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獣人総合スレ 避難所
495
:
そよ風の憧れ
◆TC02kfS2Q2
:2010/06/24(木) 23:25:21 ID:CXf7ZP6k0
「助けてっス!!!ボクの人生最大の危機を助けて欲しいッス!!」
いつもは静かなそよ風吹き抜ける午後の佳望学園の図書室で、けたたましい悲鳴がいきなり広がった。
声の主は保健委員。ケモノの尻尾をふりふりと、ケモノの脚をぶらぶらと、そしてパニくるこえはぎゃあぎゃあと。
他でもない。ちょっと高めの本棚の一番上の本を取ろうとしていただけのことだ。しかし、無理してジャンプしたのがいけなかったのか、
片手を棚に引っ掛けて地上50cmの宙ぶらりん。いつも被っている海賊の帽子もこのときばかりは勇ましさも感じられなかった。
保険委員の声を察知してか、白くて大きな尻尾を揺らしながらやってきたのはイヌの少年・犬上ヒカル。
ついインクの香りに誘われて小説もいいけどエッセイも、と思いながら背表紙の文字だけで今日借りる本を選りすぐっていたところ、
この部屋に似つかわぬ声を耳にした。声の元は、『保健』に関する本棚の方。借りようかと思っている本を手に現場へ向かう。
今、危機に陥っている保健委員を助けなければと、ヒカルは暴れる一方である保健委員の脇を抱えて、そっと母なる大地に下ろしてやった。
「ふう……。助かったっス!ありがとう!ヒカルくん!」
「……図書室では、静かにね」
「分かったッス。で、あのー……ヒカルくんにお願いが」
遥か高く見える本棚の頂上、お目当ての本が取りたくて恐る恐る視線で指差す保健委員。
コスプレの眼帯もこのときばかりはちょっと格好が付かない。ヒカルは保険委員の目を一瞥すると何も言わずに、本棚上段に手をかけた。
「そう、その本っス」
小柄な保健委員が取りたくても取れなかった本を軽々と手にするヒカル。いや、保健委員が小さすぎる為だろう。
ヒカルはじっと注射器や聴診器の絵が描かれた本の表紙を見つめて、大きな尻尾を揺らした。
「そう!ボクの夢は立派な保健委員になることっスよ」
「……」
司書さんが待つカウンターへと、本と志を胸に抱きながら保健委員はヒカルと並んで静かにじゅうたんを踏み鳴らす。
図書室の窓が額縁のように校庭に立つ大きなイチョウを描き、梅雨の合間の光を受けていた。そして、そのおこぼれを頂く一人の子ネコ。
「クロも風に乗ってみたいニャ」
イチョウの枝に腰掛けて、衣替えしたばかりの制服の裾なびかせて、クロネコの佐村井玄子が水無月の風を感じていた。
―――図書館でお気に入りの一冊を借りると、ヒカルと保健委員は好きな本のことを話しながら下駄箱へ向かった。
犬上ヒカルという子は普段は物静かなのだが、本のこととなると話が止まらなくなるらしい。
初めて読んだ絵本、先生に薦められた童話、父から贈られた詩集。高校生になるまでに積み上げてきた小さな読書歴が、春を待ち望んだ花のように咲き誇る。
負けないッスよと保健委員も頷き返しながらアンリ・デュナンやナイチンゲールの偉人伝を思い出す。
幼いころ読み漁った本はいつか思い出と、記憶の糧になるとは誰が言ったのか。
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