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獣人総合スレ 避難所

685言い訳さん ◆TC02kfS2Q2:2012/03/25(日) 19:17:25 ID:NPwG9r.Y0

 (どうして、みんな言い訳するんだろう。このおれにも分からない)

 さっきまでの自分を見るようで、淺川はお茶を楽しむ余裕なく、そして刻々と時間が過ぎてゆくことに奥歯を噛み締めていた。
それを察したのかどうかは分からないが、ミナが淺川の前に立ち申し訳なさそうな顔をする。 

 「ごめんね。午後までに済ませなきゃいけない仕事があるから、お先に失礼するね」
 「あいー。杉本さんもプロフェッショナルですからね」
 「何言ってるの?写真家・淺川くんもだよ。コーヒー、ごちそうさまーっす」

 ハルコを真似てミナは全く同じ敬礼をしていた。

 勇者、ここに散る。
 剣も折れ、援軍も来ず。そして、その名を継ぐ語り部もおらず。

 一人席に取り残された淺川は、残された自分のコーヒーに口をつけた。舌を焼くような……でもない温度。

 「コーヒーよ。お前も杉本さんのように冷えきってしまったのかよ……」

 ただ、どうしようもないときこそ光差す。
 淺川のテーブルにはハルコが出掛けに食べていたチョコの空箱がわざとらしく置かれていた。

     #

 淺川を置いていった喫茶店からの帰り道、バイクが風きる音がいくらか澄んで聞こえた。
 いつも通り慣れた道なのに、ミナは不思議に感じずにいられなかった。
 今頃、地球のどこかで言い訳説明会が開かれているんだ、きっと。古本を大量に買い込んだ言い訳説明会とか……。

 どっちに転ぶか分かりきっているのにね、と記憶を掻き消すようにバイクのエンジンを吹かした。

 「そうだ。淺川くんに誘われたツーリング。計画早く立てなきゃね……」

 赤信号でバイクを止める。風を失った車体は当たり前だがミナの足で支えられた。ふと、ミナにはまくし立てていたときの淺川の姿と、
自分が跨がっているバイクが重なって見えた。

     #

 いくら約束とはいえ、自分のバイクを引き取りに行くのがちょっと怖かった。
 淺川が夕方にミナの店にやってきたときには、一人っきりの自由さと寂しさが一気にはちきれそうだった。
 ここまでの足取りがどんなに遠かったことか。下りエスカレーターを逆に登りで歩くような感覚に近い。


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