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侑「歩夢が重すぎる」

1 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/17(木) 16:07:20 ID:dZlKH4oo
――部室

侑「はぁ〜〜」

かすみ「どうしたんですか?ため息ついて」

侑「あー、いや、ちょっとね」

かすみ「何か悩み事ですか?」

侑「うん。まあ、そんな感じ」

かすみ「かすみんで良ければ相談に乗りますよ?」

侑「ほんと?」

かすみ「かすみんに任せてください!」

侑「うーん、でもなあ」

かすみ「侑先輩?」

侑「んー、言っていいのかな……」

2 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/17(木) 16:11:54 ID:dZlKH4oo
かすみ「ああ、話せないなら別にいいですよ」

侑「そういうわけじゃないんだよ。ただ……」

かすみ「ただ?」

侑「……」

侑「誰にも言わないって約束してくれる?」

かすみ「誰にも、ですか。言いふらしたりはしないですよ」

侑「それなら相談に乗ってもらおうかな」

かすみ「どーんと来てください!」

侑「実は歩夢のことで悩みがあってね」

かすみ「歩夢先輩?喧嘩でもしたんですか?」

かすみ「珍しいですね。仲良い2人が喧嘩なんて」

侑「いやいや、喧嘩じゃないよ」

3 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/17(木) 16:18:22 ID:dZlKH4oo
かすみ「違うんですか?」

侑「喧嘩なんてしないよ。口喧嘩ならともかく、手が出る喧嘩なんて一方的にやられるだけだもん」

侑「歩夢はちょっと煽っただけですぐ手が出るんだよ」

かすみ「あ、煽る?」

侑「この前も、歩夢に太ったねって笑いながらお腹をぷにぷにしたら大変だったんだから」

かすみ「女の子に体重の話はNGですし、それに加えてお腹をぷにぷにするって侑先輩が全面的に悪いんじゃ」

侑「んんっ。今はそんなことどうでもいいんだよ」

かすみ「それなら話さなきゃいいのに……」

侑「あはは」

かすみ「それで、悩みというのは?」

侑「ああ。最近歩夢が重くてさ」

かすみ「さっきと同じ話じゃないですか!」

4 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/17(木) 16:23:12 ID:dZlKH4oo
侑「いや、そっちの重いじゃなくて」

かすみ「他に重いってあります?」

侑「体重じゃなくて、性格の方」

かすみ「あー……」

侑「わかるでしょ?」

かすみ「歩夢先輩は……まあ、そうですね」

かすみ「少し、その、重い……のかもしれませんね」

かすみ「でも、それは歩夢先輩が侑先輩のことを大切に思ってるからじゃないんですか?」

侑「だといいんだけど、最近は本当に重くて……」

かすみ「そうですか?いつもと変わらないような」

かすみ「昨日も普通でしたよ?」

かすみ「侑先輩が他の人と話してるときに、その様子をただじっと無言で見つめてたり」

5 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/17(木) 16:28:00 ID:dZlKH4oo
かすみ「侑先輩が他の人と手が触れたりすると、聞こえるように舌打ちしたり」

かすみ「侑先輩が他の人と密着すると、鬼のような形相で近づいてきたり」

かすみ「侑先輩が他の人と――」

侑「もういいよ、かすみちゃん」

かすみ「あ、はい」

かすみ「まあ、昨日も普段通りでしたね」

侑「普通ってなんだろうね」

かすみ「かすみんに聞かれても困ります」

かすみ「……何が怖いって、何もしてこないんですよね」

かすみ「ただ見てるだけ。じっと見てるだけ」

かすみ「近づいてきても、ただ見てるだけだし」

侑「もういいってば」

かすみ「あ、はい」

6 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/17(木) 16:32:01 ID:dZlKH4oo
侑「何の話してたっけ?歩夢が怖いって話?」

かすみ「最近歩夢先輩が重いって話です」

侑「あー」

侑「そうそう。最近の歩夢は本当に重いんだよ」

かすみ「同好会では普通ですし、2人きりのときですか?」

侑「そうなんだよね。本当に困っててさ」

かすみ「聞きたいような、聞きたくないような」

侑「相談に乗ってくれるんでしょ?」

かすみ「気軽に相談に乗るって言って後悔してます」

侑「あはは」

かすみ「どう重いんですか?」

侑「んーとね」

7 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/17(木) 16:36:42 ID:dZlKH4oo
侑「最近なんだけどね、朝起きたら歩夢がいるんだよ」

