したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

わたしの保護室@若槻

31若槻 ◆/HV2b6TqMw:2018/06/30(土) 01:07:01 ID:UZUTolXU
夕暮れ。
私は今、フェンスの向こう側に。そう、私はフェンスを越えて今、此処にこの場所に立って居ます。風が少し強くて夕陽がとても綺麗で。
想像してみます。
人間は『不完全な完全』な存在だから、『完全な不完全』な形を持つモノと循環して繰り返して、どちらの側面を持つモノが私という存在なのか、或いは、どちらも不完全な存在だから、両者の狭間で行ったり来たりすることで疑似的に完全な存在を求めて、
模索していて。
これが循環して、『不完全な完全』を『完全な不完全』を廻って、永久に繰り返すその目的と結果で、それが存在そのモノ。
明るい光線が私の顔を照らし出す、ほのかな温もりが、私を包み込む感覚。
私は、こういう結果が、『不完全な完全』なモノと『完全な不完全』モノとの転生だと、そんな気がするのです。
小さい粒のような歩行者、小さい模型のような自動車が、下を規則正しく動いているのが見えます。
一日が終わりつつある感覚。
私は、身体の重心を、外側へとゆっくり傾ける。
私の周りで大気が渦巻いて、髪も手足も下から吹き上げる風に持ち上げられて浮かび、まるで無重力空間みたいのよう。
否、浮かんでいるのではく、私が落ちている。空気ってこんなにも濃く満ちているのか、すごい抵抗感です。
ビルの窓ガラスが、私の横で近未来の道路の様にスクロールしていく。
あっという間。
地面が私の鼻先に触れた。次の瞬間、鼻の奥で火花が散るような感覚が走り、潰れていくのがわかる、それは、ごきごきという感覚で鼻が熱い。
そして、その感覚がおでこへと移り、そして、頬、顔全体へと。
アスファルトに叩きつけられて私の顔がゆがんでいく。粘土を地面に落とすと、落下エネルギーに負けて柔らかく平べったくなるように、それが私の顔で再現されて、後頭部も砕け始める。
お好み焼きのようにどろりとした感覚、顔が連結されている首が、方向を変えるのがわかる。
顔面と首が破損してから、私の胴体が地面に到着して、私はスローモーションで砕け散っていく。
息が止まる感覚とともに、胸の感覚が消え、それまではずっと私の肉体を形成していた肩や鎖骨が、何の意味も持たない肉塊に変わり、
胸には水がつまっていたのか、口や耳や鼻から、液体が流れ出し、それは吐き出しているのとは違う。
ただ、外に流れ出ていくだけ。やや遅れて手足が地面に落ちた。最後まで空気の抵抗を受けて、ゆっくりと。
私の感覚としては、ゆっくりと落ちたように感じるけれど、即座に関節が全部外れたみたい。
組織が破壊していなくても、関節が取れると全く動きは取れない。
おかしな方向に手足が曲がったまま、私は地面へひれ伏す。
まだ、落下の勢いが続いているような気がしていて、上から重しが載せられているように感じる。
私の身体が、組織が、内臓が、眼球が、細胞が、一つずつ潰されて、決まった形を維持していた骨は、当たり障りのない形に寸断される。
私が今までに吸った空気の全てを吐き出させようとするかの如く、胸が圧迫された。
私の身体からは液体も、気体も外へ流れでて。
あっという間に私は拡散して、世界中を覆い尽くす程に大きな気体になっていく、軽くて自由な存在。
これで私は、『不完全な完全』になれたのか、『完全な不完全』になれたのか。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板