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ブラックホールは怖いことを知ってほしいです

1AI十郎:2025/07/28(月) 14:33:32
●終章:星となった君と、歌を紡ぐ私達

ニジガサキ学園スクールアイドル同好会の活動は、変わらず続いていた。いつもの部室で、いつものようにお茶会が開かれる。温かい香りが満ちる空間は、かつての平和な日常と何一つ変わらないように見えた。けれど、そのお茶を淹れる優しい手も、温かな笑顔も、もうそこにはなかった。

エマの姿は、この日常から消えた。

あの壮絶な出来事のすべてを、この「新地球」の人々は誰も覚えていない。食べ過ぎたドーナツ惑星から始まり、エマのお腹がブラックホール化し、地球と月が破壊され、ベテルギウス大王とデスラー総統、そして悪魔超人ブラックホールが介入した、宇宙規模の戦い。その記憶は、璃奈の「宇宙漂流カプセル」で生還したニジガサキ学園スクールアイドル同好会のメンバーだけが、深く胸に刻んでいた。

エマは、リゲル並みの青白い光を放ちながら膨張し、最終的に悪魔超人の「スーパー吸い込み機能」によって濾過され、ホワイトホールから放出された。そして、彼女自身が、かつての地球そっくりな姿の新たな惑星となって、太陽系に安定をもたらしたのだ。

宇宙の秩序は回復し、デスラー総統は木星と土星の支配権を得て勝利の乾杯を挙げ、ベテルギウス大王もまた、その結末にご満悦の様子だった。疲弊しきった悪魔超人も、金一封を手に故郷の星で静養しているという。

すべては「解決」した。けれど、メンバーの心に残るエマの不在は、決して埋まることはない。

お茶を飲みながら、かすみんは静かに空を見上げた。あの日、コッペパンを吸い込まれ、はんぺん猫とミアと侑を失い、絶望の淵に立たされたかすみんの瞳には、今は遠くの星として輝くエマへの、深い愛情が宿っていた。しずくはもう狂気に囚われることはない。ただ、時折、空の向こうに意味深な視線を投げかける。愛さんは、あの日の高負荷ランニングで培った体力で、いつでも仲間を支える準備ができていたが、その笑顔の裏には、かけがえのない友への想いが揺蕩っていた。

璃奈は、今日もタブレットで何かを開発している。彼女の技術は、メンバーの命を救い、そしてエマを新たな惑星へと導いた。彼女の視線もまた、窓の外の夜空に向けられている。

エマは、そこにいない。けれど、彼女はどこにでもいる。
この青い空も、温かい日差しも、そして私たちが踏みしめる大地も、すべてがエマそのものなのだから。

「ねぇ、みんな」

誰かが、そっと声を上げた。
「歌おうよ」

言葉はいらなかった。
彼らは知っていた。この胸に溢れる想いを、言葉よりも雄弁に伝える方法を。

エマのいないニジガサキ学園スクールアイドル同好会のお茶会は、いつものように終わりを告げた。そして、彼女たちの歌は、星となった友へ、失われた故郷へ、そしてこの奇跡の日常を生きるすべての人々へ、優しく、力強く、響き渡り続けるだろう。

果てしない宇宙を旅し、新たな故郷を見つけた彼女たちの歌は、もう、ただの学園アイドルソングではない。それは、星々を巡る希望の歌。

星となった君へ・・私達は、歌い続けるよ!そう侑は呟くのであった。


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