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獣人総合スレ 避難所
665
:
ババアとローラーブレード
◆TC02kfS2Q2
:2011/10/07(金) 23:32:52 ID:SqTnCTAA0
#
午後の公園では、コレッタがローラーブレードを履いて芝生の上を歩いていた。
ヒカルが言うには歩くことから慣れるのがよいらしい。なるべく両手を振らず、しっかりと前に進む。
「ほら、尻尾でバランスをとりながら」
「うん。わかったニャ」
転ばずにローラーブレードを履いて前に進んでいる感覚がコレッタには力になる。先導をするようにヒカルはゆっくりと
歩いてゆくと、コレッタがヒカルの尻尾を追いかける。学校での廊下を思い出しながら。
きょうも公園に来ていた白先生はブランコを揺らしながらコレッタとヒカルに見つからないように見守っていた。白先生の元には
未だ商品が届かない。一人暮らしだから、不在時到着のビラが待ち遠しい。しかし、一人でオトナが公園のブランコに乗っている
なんてまるで昭和時代の映画のワンシーンを思い出すではないか。空は晴れているけれど、悲壮感さえ漂う。
何日か芝生の上での練習を繰り返すうちに、コレッタはこつを掴んできた。そのうち硬い遊歩道の上でも滑れるようになってきた。
「ヒカルくん!ちょっと滑れるようになったニャ!」
しかし、コレッタの声が明るければ明るいほど、ヒカルは一抹の不安をぬぐい捨てることができなかった。
(クロやミケの方がコレッタよりレベルを上げているんじゃなかろうか)
嫌な予感ほど良く当たる。よちよちと滑るというより転がすと言った方が近いコレッタのスケーティングを横目に
クロとミケが風のように滑走していったのだ。コレッタと色違いの物を足に固めたクロの姿がコレッタの瞳を潤ませる。
コレッタとヒカルが帰ったので、白先生も帰宅すると自宅マンションの扉に『不在時到着のお知らせ』のビラが挟まっているのを
発見した。白先生は思わずにやけながら目に留まらぬぐらいの携帯のキータッチで、担当ドライバーへ在宅してますの一報を伝えた。
やった!遂に手に入れた!
明日はローラーブレードデビューの日。とりあえず、体を休めるようと白先生は床に就いた。
枕元には届いたばかりの通販の箱がそっと置かれていた。
#
両肘、両膝、手のひらにプロテクターを付けて、足元は新品のローラーブレード。多少値の張る大人用だ。
このくらいの贅沢は……。いかにも『かたちから入る素人』を絵に描いたような白先生の姿は、どう見てもへっぴり腰だった。
せっかくのローラーブレードデビュー。仕事が終わるのを待ちわびて、これから遊歩道の風になるんだと、白先生は息巻いていた。が。
「どうした?コレッタ?何できょうは滑らないんだ」
コレッタはローラーブレードを履いていなかった。
「これじゃ、わたしがおばかさんみたいじゃないか!」
白先生は立ち木にしがみつき爪を立てて、ずるずるとローラーで滑り行く体を必死に立て直そうとしていた。
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