴婦人』、彼女からすれば早々にかたをつけたい話だった。
「いやいや、あれをどうこう出来るようになる可能性があるのは今だけだろう?」
笑うように言う『道化師』、しかし彼の表情は珍しく笑っていない。
「正直、私としてはどうでもいいんだけどねー。」
頬を肩肘に尽きながら興味なさそうにいうのは『鉄の処女』。
「ふん。」
そう応対する面々を侮蔑するように見つめ、なにか思案にふける『皮肉屋』。
それぞれの話を聞いて『現実主義者』は立ち上がって言う。
これこそが今回の議題の最大の論点だ。
「では、この『裏』の創始者であり、裏切り者。時峰九条の処遇を決めよう。」
5章に続く
238
:
秋水
◆3C9TspRFnQ
:2015/06/21(日) 22:04:36 ID:Cov9893Q0
まことにご無沙汰しております、秋水です。
忘れた頃にやってくる。侵略者と巨大ロボットのいる日常の考察、ダイガストの続きになります。
以下、注意書き等。
・消費レス:9+1
・当作は実際の事象からの引用やソース等の比較、およびメタネタ・パロディを含みます。
また、それらによって他者を誹謗中傷する意図はございません。
・今回はロボットの出ない話です。
あらすじのようなもの
一、スレの連載作品一覧に紹介文あり
一、宇宙の彼方から銀河列強が大挙して攻めてきて、地球中で代表同士の戦争ゴッコを強要されてる
一、日本は北海道に青森と小笠原を獲られる。でも戦闘以外では結構な嫌がらせを続けているのです
一、ツルギスタンの侵略軍も、ただ戦闘をしていれば良いという訳ではないようで…
登場人物
風見鷹介:ダイガストの主操縦者。まだまだ多感な脳筋の若者。
土岐虎二郎:ダイガストの副操縦者。よく出来た大人であり、極めて常識人。
大江戸多門:ダイガストの開発者。人の迷惑顧みず、唯我独尊を突っ走る天才(災)。
笠置透:20代の大学生はヒロインと言えるのか?言える、言えるのだ。
ハンス・グラーフ・ルドガーハウゼン:ツルギスタン第3外征旅団を率いる老獪な軍人貴族。
アフバルト・シュバウツァー:ツルギスタンの若き貴族士官。列強の有様に疑問を抱く、損な性格の人。
以上、気にならないようでしたらどうぞ。
それでは地球防衛戦線ダイガスト、推して参ります。
239
:
地球防衛戦線ダイガスト 十六話 1/9
:2015/06/21(日) 22:07:42 ID:Cov9893Q0
第十六話 包囲網
薄暗い小部屋の床面から逆円錐状に明かりが立ち上っていた。
光の中に像を結んでいるのは、豪奢なローブに身を包んだ初老の男性だ。背は高く、恰幅も良いが、
しゃんと伸びた背筋は、経年による体重増加のみが横幅に影響した訳で無い事を物語る。長く伸ばした
ブロンドの頭髪と、顔の下半分を覆う手入れのされた見事な髭、それに頭に頂いた略式の冠は、トランプ
のキングを現実世界に落とし込んだらこうなるか、という説得力を持っていた。
しかしながら皺の合間に見える目の輝きは夜間の肉食獣もかくやというもので、彼らのお国柄を
考えれば、まさに刃物のような光を湛えている。
帝政ツルギスタンを一代で築き上げた皇帝、スレイヤード・フォン・シュヴェルトべルグ・キーン・
ツルギスタンの威容であった。
「老いたか、ハンス」
その声は太く、腹にずしりと届く。
超空間通信の象の前にかしづいたハンス・グラーフ・ルドガーハウゼン大剣卿は、侵攻作戦の遅滞に
対する主君よりの叱責とも揶揄ともとれる物言いに戸惑う事無く応える。
「老いて、いささか気掛かりを覚える事の多い遠征となりました」
「報告には目を通した。列強よりの亡命者どもに、ダイガストなる機械人形。
それに手早い銀河帝国の到着。その何れも、併呑した後に、腰を据えて探れば良いのではないか?
それとも、ベルガーあたりを送れば良かったか?」
ルドガーハウゼンは譜代の家臣団の中でも屈指の強硬派の名前が出た事に驚き、僅かに肩が上がった。
冗談だ。皇帝は髭の下で笑ったようだった。そして重い衣擦れの音をさせると、右腕を目の高さに上げ、
大軍に触れを出すようにルドガーハウゼンへと下知をとる。
「要請通り、補給を向かわせよう。そしてハンスよ、愚かしいGBC(ギャラクシー・ブロードキャスト・
カンパニー)の目など、気に留める必要はない。全力を、存分に奮え。新帝国たるツルギスタンの統治は、
武威をもってなされる。それを列強の市民とやらに今一度、しかと見せつけるのだ」
「御意に御座ります」
「楽隠居など、させぬぞ」
通信が切れる。
腰を上げるルドガーハウゼンだったが、重く感じるのは歳の所為だけではない。ダイガストを打ち払い、
皇国を一気呵成に攻略する勅命である。しかし往事のような血の滾りは覚えない。むしろ皇帝にこちらの
危惧が理解されない徒労感を強く感じていた。
列強諸国の地球侵略計画は、進捗だけを見ればまずまずの速度を維持している。技術的優位のままに
蹂躙する。従来の型ではあるが、しかしそれは列強内でも中小の国々が、地球の第三世界相手にこなして
稼いだ統計上の数字だ。
対して複数の惑星を植民地とするような、列強内でも強国と数えられる国々の侵攻計画は、捗々しい
とは言えない。正確に表すのなら、獲得地域に対する損害の割合が大きかった。
より大きな実入りを得るために、地球上の大国や大規模な領土を持つ連合国家を相手取って会戦した
列強であったが、カモにする筈だった国々の技術レベルの猛追は、明確な被害の増大となって表れている。
ツルギスタンにしてもダイガストの抵抗や経済焦土作戦に領地運営が間尺に合わず、日々、臍を噛んで
いるわけだが、他の列強でも何がしかの障害を抱えているらしい。
中華人民共和国での住民の逃散などはいっそ清々しいモノで、加盟国間で格差・国情があるにも
関わらず欧州中央銀行にしか通貨の発行権が無いEU、闇経済の影響力が無視できないロシア等々、
『列強の侵攻を知ってて滅茶苦茶やってたんじゃね?』と関係各所が引きつり顔で冗談を口にした程だ。
240
:
地球防衛戦線ダイガスト 十六話 2/9
:2015/06/21(日) 22:09:47 ID:Cov9893Q0
果たして列強各国が少なくない失血の先に地球の一部を領土としたところで、更なる銀河の外縁への
橋頭保という建前を実現するまでに、どれ程の投資を行う羽目になるのか。
それに列強が集まり過ぎているのも周囲に与える影響が大きすぎる。いくら中央での各国の版図が飽和
状態で、不毛な睨み合いに陥っている星系が多いから(十四話参照)とて、手付かずの辺境へと我先にと
矛先を変えれば、そこに生じる潮流は巨大に成ろうもの。
既に新たな未知宙域の開発を名目に、採算も丼勘定のままで銀河ハゲタカファンドが押し寄せている。
限定戦争を終えて全土が植民地化された地球の発展途上国には、どうやって回収するかも判らぬ量の
地球外資本が入り込んで乱開発が始まっていた。
破壊の隣で創造が行われるが、それで何を建てる腹積りなのか見えている人間がいない。
ルドガーハウゼンが俄かに眩暈を感じつつ超空間通信室より退室すると、通路で待ち構えていた分析官
が声をかけてきた。
「報告します。先ほどのEU連合とフィクシオン連合王国との戦闘で、追跡事項とされていた
ネオ・キチン質の軟化ガスの使用が確認されました。フィクシオンの大騎士は三騎が戦車砲により擱座し、
戦闘には勝利したものの、開戦以来の損害となりました」
「連中の大騎士は我等のブレーディアン程では無いとは言え、旗機のような代物だからな。
門閥貴族連中はさぞかし、青くなっているだろう」
ルドガーハウゼンは他の列強の被害に相好を崩した。
他人の不運を笑うのは品の無い真似とも思ったが、その技術が拡散するだろう事を見越してばら
撒いたのは彼自身だ(十三話参照)。鬱々とした現状に目を背け、多少は愉悦に浸っても罰は当たるまい。
分析官もこの陰謀の一端を知っていた。それが図に当たった事を理解し、表情を緩めた。研究職に
付き物である年齢のイマイチ読めない年増女であるため、艶然という表現がぴたりと合う。
過去に撒いた種が遠方で芽を吹いた。風で飛んだのか、川が流したのか。いずれにせよ、その拡大
経路を暴ければ、他の列強を出し抜く事も出来るだろう。
皇帝の言う通り、自分は老いたのかも知れない。しかし、歳経たからこそ感じ入る歓びもあるのだ。
ルドガーハウゼンはそういう事にして、心の引き出しに放り込んだ。
『――それではアフ様が武勲を挙げられ、わたくしを迎えにいらっしゃる日を楽しみに待ちますわ』
PDAから宙空に投影された映像記録の婚約者――絵に描いたような西洋貴族の女性――は、他愛の無い
近況報告の最後をそう閉め括ると、肩の高さで素早く手を左右に振った姿でフェードアウトした。
淑女にしては些か茶目っ気のある振る舞いに、アフバルトの頬は微苦笑で緩む。
リアルタイムの超空間通信にはそれなりの中継設備を経由する必要があるため、皇帝のような国家
元首は例外として、私費で使用するには高く付く。ここが第3外征旅団の本拠地である航宙母艦
ウンエントリヒであっても、本国との間に横たわる広大な宇宙空間は無視出来ない。
故に列強の侵攻部隊の将兵への連絡は、映像記録を転送するというメール方式が主流だった。これが
GBCの放送にもノイズが入るような設備不足の辺境や、恒星風の活発な宙域を途中に挟んだりすると、
転送精度も怪しくなるため、遂には郵送が主になる。
現状ではGBCが大規模放送のために持ち込んだ転送設備に相乗りできるため、地球での連絡のやり取り
は快適だった。日頃から小うるさいGBC有りきの現状には、釈然としない物を感じはするが。
「しかし、武勲か…」
アフバルトの脳裏に浮かんだのはダイガストだった。もはやツルギスタン第3外征旅団にとっての
武功を成すとは、あの機械人形の打倒以外に有り得なくなっていた。
幸いにも来週の出撃は彼の隊だ。これも何かの思し召しに違いない。
アフバルトは何とはなしに軽くなる足で、部下たちが屯(たむろ)する休憩室に向かった。顔を出し
過ぎると煙たがられるが、たまに様子を見に行ってやらねば、下とは口も利かない隊長だと陰口を
たたかれる。こういう世知辛いのはツルギスタンだろうと地球だろうと変わらない。高級士官だからとて、
ふんぞり返っていては誰もついて来ない事を、彼は知識と経験からしみじみと理解していた。
241
:
地球防衛戦線ダイガスト 十六話 3/9
:2015/06/21(日) 22:12:04 ID:Cov9893Q0
今日明日あたり、下士官連中を飲みに誘った方が良いだろうな。そんな企業の中間管理職みたいな事を
考えながら兵の休憩室のドアを潜ると、一転して罵声と物が飛び交う修羅場が視界に飛び込んできて、
若き指揮官は頬を引き攣らせた。
「何の騒ぎだ!これは!!」
それで結局口を吐いて出たのは、煙たがられる上官の典型的な科白であったのだが。
まさに修学旅行の夜の部屋に教師が踏み込んできた体で、室内の狂騒はピタリと収まる。気を付けの
体制で気まずい沈黙に陥る兵たちが、主に二つのグループに分かれている事を看破したアフバルトは、
それぞれから先任下士官を見つけて通路の飲料自販機まで引っ立てた。
「諸君等は来週に出撃を控えているのに、何をしているのだ?」
アフバルトは自販機からコーヒー――焙煎した豆類からの抽出物的意味――の注がれたカップを取り
出すと、二人の下士官に与えた。
これまでの戦闘では彼我の戦力差を鑑みて全力発揮が許可されなかったが、アフバルトの隊だけで
