したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

【シェアード】仁科学園校舎裏【スクールライフ】

838名無しさん@避難中:2017/08/20(日) 21:14:02 ID:9qfTriN60
たわわ

https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1120/ageru06.jpg

839名無しさん@避難中:2017/08/23(水) 00:35:07 ID:IsAFKqnQ0
シリーズ化おめ!
ゆりんゆりんですな
オチまでついてるけど

840名無しさん@避難中:2017/09/10(日) 12:38:23 ID:M3mor9/60
お題を下さいましまし

841名無しさん@避難中:2017/09/12(火) 02:17:11 ID:o7kv6I820
お花見(秋)

842名無しさん@避難中:2017/09/17(日) 19:41:57 ID:ZmBg9b620
>>841
「秋のお花見ですわ!」
「桜、咲いてませんよ」
「今から咲かせてみせますわ!」
https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1123/aki_hanami.jpg

843名無しさん@避難中:2017/09/24(日) 23:32:10 ID:kwybH.Rk0
どっからもってきたw

844名無しさん@避難中:2017/10/01(日) 09:10:06 ID:K9WsCp4Y0
秋のお花見・その2。

https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1127/sakura_de.jpg

845名無しさん@避難中:2017/10/01(日) 09:20:42 ID:X94OvBVw0
嗅ぐなw

846名無しさん@避難中:2017/10/01(日) 19:08:03 ID:8v1ps0s20
英知ちゃんがハンター属性に!?

847名無しさん@避難中:2017/10/04(水) 09:20:28 ID:pUG/f6jY0
https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1129/aeon_mall.jpg

あかね「今度の日曜、イ○ンモールいきましょ!」
荵「じゃあ、朝10時に駅前で!」
鷲ヶ谷「秋からニチアサの時間ずれちゃうから…」

848名無しさん@避難中:2017/10/05(木) 21:59:36 ID:XeDNbW6I0
気まずいw

849名無しさん@避難中:2017/10/06(金) 20:32:39 ID:CQlZq3xk0
ジェットマンw鳥つながりってことになるのか
……

①わんわん王→
②鷲→鳥類→
③あかね→猩々or尻真っ赤→

!?俺は今何か恐ろしいことに気づいてしまったかもしれない

850名無しさん@避難中:2017/10/13(金) 07:02:30 ID:iPehcibI0
>>849
あかね「どうしてわたしだけお尻なんですかっ」

https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1134/momotaro.jpg

851名無しさん@避難中:2017/10/17(火) 21:28:06 ID:nQDpmiZQ0
>>850
そんなこと知り真っ赤!

鬼ぐろいぞw

852先輩、『後輩ガチャ』です! ◆46YdzwwxxU:2017/10/22(日) 02:54:05 ID:pLgRaLN.0
投下します

853先輩、『後輩ガチャ』です! ◆46YdzwwxxU:2017/10/22(日) 02:54:55 ID:pLgRaLN.0

「先輩、運を試してみませんか!?」

 舞台の筋書きでそうなっているかのように急速に教室外にはけていくクラスメイトたちと入れ替わりに後鬼閑
花がやって来た。「失礼します」の一言があるくらいで、上級生の教室に入るのにもまったく物怖じしない。
 というよりも、この後輩は、他人にどう思われようがさして興味がないのだろうと思う。一時期の彼女は人間
関係というものにほとんど絶望しかけていて、その時の心の傷はいまだに癒えていない。
 その唯一の例外となったのが、学園の先輩にあたる俺だった。
 というと自惚れのようだが、事実、行動を共にするようになってから、彼女は俺に対する好意を隠さずにいる。
 後輩はこれを一生に一度の恋愛感情だと信じ、俺と男女の関係になることを強く望んでいるのだった。とても
そうは思えないと俺がはっきりと拒んでいるにも関わらず、まだ諦めておらず、こうして毎日のように何らかの
アプローチを仕掛けてくる。
 “まずは先輩後輩から始める”程度の付き合いというだけならまだしも、だいたいが突拍子もない言動を伴う
のが困り物だった。
 今日の後輩は、得体の知れない段ボール箱を抱えて現れた。両腕をまっすぐ下に伸ばして持つ彼女のお腹が隠
れるくらいの大きさがある。
 後輩はそれを断りもなく、俺の空っぽの机の上にどすんと置いた。
 中で、プラスチックのような軽くて硬い物同士がぶつかり合う音がした。

「ねぇねぇすごくないですかこれ? すごいですよね?」
  
 脱色も染色も知らない無垢な黒髪のおかっぱ頭と夢みる瞳は実年齢の十五か六よりもだいぶ子供っぽく映るが、
いつも甘えているような声がそれでぎりぎり異様に聞こえない。
 ただし、周囲をして「何をしてくるか分からない」と言わしめる、その振る舞いの無軌道ぶりは、“子供っぽ
い”では済まない、ある種狂気じみたものを感じさせた。
 その彼女が持ち込んだ代物である。目の前にそびえるこの段ボール箱もまた、ただのびっくり箱であるはずが
なかった。ただのびっくり箱であればどれだけ楽だか知れない。

