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獣人総合スレ 避難所

437太陽とケモノ ◆TC02kfS2Q2:2010/05/10(月) 22:12:17 ID:hvdRUvLI0
―――
「先生。怒られに帰ってくるから」
「……」
不思議と泊瀬谷先生の顔は落ち着いていた。

先に泊瀬谷先生が乗る電車が近づき、ホームの踏切が鳴り響く。恐る恐るホームに寄せる電車は、ピタリと扉を泊瀬谷先生の横に合わせた。
ごろごろと扉が開く。ここに来たときのように車両の乗客は皆無。隣の車両には二、三人ほどの静かな時間。
「じゃあ、また学校でね」
ホームの隙間を気にしてぴょんと電車に飛び乗ると同時に、ぼくが乗る佳望ゆきの電車もやって来た。
明日会うんだろ。明日どころか、毎日会うんじゃないか、と当たり前の事実がまかり通らない想い。
発車する電車をお互いに見守りながら、ぼくらはそれぞれの街に帰っていった。
それにしても、おなかがすいた。

電車に揺られ揺られてつり革を眺める。リズムよく揺れるつり革に飽きて、朝読んだっきりの文庫本を開く。
「あ」
開けることのなかった烏丸の手紙が挟まっていた。表には「いざというときに開けなはれ」の一文。その内容を、今初めて知ることになる。
封筒には和紙に筆ペンで書かれた手紙が添えられている。揺れる電車で文字がぶれて見える。
「もしかして、もしかして必要なときには、これを見せなはれ。狼藉を働く不逞な者が近辺に居るらしゅうてな」
大人のような毛筆は、京都訛りの烏丸の言葉が聞こえてきそうであった。
手紙にもう一つ同封されていたのは、小さな紙片。それには印刷された文字が載っていた。一言で言えば名刺だ。
『佳望学園・新聞部部長 烏丸京子』

のほほんとしている割には、抜け目のない烏丸の考えそうなこと。
そりゃ、乱暴を働いて、記事にされちゃ困るだろう。巡り巡って騒ぎになって、狗尾高野球部の迷惑になったらそれこそだ。
それで烏丸はぼくに名刺を持たせたのだった。いや、もしかしてぼくらが狗尾高にいる頃、何処かの木の陰から覗いていたのかもしれない。
そんなに烏丸のことは知らないが、烏丸のやりそうなことだ、と想像できる自分がちょっと照れくさい。

「ウチはこう見えても、佳望学園以外でも顔が通るんでな。狗尾高はんにはお世話になっとります」
「わたくし、新聞部の美作更紗ですっ!野球部のピッチャーさんで、真っ白で尻尾の大きな先輩がいらっしゃるそうで。
もっふもふの尻尾を生かしてどんなコスが見合うかなあ!もっふもふ!!もっふ!」
「美作はん、黙っとき!」
新聞部の二人の会話を思い浮かべながら、街までの電車に揺れられる。午後の太陽を背に浴びながら、ぼくは小さく「わおーん」と呟く。


おしまい。


以上です。よろしくお願いいたします。
早く規制が解けますように。


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