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ドラゴンレポート「西方白龍録」
5
:
パイロン
:2022/03/07(月) 19:13:10 ID:xwfFvBVs0
一:「SCREAM」
「……パイ……君、パイ、君……」
「……あ、アイ……し……」
突如、耳元で聴こえた想い人の声。
思わず、俺は声のしたほうを向きながらその愛する女性の名前を呼ぼうとしたが…そこには誰も居なかった。
「フッ……空耳、か……」
思わず苦笑いをした。これで本当に隣に彼女が居てくれたら、どれだけよかっただろう。
霊鳥の男でもなく、盾の男でもなく、俺の隣に。
本当にそうなるなら、俺は命と力以外の全てを捧げるのに。
だけどそれは叶わぬ願いだった。どれだけ想っても、ここにはいない。いるわけもない。届くわけもない。
「……来来(来て)、我一直想念你(あなたが居なくて寂しいです)、来来、我一直想念你……」
「ダメだな、俺……。愛する人がこんな所にいるわけないだろう。むしろ、俺はこんな危険な所にあの人を連れてなんか来ない。あの人を護りたいんだから……」
「パイ君……パイ君……」
「まだ聴こえるのか……ここにいるわけじゃないのに……」
「……見て、パイ君。こっちを……私のほうを。私の声の聴こえるほうを……」
「声が聴こえるほう?……後ろ、か……?」
……ある日、とあるかつて鉱山だった山の山奥。
「アハハハハッ、他愛ない。」
「人間なんて所詮は雑魚だな。」
「弱いし脆いしすぐしぬし、つまんなーい。」
「単純でチョロいねえ。」
「ハハッ、そうだな。どうしてこんなヤツらに兄者が負けたのか、理解に苦しむよ。」
助けなんか来ない、僻地の山の山奥に、恐ろしい会話が響いていた。
それと同時に、何か硬いものを噛み砕くような、鈍い嫌な音も続けて聞こえてきている。
そして、そこには複数の人影があった。
短刀のような刃物を持つ女。
その女に押さえ付けられ、喉に刃物を突きつけられている男。
影に隠れて見えないが、声だけ聴こえる男と女らしき人物の声…
「ひ、ひいぃっ…、やめてくれっ…助けてくれぇ…嫌だ、喰われたくない……喰われたくない……っ」
「あーコイツ、マジ五月蝿い。」
「黙らせるためにさっきの人間に続いてぶっころしてもいい?」
「別にいいさ。どうせコイツもさっきの人間に続いて、遅かれ早かれ俺たちで喰ってやる所だからなぁ。」
「標的はお前だ、覚悟しておけ。」
「じゃあ、決ーまり。……必ず息の根を止めてやる。」
「い、嫌だああぁあぁああ!!」
次の瞬間、刃物がヒュッと風を切る音と共に、水のような何かが、勢いよく吹き出す音が聴こえたのを最後に…もう、何も聴こえなくなった……
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