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獣人総合スレ 避難所

682言い訳さん ◆TC02kfS2Q2:2012/03/25(日) 19:15:31 ID:NPwG9r.Y0

 「呑んだ後の甘いものは、デートの後のキスみたいなものだね」
 「さっさと食えよ」
 「いただきまっす」

 ビニルを破り、箱の小さな明け口を開けるところころとチョコの粒が転がる。手の平にニ、三個、茶色い球体が楕円を描く。
ひょいよ口に含み奥歯で甘みと苦味を噛み締めているハルコは今までと打って変わって大人しい。淺川にもお菓子を勧める。

 「おれはいいよ」
 「おいしいですけど」
 
 ハルコがダウンを羽織ったまま、ソファーに腰掛けてハンドバッグをクッションに投げると淺川は肩を落とした。

 「わたし、お昼からバイトがあるんだよね」
 「じゃあ、帰れよ」
 「腹が減ってはなんとやら」

 ぼりぼりとチョコを食べ続けるハルコはすらりと脚を真っ直ぐに伸ばした。足の指先が気持ちよさそうに反り返る。
 冷蔵庫から麦茶の容器を取り出した淺川は一人でコップに注いでいた。

 「食わざるもの、働くべからず」
 「なんだよ、それ。間違ってねーか?」

 ハルコは箱を持つ手を止めて目を見開いた。箱の明け口が鳥のくちばしのようにデザインされて、飛び出たその部分には
きらりと光るもの。ハルコの視線を奪ったのはソイツだ。

 「あたりです」
 「だからさ……。『働かざるもの、食うべからず』じゃね?普通」
 「だから、あたりです。トランジット。お出かけしましょう」
 「え?なんで?」
 「ですから『あたり』です。なんか……当たっちゃったみたいなの。これをもっていけば、もう一つお菓子がもらえるんだよねー」

 自慢するようにハルコは『あたり』の文字を淺川にかざすと、ソファーからすっと立ち上がりハンドバックを再び手にした。
 だから、わがまま姫は!
 麦茶を吹いてシャツを濡らしてしまう大失態。

 「わたし、先に出てるからねー。マンションの玄関で待ってる」

 姫のお出かけだ。従者は後を守るようについて行け。ほら、玄関のスチール製の扉が閉まる音がしたぞ。
 だが……。折角のシャツ、びしょびしょにしてしまい、淺川、しょんぼり。 

 明るく長い髪がガラス扉に映り、ぼんやりと浮かび上がる姿をハルコは結構気に入っていた。
 まもなくおさらばする早春の装い。手元のハンドバッグもぴかぴかに、足元のブーツもかっちりと。すらりと伸びた
黒ストッキングの脚は街の誰しも釘付けに出来る自信はあるんだよ、とハルコは頬を赤らめて明るい髪を気にしていた。
 ふと、一台のバイクが玄関先に止まる。ちょっと昔っぽいデザイン。跨がっているのは、ハルコより少し年上の女性。
ヘルメットを脱いでタンクの上に置くと、彼女は真っ先に髪の乱れを気にしていた。


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