常用の儀仗兵は10機を数え、パイロットも同じだけいる。これが真っ二つに分かれて一触即発となれば、
率いる方は気が気でない。
叱責された下士官二名は互いの顔をバツ悪そうに見合わせ、
「実に些細な事でして…」
「その、買い出しの内容に関して、見解の相違が…」
買い出しに出かけたら、居残り組の欲しがっていた物品が無かった。しどろもどろの二人の説明の
要所は、そういう事だった。
ルドガーハウゼンは第三外征旅団に買い出しを奨励していた。それもこれも日本国による非現実的な
までの経済焦土作戦の所為で、ツルギスタンは何とかして支配地に自分たちの通貨を浸透させねば
ならなかった(四話参照)。
支配地の通貨を文明レベルに合ったレートで自分たちの通貨に両替させる。銀河列強の常套手段で
あったが、日本においては早々に破綻させられ、ツルギスタンは大量の軍票――準紙幣、現金引換券
程度の意味――を支配地にばら撒く羽目になった。ルドガーハウゼンの要請した補給物資も、帝国議会の
承認の下りた支配地運営用の資金が大半という有様だ。
外征旅団が現地に金を落とすのは、もはや重要な慰撫工作であった。
だが、それで内部に不和を抱えては本末転倒も甚だしい。もう少し話を聞いてやるかと思いつつ、
自分の分のカップをすする。力強い香りが鼻腔に抜け、僅かな酸味が舌に残った。士官室では本国から
持ち込んだ発酵茶ばかりで知らなかったが、兵たちも美味いコーヒーを飲んでいるようだ。
「良い豆だな」
何気なく呟くと、下士官たちは言葉を選びながら答えた。
「本艦周辺で栽培の始まった豆です。促成で、現地住民に技術指導を行っております」
「初耳だ」
「士官以上の皆様にはプラント船の生産食料が間に合っている筈です。ですが兵の分はホッカイドウや
アオモリの支配地域へと配給品として出されております。それでも足りない分と、我々の口に入る物は、
現地で促成栽培された作物を充てております」
アフバルトは言葉に詰まった。辺境の未開惑星で農業指導しながら作られた『危ない物』を兵達に
強いているのだ。
「すまぬ。諸君には満足な食事も与えられていなかったのだな。
この件はすぐに大剣卿に具申を約束しよう」
高級士官がおいそれと謝るものではないが、こと飯となると重要度が変わってくる。
242
:
地球防衛戦線ダイガスト 十六話 4/9
:2015/06/21(日) 22:14:27 ID:Cov9893Q0
食事は軍隊生活の数少ない楽しみだ。本邦でも太平洋戦争中の南洋で、下士官以下が極端に酷い食糧
事情を押し付けられたが故に、部隊司令に直訴したなんていう逸話がある。
いかに隔絶した科学技術をもつ列強とて、既知宙域の外縁にまで本星の暮らしぶりを持って来れる訳で
は無いし、軍隊は集団生活だからして不自由を強いる側面も否定できない。ましてツルギスタンは規律を
重んじる。前線での『ヒャッハー』や『エンジョイ・アンド・エキサイティング』を黙認するゴロツキ
列強とは違う。
そこまで考えて、暴力沙汰が常習の第1機甲部隊の植民地兵と、隊長を筆頭に銀河種馬軍団を自称している
第2機甲部隊の事を思い出し、アフバルトは外征旅団の鼎の軽重を問いたくなったが、詮無いので辞めた。
とにかく、食とは事ほど左様に大事なのである。が、ここでも下士官たちは微妙な顔をした。真意を
測りかねるアフバルトであったが、すくなとも『話の解る士官さま、素敵!』という面でないのは確かだ。
「…諸君等は未だ私に隠し事があるのか?言ってくれ。私は諸君等の友人でありたいと思っている」
へぇ、そういう事でしたら、まぁ。下士官たちはまたぞろ顔を見合わせ、おっかなびっくり、ここの
所の兵たちの生活実態を話し始める。
「食事に関しちゃ、今の方がむしろ好評でして」
「船の有機転換炉で合成されたビタミンと食物繊維の野菜もどきや、調整した人工タンパク質の
レーションよりは、促成栽培でもれっきとした野菜の方が美味いのですよ」
「生産者も協力的だそうで。主計科の船外活動班は頻繁に技術交流を行っとるそうです」
占領地における住民の有り様としては、占領勢力への不参加・不介入と、積極的な抵抗(レジスタンス
活動)、或いはガラリと変わって積極的な協力が考えられる。
ところが、こういう自己防衛策は日本では全く活発な議論にならない。無防備都市や防衛手段:憲法
9条とか言う人々も、その後に関しては貝の様に口を噤む。
すべての戦争行為が泥沼の市街戦に雪崩れ込む訳では無く、都市部への無差別爆撃になる訳でも無い。
ましてすべての抵抗活動が猟友会の民兵化や、ゲリラの自爆を含むような苛烈なものである必要は無い。
敵に言葉が通じる限りにおいては、可能な限りの不服従だって立派な抵抗なのだ。
そういう意味ではツルギスタン指導の下に農作業を行っている現状は、日本の戦争指導や国際化教育、
ひいては戦後教育の失敗な訳なのだが、道民の皆様も生きてゆかねばならぬ為、非難するのは無理、無体である。
現地には更に問題をややこしくしている要素がある。モンタルチーノ商会だ。
闇市を開いていた下っ端がツルギスタンの憲兵に逮捕されてからは、罪一等の免除を楯に、占領地への
生活必需品の調達と配送にこき使われているモンタルチーノ商会であったが(七話参照)、日本本土から
密輸した民生品をウンエントリヒにて二束三文で買い叩かれる裏で、懲りずに横流しを始めていた。
占領地で使用されている軍票やツルギスタンの通貨、円等が取引に使われているが、最も頻度が高い
のは軍票だ。占領地の人々が雑役や農作業に協力的なのも、闇市で使用する疑似通貨を得るためと言える。
モンタルチーノ自身は軍票なんて不確かなものを当てにしてはいないが、換金を拒否されても、例えば
ツルギスタンに敵対的な国に流すとか、やり様は考えていた。
もちろん、アフバルト達がそんな裏事情を知っている訳もなく『サボタージュもしないし、穏やかな
人々だなぁ』とか、微妙にズレた感想を抱いて終わりである。しかしそうなると不思議なのは、休憩室の
喧嘩騒ぎだ。食べ物で無いとしたら、原因は何なのか。
「実は…」
下士官の口から語られる理由は、彼の人生経験の上で、全く予期せぬものであった。
「騒ぎの理由は、その、買ってくるコミックを間違えたんでして…」
「コミック?」
アフバルトは我が耳を疑った。
「子供の情操教育に使われる、寓話とか伝承とかをモチーフにしたやつか?」
243
:
地球防衛戦線ダイガスト 十六話 5/9
:2015/06/21(日) 22:15:40 ID:Cov9893Q0
彼等にとってのコミックとは、そういう物であった。GBC推奨とか帯が付いて、ちょっと押し付け
がましい勧善懲悪や、愛と勇気と友情の、意識の高い系の親御さんも安心な児童図書である。
だが地球――というか日本において漫画がどのような立ち居地にあるのかを、読者諸兄様に語るのも
野暮天というもの。多種多様な価値観に寄って立つ『皇国のコミック』は、暇をもてあそび気味の
――かつ免疫のない――兵たちに瞬く間に浸透していた。
「いや、それが、なかなか馬鹿にしたものではありませんよ」
と下士官たちも熱く語りだす始末。
え、なに?こいつ等もなの?アフバルトはいきなり部下たちが、越えられない壁の向こうに行って
しまったみたいで狼狽する。
挙句、恐ろしいくらいに真剣な顔の下士官から携帯端末にコミックのデータを送りつけられ、確認と
感想を約束させられた。
『ともかく作戦を間近に控えているんだ。チームワークを乱すような真似は控えてくれ』
それだけ言うとアフバルトは自室――狭いとはいえ、士官には個室が与えられていた――に帰る。
壁から突き出た簡易の机に腰を落ち着けると、堪りかねたように溜息をついた。ここに来て不和の種だ。
自分の監督不行き届きだろうか。こんな指揮官が武勲とは笑わせてくれる。
「くそ…」
悪態をついてからPDAを手に取る。こうなれば下士官の関心だけでも引いておかねばならない。
子供向けのコミックだろうが読んでやる。
そう思いながらPDAの画面に向き合ったアフバルトであったが、次に気付いたときには、夕食を告げる
喇叭が室内の端末から流れていた。
時間を忘れて夢中になって読み漁っていたと気付いた時には愕然となった。
なんという事だ。GBC製作の型抜きされたように同様なキャラクター達によるドラマや、タレントの
日常を垂れ流すトークショーといった押し付けがましい番組よりも遥かに刺激的だ。これなら兵が
コミックに嵌まり込むのも頷ける。
考えられた構図。判り易いコマ割り。登場人物の緻密な描写や、生々しい息遣い。GBCがタブー視
しかねない人倫に踏み込んだ作品もあった。
と同時に、それは勧善懲悪では済まない両陣営の魅力的な描写である事も、高等教育を受けている彼は
理解できてしまった。
「これは危険だ…」
彼の部下の大半は平民出であり、GBCを見て育ったテレビっ子であり、勧善懲悪の倫理観に生きている。
自分達こそ、野蛮に叡智の光による救済を与えるものであると。
それが崩されれば、どうなるのか。
アフバルトの背筋を冷たいものが降りていった。
「来週分の翻訳物です」
土岐虎二郎はそう言って大江戸博士にフラッシュメモリーを手渡した。
ダイガストの格納庫に併設された喫煙所内にはイガラっぽい空気が充満し、煙草を止めた虎二郎が
長居したい環境ではない。
「おぉ、すまんね」
大江戸多聞は『わかば』をくわえながら、懐に記憶媒体を落とし込む。
「評判の方はどうかね?」
「ロミオとジュリエットのような、ベタなやつはウケが良いようですね。こっちとしては
願ったり叶ったりですよ。二つの陣営に別たれる悲劇や、敵側にも理由があるって論旨に、
放っておいても食い付いてくれるわけですから」
「これでこちらに興味を持ってくれれば御の字。うまい具合に厭戦気分を醸成してくれれば、
言う事無しなんだがな」
244
:
地球防衛戦線ダイガスト 十六話 6/9
:2015/06/21(日) 22:17:53 ID:Cov9893Q0
「今のところは、こちらからのアプローチが供給過多ですね。翻訳元の漫画家さん達に至っては、
むしろ新作で書かせてくれと頼み込んで来るほどです」
「タダでやらせるわけにも行かんだろうよ。自重して貰ってくれ」
大江戸博士はくわえタバコのまま、口の端を器用に笑みに曲げた。
ツルギスタンの支配地に日本の漫画を流しているのは、誰あろう大江戸先進科学研究所であった。
それもそうだ。今も北海道でアフバルトが驚愕している事案にもっとも早く気付いたのは、より滞在
期間の長い大江戸研の亡命技術者たちなのだから。
亡命技術者たちから挙がったこの厭戦気分を煽るプロパガンダ作戦は、当初、荒唐無稽と一笑に
付された。が、漫画好きで知られる自立民主党の大物議員が『面白ぇじゃねぇかよ』とお墨付きを与え、
暫く前から実行されている。
効果の程は判らない。だが大江戸博士は何らかの効果を期待せずにはおれなかった。科学文明の行く末
が無秩序な植民地獲得競争では、あまりに虚しいではないか。しかし同じ人類種として、審美眼のひとつ
なりとでも同じである事が判れば、人類20万年の歴史だって捨てた物じゃないと思えるのではないか。
それは大江戸博士の科学者としての希望であった。今は地球文明の存続のために戦争に傾注しているが、
彼が学問を志向した理由はそうではない。いかに装甲防御を持つ面の皮の厚さと指差されようが、
大江戸多聞という人間には、そういう少年の様な芯があった。
