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ドラゴンレポート「西方白龍録」
12
:
パイロン
:2022/03/13(日) 22:30:11 ID:YGR8s8FM0
五:「crossing field」
「……ついたな。ここが、問題の大百足かもしれない怪物が潜む、ティー鉱山跡……。」
黒い闇をまとってゲートから現れたパイロン。本当にすぐにやって来る事が出来た。流石はココさんだな、と少し驚いている。
やってきた所は依頼のあった問題の鉱山跡で、この一帯の中でも特に大きな鉱山、T鉱山である。
かつての最盛期の時代は、金や胴が大量に採れたため、沢山の人たちがここへと移り住み、住み込みで掘り出していたそうで、今でも当時使っていたとおぼしき家屋の成れの果てが廃墟となって沢山朽ちて残っていた。さながらゴーストタウンのよう。
漂うのは廃れた重々しい雰囲気と重い空気。そして、風に乗って少なからず漂ってくる鉄の臭い。
「っく……、臭うな…血の臭いが…。」
今までにどれだけの人が大百足の餌食になったのだろう。
麓でも少し漂ってくるのだから、山頂は地獄絵図のはずである。
大百足は銅や酸化鉄の色を彷彿とさせる赤い色である上、東の大国には、百足には鉱脈を探す能力があると言われて、竹筒に入れて探知機として持ち運ばれていたという話もある。
そう考えると、大百足が鉱山に住み着くのはある意味必然なのかもしれない。
そして、真っ直ぐ敵が居るであろう山頂へと向かいたい所だが、敵に気づかれるかもしれないし、もしかしたら生存者が生き残っているかもしれないので慎重に行くことにした。
「よし、こうしよう……………………」
集中して感覚を研ぎ澄まし、周囲の広範囲に聞き耳を立てる。
流石に廃屋を全て調べるのは骨が折れるため、これで誰か生存者が居ないかどうかを探ることにしたが……
「……駄目だ、何も聴こえない。みんなやられちまったのか?」
人間らしき鼓動や気配などは何も聴こえなかった。
つまり、生存者がいる可能性はとても低いということになる。
そんな中、少しずつ山を登りながらしばらく探索を続けていると、不意に人らしき気配を感じた。
それは、今歩いている道を山頂付近からまっすぐこちらに向かってやってきていた。
「……生存者、か?」
思わずそちらを見ると、遠くに四人の人影が見えた。男女二人ずつのようで、無理をして必死に逃げているのが見て取れた。
「……あっ!人がいる!」
「……た、助けてください!」
「私達、大百足から必死に逃げてきて……」
「もう、駄目かと……」
この全員が東の国の出身なのだろう。お揃いの赤い着物に身を包んでいた。家族なのだろうか?
「……だ、大丈夫ですか?」
「俺達兄妹は、なんとか…スキをついて逃げて来ましたが…道中で妹が脚に怪我を。」
「い、痛い……痛いよ……」
「……わかりました、俺が肩を貸します。他の皆さんは大丈夫ですか?」
「ええ、私はなんとか大丈夫です。」
「俺もなんとか。」
「僕もなんとか大丈夫です、僕達はなんとか歩けますよ。」
「……了解、この先にある廃屋にしばらく隠れていてください。危険なので、俺が呼びに行くまで外に出ないでくださいね。……さあ、行きましょう。」
怪我をして痛そうにしている兄妹の妹らしき女性に肩を貸して、そっと歩き始めるパイロン。
……しかし、そのまま肩を貸して数歩ほど歩いた瞬間、突如力尽きてしまったように、パイロンはそのまま地面へと倒れ込んでしまった……。
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