「何だこれ」
「んふふー、さて、何でしょう?」
「夏休みの工作」

 既に晩秋である。夏休みはとうに過ぎていた。

「工作、の、何?」

 とぼけたのをさらりと流された。
 簡単に答えを明かす気はないようなのでまじめに考える。
 段ボール箱は一辺三十から四十センチメートル。縦方向にやや長い。
 手に取ってみる。
 俺に向けられていた一面だけ、上半分が切り取られ、そこに濃青の色付きセロファンが張られている。外側か
らべったりとガムテープを使って固定しているのだった。
 その“窓”からは内部が見える。まるで潜水艇からの眺めのようだ。
 箱の中身は球体のカプセルだった。透明な半球と色付きの半球を組み合わせて景品を入れる、よくある形のも
のだった。たくさんある。
 また、同じ面の右下には、直径五センチメートルばかりの“ツマミ”のようなものが外付けされていた。恐ら
くは軸は段ボールを貫通しており、箱の内側でナットの役割を果たす部品で受けているのだろう。一見して、回
転させる気マンマンといった感じだった。ただ、段ボールの厚さが心もとなく、ツマミ部分はしょんぼりと俯い
ていた。
 ツマミから左方向に視線を水平移動すると、キッチンの流し台などでお馴染みのラバー製の菊割れ蓋が、ガム
テープで雑に取り付けられていた。まず間違いなく、段ボールの横っ腹に開けた穴の覆いだろう。
 全体的に、あまり丁寧な仕事ではなかった。
 不器用な小学生の作品でも、少なくとも少しでも綺麗に仕上げようとした努力の跡がどこかに漂っているもの
だが、これからそういう意思は一切感じられない。
 素材の良さを活かしたと言わんばかりに未塗装で『青果』の文字がどこかの面に残っていたり、一手間で摘み
取れるようなささくれがそのままだったり、ガムテープがよれて山脈のようになっていたりする。
 後輩はその気になれば何でもそつなくこなせるタイプだから、時間かやる気の問題だろう。たぶんやる気の方
だろうが。

854先輩、『後輩ガチャ』です! ◆46YdzwwxxU:2017/10/22(日) 02:55:45 ID:pLgRaLN.0
 俺は答えた。

「カプセルトイの、ハコか?」

 言ってから、ようやく“筐体”という言葉を思い出した。俺個人はその手の遊びにはさほど関心がない。
 後輩は、まさに我が意を得たりという顔をした。

「ぴんぽーん! 大正解! これはですね、『後輩ガチャ』と申しまして――」

 『後輩ガチャ』――?
 こんなに関わり合いになりたくないネーミングもない。
 これまで彼女にさんざん振り回された俺の経験が、その名前から受ける印象をひどく禍々しいものにしていた
のだった。少なくとも絶対にろくなことにはならない、というか、カプセルの中身をダシにして後輩が行うであ
ろう行為がろくでもない。

「ガチャガチャとこのツマミを回しますとぉ、あっ、回してください、どうぞ」
「……」

 俺は後輩のいいなりに、しょぼくれたツマミをひねった。
 やるのやらないので下手な応酬をするより、そのほうが早いからだ。少なくとも一日の単位では、そうだ。俺
はそれを長い付き合いで学んでいた。あまりにも跳ねつけすぎるとより面倒臭い方向に暴走し始める、そういう
危うさを持った少女である。

「ガチャガチャガチャ〜? ポン! ……こうして後輩カプセルが出てくるわけですよ。夢と希望がしこたま詰
まった、後輩カプセルがね」
「出てくるっつって取り出したの、お前だけどな」

 俺がツマミを一周させている間に、後輩は排出口の菊割れ蓋にほっそりした手を突っ込み、プラスチック製の
球体をほじくり出していたのだ。まず張りぼてだろうと踏んでいたのでツッコミもおざなりだ。
 今更どうでもいいが、『ポン』はカプセルを開けた時の擬音ではないのだろうか。

「さあさあ! 初めての『後輩ガチャ』の後輩カプセルですよ、開けてみてください! 夢と希望がしこたま詰
まった、後輩玉ですよ!」
「それさっきも聞いたよ。名前変わってるけど」

 これは当然ツマミを回した先輩の物ですよね?みたいな顔をした後輩に、後輩の夢と希望がしこたま詰まった
後輩玉を押し付けられる。

「何が入っているのかなー?」

 幼児を相手にしているような白々しい口調に、嫌味が口を突きかけたが、我慢した。なんだか年上をやってい
る感ある。

「わあっ! 梅干し!」
「おにぎりの具みたいだな」

 カプセルの中身は、大粒の“梅干し”だった。ビニールの袋に個別包装されたものだ。先のツッコミでは流れ
を踏まえてああ言ったが、おにぎりの具というよりは間食用の品だろう。ふやけてしまわずに摘まれた時のまん
まるな形を保っていて、さぞかし小気味よい歯ごたえがするに違いない。
 後輩はさっと俺から梅干を没収し、袋を破って自分の口に放り込んだ。

「すっぱぁい!」
「お前が食うんかい」

 わざとらしく両手に頬を添えてわざとらしく嬌声を上げる。彼女の動作はだいたいいつもわざとらしい。

855先輩、『後輩ガチャ』です! ◆46YdzwwxxU:2017/10/22(日) 02:56:28 ID:pLgRaLN.0

「俺に回させた意味あったか?」
「このようにですね、『後輩ガチャ』を回すと、出てくる後輩エッグのお題に従って、あなたの可愛い後輩がう
れし恥ずかしいことをしてくれる、こくん、わけです。ま、うはうは王様ゲームのようなものですかね」
「いや食べたじゃん! 種まで食べた!」
「……先輩そんなに梅干し食べたかったんですか……? でもご安心! このガチャの景品は、ただのオヤツの
梅干しなどではないのです。お題はまだまだ継続中ですよ!」

 後輩はそこで一旦言葉を区切り、囁くように言った。

「だって豪華景品それは、梅干しの味のする、この私のキスなのですから……」
「そんなことだろうと思った。いりません、そんなもの」

 もちろんそんな既成事実になりそうな話には乗らない。

「ちょっと先輩早く早く! カモンカモン!  梅干しの味が! なくなってく!」
「こっちに寄るんじゃない」

 さすが後輩、俺の話を聞いているようで聞いていない。
 ぐいぐい迫り来るデコを俺は掌底で迎え撃ち、腕を突っ張る。駄々っ子と化した後輩が「うにゃー」とかなん
とかあざとく鳴きつつ弱っちそうな拳を振り回すが、それ以上の接近は許さない。

「むー」

 後輩はひとしきり暴れてから、ふいっと気まぐれな猫のように俺から離れていった。赤い革バンドの腕時計を
嵌めていないほうの手首で、しきりに額をさすっている。注意して見てみたが、手を押し当てていたアトは、付
いていない。

