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ドラゴンレポート「西方白龍録」

2パイロン:2022/02/27(日) 02:12:40 ID:DXs3p4Po0
ある日の夜の話。


「ええ、それでは。また来ますね、おやすみなさい。」

「…ふぅ、あの人に改めてこの想い、頑張って伝えなきゃな。この想いは誰にも負けないんだ。今は叶わなくても、いつか、必ず……」


想いを寄せるキャストである金髪のサキュバスと別れ、サロンの外へと出て帰路へとついたパイロン。

外はすっかり夜の帳が降りていた。

急いで、寝泊まりしている場所へと走って帰る。

パイロンは冒険者のギルドに所属しているため、そこにある冒険者用に貸し出されている宿泊施設に部屋を借り、生活していた。


「…来来、我一直想念你、来来、我一直在想著你…」


その道中、思わず呟く、愛しい人への気持ちを綴った歌詞の歌。

それもそのはず。最近、愛する人の隣に自身よりも先にいた霊鳥の男の存在を知ったからだ。

この男には今の自分では勝てないだろう。もしかしたら、ずっと……なのかもしれない。

しかし、改めて自身の本当の気持ちに気づけた夜でもある。胸を締め付けられるような気持ちを抱えながら歩みを進めた。


「っ、通り雨か。参ったな。とりあえず雨宿りしよう。……そういえば、思い出すな。あの時を。」


その途中、突然雨が降ってきた。傘を持っていなかったため、慌てて近くのお店の軒先に避難し、雨宿りをする。

そして、それがきっかけで思い出す過去の記憶があった。まだパイロンが小学生くらいの時の記憶である。


「……あ、雨……。」

放課後、学校が終わって帰ろうとした矢先、突然の雨が降ってきた。

朝から晴れていたので、傘なんか持ってきているわけはなく、パイロンはただ呆然と学校の玄関で立ち尽くしていた。

思わず両方の目から一筋の涙。傘がないから、ではない。

また別の理由があったからだ。


「僕……僕……これからどうしたらいい……の……?」


パイロンには前からずっとずっと好きだった女の子がいた。

だが、この想いを伝えるかどうか悩むうち、その女の子にはすでに付き合っている男子がいることを、クラスの他の女子の会話から知ることになったのだった。

これでは自身の想いは届かない。

パイロンはその想いをこのまま伝えることなく胸にしまい込むことにしたが、やはり踏ん切りがつかない所があった。そんな中の出来事である。

重なる辛い出来事に、幼い心は押し潰されそうだった。


「…パイロン?…パイロン!」


そんな中、突如聞こえた呼び声。

そちらに慌てて視線を向けると、いつの間にか、パイロンに似た女性が傘を二本持ってパイロンの前に立っていた。


「あっ…ロンファ、様…。」

「よかった、間に合ったのね。

急な雨だったから、パイロンが傘持ってないだろうって思って心配で。だから私、居ても立っても居られなくて飛び出して来たのよ。」

「…そんな、ロンファ様…すみません。」

「いいのよ、パイロン。私が自ら進んで持ってきたんだから。

…ほら、パイロンの傘。さあ、私と一緒に帰りましょう。」

「…はい。ありがとうございます、ロンファ様。」

パイロンは傘をロンファから受け取ると、二人は並んで雨の中、家に向けて歩き始めたのだった。


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