だが、そいつも随分とくたびれちまったな。大江戸博士はくしゃくしゃとチビたタバコの吸い殻を
見やり、今の自分の様だと思った。不意にセンチになった気分と共に、吸い殻入れの赤い缶に投げ捨てる。
「そういえば、読んだよ、君のレポート」
次の瞬間には傲岸不遜が息をしてるような人物、という寸評通りに戻っていたが、声は幾分か真剣味を帯びている。
「『脳波コントロールによる機体制御の偶発的な進化と、同状況下における操縦者との同調による危険性』
…在り得る話だな。よく気づいてくれた」
「現在のダイガストのセントラルコンピューターは、鷹介の意思を汲む形で機体の制御を
自己アップデートさせています。それは機体機能から有効な要素を抽出し、再現させるという形ですが、
これが行過ぎれば操縦者の持つ優先権が事象転換炉の出力にまで及びかねません」
「要は鷹介の意思がダイガストを完全にコントロールしてしまう、と」
「そして我々は事象転換炉を完全にコントロールするには至っていません」
「本来ならば新しいマン・マシン・インターフェースの可能性、と喜ぶべき処なんだがなぁ」
「我々はそうならない様にダイガストを組み上げて来ましたからね。出力制御と操縦で二人掛かりに
したのも、主操縦手から事象転換炉を引き離したのを『合体による技術のデモンストレーション』と
強弁しているのも、結論としては事象転換炉という…」
「土岐君、そこまでだ」
壁に耳あり、障子に目ありだよ。大江戸博士はそう言って大笑した。
虎二郎は追従の笑みを浮かべつつ『この期に及んで認めたくね-んだろうなー』と些か白い目になっている。
事象転換炉は大江戸先進科学研究所の秘事である。虎二郎もダイガスト建造に初期から携わっているが、
その頃――もう十年近く前になるか――には既に事象転換炉は存在していた。多少の経緯も聞いている。
要は事象転換炉とは拾い物であり、大江戸博士はそれに関して複雑怪奇な感情を抱いているという事だ。
怪しげな動力を曲がりなりにも解析し、今の形にまとめ上げたのは、間違いなく大江戸博士の手腕であり
功績であると職員一同は認識しているのだが、本人はそれでは気が済まないらしい。指摘される度に
お茶を濁すあたり、実に往生際が悪い。
自分の息子はこんな面倒くさい大人になりませんように。虎二郎は切に願う。
さすがの鉄面皮もわざとらしいと認識したのか、大江戸博士は取り繕うように咳払いをはさんだ。
「うぉっほん…それでだ、土岐君、改善策として考えているモノなんだが…」
245
:
地球防衛戦線ダイガスト 十六話 7/9
:2015/06/21(日) 22:19:31 ID:Cov9893Q0
大江戸博士のプランを聞かされ、虎二郎は瞠目した。
凄い。面倒くさい人だが、凄い。しみじみと思う虎二郎の視線を尊敬の眼差しと勘違いし、大江戸博士
は大層ご満悦であった。
大江戸先進科学研究所の裏庭に鷹介が突っ立っていた。昼下がりとなれば、この辺りの芝生は日当たり
も良い。梅雨の晴れ間の太陽に透かしたのは、一通の葉書だった。
航空学生時代の同窓である柘植隼人から寄越された、同じく同窓だった笠井醇の葬儀の案内だった。
実家に届いたため、内容自体は親から電話で伝えられていた。
先日の空戦の光景がフラッシュバックする。空戦域に到着したとき、海面へと二筋の黒煙が伸びていた。
あのどちらかが笠井機だったのだ。
銀河列強との戦争状態が続けば、いつかはこんな事も起きるかも知れないと覚悟はしていた。だが
速成で任官された仲間たちが、資材の不備で早速に駆り出され、こんな結末を迎えるとは(十五話参照)
思ってもみなかった。無力感に四肢から力が抜ける思いだ。
もっと上手くやっていれば。そんなおこがましい事を思いはしない。そういう段階は目の前で陸自の
戦車が破壊されてゆく中で、とうに折り合いを――無理にでも――つけている。
それに空の上では、操縦士は一人だ。誰にも頼れない、あの初めての単独飛行の心細さを潜り抜けた
先に、自分たちはいる。ならば運なり、技量なり、注意力なりの何かが、笠井の運命を決したのだ。
が、それを納得できるかと言えば、別問題だった。
それに輪をかけるのが、葬儀への出席を許されなかった事だ。
ダイガストの主操縦者である事実が秘密であるのは、諸々の機密保護は言うに及ばず、彼とその係累の
安全確保のためにも理に適っている。
が、今回は戦死者――この日本では銀河列強との戦闘に限り『戦死』という扱いが認められた――の
葬儀だ。かつての同窓たちに、間違っても気取られてはならない。
何とか軌道に乗り始めたようにも見えるダイガストだったが、量産されて銀河列強を宇宙に叩き返せる
かと言えば、疑問符が付く。そんなまだまだ不確かな現状を、現場に知られては士気に関わる。
『断腸の思いだろうが、隠忍自重をして欲しい』。防衛大臣からの電話で、鷹介は直々に要請されていた。
理解はできる。
しかし鷹介の握りしめる右手には爪が食い込み、体が瘧(おこり)のように震えた。
航空学生時代、少しでも課程から遅れれば不適格とされる厳格な日々を、共に駆け抜けた同期の桜
だった。その葬式にさえも俺は出られないのか。
やり場のない憤りに思わず下草を蹴り飛ばそうとした時、後ろに気配を感じた。
振り返ると透(みなも)が立っていた。作業の邪魔にならないよう無造作にまとめてアップにした黒髪
とか、眼鏡の向こうのしょぼくれた瞳とか、しかもそれがノーメイクとか、色々と憔悴著しい。
そういや卒業論文を書き始めているのだっけか。鷹介はそういう文化的な勉学とは縁が無かったので、
彼女の苦労は推し量れない。ただ毒気を抜かれ、やり場のない憤りを深い溜め息にして吐いた。
「……よぅ、お疲れさん」
「んー」
透は背伸びをして背骨をパキパキと鳴らすと、飼い猫のような気のない声をかえす。
「瞼の裏に太陽光が沁みるよ……」
「一体全体、今は何をやってるんだ?」
「象形文字の解析だよ。卒論用と、それを発展させたのを院生試験の論文に使うの」
「院て、大学院?」
「うん、大江戸教授の研究室だよ。今と状況は殆ど変わらないけどね」
透が究理の徒の道を歩もうとは、鷹介には初耳だった。しかも大江戸博士みたいなナントカと紙一重の
人物の元となると、幼馴染の外聞が心配だ。
246
:
地球防衛戦線ダイガスト 十六話 8/9
:2015/06/21(日) 22:21:01 ID:Cov9893Q0
「別の研究室とか、選択肢はないのか?」
「今の研究が専門性が高すぎて、他の大学じゃ続けられないよ。
それに、鷹くんも当分は大江戸研勤めでしょ?」
当分と言うか、そもそも大江戸博士の目の黒いうちに、銀河列強の膨張拡大政策は収束するのだろうか。
また暗い気持ちがぶり返しそうになり、鷹介は小さく首を振るう。
「なんだよ、藪から棒に。俺がダイガストの操縦するのと、透の学業とは関係がないだろ」
挙句、幼馴染ルートの地雷ワードを平気の平左で口にする鷹介だったが、透もずれたハイスペックさ
では人語に尽きない。人の悪い笑みを受かべると、
「あら?イイの?そんな事言ってて。近い内にわたしに感謝する事になっちゃうよ?」
「止めとけって。ここまでにも結構、危ない橋を渡らされてるだろ。宇宙ヤクザと対面したり(四話参照)、
宇宙カブトムシの上空飛んだり(五話参照)」
「それと直接殴り合った鷹くんが言うんじゃ、説得力が無いよねー」
鷹介の唐突な否定の語句に、軽口で返しつつも透の笑顔は取り繕ったようになる。あれ?今日は
やけに絡んでくるな?
不審に思う幼馴染だったが、ままならない現実に打ちひしがれる鷹介には、他人様の細かい変化なんて
気づかない。それこそ乗機のエンジンの噴けが僅かでも悪ければ気付くのに、人間相手ならこの様だ。
言うまいと思っていた事も未熟な精神の昂ぶりに任せてしまう。
「見ろよ、仲間の葬式の案内だ。この前の空戦で落とされた」
突きつけられた葉書の内容に透は息をのむ。
「え……」
「こんな事になってからじゃ、遅いんだ」
「それは……鷹くんだって同じ条件じゃないの」
透の返しは早かった。彼女も鷹介の身を案じる事にかけては、やぶさかでない。そして同じように、
鷹介の口から強い口調が飛び出すのも早かった。このところ彼を追い立てる青臭い潔癖さが、まさに現実
になったのが笠井の戦死だった。
「同じじゃ無ぇよ!腐ってもダイガストは宇宙人の技術で作られてるんだ。操縦席は分厚い装甲に
護られてるし、その気になりゃどんな敵だって振り払って、逃げ切るだけの出力がある。
あの馬鹿げた戦場で一番安全なのは、間違いなくダイガストの操縦席なんだ!」
鷹介の激した口調は、それに甘んじることに憤りを覚えていると暗に語っている。
自分だけが特別な機体を使っている事に傲慢になるので無く、むしろ気後れしているのだ。それが
判ると透の唇から小さな溜息が漏れた。
「じゃあ、辞めちゃう?」
彼女はえらく軽く言ったもので、鷹介は予期せぬ提案に目を丸くする。
「いくら鷹くんが第一人者だってね、まだ操縦者の替えが利かないような状況じゃないでしょ。
格納庫に行って『宇宙人』さん達に言えば、替わるって言ってくれる人、いると思うよ」
遠回しに亡命技術者たちを宇宙人呼ばわりした事をつついてくるあたり、彼女もイイ性格をしている。
が、そう言われてホイホイ辞められるほど、鷹介も分別が悪い訳で無い。拗ねた子供みたいだと思い
ながら、つい目線を反らす。
「そういう話じゃ、ないだろ!」
「鷹くんのプライドなんて知りません。わたしは鷹くんが一番安全な場所で仕事ができるなら、
それが一番大切だと思うし」
目線を反らしている鷹介には、彼女の目がなんとも優しげに細められている事が見えない。だから彼に
とって大事なのは未だに折り合いの付かない自己の安い良心への葛藤であり、
247
:
地球防衛戦線ダイガスト 十六話 9/9
:2015/06/21(日) 22:21:52 ID:Cov9893Q0
「じゃあ対レーザー防御も施されてないコクピットに乗ってるあいつらは、どうすりゃ良いんだよ……」
「どんな事になっても、覚えていてあげようよ、鷹くんが」
それって根本的解決になってませんよね、とか平素なら思いもしようが、友誼に背く罪悪感と汲めども
尽きてくれぬ義侠心とにクロスボンバーされ続けた鷹介である。おためごかしの様な科白にだって、他人
様がここまでの心労を慮ってくれたと、心中の歪み捻じれた心の花に光がさすような心地になる。まして、
「わたしも覚えるから。だからたまには、鷹くんの友達の事も聞かせて?」
鷹介は何かを堪えるように、しばし瞼を強く閉じる。目を開き、結局気恥ずかしさから透の方は向かず、
ポツリポツリと瞼の裏に浮かんだ記憶を言葉にし出す。
「笠井は、俺たちの中じゃ抜群に操縦が上手かったんだ……でも、それを鼻に欠けない、
気もちのいい奴で……きっとフライトリーダーになる、そしたら俺たちを呼んでくれ、なんて……
夢みたいな先の話までしてさ……あいつは……こんなところで終わっていい奴じゃなかったんだ……」
吐き出すように鷹介が言ったとき、ふわりと良い香りが彼を包んだ。透が鷹介の頭をかき抱いていた。
我知らずここまで張りつめさせていた物が、ふっつりと切れ、彼は声を押し殺して泣いた。
次回予告
ついにツルギスタン帝王により、ダイガスト討伐の勅が下された。
地を揺るがす侵略軍の諸兵科連合を前に、成す術はあるのか。
次回、地球防衛戦線ダイガスト 第十七話
「コンバインドアームズ」
この国を好きではいけないのですか?
