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獣人総合スレ 避難所

715キツネとブルマと風紀委員長 ◆TC02kfS2Q2:2012/10/07(日) 09:04:02 ID:DHj3On2.0

 「因幡、何してんだ?」

 背後から忍び寄る声。唾を吐き捨てるような軽蔑にも似た目線。リオが振り返ったときには既にルイカの顔は引き攣っていた。
ルイカの目線がリオの手元に向いていたことで、この場面をどうルイカに説明するかという困難に直面した。

 ビデオカメラ、持って来ちゃった……。

 リオが手にしている文明の利器は行き場は失われ、ただ風紀委員長を辱めに追いやる為だけの小道具に成り果てた。
 こっそり撮ってましただなんて言えません!むしろ、堂々と……。ウソです!この状態でどんな言い訳をしても、
怪しさの上塗りにしかならないし、どんな口の立つ弁護士でも陪審員の心情によって逆転無罪は勝ち取れないであろう。

 「風紀委員は生徒会のブログにけしからん動画でも載せる気なのか?」
 「違う!違うんだよお!ミサミサのところにこれを持って行こうとね!」

 ビデオカメラ片手に涙を目に浮かべるリオを置いて和室から去ろうとしていたルイカの手にはさっきまでの本は既になかった。
 尖った耳は決して優しくはないが、人が嫌いではない。一人ぼっちの女子の声をしかと受け止めて、そして足を止める。

 「因幡さ。それ、ミサミサ……ってやつに届けるんだろ?いつまでもガキみてーに泣いてるんじゃねえよ。先輩の示しが付くのかよ?」
 「……うん」
 「それにさ、小野が起きるだろ」
 
 音を立てないようにふすまを閉めると、悠里の寝姿が日差しに照らされシルエットとなって浮かび上がっていた。
影ながらに緩急のあるスタイルは健在。名残惜しそうにリオは悠里の影絵を見つめていた。

 「ったく、生徒会室戻ったらウマのデカ女が起立して待ってるし、本の続き借りようとしたら貸し出し中だし」
 「え?」

 同じ高校生なのに、どうしてルイカの背中が広く見えるのだろう。ルイカの不器用な声がほんのりとリオを包む。
 もう、泣かない。だって、こんなヤツからバカにされたくないから。

 「図書委員もあんな本紹介すんな!ほら、行くぞ!」
 「何?何なの!?」
 「ったく。気が利かねぇなあ!風紀委員長!」

 リオは小さな胸に誓いを立てるとニの腕を力強く引っ張る暖かさを感じた。塩素の香り残り流れゆく廊下を背景にルイカの背中を
見ながら、二人してミサミサの待つ生徒会室に向かっていることをリオはまだ知る由もなかった。

 ビデオカメラはもう重くない。


   おしまい。


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