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獣人総合スレ 避難所

403わんこ ◆TC02kfS2Q2:2010/04/23(金) 22:03:22 ID:qOcA2BFE0
足音を立てないように、そっと三人は部室に入る。
窓が言うには薄暮の時間だと言う。街が遠く見える丘の上。きょうも一日を癒す夜が来る。
「そおっと、そおっと」
開いているダンボールを一枚の板にして、窓ガラスを塞ぐ。カーテンをかけて薄暗くなってきた光の進入を拒む。
「泊瀬谷先生。確か、暗いところで目が慣れるには、少なくとも15分はかかるんだって……」
「そうなの?」
「そうだね。観測会のときも薄暗いところで、しばらく待っているもんね」
茜は冬の観測会で一緒に凍てつく風を堪えながら、シリウスにうっとりしていたことを思い出した。
暗闇で一緒に目を慣らしながら、タスクと甘い(神話の)お話をしていたことを思い出した。

「持ってきたよ。タイマー」
小声でヒカルが科学準備室から戻ってきた。手には、コードが延びた小さな機械。箱一杯のダイヤルが目立つ。
タイマーをプラネタリウムに繋ぎ、電源をプラグに差し込むと、一同はにっと笑う。
本体のスイッチを入れて準備はOK。LEDが赤く灯り、ダイヤルが差す時間は15分後。それでも、そら先生はすやすやと眠る。
15分間、そら先生はすやすやと眠る……。

あと10分。
まだまだ目が慣れない。しばらく暗闇の中お互いの顔を見合って、目を慣らしながらそら先生の寝顔を覗き込む。まだまだ時間はある。
あと5分。
ヒカルと泊瀬谷の姿が白くぼうっとタスクと茜の目に映り始める。薄暗い中のケモノは、不思議と綺麗に映っていた。
あと3分。
ヒカルの尻尾が隣で据わる泊瀬谷の太腿に触れる。恥ずかしくも、ちょっと幸せそうに泊瀬谷はヒカルを注意する。
あと2分。
まだまだ暗いからと、泊瀬谷はヒカルの指を手探りで摘もうとする。摘めないまま諦める。
あと1分。
そら先生が寝返り打つも、椅子から転がり落ちないという神業を見せる。
あと30秒。
瞬き早くなったタスクは、茜のシャンプーの香りに惑わされる。
あと15秒。
茜が角のリボンを直す。
あと10秒。
いきなり『ロミオとシンデレラ』の着メロが響き渡る。

「いけない!マナーモードに!」
慌てたタスクは携帯を取り出すが、幸い暗闇に目が慣れている状態。
しかし、GOOD NEWS あふたー BAD NEWS。
「う、うーん……。ロミオはペルセウス、シンデレラはアンドロメダだよねー」

ぱぁあっ!!

天井は宙。
星屑がお喋りをはじめ、つられてケモノも目を覚ます。
ほんのひとくち口にすれば、砂糖と光りの味が舌一杯に広がるのだろう。
一粒一粒が狭い部室に広がって、手に取れそうな遥かなる恒星たちが地上のケモノの瞳に焼き付ける。
「うわぁ……」
見てごらん。あれが春の大曲線。天を廻る大きなクマの尻尾から、優しく伸びる曲線の先には一粒の赤い星。
きっと南国の果樹のような刺激的な甘さがするのだろう。うしかい座のアルクトュルスはて夜空をほしいままにしようとするクマの番人だ。
その漢をなだめようと側で微笑むのは、白く輝くおとめ座の星。スピカはきっと母性一杯のミルクの味がするのだろうか。
桜の季節の大きな弓は、言葉失うぼくらを惑わす。


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