つづく
248
:
秋水
◆3C9TspRFnQ
:2015/06/21(日) 22:26:12 ID:Cov9893Q0
いじょ。
地球における銀河列強の戦争目的は曖昧であり、落としどころも不確かです。
であるからして、水面下での工作が響いてくる…という舞台装置説明会ですね。
漫画のくだりは厭戦プロパガンダです。
ロボスレ的にはガングリフォンの厭戦放送 ベルリン・リリィちゃんですかね。
MSイグルーのヅダの回でもジオン向けの厭戦放送が行われておりました。
現実だと本邦の正月や八月の度に、テレビで垂れ流される極端な非戦も厭戦プロパガンダでしょうね。
すっかりと厭戦気分が蔓延したベトナム戦争時代のアメリカでは、帰還兵に罵声が浴びせかけられ、
やがて映画『ランボー』を生み出したのも有名な話です。
一方で厭戦ラジオ放送ですが、敵対国の兵たちは故郷の歌や音楽を流してくれるので好評だった、
なんてたくましい話も聞きます。
こういう異なる世界の兵隊生活を妄想し、こねくり回すのも楽しいものですね。
それでは、近いうちに、また。
249
:
名無しさん@避難中
:2015/06/26(金) 12:52:53 ID:EePdwLtg0
荒唐無稽を荒唐無稽であるとした上で真正面から挑むのがダイガストのミソになってますが、そのテーマ性を改めて噛みしめるような話でした
鷹介は生来的な部分での真面目さも有りましょうが、立ち位置的にそうならざるを得ない部分も大きいのが見てて心配になりますね
最後に崩れてくれてホッとしました。そーいうヒロイン大事
250
:
秋水
◆3C9TspRFnQ
:2015/06/26(金) 22:11:13 ID:9LJ/QfSs0
>>249
感想ありがとうございます。
気が付けば、鷹介は随分と繊細になっていました。
当初のイメージじゃ、昭和のスーパーロボットの操縦者みたいに
放送禁止用語のひとつやふたつ、ほいほい口走るイメージだったんですが
はて、どうしてこうなった…
251
:
名無しさん@避難中
:2015/06/29(月) 05:17:23 ID:Wu9wds8E0
今回の話いいなぁ…
友人の葬儀にすら出れない悲哀とそれを諭すように語りかける図はどこか悲劇的でありながらも優しさも感じられて染みました
時折入ってくるネタの数々にニヤリとしながら、次回も楽しみに待ってますー
252
:
秋水
◆3C9TspRFnQ
:2015/06/30(火) 17:38:07 ID:PHwn921s0
>>251
感想ありがとうございます。
胸を張れないお仕事に就いた若者の、
鬱屈した日常を描くのが弊作で御座いますれば。
253
:
古時計屋
◆klsLRI0upQ
:2015/07/01(水) 06:26:31 ID:IuCohrVo0
はい、順調に順調に遅れています…
2、2週間以内を目標に…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
254
:
名無しさん@避難中
:2015/09/03(木) 20:57:14 ID:PFG62EwY0
新しいロボ作品考えた
主人公の少年(声:瀧本富士子) カラー:赤
仲間の少年A(声:甲斐田ゆき) カラー:青
仲間の少年B(声:小林由美子) カラー:緑
仲間の少年C(声:高木礼子) カラー:黄色
仲間の少年D(声:皆川純子) カラー:紫
敵の一員⇒仲間6人目の少年(声:竹内順子) カラー:金+銀
ロボ(主人公達の相棒、普段は手のひらサイズで非常時に巨大化する)
主人公の愛機(声:檜山修之) カラー:赤 形状は人型 頭部・胸部を構成
仲間Aの愛機(声:阪口大助) カラー:青 形状は丸形 両肩・両上腕部を構成
仲間Bの愛機(声:神奈延年) カラー:緑 形状は四角型 両前腕部を構成
仲間Cの愛機(声:千葉進歩) カラー:黄色 形状は冷蔵庫型 上半身・両脚を構成
仲間Dの愛機(声:浅井清己) カラー:紫 形状は女性型 下半身を構成
以上5体が合体して1号ロボが完成する
サポートロボ枠
スカイユニット
リーダー(声:森川智之) 鶏から人型に変形
メンバーA(声:緑川光) 不死鳥から人型に変形
メンバーB(声:私市淳) コウモリから人型に変形
シーユニット
リーダー(声:小西克幸) ロブスターから人型に変形
メンバーA(声:岡村明美) シャチから人型に変形
メンバーB(声:中嶋聡彦) 海亀から人型に変形
敵⇒仲間6人目の愛機(声:ケインコスギ)
人型ロボ、サイボーグドラゴン、重戦車が合体して完成
1号ロボと合体してパワーアップ形態になる
敵ロボ軍
ワイバーニング(声:井上和彦)ワイバーンから人型に変形
?(声:小田久史)スフィンクスから人型に変形
?(声:緒方賢一)牛から人(ミノタウロス)型に変形
?(声:佐藤拓也)ケルベロスから人(狼男)型に変形
敵ボスロボ(黒幕の登場機)
?(声:山寺宏一)
グリフォンとマンティコアが左右合体して人型または戦車に変形
これでいいかな?
255
:
名無しさん@避難中
:2015/09/03(木) 21:41:44 ID:nHqbLpiw0
ありがち
256
:
名無しさん@避難中
:2015/09/03(木) 22:30:17 ID:GDudq2RQ0
とりあえず話を書いてみようね
257
:
名無しさん@避難中
:2015/09/04(金) 09:26:35 ID:bQvfg4lM0
>>254
雇う金もないくせに声優なんて考えてどうすんの
258
:
名無しさん@避難中
:2015/09/04(金) 22:23:59 ID:Zc6vUx/Q0
何やらネガってるが生存者いたか
259
:
名無しさん@避難中
:2015/09/04(金) 22:46:07 ID:5NpvjRSc0
塹壕から出てきてみたが投下の流れではないので陸戦重装甲アンドロイド女子とにゃんにゃんしてますね
260
:
名無しさん@避難中
:2015/09/04(金) 22:58:30 ID:Zc6vUx/Q0
じゃあ俺もおとなしくアシモ狩りしとくわ
261
:
ちのつく人
:2015/09/05(土) 00:28:29 ID:ItZ15n6Y0
アシモ狩りも疲れたのでロボスレイダーVr.2置いときますね
http://download1.getuploader.com/g/sousakurobo2nd/81/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%AD%E3%83%9C1%E5%8F%B7%E6%A9%9F.jpg
262
:
名無しさん@避難中
:2015/09/05(土) 06:56:35 ID:C8AFLLow0
>>261
カッコイイ!!
過去のネタですか?
SLとドラゴンかな?
変形プロセスの妄想がはかどるね!
263
:
名無しさん@避難中
:2015/09/05(土) 10:16:49 ID:D31Tg0bk0
>>262
あザァーッス!
最早いつ落ちしたかわからんくらい前のネタロボの27年度版です
元ネタが残ってないんでほぼ別物ですがww
264
:
古時計屋
◆klsLRI0upQ
:2015/09/17(木) 20:00:21 ID:.I4iPe.Q0
というわけで投下はじめるぞい!
265
:
CR5章 4章までのあらすじ!
:2015/09/17(木) 20:00:53 ID:.I4iPe.Q0
これまでのCR ―Code Revegeon―
これはUHに復讐を誓う青年、黒峰潤也は怨念機『リベジオン』を用いて父と母を殺した妹、黒峰咲とそれに率いられたオーバーテクノロジーを持つ地下世界勢力UHと戦いの物語である
ついに黒峰咲との決戦の場へと身を投じる潤也
しかし黒峰咲が操る最強の怨念機『メタトロニウス』の力は圧倒的で潤也とリベジオンはその全ての攻撃を封殺されて敗北を喫してしまう
潤也はなんとか生き延びる事が出来たもののリベジオンは大破、至宝『ブリューナク』を持つ少女琴峰藍を奪われ、潤也自身も視力と右腕を喪失。
もはや黒峰潤也に残されたものは何もなかった。
【登場人物】
・黒峰潤也 初登場:1章
この物語の主人公。21歳。正確は真面目だが若干天邪鬼。シスコン。
第七機関第三区画壊滅事件により家族を失っており、その際にリベジオンと遭遇し、その適格者として扱われる。
髪は元々黒髪であったが、怨念機に注入されたナノマシンによって色素を変えられて髪が白くなっている。
父と母の生命を奪った妹への復讐心を持つとともに複雑な感情を抱いている。
現在、視力と右腕を喪失している。
・琴峰藍 初登場:1章
異なる時峰九条を作る事を目的とした『琴峰機関』が作り上げた最大の成果『ナンバーI』、外見は16歳程度。
ミドルヘアーの黒髪。
黒峰咲のクローンであり、容姿は髪の色以外はほとんど同じであるがその体には琴峰機関の研究が結集されており、その能力は人の域を大きく超えている。
また、至宝『ブリューナク』の所有者であり、その為に不死の能力を得ている。
当初は感情や人格を与えられる予定ではなかったが至宝を得た事によって生じたバグか彼女は人格を形成した。
だが、それは同時に琴峰機関の拷問のような実験を人として受け続ける必要があった事を意味しており、そこから救ってくれた潤也を崇拝に近い感情で見ている。
現在、メタトロニウスに至宝ごと握りつぶされる形で取り込まれ彼女の人格が残っているかは不明。
・黒峰咲
黒峰潤也の妹にしてUHを統べる存在。
世界から死を取り除いた世界の想像を目的としており、至宝の力を用いてありとあらゆる死をなくそうとしている。
死者の怨嗟に反応する至宝を探すためにUHを配下につけ世界にて虐殺行為を行う。
究極といっていいほどの怨念機への適正があり、DSGCシステムを常時フル稼働させていても平然としていられる。
・時峰九条 初登場:2章
イーグル副司令にして人類最強の老婆。
曰く、最強。曰く、人非ず。曰く、鬼婆。
世界最強の人類にして最強の個。生身で鋼機を破壊する身体能力と悠々自適かつ愉快犯な性格をあわせ持つトラブルメーカー。
今、世界で起こっている事件の裏で関係しているようだが?
266
:
CR5章 これまでのあらすじ!
:2015/09/17(木) 20:01:28 ID:.I4iPe.Q0
・秋常譲二 初登場:1章
CMBU所属のS-22計画のテストパイロットを務める男。高い鋼機操縦能力と強い正義感を持つが過去のトラウマにより誰もを見捨てる事が出来ないという病的な部分を持つ。
リベジオンに妬みに近い感情を持っている。
・秋常貞夫 初登場:2章
第七機関が抱えるイーグル総司令。
秋常譲二とは親子関係だが不仲。妻は既に死んでいる。
時峰九条とは師弟関係。
・シャーリー・時峰 初登場:1章
イーグル鋼機部隊隊長。最強の鋼機乗りグレイブ・スクワーマー比肩する力を持つとされており、鋼機で鋼獣を倒すという偉業をなしとげた。
S-21アインツヴァインのカスタム機『雪華』を駆る。
味方を見捨てる事は出来ないという譲二と似た性質を持つが、こちらは譲二に比べるとまだゆがんではいない。
・琴峰雫 初登場:2章
貞夫の副官。琴峰機関の出身であり、電子機器に触れて操作する能力を持つ。
・セレーネ・リア・ファルシル 初登場:2章
第六機関の統括者。最年少で統括者の位置まで到達した女傑。
未来視じみた先見の明を持つ。世界の黒幕とされる『裏』の一員でありコードネームは『鉄の処女』。
秋常譲二に惚れている。
・ネミリア・バルサス
セレーネの秘書。
・『現実主義者』 初登場:1章
『裏』の5人の内の1人。
【機体設定】
・CR-02 リベジオン
怨念をエネルギーに変換するDSGCシステムを搭載した鋼機。
DSGCシステムは通常の鋼機を遥かに凌駕する程の力を生み出すが、搭乗者に死者達の死の追体験を経験させるという副作用があり搭乗者への負担が非常に大きい。
最悪の場合、搭乗者が怨念の思念に乗っ取られて自我を喪失してしまう可能性すら存在している。
また至宝『ブリューナク』を所持しており、その力によってこの世に定められた絶対の1つ『因果』を歪め改変する事が出来る。
必殺技は貫いた敵の因果の始点と終点以外の過程を全て削除する事によって破滅へと導く『因果終焉(カルマエンド)』
現在、メタトロニウスに敗北し大破。
・CR-01 メタトロニウス
リベジオンの兄弟機であり、細部は違うが白いリベジオンといって差し支えない。
カタログスペックはリベジオンと同じであるが、黒峰咲の圧倒的な怨念機適正の為、常時DSGCシステムの稼働が可能になっている。
その為、引き出せるエネルギー量がリベジオンのそれとは桁違い。
また、至宝『ダグザの大釜』を持っており、その力によってこの世に定められた『無から有は生まれない』という絶対を歪め改変する事が出来る。
これは任意にありとあらゆる物質を創造する事が可能となる能力であり、いわばありとあらゆる因果の創造であるともいえ、因果終焉を自機を新たに新生させることで無力化した。
また『ダグザの大釜』はその能力によって自身の力で作り上げたエネルギーを自身で使う事が出来るというサイクルを組む事が出来るため実質無限のエネルギーを使用する事が出来る。
至宝『ダグザの大釜』と黒峰咲の適正が合わさり実質的に世界最強の機体である。
・鋼機
地上側が使う二足歩行の機動兵器。
現在はカスタマイズ性の高いS-21アインツヴァインと呼ばれる機体が主流である。
・鋼獣
UH側が使う獣型の機動兵器。
全身をナノイーターと呼ばれる特殊な装甲で覆われており、その装甲によってありとあらゆる実弾攻撃を喰らい自分の装甲に変える事ができる。
また基本スペックにおいて鋼機を遥かに凌駕している。
弱点はナノイーターのナノマシンを無効にする電撃を帯びた攻撃。
267
:
CR5章 その1-1
:2015/09/17(木) 20:03:05 ID:.I4iPe.Q0
今でもその日の事は昨日の事のように思い出せる。
酷い豪雨の日だった。その記録的な降水は周囲を走る車の音すらかき消して、その一帯を雨の音で埋め尽くす程だった。
外に出た人が傘もなしでは目を開いて歩くことすら適わないと言う。
そんな日にとある病院の中で雨に負けない程大きな声を産声をあげたものがいた。
分娩台の上で母親は、泣きじゃくる赤子を抱える。
生まれたばかりの子供は弱い力で母に触れ、己の存在を示すかのように泣き叫んだ。
それは生まれてきた事に対する歓喜の叫びとも生きることへの恐怖への嘆きとも取れる声だった。
母は赤子を落とさないように包むようにして抱える。
少しでも力を緩めたら落としてしまいそうに思えたからだ。
「大丈夫、大丈夫だよ」
痛みを与えず、安心出来るように自らの子の生を祝福する。
赤子は落ち着き、泣くのをやめる。
その姿を見て私は思ったなんと赤子とは弱いものだろうか…。
ほんの小さな悪意、それからも身を守る手段を持たない。誰かが守ってあげなければ、すぐにでも生まれたばかりの命は尽きてしまうのだ。
少し落ち着きを取り戻し眠りに付く自分の子を見て母は愛おしく思った。
これが罪の始まり…。
愛する事が子のためだと信じた贖いきれない罪の始まり。
私達はあの目の存在を知らないから生きていられる。
あの目の存在を知ってしまったらきっと私達は生きている事ができなくなる。
何故、私はあの目を見てしまったのだろう。何故、私は目を調べようとしてしまったのだろう。
目だ、目がこちらを見ている。目が…目が…。
史竹幸三郎『遺書』最後の1文。
CR 5章 『その日は雨が降っていた』
-1- 第三の騎士
「S-22メインシステムスタンバイモードからアクティブモードに移行。再度システムチェック。」
秋常譲二はS-22ドライリッター胴部にある人が一人やっと入れるほどの狭い操縦ブロックの中でそうメインシステムに向けて音声入力を行う。
譲二のつけるゴーグルに走る文字列はS-22の各部に問題がない事を報告する。
それを確認した後、一息を吐いた後スピーカーから男の声が出力される。
「こちらCMBU司令部からドライリッターへ、聞こえているか?秋常譲二?」
「こちらドライリッター、聞こえている。機体のチェックも終了、問題はない、もうじきシステムも完全に再起動する筈だ。」
「そうかそれは僥倖だ、さて、作戦を始める前にセレーネ女史から君に直接激励の言伝をしたいと承っているのだが受けてくれるのかね?」
「セレーネが?」
譲二は顔をしかめた。
そして、少し考えた後諦めたように言う。
「作戦前だ。手短に頼むと伝えてくれ。」
「了解した、今つなぐ。」
電子的な雑音が発生し、その後、スピーカーから先ほどとは違う女性の声が盛れる。
「あーあー、聞こえてる?聞こえてるかな?譲二?」
「ああ、聞こえてるよ、セレーネ、今作戦前だが何のようだ?」
ぶっきら棒に答える譲二にセレーネ・リア・ファルシルは少し関しそうな声色で、
「何のようだ?ってそれはないんじゃないかね、仮にも君のフィアンセである事の私に向かって…。」
むくれたようにして言うセレーネに譲二はため息を吐く。
「別にあんたとそういう約束をした覚えはない。そういう話をしたいなら、帰ってからで充分だろう?」
「そうすると君はすぐ逃げるじゃないか、今が千載一遇のチャンスなのだよ。」
「――――セレーネ。」
頭に手を当てて咎めるようにして言う譲二。
それに対して笑うセレーネ。
「すまなかった、少し弄ってみたくなったんだ。それでは本題に入ろうか…。」
「作戦開始10分前だ、手短に頼む。」
「秋常譲二、君はこの1戦にどれほどの意味があるのか正しく理解しているかね?