「女の子に恥を掻かせるなんて、このチキンー」

 端正な眉は無念そうに下がっていたが、唇には満足感が漂っていた。
 後輩の目的は、どちらかというと、俺とのこういう他愛ないじゃれあいそのものにあるのかもしれない。

「俺はお前を女の子に分類するか、痴女に分類するか、最近真剣に考えてる」
「先輩以外にこんなことしてませんよ!? なんていちずな子なんだろう!」
「俺の感想をちゃっかり捏造するのやめろ」
「なんていけずな人なんだろう!?」

 うまいこと言ったので褒めて欲しい風な光が瞳にちらついたが、キリがないので黙殺する。

「ほらほら先輩、もう一回やりましょうよ! ねっ? いいでしょ? まだまだ後輩カプセルのストックは豊富
ですよー! これ! ごろごろこれぇ!」

 気を取り直したらしい後輩が、『後輩ガチャ』の筐体を激しく揺さぶる。カプセルがボール紙を叩いてガタゴ
トいう音と、カプセル同士が我を張り合うカチンカチンという音がした。爆弾の詰まった箱に見えてきた。

「……なあ、これ全部でいくつカプセルが入ってるんだ」
「私の歳と同じ数になるよう厳選しました」
「多いよ!」
「欲望が止まらなくなってぇ」

 後輩がきゃっと恥ずかしそうにゆるみきった頬を手で押さえた。
 恋する乙女は欲張りで、あれもしたいし、これもしたいのだ。
 自分の口の端が引き攣ったのが分かった。そんなのに付き合わされてはたまったものではない。後輩との会話
では、自分がへとへとになるのと対照的に相手の顔色はつやつやになっていくので、まるで若さが吸い取られて
いるかのように錯覚する。

856先輩、『後輩ガチャ』です! ◆46YdzwwxxU:2017/10/22(日) 02:57:12 ID:pLgRaLN.0

「『後輩ガチャ』は無料にして無制限。一日一回だけなんてケチくさいソシャゲみたいなことは、私、言いませ
ん。何度だって引いていいんですよ? でも先輩だけですけど」
「このガチャが基本いいものっていうその自信はどこから来るんだ? 引きたくないぞ、俺は」
「じゃあ私が引きます!」
「はー?」

 風雲急を告げる展開だった。
 後輩はわけのわからないことを言うやいなや、ツマミには目もくれずに、いきなり排出口にズボッと右手を突
き込む暴挙に出た。

「ガチャの意味!! それ!! くじ!!」
「――出ました。これぜったいアタリ」

 掴み取ったカプセルを掲げて得々とした笑みを浮かべる後輩を見る俺の眼差しには、ある種の戦慄が篭ってい
たに違いない。
 ……いやまあ、どのみちこのツマミはただのお飾りで、景品の排出は手動なんだから、現象としちゃ同じなん
だけど、同じなんだけどさぁ……。
 こいつ自分が苦労して作った物をよくそこまで蔑ろにできるな。

「ガチャガチャ! ポン! ……これは、芋ようかんですね」
「……何だって?」
「だから芋ようかんですよ。一口サイズに切ったのを、アルミホイルに丁寧に包みました。レアですよ」

 何やってんだこのバカは。あまりにも自信満々に言うもんだから、一瞬、俺のほうがおかしいのかと思ってし
まった。どう考えてもおかしいのはお前だ。

「一応お聞きしますが、芋ようかん味のキスなどは――?」
「梅干しが芋ようかんに挿げ変わるだけなのかよ!」
「じゃあ他にどうしろって言うんですか!!」
「自分自身の止まらなかった欲望に聞けば?」

 後輩はブーたれながら、再びガチャに手を伸ばした。

「ポン! ……チョコレートキャンディですね。甘さひかえめで美味しいですよ。最近私たちの間で流行ってる
んです」
「そういう情報が欲しいのと違う」

 ここに来て明らかに後輩は意地になっていた。『後輩ガチャ』を見る目の色が変わっている。賭け事にハマっ
て身を持ち崩すタイプだったのか。これまでも少なくとも恋には盲目だったけど。

「おせんべい。の、カケラ。……おのれ、もう一回!」
「ちっさい乾燥剤をいっしょに入れておくくらいの配慮ができるのだったら、もっと根本的なところから考えて
て欲しかった!」

 もうガチャともポンとも言わない。
 後輩は無雑作に『後輩ガチャ』の中身を抜いていく。それはもはやただの作業だった。

「……チョコレートキャンディがダブりました」

 薄幸の後輩は、そこで心が折れたようで、がっくりと肩を落とした。
 いつの間にか、筐体の屋根と机の天板には、カプセルの残骸と手つかずのお菓子が散乱していた。

「ていうか、『後輩ガチャ』、実態はただのオヤツの箱じゃねえか!!」
「選べるファーストキスの味ですよ!!」
「選べるんならガチャにする必要ないだろ!!」

 混乱の極みに達した後輩相手に虚しい勝利を収めて、この放課後は終わった。
 俺たちは同じ味のキャンディを舐めながら、とぼとぼと夕陽の中を帰った。
 『後輩ガチャ』はこの日以来、歴史の闇に姿を消し、二度と浮かび上がってくることはなかった。



 おわり

857先輩、『後輩ガチャ』です! ◆46YdzwwxxU:2017/10/22(日) 03:00:01 ID:pLgRaLN.0
以上

先輩の台詞が辛辣になりがちで調整に苦労した
ツカレタ

858名無しさん@避難中:2017/10/24(火) 11:29:05 ID:I70bNRU.0
後輩ちゃんの行動力は半端ないw
他の子のガチャも作って並べてみよう

859名無しさん@避難中:2017/10/29(日) 09:07:55 ID:AxSlniD.0
「わおっ」

https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1136/engekibu_gacya.jpg

