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獣人総合スレ 避難所

730 ◆TC02kfS2Q2:2012/12/19(水) 23:51:49 ID:liN.ac4Y0
 
 「……」
 「犬上くん!」
 
 ヒカルがうどんに一途になれなかったのは隣り合わせでキツネ色の太股をちらつかせる悠里のお陰だった。
 意識無くとも自然に目に入る曲線美は上質なパンプキンスープの舌触りを思い起こさせる。美味は体に毒だと目線を逸らすと
やゆんな二つの丘がヒカルの眼を悪戯に弄ぶ。ダウンジャケットの隙間から覗く制服のカーディガンは破壊的に豊かな胸を包み切れず、
ボタンが一つ手を休めていた。大きく胸元を見せ付ける開襟シャツからは男子禁制なる桃の園が門にて罠を仕掛けていた。

 「……あの」

 空になったカップを脇に置いた悠里が次に手を付けたのはヒカルだった。ヒカルが油断した隙に悠里は腕を絡ませて、
箸持つ手を休ませて、ヒカルの二の腕を自らの胸に押し当てていた。俗に言う……。

 「あててんのよ」

 温かなダウンジャケット越しだからか柔和なる感触は二割増し、ヒカルも「当たってない、当たってない」と言い訳することで
自分の純情を守ろうとしていた。
 風吹き抜ける寒い筈の渡り廊下も悠里の仕業で夏のプールの気分と相成った。ヒカルは悠里の持つ思春期男子を包み込むような体温と
ミステリアスな銀色の髪の冷気で揺り動かされるしかなかった。
 ヒカルの理性が限界に達するかはいざ知らず、巧みなさじ加減で絡ませた腕をゆっくりと動かし、当たるか当たらないかの綱渡りで
ヒカルの眼を泳がせていた悠里はいきなりその腕を離し、すくと短いスカートを翻しながら立ち上がり体育館の方へと駆け出した。

 「犬上くん!」

 幸か不幸かヒカルは鳴りやまない胸の鼓動を手の平で確かめつつ悠里の後を追った。

 明々と明かりの点いた体育館は霜が溶けそうなぐらい熱気と気勢に包まれていた。裸足の足が床を叩き、竹と竹がぶつかり、
文字通り鎬を削る様が悠里とヒカルの前で広がっていた。
 一際目立つ一組がいた。一人は男子、一人は少女の打ち合いだった。

 「めぇええん!!」
 「まだまだ!夜月野!脇が甘いぞ!」
 「はい!刻城先輩!どぉおおお!!」
 「めぇえん!」

 小柄な少女は頭を降りかかる一刀をかわし、竹刀が面をかすって響く音を辺りに残していた。
 見ているヒカル側からしても手に汗握る光景で、うどんで緩んだ瞼も意識せずとも見開く闘いだ。

 「朝練、すごいよね。やっぱり袴姿って見てるとわたし、なんだか疼いちゃうし」
 「いつも剣道部の練習見てんの?」
 「ときどきね。ほら!あっち見て。つばぜり合いしている男子って燃えるね」

 体育館の出入口にもたれ掛かる悠里はカーディガンの衿元を指先で弄りながら、若きもののふたちの稽古を眺めていた。
 さっきまでヒカルに寄りかかり、道を外しかねない誘いをしていた娘も乙女の心を忘れていなかった。

 「世間はクリスマスってのに、そんなことを忘れ武道に打ち込む姿って」

 激しい打ち合いの末、一瞬の隙を狙い篭手と見せかけて小柄な体の不意をつく。またしても素早い足裁きで我が身を庇う。

 「どぉおおお!!」
 「……思う?」

 答えることを忘れたヒカルは小柄な少女剣士が余裕釈釈の身構えな先輩相手へ果敢に打ち込む姿を自分の言い訳にした。
 そして打ち合いは激しさを増し、そしてお互い攻めの体勢で剣を打ち鳴らす。

 「お互いに隙を見せないね。だから真剣な眼差しに痺れちゃうし、どちらか隙を見せる瞬間も……」
 「うっ!」

 右脇を手で抑えたヒカルをローファー一足片手に悠里はにまにまと眺めていた。

 「今度は左脇、いっとく?隙だらけの犬上くん」

 ヒカルは一本取られないように脇を固めた。

 日が昇ったとは言え、足元が寒いので、朝練に未練を残したヒカルと悠里は自分たちの教室に入った。
 ヒカルは本を相手に、悠里は携帯片手に何かのサイトと相手をしていた。

 「へぇ。うどんに牛蒡の天ぷら、そしてかしわご飯だって」

 書の世界に没頭した隙だらけのヒカルのお陰で悠里の独り言に終わった。冬季補習の時間までまだまだ。

 「なんだか、昨日の夜は特別な夜だってね。佐村井さんやはせやんも言ってた。わたしにとっては毎晩特別な夜かもね」


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