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【能力ものシェア】チェンジリング・デイ 避難所2【厨二】
576
:
◆peHdGWZYE.
:2019/06/17(月) 18:15:55 ID:5j2hSxGs0
「化け物、こっちだ!」
何度目かの乱入者、今度は整ったベリーショートの少年。
防御面ではフォースリーに対抗できる能力を持ちながら、戦場に姿を見せなかった東堂衛。
驚くべき事に、周囲を封鎖する氷の壁を向こう側から現れ、腕を振り上げて
フォースリーに向かって突撃する。
「っ!?」
素手では無謀なのだが、防御面では最強の一角である"無敵"能力は存分に効果を発揮していた。
咄嗟に放たれた、フォースリーの一撃は、衛の体を傷つける事なく通過する。
そして、衛はフォースリーに肉薄し……振り上げた腕をそのままに、通り過ぎていった。
彼の無敵能力は、他人に危害を加えた時点で解除されてしまう。
故に当然の判断だが、フォースリーは虚を突かれていた。
「伝言だ! 生贄を用意しろ、だって!」
ただ一人を除いて、叫びの意図を誰もが掴み損ねていた。
それも織り込み済みだ。だからこそ、フォースリーによる妨害を遅らせる事ができる。
斯くして、伝言は確かに必要な一人、陽太だけに伝わっていた。
「よし、来い……っ! 最強の僕(しもべ)!」
陽太が必死の努力で獲得した複数生成――普段は固焼きなどを作って投げているが。
今回、食用としてはかなり巨大なタカアシガニを五匹も同時に生成していた。
ここでカニを生成する理由は当然、フォースリーには理解できなかったが、
何かが起こる事は漠然と察してた。狙いをカニに定めて、"青い"オーラを放出するが……
五匹のタカアシガニが光の粒子となり拡散。そのまま、地面に吸い込まれた。
そして、大地に亀裂が入った。それは徐々に広がり、周辺を封鎖していた氷の壁の下を通過していく。
「シザァァァァァ……ゴォォォォレムッ!!!」
無駄に暑苦しい雄叫びと共に、氷の壁を打ち砕き、地割れからは岩石の巨人が出現していた。
丸い大振りの岩石を積み上げたような外見で、手先はカニのようなハサミとなっている。
全長5mも超えるほどの巨体、これほどの手駒を召喚できる能力はそう多くはない。
577
:
◆peHdGWZYE.
:2019/06/17(月) 18:16:25 ID:5j2hSxGs0
「くっ、大規模能力の援軍だと!?」
カニからゴーレムが召喚されるという、予想外の事態にフォースリーは大いに焦り、
"青い"オーラを放出――力比べでは敵わないであろう、ゴーレムを即座に凍結させる。
しかし――
「もらった……!」
小柄な影が懐に飛び込んできた事に対して、反応が遅れた。
陽太の師を務めている、時雨という名の少女だ。
どこにでも居そうな普段着姿だが、その身のこなしは尋常ではない。
体格ゆえにフォースリーは、動きが大振りなものになってしまう。
その遅れを的確に突いて、時雨は膝関節にナイフを突き立てていた。
フォースリーは咄嗟にグレイヴを振り抜くが、時雨は軌道の下に潜り込むように回避――
同時に二本目のナイフを脇腹に突き立てる。
中学生の体格に熟練の技量、双方があるからこその立ち回りだった。
ナイフを回収することなく、時雨は距離を置くと、今度は三本目のナイフを取り出していた。
狡猾な立ち回りだ。ナイフを刺されたまま動けば、フォースリーの傷が拡がる事になる。
「機関の者でも……国連の者でもないな? 何者だ!?」
「慎ましく暮らしてる一般人よ。火の粉さえ、降りかからなければ、ね」
短いやりとりの間にも、次はシザーゴーレムが強引に氷を割って拘束から脱出した。
二転三転した戦況だが今度こそ、完全に状況は逆転していた。
単純な身体能力なら、せいぜい強力な改造人間程度のフォースリーでは、シザーゴーレムには敵わない。
一方で、能力でシザーゴーレムに対処すれば、時雨に隙を見せる事になる。
脱出を模索していた比留間博士たちだが、陽太が"保険"として呼んでいた二名と接触して、
方針を切り替えた。脱出から反撃へと。
外部との接触手段として、東堂衛の昼間能力"不干渉"が有力候補として挙がったが、
内外の把握と連絡に形を変えて、この状況へと繋がった……という訳だった。
いつの間にか――というよりも、安全圏だけに戦闘に参加した人間には
気付きようが無かったのだが、仕掛け人である比留間博士は壁の付近で、不敵に微笑んでいる。
578
:
◆peHdGWZYE.