860名無しさん@避難中:2017/10/29(日) 09:10:59 ID:zJC7.eIU0
痛恨のミスw

861名無しさん@避難中:2017/10/30(月) 21:04:56 ID:Ponsp4HE0
ダイヤルもないぞw

862わんこ ◆TC02kfS2Q2:2017/11/04(土) 05:05:39 ID:sMF9cBC.0
久しぶりに書いてみた。


 
 迫先輩には何をやっても敵わないのが、物凄く悔しい。それが黒咲あかねの感想だ。
 例え、それが部活の演劇であろうとも、どんなにくだらないものだろうとも、
わたしは迫先輩の足元に及ばずに、ただただ奥歯を噛み締めるしか出来ないのだ。

 「スピードでおれに勝てると思ってたのか?」

 数字の順番通りに持ち手のカードをどれだけ早く捌くことが出来るか。反射神経、冷静な判断力。
そして、運。この三つをいかに味方に付けるかが、明暗を分けるトランプゲーム「スピード」 。
単純だからこそ、スリルとドラマがあり、テクニックが要求される。

 「黒咲、まだまだだな」
 「これからですっ」
 「これからって、どこからだ」
 「えっと……」

 迫先輩は理屈っぽい。でも、両手で数える程の枚数の持ち手カードの重みが、ひしひしと
わたしの実力不足を現実として物語ってた。

 「あかねちゃん、泣くなっ」
 「全然泣いてないし」
 「あかねちゃんは大人だっ」

 わたしと迫先輩との対戦を端で観ていた久遠荵が、余裕のないわたしをからかう。
久遠なりの励まし方だと分かっていても、悔しいものは悔しいし。でも、言っておく。
 わたしは泣いてないし、迫先輩にそういうことをさせたくないし。

 「迫先輩っ。もう一度勝負ですっ」
 「泣きの一回か」
 「泣いてませんっ」

 とにかく、どんなことでもいいから迫先輩を越えたい。お遊びでもいいから。
女子の武器を捨ててでも……だ。わたしのお願い事に気圧されたのか、迫先輩はメガネを鈍く光らせて
「分かった」と承知した。

 「次は負けませんっ」
 「ふふっ」

 からかうつもりなのか、どうだか。

863わんこ ◆TC02kfS2Q2:2017/11/04(土) 05:07:31 ID:sMF9cBC.0
 「妹とよくスピードをしていたからな」

 迫先輩がどや顔で語る。

 「なんだとっ」
 「なんですって」
 「妹がいるなんて」 
 「そこかよ。食い付くとこ」
 「破廉恥なっ」

 迫先輩の妹だ。きっと、先輩のような理知的な面持ちで可憐さを持ち合わしているんだろうな。
 会ったこともない迫先輩の妹に、嫉妬をしているつもりは毛頭ない。ただ、妬いているのかもしれない。
 わたしがくちびるを噛んでいる間に、久遠はスピードの再戦を整え、尻尾を振っていた。

 「違う校区の中学に通ってるんだけど。やりたい部活があるからって」
 「演劇ですか?」

 迫先輩は静かに首を振った。口で「違う」と言えばいいものの、これだから男子は面倒くさい。

 「そうだ。迫先輩。スピードの再戦の件ですけど……」

 対面に構えた先輩にわたしは口火を切った。

 「ただの勝負では面白くも痒くもありませんっ。何かをかけて勝負に挑みましょう」
 「別にいいが……」
 「でも、お願い事があります」

 迫先輩の期待を裏切らない返答を確実に耳にしたわたしは、ずいっと演劇部部室のロッカーから
衣装の入った紙袋を突き出した。さらに、わたしは迫先輩にその衣装を着ることを命じた。

 ふんわりと、甘い香りがした。
 甘い色が、漂っていた。
 男子がいちばん、憧れる。あの芳しくも……麗しい色香。
 それは、衣装から……。

 「何故、おれがスカートを履かなければいけないんだ」
 「カーディガンもリボンありますっ。ウィッグももちろんっ。ただでJKになれるんですよっ?」
 「そういう問題か?」
 「大問題ですっ。賭けるものは……パンツです。パンツを見せてくれませんかっ」

 スカートを手にした先輩は眉を歪ませていたが、わたしには知ったことではない。

864わんこ ◆TC02kfS2Q2:2017/11/04(土) 05:07:49 ID:sMF9cBC.0
 「迫先輩が女子高生になりきることにより、この賭けは成立することで意味を成します。
  仮にこのままの男子高校生と女子高生の姿で、どちらかのパンツを見せるという賭け勝負は
  犯罪極まりありませんっ。破廉恥過ぎますっ。よって、迫先輩が女子高生になりきることにより、
  わたしが迫先輩のズボンを引きずり下ろす○○な行動も避けられ、迫先輩がわたしのスカートを
  昭和のアニメよろしく捲る行為も、ゆりゆりカンケイとして緩和することが出来るのですっ……はぁ」
 
 深呼吸でわたしはわたしを落ち着かせる。
 その間に久遠が迫先輩の腕に噛みつきながら、無理やり迫先輩をカーテン裏へと連れ去っていった。

 もごもごと二人分の膨らみがカーテンをたゆませ、小さな悲鳴が聞こえてくる。
カーテンの裾から迫先輩のズボンが落ちるのが見えた。リアルタイムで迫先輩が少女へと変わりゆく姿が
カーテン越しに伺える。きっと迫先輩の妹も迫先輩が着替える姿を目の当たりにしているだろうし、
迫先輩も妹の生着替えを目にしているのだろう。
 それを考えると、だんだん迫先輩の妹に対する感情が胃から喉の辺りまで込み上げてきた。

