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獣人総合スレ 避難所
713
:
キツネとブルマと風紀委員長
◆TC02kfS2Q2
:2012/10/07(日) 09:03:18 ID:DHj3On2.0
「けしからんと思います!」
言葉は選んだから、リオには後悔はない。
するとリオの携帯がけたたましく鳴る。慌てているときに限って意地悪するなんて、携帯は意志を持っているのではなかろうか。
ビデオカメラを置いておぼつかない手を動かして受信すると、聞きなれた後輩の申し訳なさそうな声がずきずきと飛び込んできた。
「もしもし、あ!ミサミサ?ええ?来れない?なぎなた部の練習で先輩に付き合わないといけないからって?ちょ、ちょっと!
これだから真面目のまー子は!!ちょっとぐらいインチキできないの?ミサミサ!!……うえーん。ミサミサぁ」
「おれ、帰る。拘束される理由なくなったし」
「ちょ!ま、待ってよお!!ルイカー!二人でやろうよ!」
目を吊り上げてルイカは本を手にして生徒会室の扉を開けた。リオの手には剣も盾もない。今日の作業は諦めなければならないと、
リオは机を蹴るとビデオカメラはぐらぐらと揺れる。壊しては風紀委員長生命一巻の終わりと脳内に電気が走り片手で奪い取る。
「もう!ルイカー!かんばーっく!」
廊下の先ではルイカが振り返えることなく生徒会室から去って行く姿……さえ見えなかった。
わたし一人でやるの?やだやだ!先生に「やってみせます!」と胸張ったことを後悔しろとでも?やだやだ!
ルイカを探せ!
リオは校内手当たり次第に駆けた。夢中だったのでビデオカメラを手にしていることさえ忘れていた。
あれだけ賑やかだったプールも静けさの水面を取り戻し、きらきらとさざなみを輝かせる鏡と姿を変えていた。
秋の始まりの感傷に浸ることを惜しみ、リオは必至にルイカを探していたると、さっきまで手にしてた本を携えていたルイカを
ちらと見かけた。ニアミスだ。リオはルイカの名前を呼んだが、尖った耳には届かなかった。
遠くから男子の歓声が聞こえてくる。くんくんと世の中の女子たちが尻尾を振ってきゅんとなるような性質の声ではないが、
一瞬の青い春を謳歌する声には憧れや回顧にも似た脆さを感じる。時の流れを否定する歓喜の声は切ない。
男子の声が明るければ明るいほどリオは孤独の寂しさに苛まれていた。そんなにプールが楽しいか。
「もうやだ……。メアド聞いときゃよかった」
骨折り損のくたびれもうけというのかルイカはその後、姿を見せなかった。ルイカはこのあたりでも見かけない種族だ。
短刀のごとく尖った耳、けっして優しいと言えない目つき。一目見えれば忘れられないカルカラの少年だ。平凡なウサギは校内を駆ける。
図書館、校庭、保健室、はたまた生徒会室か。そして、最後に辿り着いた静かなる和室にて、リオは諦めかけて折れそうになった心が
息吹き返すことに気付いた。いや、いろんな意味で。
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