268
:
CR5章 その1-2
:2015/09/17(木) 20:03:51 ID:.I4iPe.Q0
そう問いかけるセレーネに譲二は黙り込んだ。
「沈黙もまた答えだ。そう、この作戦の失敗は許されない。何故ならば、この1戦がこれから人類が奴らUHと戦えるかどうかの試金石となる戦いだからだ。我々は奴らに勝つ為に採算を度外視して今君の乗っているS-22ドライリッターを作り上げた。その機体にはありとあらゆる最新鋭の技術がつぎ込まれており、それがもしあの鋼獣に対処できないのであれば、もはや我々は両手をあげて奴らに投降すること他ない。もはや我々にはあのイレギュラーな黒い機体すらないのだ。」
「――――っ。」
黒い機体その言葉に譲二は苦いものが口に広がるのを感じた。
脳裏をかすめるのは漆黒の巨体に正体不明の紅の光を纏う悪魔のような鋼機だった。
それはそれまで鋼獣に対抗できる唯一であり、そして譲二からしてみれば羨望の対象だった。
「ただ勝つためだけでは駄目だ、これならば人類は奴らに対抗出来るそう思わせる説得力のある勝ち方を選ばなけばならない。いいか?今君の両肩に乗っているものは重い。」
「―――――ああ、わかってる。」
強く噛みしめるようにして頷く。
レバーを握る手に力が入る。
それに呼応するようにしてS-22ドライリッターの起動が完了する。
「だから、圧勝したまえ、君とドライリッターならば出来る筈だ。時間だ行け、英雄よ!」
譲二のゴーグルに文字列が表示される。
それにはこう書かれていた。
Anlock S-22 Takeoff.
大きな金属音が鳴り、機体は宙に放り出された。
ゴーグルがS-22のアイカメラから捕らえた映像を映す。
そこに瞳で全貌を捉えれるほど小さくなった木々や、山々、建築物などが見える。
風切音が鳴り、視界に移る風景は徐々に拡大されていく。そうS-22ドライリッターは高度1万m上空から機体ごと放り出されたのである。
譲二は落下位置の微調整をするために機体の重心を操作する。
今回の作戦では敵鋼獣が3機いるド真ん中に降下し一機で強襲をかける事になっていた。
緊張か、譲二はレバーを何度も握り直すようにしていじっていた。
一瞬の判断が全てを決めるその場へとまた足を踏み入れる。
そのことに少しの恐怖と少しの感慨が譲二にはあった。
高度が下がり、風景が狭く鮮明になる。
落下予定地点の高原では大きな火花と煙がのぼっているのを確認出来た。
敵鋼獣は犬型が3機、CMBUが率いる鋼機部隊と交戦しているのだ。
手に持ったアサルトライフルを鋼獣に向けて打つ鋼機達。
だが、その攻撃の全ては鋼獣の装甲ナノイーターで無力化され、無残にも1機、また1機とその凶牙に貫かれて破壊されていく。
その光景を目の当たりにして譲二から感じていた恐怖がなくなり別の感情が浮かび上がる。
燃え上がるような熱、全てを焼きつくす炎、人の最も強き原動力、怒りだった。
S-22ドライリッターはパラシュートを傘下させて交戦区域へと乱入する為に減速する。
そしてその真白色の機体は降下予定地に降下する。
譲二はレバー上部のアタッチメントを開きその中にあるスイッチを押した。
機体内でアラームが鳴り響く。
――――ディールダイン炉加圧開始――全オーバーラインの接続――全駆動系供給150%――制限時間を15秒に設定
――――『Polar Acceleration Mechanism』起動
S-22ドライリッターの額に3つ目の瞳を開き、肩部と胸部が展開する。
3体の内1体が鋼獣は急に戦場に現れた白い鋼機に気付き、すぐにその牙をもって征そうと走る。
1体がその鋭利な牙でドライリッターの鋼の体を貫こうと飛びかかる。
ドライリッターは腰にあった電装刀を抜き、それに立ち向かった。
交錯する2機、お互いが背中越しに静止する。
どちらにもダメージらしいダメージは見られずお互いの攻撃は当たらなかったかのように見えた。
鋼獣は振り返り、ドライリッターに再び攻撃をしかけようとする。
その時、鋼獣に異常が起こった。
鋼獣の視界が90度ひっくり返り、その鋼の巨体が思うように動かなくなる。
鋼獣は何が起こったのか理解できず困惑する。
それもその筈である。鋼獣の体は横一文字に切断され、上半分が大地に突き刺さるようにして落ちていたのだから…。
269
:
CR5章 その1 3
:2015/09/17(木) 20:05:05 ID:.I4iPe.Q0
譲二はすぐさま残る2機の鋼獣の位置を確認する。
1機は自分に気づき迫り、1機は戦闘中であった味方の鋼機に襲いかかろうとしている。
襲われている鋼機は既に右腕と左脚を欠損しており、とても戦える状況ではない。
しかし、それを助けにいこうとすれば敵に背後を取られる事になりこちらの不利は否めない。
自身の生存を優先するならば、今迫る敵を排除した後、襲われている仲間を助けにいくとするのが正しい判断だろう。
もっとも、仲間を助けられる確率は格段に下がるのは自明の理だった。
それを認識し、
「――――決まってる!」
そう自分を鼓舞するように叫び、譲二は行動を即決する。
PAMの残り時間10秒。
ドライリッターは迫り来る敵に背を向け走り、アサルトライフルの銃口を向ける。
友軍機に牙を突き立てようとする鋼獣の顔面に弾丸の嵐が叩きつけられる。
物理攻撃を食らう特殊装甲ナノイーターがあるがゆえに鋼獣には銃弾による攻撃の効果は薄い。
だが、ドライリッターの左手に持つアサルトライフルは通常の鋼機用のものより口径が大きく、かつ対ナノイーター用の特殊弾である。
それは鋼獣に致命的な打撃を与えるほどのものではないが、その衝撃は確実に襲い姿勢を崩させた。
その間にドライリッターは接敵、即座に右手に持つ電装刀で一閃、真っ二つに叩き斬った。
PAMの残り時間4秒。
だが、それと同時に背後から飛びかかる最後の一匹。
救援に回ったがために、先手を奪われる。鋼獣の牙が迫る。
もはや振り向く時間すらない。ならばこそ、譲二は針の穴に糸を通すような集中力で、肘を後方に打ち付けた。
肘が鋼獣の顎と衝突し、その衝撃で鋼獣は吹き飛ばされた。
PAM残り時間2秒。
既に一息ほどの時間しか残っていない中でドライリッターは身を翻し疾風の如く駆ける。
鋼獣は倒れた体を起き上がらせながら敵を見る。
しかし、立ち上がった時既に眼前にギロチンを振り下ろす処刑人のようにドライリッターが電装刀を上段に構え立っていた。
そしてギロチンの刃が振り下ろされる。
鋼獣はその頭部から縦に真っ二つに切断された。
戦闘終了。
それと同時にPAMの時間が切れ、ドライリッターの全身の冷却装置が起動し上記が各部から吹き出す。
譲二はまだ隠れている敵がいないか索敵を行った後、自分の近くで倒れている鋼機に通信をつなぐ。
「―――生きているか?」
「あ、あぁ…。」
そう声が帰ってくる事を聞いて一息吐いた。
「あ、あんたは一体、それにその機体は鋼機なのか?」
「ああ、自分は、CMBU特務部隊所属の者だ。この機体はS-22ドライリッター。」
「S-22!じゃあ、噂の対鋼獣戦用の鋼機がついに完成したのか!」
驚きと少しの喜びを孕んだ声で半壊した鋼機の操縦者が言う。
鋼機は鋼獣に単騎で勝つことは出来ない。それは今、鋼獣と戦う兵士達にとっては絶対の常識であり、絶望であった。
その絶望を単騎で複数の鋼獣を破壊する事で覆した者がいる。その事実を飲み込み、つい声に喜びと期待の色が出ているかのようだった。
「ああ、そうだな。」
その歓喜の思いを消させないように譲二は笑顔を作って返事をする。
事実この成果は脅威の成果といえる。未発表ながら鋼獣を鋼機が倒すという偉業は既にイーグル鋼機部隊の隊長を務めるシャーリー・時峰の手によってなされているが、それは機体がボロボロになる状況で九死に一生を得ての勝利だった。
だが、今回は違う。単騎で完膚なきまでに敵を圧倒したのだ。
この事実は絶望にくれていた人々の心に大きな希望を宿すだろう。だが、それを成し、本来誇るべきである筈の秋常譲二の表情は晴れない。
頭に思い浮かぶのは一つの戦景だった。
あの最強とも思えた不可思議な鋼機リベジオンを圧倒した白い機体。
UHの首領格とも目されるその機体が起こした超常の数々は衛星映像で譲二も確認した。
その後で、何度も譲二はドライリッターであの機体で挑むシミュレーションを行った。
結果、得られたのは0%という可能性のない数字だけ…。
「ちくしょうっ…。」
誰にも聞こえないほど小さな声で譲二は感情を吐き出す。
結局、例え今人類が鋼獣に対抗する力を得たとしてもあれ1機でその微かな勝機の全てが覆されてしまう。
歓喜に盛り上がり兵たちが凱歌をあげる戦場の中で譲二は一人だけ己の無力さを呪った。
270
:
CR5章 その2 1
:2015/09/17(木) 20:06:04 ID:.I4iPe.Q0
―2― 混迷の世界
世界政府鋼獣対策本部会議室。
統制庁3階にある会議室の中で円卓を囲むようにして座る人間が5名。
イーグル総司令、秋常貞夫。
その副官である琴峰雫。
イーグル鋼機部隊隊長を務めるシャーリー時峰。
第六機関の長にしてCMBU顧問を務めるセレーネ・リア・ファルシル。
その秘書であるネミリア・バルサス。
イーグルの中心を締める3人を機関長特権を使ってセレーネ・リア・ファルシルが呼び出したのである。
「まずは希望はつながったと見るべきなのかね。」
円卓中央にあるディスプレイには人類の反撃の狼煙ともいえる戦果の光景が映し出されている。
それを見て眉を潜めて言うのは『イーグル』司令である秋常貞夫だった。
彼の率いる『イーグル』は鋼獣と先頭に戦った最大の組織であり、鋼機で数機の鋼獣を破壊した実績がある組織だ。
「不本意そうですね。司令。ご子息のご活躍というのはやはり複雑なのでしょうか?」
その様子を眺めて貞夫の副官である琴峰雫は言う。
貞夫は何か言いたそうに顔を上げるが顎に手を当てて、押し黙った。
「あら、あなた達親子って仲がこじれてるの?」
来賓の一人である第六機関の長でありCMBUの責任者であるセレーネ・リア・ファルシルはくすりと笑う。
未来予知じみた先見の明で第六機関統括区域の全てを立て直した『鉄の処女』が興味深そうに貞夫を見つめる。
「なに、ただの一家庭の事情ですよ、この会議には関係がない。」
貞夫はそう極めて静かにそういった。
その事については語りたくないというニュアンス、それを受け取ってセレーネは頷いた。
「ま、大した問題ではないですか。それに今私達が抱えている問題の方がずっと大きな問題だ。そしてイーグルの方々を今回お招きしたのはその問題について語り合いたいと思ったからですし。」
「抱えている問題?」
シャーリー・時峰は首をかしげる。
彼女は非公開ながらS-21のカスタム機で鋼機を2機破壊するという偉業を成し遂げた兵士である。
現在世界最強の鋼機乗りとしてかの『味方殺し』グレイブ・スクワーマーと双璧をなす者として見られるようになっている。
「ええ、そうです。我々は確かに鋼獣に対する力を得ました。S-22ドライリッターの量産体制が整えば今いる鋼獣との戦闘の勝率は格段に跳ね上がります。」
「S-22か…PAMだったか?ディールダイン炉を大きく加圧する事によってディールダインのエネルギー増幅の効率を上昇させ、それによって生まれたエネルギーを機体全体に循環させスペックを通常の1.5倍ほどに引き上げるシステム。」
「流石、シャーリー・時峰。よくご存知で…。」
「なに、私もCMBU製の鋼機に乗っているんだ。噂ぐらいは聞くさ。確かにあれを使っている時の機体の動きは異常だなまるで鋼獣のようだったよ。だが、あのシステム恐らくは問題がある。」
そう考察するようにディスプレイの中で回収されるドライリッターを見ながらシャーリーは言う。
ドライリッターの各部から蒸気のようなものが吹き出していた。
「ええ、確かにPolar Acceleraion Mechanismには問題があります。エネルギー増幅作用がある物質ディールダインに圧力を加えるとエネルギー増幅効率が跳ね上がる事は4年ほど前から判明していました。」
「では何故実用にこれほどの時間を?」
尋ねる雫。4年ほど前に完成していたのならば、S-21アインツヴァインが開発されていた時点で導入する事が出来たのではないか?