 中学生?JCじゃないですかっ。
 そのころのわたしは……あーちゃんなんて、知りません。

 「着替えたぞっ」

 久遠の声と共に女子高生になりきった迫先輩が俯き加減で現れた。思わず、くんくんと鼻を効かす。
小柄で細い方の迫先輩は男子の振る舞いを考慮すれば、フローラルの香り漂う文化系メガネっ娘女子高生
そのものであった。女子高生に変身した迫先輩は口を閉ざしたまま、わたしたちの目を見ようとはしない。
 分かってる。男子心って難しい。そして、面倒くさい。

 「せっかくだから、名前つけようっ」

 久遠の尻尾が揺れる。

 「えっと……ゆきちゃん」
 「久遠、やめろ。黒咲、笑うな」

 反射神経の敏感な久遠は流石だ。
 男子としては白い肌の迫先輩とゆきちゃんという印象はアドリブで命名したとは思えぬはまり具合だった。
 迫先輩……もとい、ゆきちゃんは頬を赤らめていた。
 でも、わたしにはそんなことすらどうでもいい。パンツだ。パンツがかかっているんです。
 黒タイツを透かしてとはいえ、パンツを見せてたまりますかっ。絶対に負けられない戦いだこそ……



 パンツなんですっ。

865わんこ ◆TC02kfS2Q2:2017/11/04(土) 05:08:07 ID:sMF9cBC.0
 「始めましょうっ」

 ゆきちゃんと向かい合わせで席につく。
 メガネ越しに見える瞳はゆきちゃんではなく迫先輩だ。そして、切られた火蓋。

 「スー、ピー、ド!」

 好調な滑り出しだ。ゆきちゃんに変身した故の動揺が見え隠れしているものの、試合運びは
迫先輩そのものだった。迫先輩とスピードに興じている妹も、きっと集中力の高い子に違いない。
遊びを遊びともせず、一種の賭場のような雰囲気をたたずませて、迫先輩の一喜一憂を目に
焼き付けているのだろう。
 と、ゆきちゃんのカードが止まった。わたしの手札を
 消化するチャンス。ゆきちゃんが俯く姿は天才将棋少女にも見えてくる。
 きっと、ゆきちゃんは将棋も強いんだろう。そして、わたしの手札も止まった。

 ゆきちゃんはスカートを気にせず脚を開いている。開放感からくる気の緩み。
 そんな女子高生は二次元ならばお払い箱だ。そして、その気の緩みがカードに如実に表れてきた。
 山にはハートの5。ゆきちゃんはスペードの4、わたしはスペードの6の持ち札が。
 なのにも関わらず、捌けるはずのカードを見逃し、わたしにスペードの6を許してしまった。
 ここからゆきちゃんのペースが崩れた。

 「くっ」

 今、わたしは鬼にならねば。だって、パンツだし。
 カードは黙りを続ける。幾度となく続く「スピード」の掛け声。そして山のカードが残り一枚に。
 次の掛け声で決まる。ゆきちゃんの運が勝つか、わたしか。

866わんこ ◆TC02kfS2Q2:2017/11/04(土) 05:09:30 ID:sMF9cBC.0
 「スー、ピー、ド!」

 決まった。

 ゆきちゃんはカードをもう出せない。というか、出しても時遅し。

 わたしの勝利だった。

 勝利の美酒に酔うよりも、パンツが守られた安堵感でどっと疲れが肩にのし掛かってきた。
 もっとも、わたしが言い出したことだし。

 「ゆきちゃんのおパンツを見せろいっ」

 久遠がゆきちゃんの腕に噛みついた。
 振り払おうとあわてふためくゆきちゃんは椅子を蹴り倒して立ち上がった。

 「ま、待て!電話が……」

 電話を片方の手で掴み、もう片方の手で久遠を押さえつつ、ゆきちゃんは電話に応答していた。
 ウィッグの髪が乱れ頬に張り付いている。

 「う、うん。分かった。明太フランスパンだな」
 「うー、わうっ」
 「今、部室だ。え?おれは脚本を書くのが好きなんだ」
 「見せろいっ」
 「由妃こそ部活はどうしたんだ。中学の。みんなと合わせたくないって?」
 「わおっ」
 「もう切るぞ。こっちも……って、おい!由妃!」

 その言葉を最後に、部室に静寂が戻った。
 わたしと久遠はお互いに顔を見合わせ……
 「由妃ちゃんだって。『ゆき』ちゃん」
 「ゆきパン食べて、おパンツ見せろいっ」

 迫先輩……もとい、ゆきちゃんはスカートを押さえながら太ももに噛みつく久遠を振り払っていた。


 おしまい。

867名無しさん@避難中:2017/11/11(土) 06:42:05 ID:xSFaIHDU0
わんわんわんわんの日。

https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1141/pokey_game.jpg

868名無しさん@避難中:2017/11/17(金) 11:30:43 ID:1mVRswQo0
お題欲しいにゃ

869名無しさん@避難中:2017/11/22(水) 11:49:38 ID:tbZvinxY0
ロボット

870名無しさん@避難中:2017/11/25(土) 07:06:59 ID:8EiC9Pjw0
ロボットと言えば……!

871わんこ ◆TC02kfS2Q2:2017/12/03(日) 09:10:35 ID:bdaY6cqk0
>>869
https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1146/wan_rob.jpg

