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獣人総合スレ 避難所

565名無しさん@避難中:2010/09/10(金) 05:29:58 ID:KoVNe6eQ0
 その日の放課後、学校の下を流れる佳望川の築堤の上に泊瀬谷先生の姿があった。
河川敷では漕艇部員たちと思しき生徒たちが20人ほど、準備運動をしている。
彼らを眺めていた麦わら帽子姿の要石先生が、歩いてくる泊瀬谷先生に気付いて声を掛けた。

「おや泊瀬谷先生、見学ですか」
「ええ、少しだけ」
「まあ大した事もやっていませんが、そちらの木陰へどうぞ」

蝉の音が響く中で要石先生が示したのは、川岸に生えた柳の群落の下である。
そこには“佳望学園漕艇部”と書かれた大きなクーラーボックスが幾つか置かれていた。
照りつける日差しを受け止めて優しい影を落とす木陰に、思わずほっと一息。

「そのボックスに入ってる水、勝手に飲んじゃって構いませんので」
「すいません、いただきます」

クーラーボックスの中から水の入った広口のペットボトルを取り出す泊瀬谷先生。
ひんやりと肉球に気持ち良い感触。少し口をつけてみる。普通の、けれどもおいしい水だった。
ふと思う。魚人や両生人の運動部員だと、こんなに水が必要になるんだ……


 準備運動を終えた部員たちが築堤を越えて細長いボートやオールなどを運び始めると、
要石先生は部長らしい蛙人の生徒と話をしながら柳の下へやってくる。
泊瀬谷先生の方をちらりと見た後、要石先生はクーラーボックスから水を一本取り出した。
そして、「残りは持って行っちゃって良いよ」と蛙くんに声を掛け、麦わら帽を脱いで腰を下ろす。
蛙くんは泊瀬谷先生に会釈してボックスを持って行き、中身を部員に配り始めた。
自転車で上流へ向かう部員、水分を補給する部員、その間を蛙部長が歩き回っている。
どうやら、しばらくの間は部長の彼に任せても大丈夫らしい。

「特等席、ですね」
「眺めが良いでしょう?夏場は暑いので、この木陰には助けられています」

そう言うと、要石先生はペットボトルの水を一気に飲み干した。
川面を撫でる風が木陰を吹き抜ける。泊瀬谷先生は思わずつぶやいていた。

「風が気持ち良い…」

要石先生は少し微笑み、部員たちの動きを眺めている。しばしの沈黙が流れた。


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