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【シェアード】仁科学園校舎裏【スクールライフ】
913
:
わんこ
◆TC02kfS2Q2
:2018/12/27(木) 07:58:32 ID:QWeL3UUE0
リアルな書店の中を巡り歩くのは、一体何ヶ月ぶりだろうと独り言のように呟く。
生身の人間の眼がずきずきとわたしに突き刺さる、と思い込むのは、実に勝手だ。
誰もわたしのことなど知らない。知ってるはずはない。希望的観測で自分自身を勇気付けて、厚く覆ったマフラーで口元を隠し
目深にニットの帽子をかぶってこの世を忍ぶ。
かつては誰からも憧れと羨望のまなざしで手を振られる存在であった。
きらきらと輝く水晶石にも似た存在でもあった。
だが、脆く、危うい、その石のごとく。崩れ去ったというのも、誰かの浅はかな行いのせい。
だから、隠れる。消える。この世に存在していなかったことと等しく。
わたしは活字の森に身を隠す木の葉だ。
風が吹けばひらりと舞い、どこかへと身を墜落させる。そして、やがて土に返ることを願いつつ、またふわりと。
「あっ。ごめんなさい」
不注意で男子高校生の肩にぶつかる。素直に相手は謝罪の意を示してくれたのだが、どうにもわたしの声が出ない。
意思はあるのだが、脳が反応しない。声帯が拒否る。まともに人と話すということ自体が久しぶり。
ただ、額に冷や汗だけが一筋。
「ご……ごめんな……さい」
こんな声ではなかったはずだ。か弱い羊のような声だ。
甘くて、客席にたむろする男どもに向けて発するあの声と。
かつてはわたしはアイドルという身分だった。正しくは『地下』という接頭語が付く。その集団の一人だった。
舞台の上でマイクを握り、この身を切り売りしながら、代わりに金と名声を握る。
でも、世間様はそっぽを向いた。世間様は悪くない。正しい、神だ。たった些細な出来事で神の機嫌を損なった。
出来ることならもう一度。生まれ変わってもいい。
転生することは誰もが夢見ることかもしれない。
だからか、と言うのは乱暴だけどわたしはライトノベルの棚の前で気づいた。
『異世界転生もの』。
なんと、そんなコーナーがご丁寧にこしらえられているではないか。
ネットの噂には聞いていた。というか、ネットの深い海に身を潜ませていたわたしは、リアルと虚構が合致した瞬間を見た気がした。
異世界に転生するのも悪くない。
誰も知らない。誰からも知られていない。
でも、わが身はものすごく知っている。
翼が欲しい。イカロスのような蝋で出来た翼なんかではなく、太陽の光に輝く金糸のような翼だ。
わたしだって、出来ることなら舞台に立ちたい。あのサイリウムの光が見たい。地下でひっそりと知る人ぞ知る存在だったと
しても、アイドルだったことは間違いないし……でも、もうそのグループはもう現世で生きることすらる許されず。
それは、誰かのせいだ。
わたしと時間を共にした誰かが。
誰かは、泣いていた。
メンバーは「大丈夫だよ」と慰めていたが、本心はどうだか。この世界に身を投じている者ならば見抜くことなど容易い。
わたしは何も声をかけられなかった。
ふと。わたしのスマホが鳴く。滅多にないことなのでびくっと挙動不審。
無論。誰かからかも解りきっている。妹だから。
そして、目を疑う。
『お姉ちゃん。高校の演劇部の顧問(仮)になってくれない?ってか、なりなさい』
蓆田(むしろだ)いおり、22歳。代表作……これといってない、元地下アイドル。
なんの因果で演劇部という異世界に転生しなきゃならんのだ。
抗うこともできず、『うん』と、返信だけ送った。
つづくのかはわからん
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