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獣人総合スレ 避難所
436
:
太陽とケモノ
◆TC02kfS2Q2
:2010/05/10(月) 22:11:19 ID:hvdRUvLI0
遠くに見える校舎の時計は正午を告げる。いきなりのことだった。
針が合わさると同時に、白球を追っていた生徒たちがいきなり試合をやめて、グランドに整列する。
そして、帽子を脱いで美しい一列を保つ。
「……」
「ごらん。ヒカルくん」
ぼくに似た彼も例外なく列を成し、一同が野球部の帽子を脱いだ刹那のこと、海岸の方からサイレンが響き始める。
「うおぉおーーん!!うおぉーーん!」
「うおぉおーーん!!うおぉーーん!」
「うおぉおーーん!!うおぉーーん!」
サイレンに負けじと、野球部員たちは天高らかに声を上げて、野生の血を沸かせる。
まるで使えし君主から剣を授かったように、彼らは勇気と誇りを尻尾に太陽に向かって吠え続ける。
剣を振り上げる代わりに、遠吠えを。
災いもたらすものを斬り裂く代わりに、己の牙を。
そして、大切なものを守るために、優しい毛並みの尻尾を……。
「まだ残ってたんだぁ、コレ。よかった」
「……そうなんですか」
確か、烏丸は「犬上はんなら分かることがある」と、言っていた。なるほど、彼らの遠吠えを聞いているうちに、
ケモノの血を取り戻す気になってくる。同じように、大地を駆け巡りたくなってくる。イヌだけに分かる不思議な感覚だ。
サイレンが鳴り止む頃には、彼らも遠吠えを止めて帽子を再び被ると、練習試合のポジションへと戻っていった。
無論、ぼくに生き写しである彼も、大きな尻尾を揺らしながらマウンドへと登る。
「狗尾高って言えば、この光景が有名なのよね」
グランドに面する金網にしがみ付きながら、狗尾高のエースを見守る大きな影がある。
見覚えのある、厳つい二人組み。耳に残る荒い言葉遣い。不安がよぎる。
「本物が投げているところ見るけど、やっぱカッケーよな」
「おれもだよ。噂に聞いていたけど、マジで真っ白なわけ?」
「ああ、白いわけ。この間のことは、勘弁してやろうってわけ」
佳望の街で遭って、そして泊瀬谷先生に助けられた(と、なっている)ときの荒くれ二人組み。
彼らはどうやら、狗尾高の生徒らしい。この間は、マウンドに登る彼と見紛って退散したのだが、
やはり彼らも狗尾高で学ぶ若人とあって、ぼくに似た彼を大事にしたいらしい。と、思うことにする。
誰だって、自分の学び舎が恋しいし、愛しい。
「先生の家族が待ってますよ」
ソイツらの影を見るや否や、ぼくはそそくさと泊瀬谷先生の手を引っ張ってその場を後にした。
今思えば、なのだが……。ぼくは、どうして先生の手を引っ張っていったんだろう。
ぼくのような青二才が、大人である先生の手を引っ張って先導をきって歩くなんて、若輩者の思い上がりだ。
泊瀬谷先生の顔を見るのは、今はちょっとできない。ただ、泊瀬谷先生は、ぼくをにっこりと見つめているのだろう。
取り戻したばかりの、ぼくの中のケモノはネコの優しさで消えてしまった。
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