そういった疑問が雫の脳裏に走る。
「ええ、問題はこのディールダインは圧がかかるとエネルギーを増幅しすぎるという点が問題だったんです。」
「しすぎる?」
「ええ、おおよそ70倍ほどになります。」
「70!?」
予想以上の数字に声を上げる貞夫。
「ネミリア彼らに資料を配ってくれ…。」
ネミリアと呼ばれたセレーネの秘書官にあたる女性が円卓から立ち上がり、周りの人間に資料を配る。
271
:
CR5章 その2 2
:2015/09/17(木) 20:07:04 ID:.I4iPe.Q0
面々は資料に目を通しはじめた。
「今、お渡ししたのはS-22のスペックの要点をまとめたものだ。なにか質問はありますでしょうか?」
そう尋ねられ、シャーリーは考えこむようにしている。
「ふむ、このオーバーラインと呼ばれる物に加圧時だけディールダイン炉と直結させてエネルギーを循環させると…。しかし、これは…。」
「ああ、稼働し続ければ機体が持たん。」
「機体がもたないというのはどういう意味かね?」
「文字通りの意味だ、秋常司令。臨界点を超えるエネルギーを出し続ければ機体はすぐに爆発する。」
「だが、さっきの戦闘では――――」
「ああ、そうだ。さっきの戦闘では機体が爆発しなかった、それが肝なんだ。S-22はPAMを使うために開発された鋼機でな、基本的なカタログスペックはS-21と比較して頂いてもそれほど大きな差はない。だが、我々が開発したオーバーラインと呼ばれる特殊なラインを通し機体の全身に巡らせる事で臨界点に突入するまでの時間を遅らせる事が出来る。そして臨界点に突入するまでの間、鋼機は鋼獣に匹敵するスペックを有する事になる。それがPAMの概要だよ。」
「時間はどの程度?」
尋ねたのはシャーリーだった。
鋼機を扱う者として興味深くあったのだろう。
「おおよそ15秒。それ以上は危険だと実験結果が出ているのでな、緊急停止プログラムが作動するようになっている。その後に機体に緊急冷却をかけている為、オーバーラインの冷却終了までおおよそ5分その間PAMは使えない。また、オーバーラインへの負担も大きくてな、2回使用すればオーバーライン自体を交換しなければならない。」
「ふむ。」
頷き思案にふけるシャーリー。
リスクは高い、欠点も多い、だがこの機体は鋼獣に対抗するにたる戦力になるのも確かだ。
この機体があれば鋼獣を倒す事は出来るのかもしれない。
だが、ここで誰もの脳裏をよぎる一つの事実があり、その場の全員が沈痛な面持ちでいた。
「S-22の完成によって鋼獣に対抗する手段は得た、だがしかし、あの白い鋼機に勝つことは出来るのだろうか?きっと皆さんはそう考えていらっしゃるのでしょう?」
セレーネは笑っていう。
「ええ、そうですね、あれは我々にとって絶望的な光景でした。まさに――――」
「――――さっさと本題に入らないか?セレーネ・リア・ファルシル。」
セレーネの言葉を遮ったのは貞夫だった。
「本題?」
「ああ、そうだ『鉄の処女』よ、裏のメンバーの一人であるお前がこの状況を想定していなかったわけがないだろう?」
そう告げる。
『裏』、この世界を裏から動かす5人の黒幕。セレーネをその内の一人だと貞夫は言ったのだ。
セレーネは唇に一刺し指を当てて笑う。
「あら、何のことでしょう?」
その言葉に琴峰雫は呆れたように肩をすくめた。
「そもそもその猿芝居を続ける必要があるかすら疑問なのですが、我々が掴んでいる『裏』のメンバー5名の通称は『現実主義者』、『皮肉屋』、『貴婦人』、『道化師』、そして『鉄の処女』。あのですね…もうちょっと正体を隠す努力をした方がいいと思いますよ、あなた。」
その突っ込みに会議室に静寂が訪れる。
そして少しの時間がたった後、くつくつとしたセレーネの声小さく漏れ始める。
「ふふ、あはは、あはははは、よくわかったわね!この私が『裏』の一員だなんて!」
そう先ほどまでの冷静かつ厳格な物言いはなりを潜め、やたらとテンションの高い声でセレーネが言う。
その光景に貞夫とシャーリーは引きつった顔で見つめた。
「いえ、だからあなた隠す気あんまりなかったでしょ…。」
「だって、隠す必要ないんだもの、裏の名簿なんて裏の人間の誰かが横流ししない限り漏れないものだったし…。ま、正体バレてる前提で呼び出したんだけどね。」
快活に答えるセレーネ。
「キャラが違うぞ、こいつ…。」
貞夫はセレーネに聞こえないように雫に耳打ちする。
「あー、一応、私には人を率いてる立場があるからね、あれ、肩凝るのよ結構。ふふ、私が役者としてデビューすればすぐに実力派役者として大成する自信があるわ…流石私、やっぱり私凄い、とっても凄い。」
「うざ…。」
雫は率直な感想を漏らした。
「あー酷いうざいだなんて、そんなの自覚してるけど!でもうざいだなんて酷い!いいもん、私には譲二くんがいるもん!それだけで満足だもん!アイラブ譲二。」
「何を言っている…。」
272
:
CR5章 その2 3
:2015/09/17(木) 20:09:08 ID:.I4iPe.Q0
「え、譲二くんラブという事だけですよ、その為に色々下準備をね…。」
「――――貴様ら、あいつを利用して何をするつもりだ!!」
激昂する貞夫。その眼からは殺意が放たれ、胸から銃を取り出してその銃口をセレーネに向けた。
「司令!」
慌てて静止の言葉をかける雫とシャーリー。
しかし、それに構わず引き金に指をかける貞夫。
「言え!そもそもおかしいと思っていたんだ。あいつのトラウマを考えれば、S-22の操縦者として選ばれる筈などないと…だが、何故かあいつが選ばれた。兵士として欠陥のあるあいつが…その理由はなんだ?『鉄の処女』?」
「あら、冷めてるって聞いてたけど、お父さんの方はなんだかんだで息子の事を心配してるのね。ちょっと良かったなーなんだかんだで親子の不仲って悲しいじゃない?私には両親がいなかったけど、だからこそ、そういう家族愛っていうのに憧れちゃうのよね。」
「答えろ!!」
自分の命が握られているという事実に構わず変わらず笑顔を浮かべるセレーネ。
通常、銃口を向けられた人間というのは何らかの緊張が表情に出るものである。
だが、セレーネにはそれがない。
まるで自分がそれでは死なないとでも思っているかのように…。
「先に1つだけ誤解を解いておきたいんだけど、私達『裏』は別に全員で何かを成そうとしているわけじゃないの。」
「どういう意味だ…。」
「つまりは『裏』っていうのはそれぞれ別の目的の持った烏合の衆だという事よ。それが偶然、目的に到達するまでの道中が途中まで一緒だったから、一緒に協力しあっていたというだけ…。でも、この間のメタトロニウス・アークの覚醒で、ついに私達の道は別れてしまった。実質的な話を言えばもうあなた達の言う『裏』という組織は解体されたも同然ということよ。」
「譲二を巻き込んだのは、そのうちの一人の思惑だと言いたいのか?」
「そ、ま、私なんだけどね。私が見たいのは英雄の誕生。昔からね、私は英雄って存在に憧れていたの…窮地に陥った人々の前に颯爽と現れて悪を挫いていく存在。そんなものが見てみたかった。けれど実際そういう人間を探してみると案外いないものなのよ。ある意味、時峰九条はそうとも言える人間なのかもしれないけど、まーあいつは見ての通りしわくちゃのババアだしねぇ?やっぱりちょっとは顔にもコダワリたかったのよ。」
「それで譲二を選んだということか!」
「そうね、彼は壊れているわ。傷ついていく人が、見ず知らずの者であろうと誰かが死んでしまう事が許せない。例えそれが間違っていると知っていても誰かを助けるために行動をしてしまう。兵士としては欠陥品もいいところね。けどだからこそ彼は英雄の資格がある。」
「英雄?この状況で確かに鋼獣を倒せばあいつは英雄ともてはやされるかもしれん…だがあの白い機体を倒せなければ、結局それも意味がないだろう。」
「そう、そうなのよ。結局の問題はね…。私も黒峰咲があそこまでやるなんて想定外だった。『ダグザの大釜』はね、至宝の中でも最も扱いが難しい至宝なの…なんでも作ることが出来るという事はそれだけ人の脳与える負荷も大きいのよ。あー至宝って言ってもわからないんだっけ、あのなんか不可思議な現象を起こすものね。あなた達と協力関係であった黒峰潤也も使っていた奴。」
貞夫達はリベジオンと呼ばれた機体が持つ黒槍を思い出す。
あの黒槍で突かれたものはありとあらゆるものが塵と化す。
そのメカニズムはまるで解明できずまるで超常現象のようだと思えていた。
「今回、あなた方を呼び出したのはこのままだと秋常譲二は英雄になる事ができなくなってしまう。私のシナリオではS-22だけでもこの逆境に対抗できる筈だったのよ…。でも出来なくなった。だからあなた方を呼び出したの…私の正体を知っているだろうあなた方を…。」
そう真剣に語るセレーナに貞夫は反吐が出そうな気持ちになった。
他の2人も同様だろう。
おそらくは『裏』がいくら関与しているこの事態に自分では収拾がつかなくなったからイーグルにコンタクトを取りに来たと彼女は言っているのだ。
唾棄すべき事である。
(だが、しかし―――)
そう貞夫は考え銃をおろし、怒りを沈めるようにして一呼吸した。
「あなたは今人類が置かれているこの状況を人類側にいい形で終わらせたい、そう考えているのだな?」
「理解が出来る人で助かるわ、脳みそまで筋肉な人間だとここで話はご破算だったから…。」
「あなた方は私達に何をさせたい?」
273
:
CR5章 その2 4
:2015/09/17(木) 20:09:52 ID:.I4iPe.Q0
「そうね、その前に一人ゲストを読んでもいいかしら、私よりも胡散臭い男だけど私よりも現状に詳しいわ…。」
「ゲスト?」
怪訝そうにする雫とシャーリー。
「どうぞ、入って…。」
その声と共に扉のノブが回り戸が開く…。
そして、その中から現れたのはこの場にいる一同の全員が知っている顔の男だった。
蓄えられた顎鬚に伸びきった長髪、だらけた着こなしのTシャツに塞がった片目。
面識はない、しかし、この世界に生きるものならばそのほとんどがその顔を知っている。
「初めましてかな?秋常貞夫、シャーリー・時峰、琴峰雫。私の名前は木崎剣之助、人は私のことを―――」
男は笑顔で誇示するように言う。
「―――『現実主義者』または、スーパーニート木崎と呼ぶ!!!」
部屋にいた全員に悪寒が走った。
274
:
CR5章 その3 1
:2015/09/17(木) 20:11:02 ID:.I4iPe.Q0
―3― 空がない日、染みる痛み
電子音が一定の周期で鳴っている。
ゆっくりとそれでいて断続的に聞こえるその音は寝台で寝ている男を不快にさせた。
「……くそ」
寝台で寝ている男、黒峰潤也は電子音の不快さに舌打ちして寝返りをうつ。
頭になにかがぶつかる痛み。金属の冷たさと硬さが軽い痛みとなって潤也に響く。
寝返りをうった時にベットの柵に頭をぶつけたようだ。
「くそ…。」
瞳が闇しか映さなくなってから既に何日目だろうか…。
外が夜なのか昼なのか視認できなくなった時点で、既に時間の感覚などほとんどなくて、メトロノームのようになる電子音だけが時が進んでいるのを潤也に示している。
右手を握る。
歯車が回るような音だけなるが、右腕の感覚はない。
試しに腹に手のひらを触るようにしてみたら、腹に冷たい感覚した。
搬送された病院で付けられた義手の感覚。
思うように動いてはくれているようだが、感覚が無いため違和感が強い。
試しに体を立てようとする潤也。
全身からきしむような痛みが走り、その激痛に顔を歪めた。
「あらあら、まだ無理はするもんじゃないよ。」
戸が開く音と共に誰かの声が潤也に聞こえた。
その声は聞き親しんだというわけではないが、ここ数日よく聞いてきた声だ。