:2019/06/17(月) 18:18:31 ID:5j2hSxGs0
「『クリフォト』がどんな大層な組織で、あんたがどんな力を持っていようと、
世の中なんて、そうそう思い通りにはならねぇよ。今は能力者の世界だぜ?」
視力を奪われ、反動による空腹も限界に近い陽太だが、堂々と宣言していた。
ささやかだが、鮮烈な宣戦布告だった。
チェンジリング・デイ以降、能力によって人間は最も貴重な資源となってしまった。
それは人を時に奴隷に、時に暴君へと変えてしまう。
だが、それを『仕方ない』と決め付けるような事は、そろそろ終わりにすべきだ。
単身で魔窟へと乗り込んだ経歴を持つ、東堂衛は共感の頷きを返した。
能力のままならない面に触れてきた鑑定局の二名は、苦笑しつつも否定はしなかった。
ミルストは唖然と、状況を受け止めている。
相応に現実を知る比留間博士は、ただ興味深げに眉を上げていた。
フォースリーが時雨に気を取られているうちに、シザーゴーレムの攻撃が直撃していた。
いかに人体改造していようと、根本的な体格差は覆せない。
軽々と吹き飛ばされ、研究棟の壁へとフォースリーは叩きつけられていた。
ぐしゃり、と異音と共に、真紅の怪物にも似た肉の鎧が剥がれ落ちていく。
後に残ったのは、血に塗れた神経質そうな一人の男だった。
「やはり、この世界は度し難い……こんな強大な力が溢れかえっている。
永遠にこの混乱は収まらないだろう。ただ、壊れていく社会を眺めているしかない。
仮にそれを覆す物があるとすれば……」
それはうわ言にも聞こえた。頭部を強打していたのなら、無理もないが。
勝った、というよりも、フォースリーの勝ち目は消えた。
歓喜より安堵の心持ちで、彼と対決した面々はその様子を眺めていた。
だが、次の言葉に比留間博士、それに意外にもドウラクは驚愕していた。
579
:
◆peHdGWZYE.
:2019/06/17(月) 18:19:09 ID:5j2hSxGs0
「『一つは染まり、一つは乱し、一つは無慈悲に見殺した』
セフィロト・ネットワーク接続――カオスエグザ起動ォ!」
狂気に血走った双眸で、フォースリーは宣言する。
――カオスエグザ
能力の運用技術に纏わる仮説の一つだった。能力には、事象の起因となる情報が存在しており、
それに一種の暗号化、変形を施す事で爆発的に強度を高める事ができるとされる。
もちろん仮説に留まっている事には理由がある。現状では、実現性が乏しいのだ。
これを実行するには、人間離れした能力制御技術が必要となる。
人体改造で脳の外部に制御装置を増設するしかない、というレベルでだ。
そうでなければ、超人的な頭脳か、気の遠くなる程の経験を以って可能とするか。
しかし、絵空事は目前で実現しており――
・発生させる事象は色に対応している
・発生させる事象はオーラ量に比例する
・人間を直接、塗り潰すには本人の同意が必要となる
・観念的なものや生物は発生させる事ができない
強化された影響により、フォースリーの能力から、あらゆる制限が取り払われていた。
『現実を塗り潰す』能力の真価がここに現れる。
ただ強大かつ無制限な"黒"が陽太たち、その周辺に存在する現実全てを飲み込んでいった。
580
:
◆peHdGWZYE.
:2019/06/17(月) 18:20:16 ID:5j2hSxGs0
空白期間が長くなってしまったのですが、続きです。このペースだと完結は難しい
2部は苦労しそうな所はだいたい終わったので後は大丈夫、大丈夫のはず
捕捉
カオスエグザ
複雑系エグザとも。
大元は、自作品の裏話を語るスレより。作中での初登場はリリィ編。
能力の出力を最大まで引き上げる技術であり、相互に干渉した際に優先される。
リリィ編に登場する改造人間などは、スフィアネットと呼ばれる装置と接続し、これを行使する。
実は、ある弱点が存在しており、暗号化という表現はそれに起因している。
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