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獣人総合スレ 避難所

773『タイムカプセル』 ◆TC02kfS2Q2:2013/08/27(火) 20:03:50 ID:Hcu2UIes0
 ルルに刃向かうのは万死に値する。大袈裟かもしれないが、二人はそんな関係だ。ルイカは渋々と公園を去った。
 しかし、もやもやした気持ちは晴れない。アイスを買いには行かずに、その脚で自宅に戻り机の中をまさぐった。
 机の中は整理整頓されて風通しが良い。そんな町並みのような机の引き出しの中にぽつんと違和感ありありの木の箱が一つ。

 「これだ」

 土にまみれたようにくすんだ木箱、大きさはおよそ文庫本ほどだ。錆びた蝶番が固く、蓋を開けるのも至難だった。
 やがて蓋は開き、中に一枚の桜色の便箋が日の目を見た。几帳面に畳まれた便箋に書かれた一文にルイカは目を止めた。

 『りっぱなおとなになってますか』

 幼く、たどたどしく、舌ったらずな手書きの文字。ルルが8歳のときに書かれた自分への手紙だった。

 確か幼き頃のルルが大人になったルルと同じように穴を掘っていたんだ。ざくざくと、重なる姿は変わらなかった。
ルイカはその一部始終を眺めてて、ルルが埋めたタイムカプセルをルルがいない間に掘り起こしたのだった。
 「ガキくせー」とルイカが減らず口叩いたからルルからびんたをお見舞いされた。だから今でも覚えている。

 (一矢報いたかった)

 語彙の増えた今、振り返るとそうだ。中の手紙の代わりにテストの裏の藁半紙を入れて、ルイカは土に埋もれているはずの木箱に入れた。
木目の刻まれたタイムカプセルをかばんに隠し、ルルの待つ公園へと脚を運んぶ。

 「ルイカ、アイスは?」
 「知らねーよ。おれはルル姉の下僕かよ」
 
 あまりにも暑く、喉が渇くから、ルルがアイスを買いに走った。
 これ幸運とルイカはルルの掘った穴を掘り続け、かばんに入れた木箱を埋めた。

 「ったく」

 穴をじっと見つめていると吸い込まれそうになる。だから踏ん張って、しがみつく。
 程なくするとアイスを二本手にしたルルが頬を赤くして帰ってきたが、ルイカはアイスだけ受け取って公園から去った。

 その晩。
 ルルは自宅のリビングで木箱に入っていた藁半紙を眺めていた。久しぶりに再会したタイムカプセル。
そう。ルルはルイカが埋めた木箱を掘り当てたのだった。諦めかけていたのでちょっと嬉しい。丁寧に土を払い除け持ち帰った所だった。

 藁半紙の表には結構良い点数のテストの答案、おまけに持ち主の名前まで書かれている。そして裏には男子の手書き文字。

 『ガキくせぇこと、未だにしてんじゃねーよ』
 「ルイカもね」

 『りっぱなおとなになってますか』へのルイカからのアンサーだった。にやりとルルは手紙の返答主に噛み付いた。

  
    おしまい。


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