だ…だれか、ロボ描くの上手い人…

872名無しさん@避難中:2017/12/03(日) 10:43:41 ID:wycKUTnk0
ロボスレ民に頼もう

873名無しさん@避難中:2017/12/22(金) 08:02:50 ID:NSo9vcxw0
「妹と○○」で、お題下さいまし

874名無しさん@避難中:2017/12/22(金) 08:18:40 ID:whxadIDg0
ゲーム

875名無しさん@避難中:2017/12/27(水) 07:14:58 ID:Rv635Th20
姉より妹の方が魅力的なのは、どうしてですか

876名無しさん@避難中:2018/01/15(月) 07:01:49 ID:ihB/kubc0
妹とゲーム

https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1156/sako_imouto.jpg

877名無しさん@避難中:2018/01/29(月) 23:27:14 ID:0FpbKz8w0
仁科人生相談

鷲ヶ谷「妹に勝てる技を教えて下さい」

878名無しさん@避難中:2018/02/03(土) 19:03:59 ID:wuDOIMEI0
「妹の××」でお題、下さい

879名無しさん@避難中:2018/02/04(日) 23:16:27 ID:QBqdbITo0
米蔵

880名無しさん@避難中:2018/02/11(日) 21:35:30 ID:euHzlHk60
妹の米蔵ってなんじゃい

https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1161/komegura_ako.jpg

881名無しさん@避難中:2018/02/16(金) 21:17:36 ID:IBGPGAWw0
なんじゃろうな

882名無しさん@避難中:2018/03/03(土) 21:56:21 ID:5gzV8Tcg0
>>866
あかねちゃんは最初の印象からどんどん(エキセントリックに)変わっていくキャラだなぁw
「パンツです。パンツを見せてくれませんかっ」って何だよw
>>867>>871>>876>>880
そこはかとない狂気を感じる
疲れているときに見る夢のような不思議でそこはかとない狂気をだ
ゆるふわポプテとでもいおうか
恐ろしい才能の片りんを感じる

883名無しさん@避難中:2018/04/23(月) 21:07:02 ID:V99.G3720
荵「わっしー、イエーイ!」

https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1171/akane_shinobu_kazuho001.jpg

884名無しさん@避難中:2018/04/29(日) 00:59:32 ID:ZXILGVFE0
チャリオットかよ
お前が漕げよっ

ジェットマン多すぎw

885名無しさん@避難中:2018/05/02(水) 06:53:31 ID:RiDUr95o0
https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1178/ageru_pool.jpg

食べ物描くの楽しい

886名無しさん@避難中:2018/05/11(金) 22:45:33 ID:rEqXXwH.0
「空手少女」と…で、お題を。

887名無しさん@避難中:2018/05/13(日) 01:32:30 ID:u.X7Ma.Y0
剣豪のひ孫

888名無しさん@避難中:2018/06/06(水) 07:09:18 ID:k0YOctbw0
恋愛相談

https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1184/totoro001.jpg

889名無しさん@避難中:2018/06/06(水) 21:33:18 ID:vcpLvJos0
やらしいっ

890名無しさん@避難中:2018/06/20(水) 22:59:07 ID:vZGKC6dg0
質問…
演劇部の中途入部の女子高生。さて、どんな子!?

891名無しさん@避難中:2018/06/21(木) 12:23:21 ID:OMo1Dp1U0
どんな些細なことでもミュージカル仕立てにする

892名無しさん@避難中:2018/06/26(火) 23:55:23 ID:SiFNYN9c0
発声練習のあえいうえおあおを覚えられず
あいうえお!・・・あお!と言ってごまかしている

893名無しさん@避難中:2018/07/14(土) 21:54:36 ID:1G6f832M0
質問2…
こんな演劇部の顧問はかわいい
どんな先生?

894名無しさん@避難中:2018/07/15(日) 09:53:13 ID:vQ0jh.7k0
元宝塚

895名無しさん@避難中:2018/07/20(金) 23:42:19 ID:30iLuD1M0
生徒がいない時こっそり鏡の前で舞台衣装を自分に合わせてみる

896名無しさん@避難中:2018/08/15(水) 08:41:29 ID:Z0pXPpLs0
問)夏休みの恒例行事を教えて下さい

897名無しさん@避難中:2018/09/01(土) 14:19:37 ID:O5mFZIv.0
登校日!

898名無しさん@避難中:2018/09/15(土) 07:03:48 ID:0NguDkVM0
登校日!!

https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1199/toukoubi.jpg

899名無しさん@避難中:2018/09/22(土) 22:49:05 ID:dTAAob0w0
お題下さい

900名無しさん@避難中:2018/09/22(土) 23:10:29 ID:eMRyimSw0
水泳の秋

901名無しさん@避難中:2018/09/23(日) 14:20:55 ID:8S9EDZiM0
水泳の秋…のつもりやったんや。

https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1201/suiei_no_aki.jpg

902名無しさん@避難中:2018/09/23(日) 16:11:32 ID:QI/59ykY0
変態だーっ!!

903名無しさん@避難中:2018/09/23(日) 19:04:42 ID:aUlH8dDQ0
久々に名前を見かけまして

https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1203/gekka.jpg

904名無しさん@避難中:2018/10/04(木) 07:14:59 ID:zg0l/Gk60
ここの学園って野球部とかバレー部とか普通の部活はないの?

905名無しさん@避難中:2018/10/14(日) 09:22:07 ID:p2167IWk0
お題を…

906名無しさん@避難中:2018/10/16(火) 13:52:55 ID:8x9CnXu.0
テスト

907名無しさん@避難中:2018/10/17(水) 10:03:45 ID:ukF4C/CY0
メジャー級のイベントなのに忘れてた

https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1207/test01.jpg

908名無しさん@避難中:2018/11/11(日) 09:39:51 ID:19/5kdHc0
ポッキーの日

https://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/1210/pokey_game.jpg

909名無しさん@避難中:2018/11/30(金) 12:04:40 ID:pBaBKCF.0
お題下さい

910名無しさん@避難中:2018/11/30(金) 14:46:10 ID:Ga3q8kZMO
異世界転生

911名無しさん@避難中:2018/12/04(火) 06:50:39 ID:HAXOHCno0
異世界転生ものの人気のワケってなんだろう

912名無しさん@避難中:2018/12/23(日) 21:41:00 ID:NVXEPa8U0
現実の制約・しがらみをリセットして親や社会から独立したいという願望を満たせる
立身出世物の構造を持つものも多い
優越感・万能感を得やすい素地がある

