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ドラゴンレポート「西方白龍録」

23パイロン:2022/04/30(土) 22:06:06 ID:iEfLuyXU0
十一:「Trail of Tears」






とある日の夜、いつものサロン。この日の夜は、改めて俺自身の変わらない気持ちを再確認した夜だった。


「ふぁ……あ……」

「ん……?」

「…ごめんお兄ちゃん、ちょっとだけうたた寝しちゃってたかな…。」

「……ありゃりゃ、眠くなっちゃったのかな?」

「うん、ごめんねパイ兄ちゃん。私、ここまでにして寝てもいいかな?」

「ええ、大丈夫ですよ。おやすみなさい。」

「おやすみ、お兄ちゃん。」

「ええ、おやすみなさい。ではまた。」

「じゃあね、ふぁー……」

「ええ、また来ますね。

……ふぁー、なんだか俺も眠くなって来ちゃったな。動くの怠いし、このままこの椅子の上で俺も少しだけ休ませてもらおうかな。

代金は、追加料金プラス宿泊料兼迷惑料と、気持ち色をいくらかつけて、うん、これくらいで足りるかな?

まあ、足りなくても黒服にはハイロンが居るし、メイド長にはココさんがいるし、後で二人のどちらか経由で支払えば問題はないだろう。

…ふぁ…たしかテキーラサンライズだったっけ?

このカクテルのアルコールが効いて、俺も眠くなっちゃったな。俺も寝よう、おやすみ。」


いつものサロンの一階奥にある大きな椅子のあるスペース。

其処で俺と二人で飲みながら話しているうちに、いつの間にか眠くなってきてしまった想い人。

今日は普段の姿とは違う幼い姿で応対してくれ、飲んでいた流れで俺は愛する人に膝枕を貸す形となった。

前にも愛する人には膝枕をした事があり、これで二回目となる。

どの姿の彼女も魅力的で俺は大好きだ。

許されるのならこのまま永遠にそばに居たい。

だが、流石に眠くなった彼女を無理に起こすようなことはしたくない。

今日はここでお別れとなり、解散の流れになった。

背中に羽を出現させてパタパタと飛んでいった彼女。

じゃあ、また。と言いながら彼女を見送った俺にも唐突に眠気が押し寄せて来る。

さて、帰るとしても、このまま動きたくなくなってしまうくらい、酔いと任務での疲れが突然一気に俺にも押し寄せてきてしまった。

なので、起きるのはもう少し後にして、俺もこのまま椅子に腰掛けて休んでいく事に決め、テーブルの上に色もつけて多くお金を置くと、そのまま眠りにつく事にした。


「……改めて決めました。俺、絶対に諦めませんから。

そして貴女の事を忘れませんから。想い合えなくても絶対に。

それぐらい、貴女の事を…ずっと愛しています…」


俺の空っぽになった心は涙で満たせるのだろうか?

もし、今とは違う運命の空の下で俺と貴女が出会えていたなら、想いは通じて幸せになれていたのだろうか?


心の中に雨は降る。

ほんの少しのきっかけで、心は痛み、長く降り続く雨が降る。

この心の中の雨が上がれば、また歩けるのだろうか。

振り返らずに前を向いて歩き出せるのだろうか。

この雨は、もしかしたらずっと降り続けるのかもしれない。

前に進めずにずっと、俺はこの場所に留まり続けるのかもしれない。

それでも構わない。


願わくば、想いが届いた未来がいい。

…だけど、俺に待ち受ける未来が、俺の望まない涙の道、涙の旅路のほうだとしても。


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