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獣人総合スレ 避難所

662ババアとローラーブレード ◆TC02kfS2Q2:2011/10/07(金) 23:30:54 ID:SqTnCTAA0

 体育の時間が苦手なコレッタが、ローラーブレードを履いて颯爽と滑っていった。
 かけっこをすればいつもビリなのに、誰にも負けない速さで風を切る。
 逆上がりも出来ないのに、くるりとUターンを決めてみせる。
 
 「気持ちいいニャ」

 池を囲む遊歩道、人々が集う公園、白い子ネコは足元のローラーを滑走させて秋の妖精となる。
 長い金色の髪をなびかせて、白い毛並みを風に晒して、コレッタは懸命に前へ前へと足を交互に動かした。
 がらがらと路面を転がる小さな車輪の音はぎこちなく聞こえるかもしれないが、いま一番早く走っているんだと、
コレッタを自信付けるには申し分ない応援歌であることは間違いない。両手をぶんぶぶんぶと振りながらコレッタは進む。

 「上手い上手い」
 「ヒカルくん!ちょっとはうまくなったかニャ?」
 「うん。すごく上手いよ」

 脚をハの字に開いてゆっくりと止まる。遊歩道の傍らのベンチには、犬上ヒカルが座っていた。
 コレッタはヒカルに近づくと、早く誰かに話したくてしようがなかったのか右手で拳を上げて目を輝かせた。

 「これでクロたちと競争に勝てるかニャ?」
 「うん」
 「わーい!ニャ」

 コレッタはぎこちなく尻尾でバランスを取りながら、ローラーブレードの足元で立っている。その姿を目の前にしたヒカルの顔には、
ほんの少しばかりの笑みが。コレッタが履いている淡いピンク色のローラーブレードは小さな傷がちらほらと目立っていた。

 二人をそっと木の陰から見つめるのは、そう。二人ともよく知る人物だった。崖っぷち感漂う三十路の女の白ネコは、
コレッタと同じようにローラーブレードで足元を固めていた。見てくれだけは立派なものだった。

 「コレッタに追い越されてしまった」

   #

 秋晴れの気持ちよい日の放課後、コレッタは保健室にいた。
 クラスメイトのミケに「牛乳を飲むと、速く滑れるようになるにゃ」と、そそのかされて、苦手な牛乳を飲んでいたのだった。
 事の顛末を聞いた白先生は目を白黒させながら呆れて薬を飲ませるとコレッタを休ませた。
 何が速くなるのか?とコレッタに尋ねると、恥ずかしそうに答えた。

 「ローラーブレードニャよ」

 どうやらクラスメイトのクロとミケに自慢されたのに本気になって、ローラーブレードでのかけっこ勝負を挑まれたらしい。
 どうやらコレッタが滑れないことをクロとミケが知って、その勝負を挑んできたらしい。

 「どうしたらうまくなるニャねえ」
 「沢山練習するしかないんじゃないのか」


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