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獣人総合スレ 避難所

700引っくるめて好きだし ◆TC02kfS2Q2:2012/05/19(土) 23:38:26 ID:ktblaAvo0

 片手を上げて顔を歪めるルルに翔子の方が驚いた。しばらく動きを止めて、平常心に戻ると再びルルは手を洗いはじめた。

 「それ、引っ掻き傷ですよね」
 「うん、分かるんだ」

 冷静な分析に対しても冷静に返すルルは、落ち着いた口調で一生の想い人のことを語った。

 「今日、朝ね。先生とケンカしちゃって。100対0で先生がいけないんだけど、お願い聞いてくれたから許しちゃった」
 「先生?」
 「あ。ウチの相方、先生してるからね。クセになっちゃった」

 タオルで手を拭きながら頬を染めたルルは翔子の目からはどの花よりも高値に見えた。
 ガラスケースに写り込む翔子の姿を見ていると、自分の良く言ってさばさば、悪く言ってがさつな性格が意志を持たない
透明な板にさえも見透かされてしまっているのではないのかと、何となく感じてしまった。

 「で、どんなお願いしたんですか」

 と、翔子の問いかけを無視するように、翔子の携帯が鳴った。
 恐縮して一言頭を下げて翔子は電話に出ると、くるりと踵を返した。背中のギターがルルの目の前に現れていた。

 「え?丈?何ーっ!貸しスタジオの予約忘れただと?てめぇ……、丈、ど……どんまい」

 声のトーンを落とし、会話を手短に終わらせて制服のポケットに押し込めるように携帯を仕舞った。背中のギターがやけに重く感じる。
もしかして、ガラスケースどころかルルにまで自分の隠していた女の子の牙を晒してしまったのではないのか。
 ゆっくりと翔子が振り返ると、ルルはエプロンを摘んで翔子だけへのエールを送っているように見えた。

 「お友達?」
 「みたいなもんです」
 「じゃあ、彼……」
 「違いますっ」

 ルルは翔子の慌てっぷりがおかしくて、おかしくて、くすりと声を出した。
 店内で騒ぎ立てたことを翔子は詫びてギターを担ぐ肩紐をぎゅうっと握り締めた。自分を諌めるため太ももをに抓るように。

 「わたし、見ての通りバンドやってるんです。今の電話、ベースの丈からなんですが。アイツ、図体がでかいオオカミのくせして
  大人しいし。なのに、わたしアイツに期待しちゃうんです。オオカミならもっと、さ、がおーって!しろって」
 「ふふっ。で、あなたがお世話焼いちゃうとか」
 「そんなんじゃないです!」


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