「ばあさん…か…。」
声の主、時峰九条は潤也の元に近づきまだ生身である左手を握る。
潤也の左手をしわだらけだが、温かい手が包んだ。
「そうさ、あんたの味方の九条婆ちゃんだよ。」
「いつからあんたは味方になった…。」
力なく毒づく潤也。
時峰九条、おおよそ2週間、潤也たちのお目付け役としてイーグルから派遣されてきた老婆だ。
枯れていて今にも折れ曲がってしまいそうな老婆だが、その実、世界最強の名を欲しいままにする程の武芸者でもあり、イーグルの副司令の立場にあるらしい。
実際、人造人間であり、人を超えた能力を持つ藍が手も足も出なかったと藍本人から潤也は聞いている。
「あたしゃ、いつだってつらい目にあってる子の味方さ。ほら、あたしお婆ちゃんだからね、お節介なのさ。」
そういって九条は笑う。
その悪気のない言葉に潤也は感じていた苛立ちが萎える。
怒鳴ろうとした自分が馬鹿らしくなったのだ。
「そうかい…それで何のようだ?」
そうぶっきらぼうに聞く潤也。
九条は驚いたようにし目を開いて
「何って、勿論お見舞いだよ、それなりに付き合いがある仲だしねぇ…。」
「二週間ばかりでそんな大きい縁はなかっただろう?」
「何を悲しい事を言うんだい、偶然どこかで出会って話してみたら意気投合してメールアドレスを交換する事だってだろう?縁は時間じゃないのさ。」
「だからって、そもそも俺はあんたと仲良くやってたつもりは無かったんだがな…。」
事実、潤也はイーグルから監視役でついてきた九条を何度か置き去りにしてその場から去った事がある。
その度に、九条は次の目的地に先回りしてたどり着いていたのだが…。
「あたしが仲良くやってたと思ってたんだから仲良くやってたんだよ。」
「酷い暴論だな、それ。」
「あら、世の中言ったもん勝ちだっていうよ?」
「ああ、わかったよ。それで見舞いにきた?ならこの様だよ。全身ボロボロで目もまともに見えない。右腕に関しては吹っ飛んじまって、今じゃ機械仕掛けの腕にたよる始末だ。」
潤也はそう投げやりに言う。
「ああ、その事で1つあんたには謝らないといけないと思った事がある。」
「謝る?」
「あんたの右腕をふっ飛ばしたのはこのあたしだ。」
「――――っ。」
予想していなかった言葉に詰まる。
「あんたの右腕に貞夫から送られた発信機とか言われていた腕輪があっただろう?まあ、あんたも察してたとは思うがあれは発信機だけじゃなくてね、もしもあんたが人類の敵に回った時に使う為の爆弾も仕込まれてたんだ。そしてそれの起爆装置をあたしは渡されていた有事の時に起爆できるようにね。」
「―――それで暴走状態にあった俺を殺すために起爆したというわけか…。」
「いーや、それは違うよ、それなら致死に至らしめるような爆弾を仕込むさ、あんたが付けられたのは綺麗に右腕だけを吹っ飛ばす爆弾さ、正気を失ってありとあらゆる薬物投与も効かないあんたを操縦を不能にする。つまりは完全にあんたが怨念に取り込まれた時にあんたをこちらの世界に引き戻す為のジョーカーだったというわけさ。」
275
:
CR5章 その3 2
:2015/09/17(木) 20:13:36 ID:.I4iPe.Q0
「―――なるほど、俺が今こうやってあんたとまともに話してられるのはあんた達のおかげって事か…。」
黒峰咲との戦い。あの戦いで勝つために確かに潤也は怨念に取り込ませて戦うという選択をした。
本来ならばその時点で黒峰潤也は黒峰潤也という人格を失い怨念の代弁者と化していた筈である。
しかし、それをすんでのところで右腕を吹き飛ばすという荒業で発する痛みが黒峰潤也を正気に戻したのである。
結果、黒峰潤也は黒峰潤也としての自我を持った状態で今ここにいる。
(けど、どうせなら―――)
ふと潤也の頭に暗い考えがよぎる。
九条はそれを察して、
「なんだい、どうせなら自分を殺してくれればよかったのに…あれで死ねたらよかったのに…なんて思っているのかい?」
潤也は口には出さなかった思いを言い当てられ表情を曇らせた。
「まったく、坊やはわかりやすいんだよ。なんだい、あんた死にたかったのかい?」
「さあな、ただ、もう疲れていたのは確かだ…。」
「疲れていた?」
「ああ、あくる日もあくる日も怨念共に精神を蝕まれながら戦い続けてきた。いつか黒峰咲を倒してあいつを止められる。そう信じて色んな苦痛にも耐えてきた。」
「そうだろうね。」
「地獄だったよ…。家族の仇を取るために戦っていたら実はその原因が妹だって知らされて、妹が訳の分からない理想で世界を滅ぼそうとしていて、それを止めないといけなくて…自分を咲に対する呪詛と憎悪で固めて戦ったんだ。そうしなければならないと思ったから…。」
もはや戦う力を失ったからだろうか、潤也は今まで誰にも言うことがなかった思いが口から漏れだしているのに苦笑した。
そして今までせき止めていた思いは防波堤を壊し、止まらずに流れ出る。
「辛かったんだ。苦しかったんだ。なんで俺があいつを殺さないといけない。なんで俺だけしかその力を持っていない。誰かに変わって欲しかった。例えそれが正しい事だとしても俺に咲を殺すなんて宿行背負いたくなんてなかった。納得なんて出来ない。けれどやらなきゃいけない。だから必死に必死に必死に憎んで、あいつを憎む自分を作り上げて戦ったんだ。」
「だから死にたかった?責任を全て放棄したかった?」
「ああ、生きてる限り、あいつが人殺しを続ける限り俺はあいつに相対しなきゃいけない。そして、どうも俺はそれから目と耳を閉じる事も出来ない人間だったんだよ。だから終わりを望んでいた。誰かにこの戦いから解放して欲しかった。」
その声は悲痛という他なかった。黒峰潤也は元々ただの一般人だ。両親は軍事研究者であったが、潤也は両親が何をしていたかなんて、アテルラナにハナバラで知らされるまで知らなかった。
だが、その真実を知らされた時、潤也は変わらざるを得なかった。
世界の為などといった大義で戦う事は出来ない。
大義で戦うという事は、圧倒的多数の世界を守るという事だ。
それはつまり、怨念達につけ込まれる隙になる。ゆえにあくまでたった一人の意志で戦う強い覚悟が必要だった。
その為に選んだ手段が復讐。両親を殺した事実、それを持って咲を両親の仇だと見定めて潤也は復讐者として己を塗り固めたのである。
だが、黒峰潤也という人間の本質は、多大な期待を抱いてそれに応える英雄でもなければ、ありとあらゆるものを蹂躙し、支配する魔王でもない。
「俺は弱いんだよ。そうやって自分を塗り固めていないとすぐにも覚悟が瓦解してしまいそうで、婆さんみたいに強くもないし、藍に尊敬されるような人間でもない。軽蔑するかい?」
そう自分を責めるようにして左腕を右手の義手で握る。その頬には涙が垂れている。
老婆はその義手を握って腕から離して
「そんなわけないじゃないか。坊やがやってきた事は想像を絶するようなことばかりだ。それに耐えて今まで戦って生きている。そんなあんたをどうして軽蔑するっていうのさ…。」
老婆は優しく諭すように潤也にいう。
「―――。」
黙る潤也。
「不満そうだね、けれどこれは本心だよ、坊や。いいかい?この世の誰が責めようと、この時峰九条は必ずあんたの味方でいてあげるよ。たとえ世界を敵に回したってあたしはあんたの味方でいてあげる。けどね―――」
続けようとする言葉に詰まる九条。
これから続ける言葉を続けていいものだろうかと悩む。九条は病室の窓から外を見た。
外は土砂降りの雨で、窓に雨が滝を作っている。
276
:
CR5章 その3 3
:2015/09/17(木) 20:15:01 ID:.I4iPe.Q0
老婆のその光景を見て胸中にくるのはなにか…。
老婆は自分の指をかざすように見て、意を決するようにして口を開く。
「あんたは1つだけ聞いておかないといけない事がある。」
「―――何をだ…。」
尋ねる潤也。
「あんたにまだ戦う気があるのかっていう事さ…。」
続く!!
そう静かに九条は言った。
少しの静寂が部屋を支配する。
「――――――言うんだ…」
潤也は俯いて小さな声でぼそりと続けて言う。
「なんで、そんな事を言うんだ…。あんたは…あんたは!俺に一体何を期待しているっていうんだよ!」
「何も期待しちゃいないさ、ただ、どうしたいのかそれだけを知っておきたくね。」
「もう、目は見えない!片手だってなくした!肝心のリベジオンは修復不能な状態まで破壊されて、唯一の対抗手段だった至宝までもを奪われた!!!!あんたは!あんたは俺の何処に戦う力が残っていると思っているんだ!!!」
怒りを露わにして叫ぶ潤也。それに九条は冷静に答える。
「ないだろうね。誰がどうみたって戦える体じゃないし、戦う力だってない。けどね、坊や。それでも戦うという事を諦めるから諦めないかを決めるのはあんただけなんだよ。」
「俺は頑張った…頑張ったんだ!!こんな体になるまで頑張ったんだ…これ以上、俺に何をしろっていうんだ…。そもそも俺は本当は黒峰咲(あいつ)を殺すなんて事したくないんだ!!!」
「そうだね、頑張ったさ。ここで折れたってあたしゃあんたを軽蔑しない。あんたはそれだけの事をしてきたと思うからね。けれどあんたは本当にここで折れてしまっていいのかい?それであんたは本当に納得がいくのかい?」
「いかなかったからなんだって言うんだ!さっきも言ったしあんたも認めただろう、俺はもう戦える力が残っていない。戦う事なんてできない。そんな俺に一体どうしろっていうんだ!」
そう叫ぶ潤也に老婆は優しく諭すようにいう。
「坊やそれは違うよ。あんたは戦う力を確かに失った。けれどあんたは戦う事自体は失っていない。いいかい、坊や、よく聞きな。人はね、どれだけ追い詰められようといつだって戦うことはだけは出来るんだ。それが勝てるか負けるかなんて話は外に置いておいてね。確かにあんたは戦う力を失った、けれどそれで本当に戦う事自体を諦めるのかい?そうあたしは聞いているんだよ。」
「そんなの――――詭弁だ。」
「そうかもね、でもあんたはこれを今決めないとどっちに転ぼうと必ず後悔する事になる。他の人に任せて世界の行く末をその暗闇の中で待ち続けるのもいい。それとも暗闇の中を自分の足で下唇を噛み締めながら歩いてがむしゃらに前を進んでもいい。どちらをいっても地獄だろうさ、だけれどここに停滞し続けるよりはずっといい。だからあんたはそれでも戦うのか戦わないのかそれだけは決めておかないといけない。」
「そんなの―――――」
続けようとする言葉が出ない。
答えなんて決まっている。そう思う潤也だったが、そこから言葉を続ける事ができなかった。
九条はそれを見つめた後、少し悲しそうに笑って席を立つ。
「また聞きにくるよ、今度会う時にまで決めておいてくれ。」
「ばあさん、俺は―――」
そう続けようとした矢先に扉がしまる音が聞こえた。
既に老婆この部屋を発った事を意味する。
「くそっ!!!」
潤也は右手でベットを八つ当たりに殴りつける。痛みは帰ってこない。
それに言葉に出来ないものを感じ頭を抱える。
「くそ…。」
そう力なくいう潤也の頬に一筋の雫が流れていた。
277
:
古時計屋
◆klsLRI0upQ
:2015/09/17(木) 20:20:16 ID:.I4iPe.Q0
えーと長いこと投下する詐欺詐欺になってしまい申し訳ありませんでした
ほらMGS5が20時間ぐらいでおわるやろーとか思ってたら
60時間ぐらい呑まれた沼みたいんがゲームだったせいですぐ終わらなくて…
す、すまぬ!!!次はもう8割書き上がってたりするので遠くないといいなぁ(願望)
今回の話はこれまでの要素の色んな物が動き始めます
登場人物の紹介かいてたら多すぎぃ!!!となって1日潰しry
今回すっごい書きたい話があるんです、本当にこれを書くのをモチベの1つのしてきたぐらい書きたいのが!
