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獣人総合スレ 避難所

58レッツゴー三匹:2009/04/26(日) 13:26:15 ID:Y2CQlQvg0

病室は3階の一番奥。少し遠いその距離を、まるで姉弟のように見える教師と生徒は並んで歩く。
先に来ていたこともあるだろうが、サン先生は2人の状況を驚くほど把握していた。

「え…サン先生現場にいたの?」
「いないよ。ぼくも人から聞いた話」
「なんでそんなに詳しく知ってるわけ?」
「ふふ…それは企業秘密さ」

サン先生は悪戯っぽくニシシと笑った。
モエのギャル仲間によるネットワークは広いが、彼はそれ以上に広い。相変わらず謎の多い先生だ。

3階の、最後の廊下を歩いているとき、サン先生がポツリと声を出した。

「あいつらさ、どうしてこの隣町にいたんだろうね…2人で」

モエはぴたりと足を止めた。サン先生も止まる。

2人。現場にいたのは2人だ。
あいつらは仲良し3人組だったはず。休日にこの隣町で、2人で、何をしていた?

「わかる? っていうか同年代だと2人のそういう話聞く?」
「…聞かない。たぶん、一緒にいたのは偶然だと思う」

誰と誰がどうだ、という話は、若い女子高生にとって話題の中心だ。
ことモエにいたっては、同学年のそういう情報なら全て把握している、と言っても過言ではない。
そしてあの2人については…親友レベル。どこまでも親友レベルの話しか出てこない。
そういう事実はたぶんないのだ。そう、今はまだ。

「吊り橋効果って知ってる?」
「えっと…何だっけ?」
「危険な状況を共にした2人は恋愛に発展しやすい。危険によるドキドキが恋愛感情によるドキドキだと勘違いするんだ。
 ハリウッド映画で主人公とヒロインが絶対にくっつくあれだね」

サン先生の眼鏡がきらりと光る。

「で、あの2人も今かなりそれに近い状況だと思うんだよね」
「うん、あるある」

なんだか楽しくなってきた。この先生が大人気な理由はここなのだ。

「…若く健全な関係が生まれるのは素晴らしいことだ。他人が邪魔しちゃいけない」
「…え?」
「好きな人と一緒にいられる時間が、ずっと続くとは限らないんだから。僕は…」
「あのサン…先生…?」

「よしっ!行こうか。2人を邪魔しちゃいけないけど、ぼくは教師として見守らなきゃね」

一瞬、いつものサン先生とは違う、別人のような顔が見えた気がしたのだが…
いつもの調子でズンズンと歩き出したサン先生の後を、モエは慌てて追った。


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