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獣人総合スレ 避難所

686言い訳さん ◆TC02kfS2Q2:2012/03/25(日) 19:17:58 ID:NPwG9r.Y0

 「来たね。淺川くん」
 「来ました。では……」

 ぶらぶらと灰色のヘルメットを片手にぶら下げて、まだまだ明るい夕方に光を受ける淺川。引き取りに来るのを待っている
何台かのバイクや自転車がガレージで休む。バイクだけ引き取って家に帰ろうとすると、ミナは引き止めようとしてポンと肩を叩く。

 驚いたのは淺川の方だった。

 「ねえ。あの子」
 「ハルコのことですか。もう……いいんですよ」
 「あの子、かわいいね」
 「そうですか」
 「ホントに昨日の晩のあの子と淺川くん、何にも無い関係だったんだから……あの子を優しくしてあげてね」

 何にも無い関係?何故にその言葉を。
 ガレージからバイクを押して出して、跨りながら淺川はミナの方へと振り返ると、ミナは淺川のバイクのタイヤを蹴っていた。
 灰色のヘルメットを被り、皮製のグローブをはめようとしたときと合わせるようにミナは言葉を続けた。

 「だって、淺川くん。爪切ってないじゃないの。ね」

 指先を見る。昨晩ハルコに指摘されたように、爪が伸びっぱなしだった。確かに、伸びっぱなしの爪では……。ないな。
 夜爪をしなくて……、救われた。のかと、淺川はグローブをはめて指先を隠し、エンジンをかけた。
 久し振りに聞く相棒の快音は腹から痺れるように効く。スロットルを回すごとに、重低音が響き渡る瞬間が淺川は好きだ。
 
 「ごめんなさい!遅くなりました!」

 二人に割って飛び込んできたの少年が息を切らしてミナの元へとやって来た。
 午前中、パンク修理を依頼していたヒカルだった。申し訳なさそうな顔をして、何度も何度も頭を下げるヒカルをミナはなだめていた。
ミナは「そのくらい、いいよ。保管料はサービスだから」と春一番のように笑顔を見せた。

 「あのー。えっと……父が買ってきた古本を読んでたら、つい……止まらなく……」
 「こらっ」

 ミナは子供のように、にこにことヒカルの足をブーツで意地悪く踏んだ。ヒカルは驚いていたが、淺川には懐かしいものを
見たようでにんまりと頬が緩んでしまい、二人のためにエンジンの音を緩めた。ヒカルの靴は真新しかったのだ。

 「まあまあ。少年よ、これで堪忍な。おれも男子だからさ……何となく分かるって」

 ただ同然で手に入れたチョコのお菓子の小箱を淺川はヒカルに投げ渡した。


    おしまい。


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