頑張ってそこをうまく演出できるよう出来る限りを振り絞って書きますのでよろしくお願いします
楽しんで頂けれはこれ幸いです
278
:
名無しさん@避難中
:2015/09/17(木) 23:47:07 ID:jZi6frcg0
乙です
279
:
名無しさん@避難中
:2016/02/11(木) 00:49:00 ID:SGpxlI5A0
(・ω・)
280
:
名無しさん@避難中
:2016/02/11(木) 15:54:57 ID:IDT29JEg0
にゃん?
281
:
名無しさん@避難中
:2016/03/05(土) 01:22:14 ID:3FZ4t2Zk0
生きてるかい?
そうか。死んだか。
282
:
まとめサイトのIDパスワードを忘れたアホの歯車
◆B21/XLSjhE
:2016/03/12(土) 18:58:09 ID:eDHtc7Ck0
お久しぶりです。久々に湧いてきて言うのも不躾な話で恐縮な話では御座いますが、
まとめサイトに掲載している拙作の削除をお願いしたく参上した次第です。
283
:
名無しさん@避難中
:2016/03/12(土) 19:06:17 ID:THWnGNxY0
サイト?
284
:
歯車
◆B21/XLSjhE
:2016/03/12(土) 19:27:13 ID:eDHtc7Ck0
あ、まとめwikiでした。紛らわしくて申し訳ないです。
285
:
名無しさん@避難中
:2016/03/14(月) 22:35:06 ID:jsefBg6Q0
何だ何だどこぞの文庫に投稿でもするのかな
286
:
歯車
◆B21/XLSjhE
:2016/03/19(土) 20:36:54 ID:C7I6KKQU0
>>285
大体そんな感じですー
287
:
名無しさん@避難中
:2016/03/21(月) 20:32:46 ID:UgoSW3eE0
そりゃめでたい
クロスオーバー作品とかも削除した方がいいのかな?
288
:
歯車
◆B21/XLSjhE
:2016/03/25(金) 20:51:34 ID:WLuq7KAU0
自分が投下した奴を削除するだけで大丈夫です。
設定等を断片的に使い回すだけなので二次創作に関しては、そのまま掲載、連載を継続して頂いてもおーけーだそうです。
289
:
名無しさん@避難中
:2016/03/25(金) 21:33:00 ID:0tfBwjgs0
了解
話が順調に進んでいるようで何より
290
:
名無しさん@避難中
:2016/03/31(木) 07:51:01 ID:ZI0CyPkc0
>>288
がんばってねぇん(アクセル並み感)
291
:
名無しさん@避難中
:2016/06/29(水) 18:23:00 ID:O7/k1cQU0
ksks
292
:
名無しさん@避難中
:2017/07/18(火) 20:26:30 ID:Na5K4B3I0
戦闘ロボットは思いついたのに敵思いつかない
てゆーか設定上は敵があってロボットがあるべきなのに逆なのは我ながらどうかと思う
293
:
名無しさん@避難中
:2017/07/23(日) 22:34:32 ID:NP8A2xs.0
そのロボットが最も活きる世界から構築するのも一つのテ。
所詮、架空技術。鶏よりも卵が先でもイイのよ。
294
:
名無しさん@避難中
:2017/07/23(日) 23:57:51 ID:ocDxwxg.0
それもそうか
しかし魅力的な敵って一番難しいな
295
:
名無しさん@避難中
:2017/07/24(月) 22:40:15 ID:Vw9POEdM0
敵なぞ要らないのではないか(ビルドファイターズ脳)
296
:
名無しさん@避難中
:2017/07/25(火) 01:27:54 ID:64ah0riI0
ビルドファイターズは敵(というかライバル)滅茶苦茶濃いじゃん
297
:
名無しさん@避難中
:2017/07/25(火) 11:23:33 ID:l/FiuAt20
ロボット同士でやれば何とか獣とかこさえる必要はないってことだろう
298
:
295
:2017/07/26(水) 08:47:12 ID:b/onErdw0
同好の士と高めあえば対立関係にしなくていい(=どこにも悪が存在しないとかいうしちめんどくさいことをしなくていい)の意だったのだ、すまない……
299
:
名無しさん@避難中
:2017/08/23(水) 00:37:48 ID:bNPOap8s0
結局悪のエイリアンとかにしちゃう
悪いぜーすごく悪いぜー!
300
:
名無しさん@避難中
:2017/12/09(土) 20:48:20 ID:tKsQwqr60
ファフナーの生放送やってるよ。見てるかな?
301
:
名無しさん@避難中
:2017/12/09(土) 20:50:05 ID:tKsQwqr60
ヤベェな。一時期は創発でも一番の勢いを持ってたってのに最後に書き込みがっあったのは夏か。
302
:
名無しさん@避難中
:2017/12/09(土) 20:52:35 ID:tKsQwqr60
プロになったっぽい奴もいるんだからみんなももっと頑張ろうぜ。あんまり人のこと言えねーけど。
303
:
名無しさん@避難中
:2017/12/09(土) 20:54:25 ID:tKsQwqr60
もしも俺が、感想とか乙とか無くても気にせずに投下を続けたら他の連中もモチベーションが復活するのかなとか思ったら、やってみても良いのかなって思ったり。
304
:
名無しさん@避難中
:2017/12/09(土) 20:57:39 ID:tKsQwqr60
どんなロボットが良いのかなと思いつつ、思い付くネタは、アトラスやフロムソフトウェアに影響を受け過ぎているなぁと。
305
:
名無しさん@避難中
:2017/12/09(土) 20:58:33 ID:tKsQwqr60
ファフナーを見て思った。ボーイミーツガールって良いよね。
306
:
名無しさん@避難中
:2017/12/09(土) 21:06:31 ID:tKsQwqr60
ガンプラ福袋を買おうかなって思ってたんだよね。自分の意志で買おうと思ったら、1st、Ζ、ΖΖ、ポケ戦、83、逆シャアに偏ってしまうからね。それを敢えて外すためにガンプラ福袋だったんだけどね。買おうと思った時に限ってやらないんだよね。なんJにスレ立てして遊ぼうと思ったのに。
307
:
名無しさん@避難中
:2017/12/09(土) 21:10:12 ID:tKsQwqr60
そういや、このスレにいた元住人の中でリアル頭身のナイトガンダムを買った人はいるのかな?
はっきり言ってオススメだ。正義の化身で元からカッコ良かったナイトガンダムが更にカッコよくなってる。
僕らが信じた正義の化身だからね。単刀直入に言って最高と言わざるを得ない。
308
:
名無しさん@避難中
:2017/12/09(土) 21:11:41 ID:tKsQwqr60
まあ、ロボスレ以前に創発自体が斜陽の中の斜陽だからね。
あの時の勢いをもう一度見たいと言っても無理なのかも知れない。
309
:
名無しさん@避難中
:2017/12/09(土) 21:12:27 ID:tKsQwqr60
色々あったけどさ、好きだったよ。皆のこと。
310
:
名無しさん@避難中
:2017/12/10(日) 00:53:05 ID:W/CZmHgk0
俺も創発好きだよ
311
:
名無しさん@避難中
:2017/12/10(日) 00:57:33 ID:LrZRpzmU0
俺も好きだよ
312
:
名無しさん@避難中
:2017/12/10(日) 01:03:11 ID:SDOdt.P.O
わしもじゃ…
313
:
名無しさん@避難中
:2017/12/20(水) 03:59:15 ID:ZhR0qeLI0
リベたん。
召されそうです。
https://download1.getuploader.com/g/5a395f3a-bec4-4fcf-bea0-6a92a010e467/sousakurobo/1749/PicsArt_12-20-03.27.41.jpg
314
:
名無しさん@避難中
:2017/12/20(水) 06:19:31 ID:r7AupqQI0
ダウンロードパスワードが分からない……!
見たい……!
315
:
名無しさん@避難中
:2017/12/20(水) 06:45:56 ID:ZhR0qeLI0
大変失礼しました!
これでいけるかな
https://download1.getuploader.com/g/sousakurobo2nd/82/PicsArt_12-20-03.27.41.jpg
316
:
名無しさん@避難中
:2017/12/20(水) 08:17:45 ID:GKM7XRUoO
かっけぇぇぇ!!!
317
:
名無しさん@避難中
:2017/12/20(水) 20:18:00 ID:FvOCZz.U0
フラットな黒とも銀ともつかぬ色合いが、いかにもメカメカしい。
素敵ですな。
318
:
名無しさん@避難中
:2017/12/20(水) 22:25:15 ID:jP/f6FIA0
このリベジオン、勝者の顔をしていやがる
319
:
名無しさん@避難中
:2017/12/21(木) 06:52:22 ID:S2Suda3M0
そのまま映画のポスターにできそう
320
:
名無しさん@避難中
:2017/12/21(木) 21:53:06 ID:voNWZipk0
ひゃっふー!
321
:
名無しさん@避難中
:2020/05/14(木) 21:33:46 ID:Q7pPkujM0
( ´ω`)ヌッ
322
:
名無しさん@避難中
:2020/06/24(水) 22:44:18 ID:8YkF.oHw0
!!?!!
323
:
名無しさん@避難中
:2020/08/04(火) 08:37:17 ID:FmXDHuNk0
あれ、誰かまだいたのか
324
:
321
:2020/08/04(火) 20:51:15 ID:9iJ2lmnM0
昔たまに鉛筆わしゃわしゃロボ画と設定を投げてた者じゃが
懐かしくなって寄ってみたのだ
本編は去年から某投稿サイトで書き始め申した
(なお極度の遅筆につき一年以上書いてもまだ第一話が終わっていないもよう)
325
:
名無しさん@避難中
:2020/08/05(水) 00:18:34 ID:oHts9m4Y0
ええやん……
私二日に一回くらいは避難所に当時の生き残りがいないか探してる(普段はTwitterでゲームの話をするかネガるかしてる)ので愚痴の的とか欲しかったら呼んでな……感想も投げるでな……
326
:
名無しさん@避難中
:2020/08/08(土) 17:22:56 ID:bD6thuXM0
(愚痴はとくにないが、もうちょっと早く書けるようにはなりたいのう)
327
:
名無しさん@避難中
:2020/08/09(日) 11:04:20 ID:JFAlszbA0
筆を早くすることは私にはできんの……すまんの……
328
:
名無しさん@避難中
:2020/08/25(火) 20:43:44 ID:auaLqIBc0
ロボ同士の戦闘シーンとか長らく書いてなくてテンポを忘れた( ´ω`)
なんか戦闘ルールの羅列になってしまってチュートリアル感が出すぎている
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:
名無しさん@避難中
:2020/08/27(木) 21:28:07 ID:uTQvYd/60
うーん。答えになりそうなものを考えていて、随分と長い時間をかけてしまったのだけども。
①現代戦など、最終的には総合力の比べ合いにしかならない勝負というものは多々ある。
②それでもきっと、進む時代の中で、ありとあらゆる物を過去にしてしまう何かが出るかもしれない。
③そしてそれは、長いチュートリアルや決まり事、たくさんの既定路線があればあるほど魅力のある輝きを放つことだろう。
ということがまず一つ。
①ゲームの様な世界観を持つ世界で、ロボ同士の戦いや戦力の比較をしていく中で、例えば「心臓か頭を壊せばよい」というセオリーが生まれたとする。
②当然のこととして、より正確に素早く心臓か頭を破壊する手段が生まれ、発達していくだろう。
③それでは、異常に小さい相手や、異常に大きい相手、頭と心臓が2つずつある相手が出てきた場合にも、その手段は有効であるだろうか?
④もしくは、「戦闘開始から〇秒以内であれば返り討ちにする技術」や「〇秒後であれば返り討ちにする技術」が生まれた場合は?
⑤はたまた、「相手の武器だけを消滅させる、殺傷能力を持たない武器」などはどうだろうか?
ということがもう一つ。
少しでも参考になって、筆が進みますように……。
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