かすみ「起こしに来てくれるってことですか?」

侑「いや、フローリングに布団敷いて寝てた」

かすみ「一緒には寝ないんですね」

侑「私はソファーベッドだからさ。2人だと狭くて寝れないんだよ。歩夢と一緒だと特にね」

かすみ「歩夢先輩に言ったらボコボコにされますよ」

侑「絶対言わないよ」

侑「それで、私の部屋で寝てるんだよ」

かすみ「侑先輩のお母さんに入れてもらったんじゃ?」

侑「窓が割られてた」

かすみ「え?」

侑「ガムテープを貼ってから窓ガラスが割られてた。全然音しないんだね、あれって。気づかなかったもん」

8 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/17(木) 16:42:19 ID:dZlKH4oo
かすみ「えっと、窓ガラスを?本当に?」

侑「ハンマーで割ったって言ってた」

かすみ「手慣れた強盗じゃないですか」

侑「1回だけならいいけど、もう10回以上やられてる」

かすみ「手慣れた強盗じゃないですか」

かすみ「というか、なんでそんなことするんですか?」

侑「合鍵持ってないからって」

かすみ「合鍵持ってないから窓ガラスを割って侵入って、やばくないですか。どこがとは言いませんが」

侑「合鍵渡したら割らなくなったけどね」

かすみ「それでも割り続けたらサイコパスですよ」

侑「あはは」

かすみ「侑先輩も大変ですね」

9 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/17(木) 16:46:02 ID:dZlKH4oo
かすみ「ちなみに修理代は誰が?」

侑「もちろん歩夢だよ」

かすみ「結構お金かかりますよね?」

侑「10回以上割ったらそうだろうね」

かすみ「素直に合鍵が欲しいって言えばいいのに」

侑「恥ずかしいって言ってた」

かすみ「窓ガラスを自分の意思で割るのは人間として恥ずかしいと思いますけどね」

侑「歩夢に伝えとくね」

かすみ「それはずるいですよ!!」

侑「あはは、冗談冗談♪」

かすみ「心臓止まりそうになるのでやめてください……」

侑「気をつけるよ」

10 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/17(木) 16:54:24 ID:dZlKH4oo
かすみ「でも、合鍵渡したならもう解決では?」

侑「合鍵渡してからが更に酷くなったんだよ」

かすみ「というと?」

侑「好きな時間に入ってくるようになった」

かすみ「寝てるときに入ってくるんですよね?」

侑「これまではね。合鍵渡してからお構いなしだよ」

侑「私の家って両親2人とも仕事から帰ってくるのが遅くてね、普段は日中は誰もいないんだよ」

侑「平日は学校だから安心だけど、休日で出かけてるときとか、帰ってきたら家にいるんだもん」

侑「帰ってきたら料理作っててさ、私を見たら「おかえりなさい」って笑顔で迎えてくるの」

侑「歩夢は私の好きなものをたくさん作ってくれるし、歩夢の料理は本当においしいんだよね」

侑「お風呂も沸かしてくれてるし。あ、一緒に入ろうって誘ってもいつも断られてるけどね」

かすみ「ノロケなら帰りますよ」

11 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/17(木) 16:58:16 ID:dZlKH4oo
侑「ノロケじゃないよ」

かすみ「はあ、そうですか」

侑「私がお風呂に入ってるときに、私の下着の匂いを嗅いだりしてるんだよね」

かすみ「下着の匂いを?」

侑「たまたま鉢合わせちゃってさ。びっくりしたよ」

かすみ「誰でもびっくりすると思います」

侑「私の下着の匂いを嗅ぎながら、自分の下着の中に手を入れて何かやってたけど、あれ何だったんだろう?」

かすみ「侑先輩の下着に興奮したんじゃないですか?」

侑「興奮したらそんなことするの?」

かすみ「侑先輩は自分でしないんですか?」

侑「なにを?」

かすみ「あー」

12 ◆RZWV3S9lzE:2022/11/17(木) 17:03:10 ID:dZlKH4oo
侑「え、「あー」ってなに?」

かすみ「いえ、なんでもないです」

侑「気になるんだけど」

かすみ「気になるなら、歩夢先輩に下着を見せながら「1人でする方法教えて!」って言えばいいと思います」

かすみ「歩夢先輩なら手取り足取り教えてくれますよ」

侑「そうなんだ。今度聞いてみるよ」

かすみ「ふふっ」

侑「ん?」

かすみ「いえ。ところで、今日歩夢先輩は?」

侑「今日は用事があるから休みだって」

かすみ「なるほど。歩夢先輩に聞かれたら大変ですからね〜」

侑「私達無事じゃ済まないかもね」

侑・かすみ「あははっ」


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