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【能力ものシェア】チェンジリング・デイ 避難所2【厨二】

578 ◆peHdGWZYE.:2019/06/17(月) 18:18:31 ID:5j2hSxGs0

「『クリフォト』がどんな大層な組織で、あんたがどんな力を持っていようと、
 世の中なんて、そうそう思い通りにはならねぇよ。今は能力者の世界だぜ?」

 視力を奪われ、反動による空腹も限界に近い陽太だが、堂々と宣言していた。
 ささやかだが、鮮烈な宣戦布告だった。

 チェンジリング・デイ以降、能力によって人間は最も貴重な資源となってしまった。
 それは人を時に奴隷に、時に暴君へと変えてしまう。
 だが、それを『仕方ない』と決め付けるような事は、そろそろ終わりにすべきだ。

 単身で魔窟へと乗り込んだ経歴を持つ、東堂衛は共感の頷きを返した。
 能力のままならない面に触れてきた鑑定局の二名は、苦笑しつつも否定はしなかった。
 ミルストは唖然と、状況を受け止めている。
 相応に現実を知る比留間博士は、ただ興味深げに眉を上げていた。

 フォースリーが時雨に気を取られているうちに、シザーゴーレムの攻撃が直撃していた。
 いかに人体改造していようと、根本的な体格差は覆せない。

 軽々と吹き飛ばされ、研究棟の壁へとフォースリーは叩きつけられていた。
 ぐしゃり、と異音と共に、真紅の怪物にも似た肉の鎧が剥がれ落ちていく。

 後に残ったのは、血に塗れた神経質そうな一人の男だった。

「やはり、この世界は度し難い……こんな強大な力が溢れかえっている。
 永遠にこの混乱は収まらないだろう。ただ、壊れていく社会を眺めているしかない。
 仮にそれを覆す物があるとすれば……」

 それはうわ言にも聞こえた。頭部を強打していたのなら、無理もないが。

 勝った、というよりも、フォースリーの勝ち目は消えた。
 歓喜より安堵の心持ちで、彼と対決した面々はその様子を眺めていた。
 だが、次の言葉に比留間博士、それに意外にもドウラクは驚愕していた。

579 ◆peHdGWZYE.:2019/06/17(月) 18:19:09 ID:5j2hSxGs0

「『一つは染まり、一つは乱し、一つは無慈悲に見殺した』
 セフィロト・ネットワーク接続――カオスエグザ起動ォ!」

 狂気に血走った双眸で、フォースリーは宣言する。

――カオスエグザ

 能力の運用技術に纏わる仮説の一つだった。能力には、事象の起因となる情報が存在しており、
それに一種の暗号化、変形を施す事で爆発的に強度を高める事ができるとされる。

 もちろん仮説に留まっている事には理由がある。現状では、実現性が乏しいのだ。
 これを実行するには、人間離れした能力制御技術が必要となる。
 人体改造で脳の外部に制御装置を増設するしかない、というレベルでだ。

 そうでなければ、超人的な頭脳か、気の遠くなる程の経験を以って可能とするか。
 しかし、絵空事は目前で実現しており――

・発生させる事象は色に対応している
・発生させる事象はオーラ量に比例する
・人間を直接、塗り潰すには本人の同意が必要となる
・観念的なものや生物は発生させる事ができない

 強化された影響により、フォースリーの能力から、あらゆる制限が取り払われていた。
 『現実を塗り潰す』能力の真価がここに現れる。

 ただ強大かつ無制限な"黒"が陽太たち、その周辺に存在する現実全てを飲み込んでいった。

580 ◆peHdGWZYE.:2019/06/17(月) 18:20:16 ID:5j2hSxGs0
空白期間が長くなってしまったのですが、続きです。このペースだと完結は難しい
2部は苦労しそうな所はだいたい終わったので後は大丈夫、大丈夫のはず

捕捉

カオスエグザ
複雑系エグザとも。
大元は、自作品の裏話を語るスレより。作中での初登場はリリィ編。
能力の出力を最大まで引き上げる技術であり、相互に干渉した際に優先される。
リリィ編に登場する改造人間などは、スフィアネットと呼ばれる装置と接続し、これを行使する。
実は、ある弱点が存在しており、暗号化という表現はそれに起因している。


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