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獣人総合スレ 避難所

819わんこ ◆TC02kfS2Q2:2015/02/22(日) 19:29:09 ID:MkSoj18Y0
本板がうまくいかないからこちらで「ねこの日」。





 「ねこの日ですね」
 「おめねこ!」

 彼らは口を揃えて今日は『ねこの日』だと言う。去年も今年も、そして来年も、2月22日の夜はやってくる。
 泊瀬谷も彼らに混じって「おめねこ」のご挨拶。毎年つつがなくやって来る『ねこの日』を祝いつつ、何かにつけて集まって、
ゆるく時間を共有しようと、暇だけを持て余す彼らは賑やかに公園で夜会を開いていた。

 今年は雪が舞う。去年と比べて人数は少ないものの、物好きなメンバーが集まった。
 泊瀬谷も彼らの誘いを断り切れず、顔を出すだけと夜の公園に姿を現した。

 ネコの夜会はいつも眠い。約束の場所には、そんなに多くもないネコたちが続々と集まってきた。馴れ合いというわけものない、
付かず離れずのほどよい関係がネコたちには心地よいからだ。
 公園でネコたちは、特に何かをするわけでなく、ベンチに座る者いれば、たちんぼうもいる。集まりの中の一人となった
紅一点な泊瀬谷は仕事を終えたオトナの世界からの帰りの格好のまま、コドモの気持ちでブランコに乗ってあくびをしていた。

 そそくさと急ぎ足でこの公園に来た泊瀬谷の瞳にちらつく雪が闇に映える。
 泊瀬谷は教師だ。ネコの教師だ。現代文を教える高校教師だ。勤め先である学園から直接やって来た。
きっと帰りは遅くなるだろうと、宿直室覚悟で職員室にて残った仕事を片付けていた。焦れば焦るほど上手くいかないもので、
明日は休みだからと言い訳をして、仕事を切り上げてしまった。心残りがあるものの、ネコの夜会で忘れるつもりだった。
 泊瀬谷が学園を出て夜会の公園に着いたときには、既に何人かのネコたちが場を温めていた。

 「お久しぶりです」
 「はせやん。なんだか今夜は『きゃりあうーまん』っていう装いで」
 「仕事帰りですよお。それに、わたしそんなにてきぱきしてませんし」

 先客の老ネコにからかわれながら泊瀬谷は仲間に加わった。
 ふっさふさの毛並みに包まれた翁は色艶は流石に薄れてきたものの、齢を積み重ねてきた証である貫禄は十分だった。
 呑気な先発組と違って泊瀬谷は仕事帰りだったので、ちらりと顔を見せただけでこの場をあとにした。

 たまには雪降る夜もきれいだなと、物思いに耽る余裕さえなく泊瀬谷は足速にせせこましい新年の町並みを歩く。
両手で口元を覆い隠していると、そのときはそのときで温かい。おもむろに手を離し息を吐くと、目の前が真っ白に輝いた。
 残念なことに「寒い」の一言で何もかもが吹き飛ばされた。

 「暖かいところ、行こう」

 光は人を呼び、人は光を紡ぐ。
 誰もが心寂しくなる季節だから、光が解き放つ理論を無条件に受け入れる。泊瀬谷も賛同し、自然に足はコンビニへと向いていた。

 コンビニは明るい。コンビニがクラスメイトならばきっと人気者になれるだろう。
 コンビニの中だけは時間を切り取ったような明るさだった。
 夜更かしさんたちは立ち読みに興じ、腹ぺこさんたちは籠いっぱいにお菓子を詰め込んで、これから向かう夜の世界に
やんわりと立ち向かう。泊瀬谷もコンビニの掟に倣い、とりあえずみかんゼリーをひとつお買い上げ。

 「太るかな……」

 体重のことを気にせず、美味しく頂くこともコンビニの掟。

 「ま、いいか」と、泊瀬谷は小さなビニル袋をぶら下げて、足早にコンビニから出ると見覚えのある子を見付けた。
 昼間見る姿とは印象は違う。きっと夜のせい、服のせい。自転車のハンドルに泊瀬谷と同じビニル袋をぶら下げて、
暖色系のマフラーを巻き直していたイヌ男子。雪のように白い毛並みとマフラーが相対して映える。

 「先生」


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