913わんこ ◆TC02kfS2Q2:2018/12/27(木) 07:58:32 ID:QWeL3UUE0
 リアルな書店の中を巡り歩くのは、一体何ヶ月ぶりだろうと独り言のように呟く。
 生身の人間の眼がずきずきとわたしに突き刺さる、と思い込むのは、実に勝手だ。
 誰もわたしのことなど知らない。知ってるはずはない。希望的観測で自分自身を勇気付けて、厚く覆ったマフラーで口元を隠し
目深にニットの帽子をかぶってこの世を忍ぶ。

 かつては誰からも憧れと羨望のまなざしで手を振られる存在であった。
 きらきらと輝く水晶石にも似た存在でもあった。
 だが、脆く、危うい、その石のごとく。崩れ去ったというのも、誰かの浅はかな行いのせい。

 だから、隠れる。消える。この世に存在していなかったことと等しく。

 わたしは活字の森に身を隠す木の葉だ。
 風が吹けばひらりと舞い、どこかへと身を墜落させる。そして、やがて土に返ることを願いつつ、またふわりと。

 「あっ。ごめんなさい」

 不注意で男子高校生の肩にぶつかる。素直に相手は謝罪の意を示してくれたのだが、どうにもわたしの声が出ない。
 意思はあるのだが、脳が反応しない。声帯が拒否る。まともに人と話すということ自体が久しぶり。
 ただ、額に冷や汗だけが一筋。

 「ご……ごめんな……さい」

 こんな声ではなかったはずだ。か弱い羊のような声だ。
 甘くて、客席にたむろする男どもに向けて発するあの声と。

 かつてはわたしはアイドルという身分だった。正しくは『地下』という接頭語が付く。その集団の一人だった。
 舞台の上でマイクを握り、この身を切り売りしながら、代わりに金と名声を握る。
 でも、世間様はそっぽを向いた。世間様は悪くない。正しい、神だ。たった些細な出来事で神の機嫌を損なった。

 出来ることならもう一度。生まれ変わってもいい。
 転生することは誰もが夢見ることかもしれない。
 だからか、と言うのは乱暴だけどわたしはライトノベルの棚の前で気づいた。

 『異世界転生もの』。

 なんと、そんなコーナーがご丁寧にこしらえられているではないか。

 ネットの噂には聞いていた。というか、ネットの深い海に身を潜ませていたわたしは、リアルと虚構が合致した瞬間を見た気がした。

 異世界に転生するのも悪くない。
 誰も知らない。誰からも知られていない。
 でも、わが身はものすごく知っている。
 翼が欲しい。イカロスのような蝋で出来た翼なんかではなく、太陽の光に輝く金糸のような翼だ。

 わたしだって、出来ることなら舞台に立ちたい。あのサイリウムの光が見たい。地下でひっそりと知る人ぞ知る存在だったと
しても、アイドルだったことは間違いないし……でも、もうそのグループはもう現世で生きることすらる許されず。

 それは、誰かのせいだ。
 わたしと時間を共にした誰かが。
 誰かは、泣いていた。
 メンバーは「大丈夫だよ」と慰めていたが、本心はどうだか。この世界に身を投じている者ならば見抜くことなど容易い。
 わたしは何も声をかけられなかった。

 ふと。わたしのスマホが鳴く。滅多にないことなのでびくっと挙動不審。
 無論。誰かからかも解りきっている。妹だから。

 そして、目を疑う。

 『お姉ちゃん。高校の演劇部の顧問(仮)になってくれない?ってか、なりなさい』 
 
 蓆田(むしろだ)いおり、22歳。代表作……これといってない、元地下アイドル。

 なんの因果で演劇部という異世界に転生しなきゃならんのだ。
 抗うこともできず、『うん』と、返信だけ送った。


つづくのかはわからん

914名無しさん@避難中:2018/12/27(木) 21:59:03 ID:0fHi.uEo0
乙です
そう来たか!

915わんこ ◆TC02kfS2Q2:2018/12/29(土) 18:06:47 ID:n6h3N.4s0

 わたしのブレイクファーストの邪魔をするな。

 座り心地の良い便座に、殺風景な四角い空間。誰彼の侵入を拒む校舎内でも離れた場所。
 パンパンに膨れたビニルの包装を破くと、真っ白な菓子パンが顔を見せる。ふわふわした食感が好きだ。貴重なわたしだけの時間に、あむっとパンを一口。
 なんでこんなことを引き受けたんだろうと、少々の後悔が甘い菓子パンをほろ苦くさせてくれる。でも、やらなきゃ……と、言い訳できるのは、わたしがちょっと大人になったからか。
 こんな大人になるはずじゃなかったと、過去を呪いたいだけ呪い、目が眩む未来へと足を踏み出すわたし、カッコイイ!!って、自惚れるほどわたしってバカじゃないし。
 今日から大人にならなきゃ……って鼓舞する力も空元気だし。
 だから……。
 どうして、演劇部の顧問なんて引き受けたんだろうと後悔先立たず。

 「あえいうえおわんっ」

 なんだ、廊下の向こうから聞こえてくる声は。
 発声練習なのは分かってる。以前はわたしも散々やらされた。お腹から声を出せ。喉で声を出すな。理屈で分かっていてもダメ。体で覚えなきゃ。
 地下アイドルだって、アイドルの端くれだ。かつては、わたしもその集団に在籍してたのだから。

 そんな真っ暗闇なわたしたち地下アイドルのなかで、発声が抜きん出てレベルが高かったのは『めめぽん』だった。
 歌唱力もずば抜けている。おまけにスタイルもよし、顔面偏差値もかなり高い。それゆえファンからの人気は誰よりも勝っていたのは言うまでもない。
 なんということか、そんな『めめぽん』のお陰でわたしたちは小さな夢を絶たれた。『めめぽん』の軽率な行動故の罰として。

 『めめぽん』の涙を浮かべる姿を思い出しては、薄っぺらい絆を誰もが陰でせせら笑っていたことを忘れない。
 そんなもんだと、冷ややかな視線だけを残して、わたしたちは表舞台(表にも出ていないのだが)から消えた。
 なのにこんな元地下アイドルに、この高校は何を期待するんだと……。

