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獣人総合スレ 避難所

3372月22日のごめんなさい ◆TC02kfS2Q2:2010/02/21(日) 22:07:20 ID:WPHKKZGo0
―――風呂上りの姉妹は、せっけんの香りがした。
部屋着に着替えたクロと御琴は、帰って来たときより強くなった雨音を聞きながら、姉妹の部屋で、かりんとうをお茶請けに緑茶を飲んでいた。
くんくんと芳しいお茶の香りは、のんびりと過ごす空間にとても似合う。姉妹が苦手な熱々な温度は避けた緑茶から、程よい湯気が上がる。
「かりんとうだよ。市場で安く売ってたよ」
「むー」
クロの机にはおしゃれに目覚めたお子たちのための本が並び、御琴の机の方はというと、可愛らしいぬいぐるみに混じって、
コレッタのパペットがちんまりと飾られていた。御琴の友人である、イヌの大場狗音がこっそり作ったものだった。
なぜか、御琴がそれを気に入って自分の机に飾っているのだという。

「せっかくの日なのに、止むといいね」
「……や、止まないほうがいいニャ!」
「あらあら。そんなこと言ってたら、コレッタちゃんが悲しむぞー」
かりんとうを摘んだ御琴は、クロの口元に近づけてみた。クロは鼻にかりんとうを近づけると、パクっと一口。
クロの幼い歯が姉の細い指先に触れるが、御琴はまんざらでも無いような表情を見せた。
(オトナを知らない子どもの牙って、実ったばかりの果樹みたいに甘酸っぱいのね)

妹に噛まれた人差し指を悟られないようにくちびるに近づけた御琴は、首を傾けたままの妹のご機嫌を伺う。
「2月22日の夜は、わたしたちネコにとってお祭りの日なのにね。もしかして、玄子ちゃんは、コレッタちゃんとなにかあったのかな?」
「あ、あ、あるわけないニャ!!!あんな子と!!」
「ふーん、そうなんだ。じゃあ、なーんにもなかったのね。ふふふ。コレッタちゃんとまた会えるんだ、嬉しいな」
ぽりぽりとかりんとうをかじる御琴は、大人びたワンピースからちらと見せた脚を自慢することなく、上品にお姉さん座りで雨の日を
日本晴れのピクニックのように楽しんだ。落ち着かないクロの方は、雨の降り具合を気にしながら、両脚を伸ばして手首を舐め続ける。

「コレッタちゃんと夜会に出られるから、今夜は楽しみね。そうだ。『連峰』で買ってきたシュークリームでも持っていこうかな」
「でも、今夜は雨やまないかもニャ」
「大丈夫。コレを作れば」
花の香りがする髪は、御琴の香り。その香りに包まれた机の脇に置いてあるリボンとティッシュを何枚か取り出す。
丁寧な手つきでティッシュを丸め、それをリボンでまるごと結ぶ。もう一枚のティッシュには二つ小さく穴が開けられ、
そこからリボンの先をピョコンと出す。ネコミミのような形に整えられると、『子ネコ』のような形のてるてる坊主が出来上がった。
「コレッタちゃん、そっくりだよ。ふんふんふん」
「むー」
クロは静かに音を立てながら、小さなかりんとうを口にしていた。

―――尻尾堂古書店の老猫は、雨打つ音を聞きながら酒瓶の蓋をひねり、微かに溢れるマタタビの香りに鼻を近づける。
恐らく先ほどまで満たされてたであろうグラスに老猫が、懲りずにマタタビ酒を満たそうとする姿に、コレッタは顔を曇らせながらも
その場からじっと動くことはなかった。口から酒の息が詰まった球体を吐き出した老猫は、子ネコに話を続ける。
「わしが若いころは、ネコの夜会はしょっちゅう開かれておったんじゃ。じゃが、最近は仕事だの、なんだの開かれんようになってのう。
まあ、時代の流れっちゅうものか、分からんが。それでも、この頃は夜会も増え出したみたいじゃな」
話し終わる頃には、グラスいっぱいにマタタビの香り漂う液体が満たされて、老猫はくんくんと鼻を鳴らしていた。


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