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レス代行はここでおk その3

260名無しさん@避難中:2012/08/30(木) 17:42:34 ID:tRewTDr60

「はじめまして。ヨン・シューネンいいます。ヨンと呼んで下さい。よろしくアルね」

 いま俺は大学でフランス語の講師をしているフランス人の友人ジャンと、安いだけが取り柄の
居酒屋で酒を飲んでいる。
 三年前、ジャンが講師を務める交換留学が盛んな大学の学園祭で知り合い、その後
交友を深め現在に至っている。地元から離れこの地で暮らしている俺にとって、ジャンは職場の
同僚以外では唯一の友達と言っていい存在だ。

「ジャン先生の率いるコスプレメンバーの一人を好きになってしまったアルが、どう打ち明ければ
いいか分からなくてジャン先生に相談したら、悩みを聞いてくれるいい人がいますと言われて
それで今日ジャン先生に同行させていただきました。どうぞ話を聞いて欲しいアルよ」

 安藤殿にちょっと相談がありましてとジャンから連絡があり、土曜の夜、繁華街に繰り出した。
どうやら相談というのは今日が初対面となるいまどき珍しいステレオタイプな中国人日本語を操る
ヨン君の恋愛相談のようだ。
 いちいち会話にアルが混じるのは玉にキズだが、それを除けばヨン君は痩せ型で前髪を上げた短髪、
オーソドックスな白の開襟シャツが眩しい爽やかな青年だ。

「お役に立てるか判らんが、俺でよかったら」

 そう言ってこれ見よがしに発泡酒の大ジョッキをぐびぐびと煽る。
だがしかし、正直ヨン君の相談に適切なアドバイスを送る自信は無い。人に恋愛指南出来るほど
女と付き合ったわけでもない。そして、なによりも俺自身いまだ過去の恋愛を引きずっているのだ。

 三年前の今頃から俺はコスプレ好きのアメリカ人留学生ジュンと付き合い始めた。
元々はジャンの嫁となったスージーという金髪が好きだったのだが、いろいろあって言葉は悪いが
ジュンに鞍替えした形である。
 楽しかった。まだ二十八だが生涯で一番輝いていた季節と言っても過言ではない。
外人さんと付き合うという特殊性も確かにあったが、それを差し置いても充実した日々だった。
 自分で言うのもなんだがジュンと会える日を待ちわびてバリバリと仕事をこなした。
映画、ドライブ、図書館でのお勉強、そして俺の部屋でいちゃついて過ごす甘いひととき。
 しかし蜜月はジュンの留学終了とともに終焉を迎える。
俺に引き止める勇気も追いかける覚悟も無かった。そしてジュンも両親との約束を破るつもりは無かった。
空を切り裂いた飛行機雲をただずっと目で追い続けた。一年前のことだ。

「えーと。コスプレチームの一員ということだけど、ヨン君が好きな子は俺の知ってる子?」

 傷心の俺に気遣ってか、ジュンが日本を去ったあともジャンは俺をコスプレ同好会みたいな
サークルの飲み会に誘ってくれた。
 部外者な俺だが三年前のある出来事をきっかけに何故か伝説の人となってしまい、飲み会でも
皆俺を歓迎してくれた。ジャン経由ではあるが休日で暇なときは、食事をしたり俺の車で観光案内に
出掛けたりと今も年々入れ替わるコスプレメンバーの留学生とは程々に交流がある。

 俺の質問に四人掛けテーブルの対面に座るジャンとヨン君は顔を見合わせた。
そして意を決したように二人小さくうなずきヨン君がちょっと重そうに口を開いた。

「……メアリーアルよ」
「うおっ、マジすか!?」
「マジアルよ」

 真っ直ぐに俺を見つめるヨン君の瞳に嘘は無かった。

 メアリー。二十二歳のアメリカ人留学生。金髪ポニーテールで背丈は俺とそれほど差はなく確実に
170センチ以上ある娘だ。チアガールの衣装を着たメアリーを見たことがあるが、端正なスタイルと
凛とした表情を持つ誰もが認めるアメリカンビューティーだ。

 うーん、爽やかなイケメンではあるがヨン君は確実にメアリーより背が低いしなあ……
口には出さないが胸の中では早くも諦めモードの俺。顔に出たのかすぐさまヨン君が俺に聞いてくる。


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