 演劇部の部室の扉は軽かった。どんな者でも歓迎するかのように、がらりと開いた扉の先には、犬小屋がちんまりと建っていた。
 段ボールでこしらえられた犬小屋は、恐らく小道具で製作されたものだろう。演劇部の部室にあってっもおかしくはないし。
 ふぅと溜め息つくと同時に犬小屋から少女のような子犬……ではない。子犬のような少女が顔を見せた。ボブショートの彼女はうつ伏せでわたしの顔を見上げた。

 「何物だっ。名を名乗れっ」
 「お兄ちゃんどいて!そいつ噛みつけない!『しっぽくびわ』の甘噛み担当、いおりんでーす」と、脳内が響く。
 今思い出しても、なんだこれはと言わざる得ない自己紹介。それを誰もが許していたのは一種の集団心理だとしか思えない。
 そう。わたしはもう『いおりん』なんかじゃないし、『しっぽくびわ』も存在すら許されないし。
 
 「はじめまして。今日からこの演劇部の顧問をつとめさせて頂く、蓆田いおりです」
 「むしろだっ?」

 この子らとやっていけるのかと思うと、途端に脚に乳酸がたまっていく感じでいっぱいだ。

916名無しさん@避難中:2019/01/01(火) 23:12:53 ID:ZD62yzR60
ことよろ…お題おねしゃす

917名無しさん@避難中:2019/01/04(金) 01:45:35 ID:OnTRhTsUO
あけおめことよろ

お題→冬のハイテンション

918名無しさん@避難中:2019/01/22(火) 09:21:00 ID:c7C94Wqk0
はいてんしょん

https://dl1.getuploader.com/g/sousaku_2/1218/dog_run.jpg

919名無しさん@避難中:2019/03/31(日) 20:02:36 ID:gYA8SQ4M0
鷲ヶ谷「いよいよ新元号発表だね。それにしても平成ライダーもこれで歴史となってしまうのかぁ」
荵「あの『グロンギ』的なっ」
鷲ヶ谷「荵ちゃん、よく知ってる!イケメンライダーは当初不安だったけど、今や仮面ライダーといえばだよね!」
あかね「でも、わたしの「仮面ライダー」のイメージはおやっさんですっ」
鷲ヶ谷「立花藤兵衛!それでいて地球防衛軍のキャップの姿も」
あかね「いいえっ。十文字家の執事のイメージでっ。執事萌えですっ」
鷲ヶ谷(うわぁ。ガチ原作だし)
あかね「そういうことで、平成もいよいよ残すところあとわずか。平成ライダーの『平成』で、あいうえお作文ですっ」
荵「わおっ」
鷲ヶ谷「なにそれ!関係ないし!」
あかね「『へ』んしん
    『い』らない
    『せ』っかくの
    『い』ケメン見れないなんてっ」
鷲ヶ谷「わぁ!なんでだよ!変身してもかっこいいよ!」
あかね「誰にも言いませんよカードを…」
鷲ヶ谷「違う番組だよ!」
荵「新しい時代のライダーはどうなるんだろう?」
鷲ヶ谷「あっ。いよいよ新元号発表だよ!」

……

荵「わおっ」
鷲ヶ谷「そう来たかぁ」
あかね「じゃあ、新しい時代のライダーを新元号であいうえお作文っ。はいっ、荵」
荵「わおお?えっと…


 つづくとかつづかないとか。

920名無しさん@避難中:2019/04/01(月) 19:56:16 ID:exUZ3ytk0
あかね「きまりましたねっ!新元号」
鷲ヶ谷「令和ライダーの活躍に期待だね」
あかね「きっと今までにない仮面ライダーになるんじゃないのかな」
鷲ヶ谷「『ドライブ』みたいにバイクしばりじゃないとか?」
荵「『れ』ッツゴー!ライダー!
  『い』ぬぞり
  『わ』んこたちっ」
鷲ヶ谷「アラスカなの???舞台は???」
荵「新時代だから、新しい方向性とかだなっ」
あかね「『れ』き代ライダー
    『い』ちばん
    『わ』るい」
鷲ヶ谷「ダークヒーロー!!」

921名無しさん@避難中:2019/04/01(月) 19:56:55 ID:exUZ3ytk0
あかね「きまりましたねっ!新元号」
鷲ヶ谷「令和ライダーの活躍に期待だね」
あかね「きっと今までにない仮面ライダーになるんじゃないのかな」
鷲ヶ谷「『ドライブ』みたいにバイクしばりじゃないとか?」
荵「『れ』ッツゴー!ライダー!
  『い』ぬぞり
  『わ』んこたちっ」
鷲ヶ谷「アラスカなの???舞台は???」
荵「新時代だから、新しい方向性とかだなっ」
あかね「『れ』き代ライダー
    『い』ちばん
    『わ』るい」
鷲ヶ谷「ダークヒーロー!!」

922名無しさん@避難中:2019/04/09(火) 06:58:17 ID:ypZA2mZk0
平成最後のお題を

923名無しさん@避難中:2019/04/09(火) 09:12:16 ID:Ms0/kGg.0
未来

924名無しさん@避難中:2019/06/08(土) 08:09:17 ID:nomZfvDk0
>>915
忍ちゃんとうとう部室に犬小屋をおったてたのか・・・!
がっこうぐらししてそう

過去地下アイドルってキャラ設定はなんか珍しい気がする
なまなまC

925名無しさん@避難中:2019/07/06(土) 06:48:19 ID:sYdSwYBE0
がっこうぐらしするには、何がいりますか?

926名無しさん@避難中:2019/07/12(金) 15:43:30 ID:Z8dSK6f6O
エロ本!

927名無しさん@避難中:2019/09/04(水) 22:13:38 ID:CVA.l3TA0
パワーショベル!

928名無しさん@避難中:2019/09/24(火) 15:57:03 ID:olpNPBGk0
なんでパワーシャベルじゃないんだろうね


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板