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ドラゴンレポート「西方白龍録」

15パイロン:2022/03/21(月) 12:31:27 ID:JCo0YYdU0
七:「ANSER」






……ふと思い出す記憶。

それはいつだったか。この前のとある任務の帰りのことだった。

俺は今晩も愛するサキュバスに会いに、彼女のいるサロンへと向かおうと思っていた。

だが、今まで俺はほぼ手ぶらで向かってしまっていたため、今晩からは度々何かプレゼントを持っていくことに決め、早速それを買いに向かっていた。


「今まで入ったことはなかったけど、こういうのとかがいいのかな?」


一番先に目に付いたのはジュエリーショップだった。

とりあえず入店し、店内のショーケースの中を見て回るが、色々良さそうなのが沢山あって目移りしてしまう。

どれがいいのだろうか。そんな風に悩んでいると、一人の店員さんが俺に話しかけてきた。


「いらっしゃいませ。恋人へのプレゼントですか?それならこれなんかどうでしょう?当店の新作なんですよ。」

「ペアリング……ですか?……すみません、恋人っていうわけじゃ。まあ、ずっと気になっている女性って感じですかね?」

「そうでしたか。なら、いずれこの指輪をその人に渡せたらいいですね。頑張ってください。なので先行投資ということで…」

「いえ、その…それは、そうですけど…渡せるくらい親密になりたいですけど……」


店員さんに見せられたのは二人でつけるお揃いの銀色の指輪だった。

つける人の指のサイズに合わせて自在に指輪のサイズが変わるため、誰でもすぐにつけられる、特殊な術の使われた優れ物とのこと。

だが恐らく、これを俺が買う事はないのだろう。

買ったとしても、きっと渡す事はないのだろう。

何故なら、すでにこれと同じものを渡すであろう人物が、既にあの人の隣に居たからだ。


…だが結局、ゴリ押ししてくる店員さんに抗えず、俺はその指輪を買って店を出た。


その後で花屋に立ち寄り、髪色と同じ金色の花を見つけたため、それを花束にしてもらってからサロンへと向かったっけな。


「指輪、か。…俺が渡したとしても受け取ってくれるだろうか。…俺の想い、頑張ったら受け取ってくれるのかな…」


サロンからの帰りに、取り出した濃い紫色の指輪ケースを見つめる俺。

今日は鵙の男も続けてサロンへと来たために、結局渡せたのは花束だけだった。

この指輪、渡す日はくるのだろうか。…もし、もし来ることがあるのだとしたら、それまでは大事にしまっておこう。





……思い返せば、まさに一目惚れだった。

あの女性に出会ってから、俺の今までの人生の全てが本当に変わったと思う。

今はまだお店での限られた時間だけではあるが、好きな人と一緒に居られる。それだけで本当に幸せだ。

この時間がずっと続いてほしい。ずっと一緒に居たい。

ずっと隣で笑っていてほしい。いつまでも。

素直にそう思える。

かなり勝手な話だが、彼女の存在は俺の生きる糧になっていた。


……だからこそ、出会うのが遅かったのは本当に残念だった。幼い頃の記憶と胸の傷が蘇る。あの時以来の胸の痛みだ。


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