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獣人総合スレ 避難所

654名無しさん@避難中:2011/07/24(日) 00:02:14 ID:tfzZ57ik0
――― Milagre Dos Peixes 〜夏編〜 ―――
1
 「ノボル!起きなさーい!」
朝、布団の中で眠気と戯れるのは至上の喜びと言っても良いと思う。
そんな心地よい朝のひとときを打ち破る声が響いてきた。
声の主は、母の池田 紅紗(いけだ べにさ)である。
布団の中から時計を見上げる。針は……5時過ぎを指したまま止まっていた。
また錆でも出て電池の接触不良でも起こしたのだろうか。
これでは時刻を確認できない。遅刻の危険を冒してまで二度寝する度胸は無かった。

 母は気が急ぐ性格だ。特に朝は、通常の三倍せっかちである。
食卓に向かってみたら、まだ6時半だった。朝練には遅すぎるし、朝礼までには早すぎる。
だいいち今日は朝練が無い。なんと中途半端な時間に起こしてくれたのかと思う。
その事を見透かしたのか、母は「少しくらい早く登校したってバチは当たらないわよ!」と言った。
普段より一時間も早く登校して、いったい何をしていろというのか。……図書館にでも行くか。
しかし本が湿気て困られるかもしれない。走り込みでもしているのが吉だろう。
 せかせかと忙しそうに動きまわる様子を眺めていると、普段の朱色が鮮やかな赤に変わり
頭に板状のツノを生やして宇宙空間を飛び回る母の姿が思い浮かんだ。
「さっさと食べて支度して、とっとと学校に行く!」という声に、そんな幻想はすぐに消し飛んだが。


 その日、最初の授業は体育だった。そして夏で体育の授業といったら、水泳である。
当然、塩素酔いの対策は欠かせない。更衣室で体表保護剤を塗り込み、薄手のウェットスーツを着た。
要するに体の周りの塩素さえ中和されていれば、塩素酔いは避けられる。そのための準備なのだ。
それを思うと、充分な用具も無かった時代に大記録を打ち立てたトビウオ人の古橋選手は偉大である。
 さて、入念な準備には時間が掛かる。既に授業開始の時間を過ぎていた。
同じく準備を整えた鮫島と共にプールサイドへ立ったのは、クラスの中でも一番最後だった。
竹刀を持った牛沢先生が「遅い!」と声を張り上げた。


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